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【選挙ウォッチャー】 愛知県知事選2019・分析レポート。

選挙をやる前から結果が決まっているような選挙なので、果たして、このレポートに価値があるのかというところではあるのですが、すべてを記録しておく必要があると思いましたので、愛知県知事選も追いかけることにしました。「NHKから国民を守る党」によるスラップ裁判のせいで、まったくお金がないので、少しでもお金を節約するために、4列シートの3500円のバスで移動したのですが、結果、疲労もあって風邪をひきました。まだまだ修行が足りません。

大村 秀章 58 現 立憲・国民・公明推薦
榑松 佐一 62 新 共産推薦

東京都知事選が行われるとあれば、次から次へとゴミみたいな泡沫候補がたくさん立候補してきて、パッパラパーのお祭り騒ぎになるのですが、東京都に次ぐ巨大な都市圏である愛知県知事選には、わけのわからない泡沫候補すら立候補してきません。立候補したのは共産党のジジィだけ。東京都知事になりたいというモチベーションがあるのなら、愛知県知事になりたいというモチベーションがあっても不思議ではないのですが、愛知県知事になろうという人はほとんどいない日本の闇です。大村秀章さんの県政にNGを出したいと思ったら、共産党に入れるしかないという選択肢の不足。非常につまらない選挙になってしまったのですが、つまらない選挙になっていることを可視化することが僕の役割だと思っています。皆さんにもっと日本の現実を伝えていきたいと思います。


■ 今年から設楽ダムにお金がかかる

昨年の長野県知事選には八ッ場ダム問題というのがありましたが、実は、愛知県には「設楽ダム問題」なるものが存在します。これもまた土建屋利権のために生み出されたものであり、西日本豪雨災害でもダムの水がいっぱいになりすぎて、ダムが決壊する恐れがあったことから豪雨の中の放流となり、結果として川の水が氾濫し、最終的に人命を奪うことにつながってしまったのです。地球規模で気候が変わり、集中豪雨が増えている世の中で、表向きは人命を守るはずのダムが、むしろ人命を奪う凶器になっていることに多くの人が気づき始めている時代にあって、さらなるダムの建設が必要なのでしょうか。このダムを作る計画は1973年に持ち上がったため、かれこれ46年も眠ったままになっている計画です。当時は高度経済成長期にあり、なかなかバブルな世界が広がっていたと思うので、人口も増加曲線を描いていたし、あんまり何も考えずにダムを作ってもいい時代だったのかもしれません。しかし、一度は持ち上がった計画なのだから、ここでポシャるのはもったいないということで、土建屋のオッサンたちがずっと政治家に働きかけ、ようやく今年になって着工することになったというのが、この「設楽ダム」です。愛知県はこのダムに約1400億円を投じる計画で、総工費は約3300億円の見込み。なんだかんだで3倍になるのがジャパニーズスタイルなので、最終的な総工費は1兆円ぐらいを見ていていいでしょう。民主党政権になった時には「設楽ダム」の計画も止まったのですが、自民党が政権を奪還したため、再び設楽ダムの建設が動き出し、とうとう県も容認する形になったのです。大村秀章さんが初めて知事になったのは2011年の出来事。当時は民主党政権であり、大村秀章さんは「設楽ダムについては保留」というのがマニフェストだったのですが、結局は「推進」に変わってしまったと言えます。東三河地域では今でも渇水になることがあるので必要だというスタンスなのですが、今日の今日までダムがなくても生きてこれたのに、今さらダムは必要なのでしょうか。

設楽ダムの本体完成は2026年の予定で、このダムができることによって東三河地域の暮らしの水不足が解消するという理屈になっています。でも、この東三河地域には一つ大きな問題点があるのです。それは30年後には人口が12万人も減少し、圧倒的に高齢化が進むのです。国立社会保障・人口問題研究所のデータによると、東三河地域では2045年に65歳以上の割合が35.6%となり、現在の25.7%から一気に上昇。トヨタのお膝元の愛知県ということもあり、完全なる車社会になっているわけですが、車を運転できなくなるホゲホゲとした高齢者で溢れるのではないかと考えられており、公共交通網の整備が必須となっているのです。しかし、そんな未来を見据えて行動する政治家はほんの一握り。トヨタが自動運転の技術を急ピッチで進めているところですが、成熟した政治家が誕生し、本当に国民や県民のために働かないと、いよいよ待ったなしのところまで追い詰められていると言えます。大村秀章さんは他の知事に比べるとバランスが取れた知事だと思いますが、それでも土建屋利権を無視することはできない。これもまた日本が抱えている闇です。


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