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【選挙ウォッチャー】 「高輪ゲートウェイ駅」が超絶ダサすぎる問題。

この名前に決めたのは、一体、どこのジジィでしょうか。山手線の品川駅と田町駅の間に新設される49年ぶりの新駅の名前が、まさかの「高輪ゲートウェイ駅」に決まりました。駅名を公募していたにもかかわらず、みんなの意見がほとんど無視される形で採用された「高輪ゲートウェイ駅」。これだけはどうしても言わせてもらわずにはいられないので言わせてください。

だっせえええぇぇぇ!!


公募の1位は「高輪駅」で、2位は「芝浦駅」、3位は「芝浜駅」でした。伝統ある山手線の新駅ということで、奇をてらった名前ではなく、わりと普通の名前をつけたいというオーディエンスの気持ちが反映されています。ところが、どこのお偉いさんが決めたのか知りませんが、決まった名前は「高輪ゲートウェイ駅」。どうして「高輪」「ゲートウェイ」をつけちゃったのでしょうか。


■ 「高輪ゲートウェイ駅」は、さすがにダサすぎる

「高輪」と言えば、「美しさ」「したたかさ」を武器に一流企業の社長さんのハートを射止め、宝石とアフタヌーンティーに満ち溢れた生活をしていらっしゃる有閑マダムたちが闊歩しているイメージがあり、優雅で上品なブランド駅という雰囲気に仕上がりますが、その「高輪」の高級感を完璧にぶち壊してくれる見事なフレーズが「ゲートウェイ」です。きょうび、駅名に「ゲートウェイ」をぶち込んで喜んでしまう奴を僕たちは初めて見たのですが、とてつもなくダサい「高輪ゲートウェイ」という駅名は、どうして決まったのでしょうか。いくら住所が高輪ではないとはいえ、そもそも品川駅が品川区じゃないという矛盾があるのに、住所が高輪じゃないから「高輪とは名乗れない」と言うのは理屈がおかしいです。住所と駅名が違うなんてよくあることなのに、高輪駅と名乗らずに「高輪ゲートウェイ」。久しぶりにセンスのない奴のセンスが炸裂してしまっている名前を突きつけられ、多くの人が困惑しています。


■ センスのないジジィに「ノー」と言えない悲しい現実

上司はどうして上司になったのか。おそらく、現代の日本企業で、本当に仕事の実績が認められて出世した人は少数で、圧倒的多数が「ポジショニングがうまいだけの人」が上司になっていると思います。責任を他の人になすりつけ、「コイツに気に入られたら出世できる」という人だけに気に入られ、部下にさまざまなマウントを取りながら、気付けば出世の階段を昇っていたクソみたいな上司。たいていの場合、そういう上司はセンスが抜群に悪いので、いざ何かを決めることになると「それだけは絶対にアカン!」というヤツを選びがちです。「高輪ゲートウェイ」。わざわざ公募で名前を募集し、みんなの意見が反映されるかのように見せかけて、実際には抜群にセンスの悪いクソみたいな上司によって決められた感が満載の、「日本の闇」を象徴するかのような駅名の新駅が誕生してしまいました。1位になった名前が必ず採用されることが約束されているわけではないものの、1位の「高輪駅」は8398票、2位の「芝浦」は4265票、3位の「芝浜駅」は3497票でした。では、「高輪ゲートウェイ駅」はどうだったのかと言うと、わずか36票で130位という成績でした。予選130位から優勝するというのは「M-1グランプリ」でも起こらないことです。こんなことになるなら、最初から公募なんてせずに、臭いジジィ同士で会議をして決めたらよかったじゃないですか。それなら唐突に「高輪ゲートウェイ」と言われても、「ださっ!!」とは思うものの、こんな記事を書くぐらいに「のっぴきならない話」にはなりませんでした。一生懸命名前を考えて公募した人たちの気持ちを少しくらいは考えろっていう話です。


■ 「ゲートウェイ」って、なんぞ?

それにしても「高輪ゲートウェイ」「ゲートウェイ」って何なのでしょうか。英語で表記すると「GATEWAY」ということになると思いますが、一般的には「木戸がついた出入口」みたいな意味になろうかと思います。泉岳寺駅の前には「高輪大木戸跡」があり、江戸時代は関所になっていた歴史があります。これに加えて、駅前の再開発事業は「グローバル・ゲートウェイ品川」というコンセプトが掲げられており、名前をつけた人たちの気持ちとしては、「これから再開発が進んで東京の新たな玄関口になるように」みたいな願いを込めたのだと思います。なんとなく英語を付け足すことで「かっこいい」みたいなことも狙ったのでしょう。が、逆にダサさが際立つ結果になっていて、名付けた奴の中二病が抜け切れていないという話にしかなっていません。実は、「ゲートウェイ」と名の付く駅ができるのは初めてではありません。東京ディズニーランドや東京ディズニーシーを結ぶモノレール「ディズニーリゾートライン」の舞浜駅前の駅は「リゾートゲートウェイ・ステーション」という名前です。「これからディズニーシーで遊ぶぞ!」と意気込むファミリーに「リゾートゲートウェイ」という名前はフィットするのでしょうけど、高輪ゲートウェイの場合、利用客の多くは遊びに行くのではありません。東京の大動脈たる山手線に、一人だけ異質なネーミングを放り込んできたという話です。やがて10年後ぐらいに不評すぎるという理由で、すんなり「高輪駅」に改名される可能性はゼロではないのですが、新たなる玄関口になることを夢見て「ゲートウェイ」。どこまでもダサいです。


■ 高輪ゲートウェイ駅はどんな感じになりそうなのか

今、日本の中枢になりそうなのは「品川」です。東海道線と宇都宮線が合体し、常磐線も品川まで延伸されて、羽田空港に行くにも成田空港に行くにも「品川」が玄関口となります。新幹線も品川で乗り換えられるようになっているし、2027年開業予定のリニア新幹線も品川駅に止まる予定です。しかし、忘れてはいけないのは「高輪ゲートウェイ駅」は、ゲートウェイという名前がついていながら、単なる品川の一つ手前の駅に過ぎないので、何一つゲートウェイではないという矛盾を秘めています。本物のゲートウェイは「品川」であり、「高輪ゲートウェイ」はどの列車に乗り換えることもできない山手線のザコキャラ駅です。ゲートウェイという意味では、駅を降りた瞬間からラブホテルが乱立する鶯谷の方が、これから何かが始まっちゃうかもしれない的な意味でゲートウェイ感があります。これを機に結婚するカップルだっているでしょうから「人生のゲートウェイ」である可能性すらあります。それに比べて「高輪ゲートウェイ」なんですが、周辺にできるのはオフィスビルであり、再開発された虎ノ門みたいな景色が広がることが予想されています。有名企業で働くサラリーマンのオッサンたちが少しで投資家の株主配当を高くするために行き交うゲートウェイ。なんだか地獄の一丁目感があります。


■ 南町田駅も「南町田グランベリーパーク駅」に変わる悲劇

山手線に「高輪ゲートウェイ駅」ができるかと思ったら、東急電鉄もやってくれました。東急田園都市線の南町田駅が「南町田グランベリーパーク駅」に生まれ変わるというのです。そもそも南町田駅前に「南町田グランベリーパーク」という商業施設ができる予定ではあるのですが、施設の開業に合わせ、駅名も変えてしまうというのです。しかも、この「南町田グランベリーパーク駅」は急行の停車駅となり、近くにはスヌーピーミュージアムも開業するそうです。これは町田市と東急電鉄が共同で進めている「南町田拠点創出まちづくりプロジェクト」の一環で、南町田駅周辺に賑わいをもたせ、さらなる発展を目指そうというもの。しかし、「ゲートウェイ」に続き、こちらは「グランベリーパーク」というダサすぎるネーミングです。

「南町田」でいいだろうに、わざわざカタカナをぶち込んでしまう人たちって、一体、どんな人たちなんだろうと思い、今年2月の町田市長選を振り返ってみたのですが、町田市長の石坂丈一さんは、こんな感じの人でした。そういえば、市長選が行われるたびに、片山さつき先生が応援に駆けつけているとご本人が話していました。この写真を見れば、なんとなく「南町田グランベリーパーク」という駅名にご満悦でハンコを押しているんだろうなという雰囲気は漂っています。


■ 日比谷線の新駅も「虎ノ門ヒルズ」に決定する悲劇

実は、日比谷線もまた霞ヶ関駅と神谷町駅の間に新駅を作る予定で、新駅の名前が「虎ノ門ヒルズ駅」に決まりました。すぐ近くを銀座線が走っていて「虎ノ門駅」が存在し、虎ノ門ヒルズ駅と虎ノ門駅は通路でつながるので、いっそのこと日比谷線も「虎ノ門駅」にすれば、わかりやすくて便利じゃないかと思うのですが、そこはJRも私鉄も東京メトロも全員ダサい奴が名前を決めているので、「虎ノ門ヒルズ」に決まりました。どいつもこいつも後ろにカタカナをつけないと気が済まない病気なんでしょうか。しかし、インパクトの大きすぎる「高輪ゲートウェイ」の後に出されたので、すんなり受け入れられることになりました。


■ 名前を奇抜にして観光客を呼びたい空港も酷い

電車もなかなかですが、空港はもっと酷いことになっています。「徳島阿波おどり空港」にインスパイアされて、高知は「高知龍馬空港」になり、このへんまでは許容できる範囲だとして、「米子鬼太郎空港」「鳥取砂丘コナン空港」はアウトだろうと思うのです。「空港で事件を起こすつもりか!」という話ですし、12月23日に知事選が行われる宮崎県は「宮崎ブーゲンビリア空港」を名乗るようになりました。「ブーケンビリアってなんぞ?」という話ですが、ブーゲンビリアはオシロイバナ科の紫っぽい色のお花の名前でした。お花が好きな人にとっては「綺麗なお花よね」みたいな話なのかもしれませんが、こちとら心の花すら枯れている毎日お疲れ気味のオジサンなので、「ブーゲンビリアを知らん!」という話で、空港にそんなメルヘンな名前をつけられてもピンと来ないのですが、このブームはどんどん広がっています。得体の知れないカタカナをつけたがるオジサンのブームは今に始まったことではないので、「高輪ゲートウェイ」みたいなことは、これからもどんどん起こりそうです。もしかしたら、いちいち驚いていること自体が時代に馴染めていないのかもしれません。これからどんどん「俺はまだホゲホゲしたジジィじゃないぞ、ほら、こんなナウい言葉をつけられるんだ!」のオジサンが続出し、無駄にナウいカタカナを付け足された「蛇足ネーム」が世の中に広がっていく可能性があるのです。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

世の中の4分の1が65歳以上の高齢者で、ジジィになってなお「現役」を主張してくるジジィたちが若者たちのセンスを退け、高度経済成長期の発想で名前をつけてくる。いや、プロジェクトそのものが高度経済成長期の発想であり、既にバブルが忘れられないオジサンたちのセンスになっていて、僕たちは30年前のまま時間が止まっているのです。今、地方の選挙も隅々まで見ていますが、よく見るとこんなことばっかりです。3日もすれば世の中の人たちは新駅がすこぶるダサいネーミングだったことも忘れてしまうのだと思いますが、政治の世界もまったく同じ構造で、すこぶるダサいことになっています。このネーミングに違和感を持った人は、せっかくなので、少しでいいから政治や選挙に興味を持ってほしいと思います。[了]

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