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【選挙ウォッチャー】 沖縄県民投票に反対した自治体の議員賛否一覧表・後編。

宜野湾市役所前で「辺野古県民投票の会」代表の元山仁士郎さんがハンガーストライキを実施し、それに賛同する多くの仲間がサポートしました。お坊さんにも断食をする修行はありますが、体の負担を考えてお堂の中に籠もったりするものです。ところが、元山仁士郎さんは市役所の外でやっていて、取材や街宣右翼の嫌がらせなどに対応しなければならず、結果、血圧などが高くなり、ドクターストップがかかってしまいました。某セレブな医師などは105時間で終わったことをバカにしていましたが、若者の訴えを笑って見られるクソみたいな大人が目立ち、そして、どこの誰がアップしたのか分からないYouTubeやニコ動の愛国動画が真実だと思ってしまう人たちが賛同する図式は、なかなか強烈なものがあります。インテリ層が「バカは放置でOK」としてきた結果が、手に負えないくらいに増殖する結果を生んでいるのです。情報がないから偏ってしまうので、わかりやすく情報提供してあげることも大切なのだと思います。


■ 宜野湾市議会の賛否

宜野湾市は、普天間飛行場のある自治体であり、普天間基地をなくすためには辺野古基地を建設するしかないと本気で思っていらっしゃいます。ほとんどの議員が洗脳されているに近い状態であり、原発立地自治体の議員が「原発は必要だ」と考えているのと同じなのですが、宜野湾市では予想通り、沖縄の県民投票に参加しないことに決まりました。一応、宜野湾市にも真っ当な議員はいるのですが、極めて少数となっています。まずはどの議員がどのような判断をしたのかを見てみましょう。

宮城 力   43 共産党 投票賛成
屋良 千枝美 62 社民党 投票賛成
玉城 健一郎 33 無所属 投票賛成
上里 広幸  41 無所属 投票賛成
伊波 一男  57 公明党 投票反対
上地 安之  59 無所属 議長
桃原 功   59 無所属 投票賛成
伊佐 文貴  43 無所属 投票反対
伊佐 哲雄  62 無所属 投票賛成
米須 清正  66 無所属 投票賛成
平安座 武志 45 無所属 投票反対
石川 慶   44 無所属 投票反対
知名 康司  63 無所属 投票反対
平良 真一  63 無所属 投票反対
岸本 一徳  64 公明党 投票反対
真喜志 晃一 39 公明党 投票反対
知念 秀明  44 無所属 投票賛成
浜元 朝晴  63 無所属 投票反対
呉屋 等   55 無所属 投票反対
又吉 亮   35 無所属 投票反対
宮城 政司  42 無所属 投票賛成
栄田 直樹  39 無所属 投票賛成
桃原 朗   59 無所属 投票反対
宮城 克   46 無所属 投票反対
宮城 司   53 無所属 投票反対
山城 康弘  51 無所属 投票反対

宜野湾市の定数は26で、議長を除くと25人が投票しています。県民投票を実施するべきだという賛成は10人、反対は15人となりました。普天間飛行場の立地自治体ということで、辺野古に基地を移設して普天間飛行場の返還を求めるべきだという人が多いのはわかりますが、それでも宮古島市ほどバランスが悪くなっていないのは、単純に極右カルトに洗脳されていないからだと思います。ただ、普天間飛行場が日米間で返還の約束が合意できていないという「超そもそも論」を理解できていない議員が多いのは、単純に議員になろうと言っている人たちが、この問題に真剣に取り組んでおらず、ネトウヨをこじらせた反知性派のオジサンたちが議員になってしまっているからだと思います。

宜野湾市議選については、昨年の統一地方選の時に取材をしていますので、宜野湾市で前市長の佐喜眞淳さんとタッグを組んで立候補していた「辺野古基地賛成派」の議員たちが、どれくらいの知性なのかはレポートを読んでいただければ分かります。自民党員であることをアピールして立候補した平安座武志さんは、自分が大切にしている座右の銘を3つ書いていたのですが、「初志貫徹」「アクセル全開」は良いとして、問題は真ん中にある「月月火水木金金」です。おそらくご本人の中では休日も休まずに働くぐらいに気合いが入っていることを表現したかったのだと思いますが、それなら「年中無休」とか言っておけば良いものを、よりによって、「月月火水木金金」です。第二次世界大戦であれだけ悲惨な地上戦を繰り広げ、多くの犠牲者を出し、今も日米間の不平等な協定によって苦しめられ、保育園や小学校に米軍ヘリから部品が落っこちてくるような土地で議員になろうという人間が、聞かれてもいないのに座右の銘を書き、それが「月月火水木金金」なのです。そして、こんな人が何も疑われることなく議員になっているのが宜野湾市という現実なのです。

いちいち自分が暮らしているわけでもない自治体の選挙なんて見る気も起こらないかもしれませんが、こういう候補が朝飯前に当選してしまう世の中になっていて、一人でも多くの有権者が危機感を持たなければ、この国はどんどん知性を持たざる者たちに支配されるようになってしまいます。選挙の結果も大事なのですが、選挙の後に議員たちがどのような政治をしているのかを検証することも大事なのです。


■ 石垣市議会の賛否

石垣市は、選挙分析レポートでお届けしたように、だいぶ極右カルトに冒されている島なので、こうなってしまうことは想定の範囲内なのですが、自民党だけでは過半数を取れないはずなので、どのような人たちが反対したのかは興味深いところです。

石垣 達也   51 公明党 投票反対
花谷 史郎   36 無所属 投票賛成
砂川 利勝   54 無所属 投票反対
宮良 操    62 無所属 投票賛成
内原 英聡   34 無所属 投票賛成
我喜屋 隆次  41 無所属 投票反対
長山 家康   31 無所属 投票反対
箕底 用一   37 無所属 投票賛成
石川 勇作   40 無所属 投票反対
平良 秀之   48 公明党 議長
前津 究    46 無所属 投票賛成
米盛 初恵   51 無所属 投票反対
石垣 亨    55 自民党 投票反対
仲間 均    68 無所属 投票反対
東内原 とも子 61 無所属 投票反対
大浜 明彦   57 無所属 投票賛成
井上 美智子  65 共産党 投票賛成
砥板 芳行   48 自民党 投票反対
長浜 信夫   62 社民党 投票賛成
友寄 永三   57 隠幸福 投票反対
後上里 厚司  52 無所属 離席
新垣 重雄   70 社大党 投票賛成

石垣市の定数は22ですが、離席した人と議長が1名ずついますので、20人が投票しました。賛成した人は9人、反対した人は11人となりましたので、想像以上に接戦となりました。自民党や公明党は当然のように県民投票に反対しているのですが、興味深いのは幸福実現党の友寄永三さんです。石垣市は定数22に対して30人が立候補する大激戦だったのですが、この激戦を幸福実現党の候補者が制すということが起こっています。首都圏をはじめ、多くのエリアで幸福実現党はまったく票が取れずに撃沈しているのですが、石垣市では堂々と激戦を勝つまでになっているということです。これはどういうことかと言うと、石垣市では幸福の科学を信じている人たちが比較的多く、その人たちが友寄永三さんに投票しているということになります。また、石垣市議選の選挙分析レポートでもお届けしましたが、幸福実現党の友寄永三さんは自民党と同じ会派です。沖縄ではよくあることですが、自民党と幸福実現党が共闘しているということになります。

皆さん、あんまり政治や選挙に興味がなく、幸福実現党の候補者が立候補してきても「投票する人はいないだろう」と思っているかもしれません。しかし、少し他の場所に目を向けてみると、幸福実現党の候補が当選するほどに人気を集めていて、思想がだんだんカルトっぽくなっているわけです。そうなってしまう背景に「八重山日報」の存在があるわけですが、誰もどうしてこうなっているのかを知らないのです。


■ 住民投票をやるべきだと言うと湧いてくるネトウヨたち

人々が「バカは放置だ」と言い続けてきた結果、ネトウヨは増殖し、この国を芯から腐らせようとしています。民主主義が何なのかを理解できず、ハンガーストライキの意味もさっぱりわからない人たちが、自らの思想を伝える時代がやってきてしまったのです。

これは「パイズリしたい」で話題になった沖縄の国会議員の秘書のツイートです。「ハンストはテロ行為」と言い出しました。こうなってくると「テロとは何か」も理解していないのだと思います。こんなことを平気で述べられる人間が沖縄の国会議員の秘書なのですが、この国は大丈夫でしょうか。

これは、ネトウヨ界隈では有名なYouTuberです。最近は、この手のYouTuberが荒稼ぎをする時代になってしまったのですが、「死なないハンストはハンストじゃない」と言っているのです。どうせやるなら本当に生死をかけろと言うのです。きょうび21世紀の平成も終わろうという時代に、誰がハンストで死ぬことを期待するのでしょうか。ただ市役所の前に立つだけで解決するなら、わざわざメシを食わないという形で抗議をしないことでしょう。古くはガンジーもやってきた伝統的な抗議のスタイルですが、メシを食わないという非暴力で世の中に広く訴える手法です。死ぬことが目的ではなく、多くの人に伝えることが目的のため、結果として元山仁士郎さんのハンストは成功したことになりますが、ハンストが「生死をかけた究極の賭け」だと思っているのだとすると、ただのアホです。だいたいハンストを見守る方も、ハンストしている人を死なせてはならないため、万が一のことが起こらないようにサポートをします。ボクシングのリング外にドクターやセコンドが常駐しているのと同じです。ボクシングだって殴り合っているけれど、殺すことが目的なわけではありません。すべては知識が乏しいゆえに、こんなことを言うようになってしまったのですが、一つずつ検証していかないと世の中は変わりません。

これは、東京都議選で安倍晋三総理から直接的な応援を受けたにもかかわらず、都民ファーストの会の候補に敗れて落選し、浪人中の自民党員のツイートです。このハンストに感動している同世代を見たことがないとおっしゃいますが、あのハンストをサポートしていたのは若者たちでした。つまり、ただ単純にこの方のまわりにいないだけで、それはどうしてかと言うとネトウヨの情報バブルの中に入っているからです。ハンストを仕事にするという発想が議員に相応しくないレベルで頭が悪いし、話題作りなのかということで言うと、ハンストの目的は死ぬかもしれない断食の挑戦ではなく、多くの人に現状を知ってもらい、世論を巻き込んで世の中を動かすことなので、「そうです」という話になります。ハンストの意味もわからない人が議員をやっちゃうのはだいぶ危険なので、この人はこのまま落選していた方がいいでしょう。そして、この人が立候補してくることになれば、このツイートはやがて掘り起こされることになるでしょう。

最後に、ネトウヨで有名なセレブジジィの医者のツイートをご紹介しましょう。ハンストを見守る医師たちは5日目にドクターストップをかけました。人間は飲まず食わずでも静かな洞窟の中なら1週間ぐらい飲まず食わずで生き伸びた例がありますが、過酷な環境の中では3日で死んでしまいます。災害時の人命救助の際によく言われるのが「72時間の壁」です。元山仁士郎さんは水分を口にしていますが、外の冷たい風に晒され続けている上に、街宣右翼やネトウヨの野次馬などの外的ストレス、さらには取材などにも応じているため、体力を消耗します。医者のくせに、よく入院患者と比較できるものですが、ハンストをする元山仁士郎さんに点滴をしたのも、最終的にドクターストップをかけたのも「医師の判断」です。かたや登山に挑戦する三浦雄一郎さんに中止を命じたのも医師であり、こちらは医師の判断が尊重されているにもかかわらず、ハンストに対する医師の判断には「インチキ」だの「ダイエット」だの言ってしまう。土砂に埋め立てられる希少な珊瑚に涙した後に、辺野古の海を埋め立てるべきだと言えるセレブなジジィは、その矛盾に気付かないのです。こんなところで僕の包茎を治してもらうのは非常に不安です。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

ということで、元山仁士郎さんがハンストをしたことをキッカケに、基地の賛否以前に「民主主義とは何か」を理解できていない議員がどれくらいいるのかを可視化させてもらうことができたし、ネトウヨのリアクションを確かめることもできました。ネトウヨの皆さんが辺野古に基地を作るべきだと言っている根拠は、尖閣諸島などに中国が攻めてきて領土を取られたら困るので、アメリカ様に守ってもらうために基地が必要だからという理屈です。ところが、日本の領土であるはずの北方領土は、それこそ英霊の皆さんが命懸けで守った土地であったにもかかわらず、ロシアに不法占拠され、これまで歴代の総理大臣や議員たちが取り戻すために必死に血や汗を流してきた土地です。軍の侵攻で持って行かれるわけでもなく、総理大臣がアホだから、ほぼすべてをロシアに持って行かれようとしているのに、沖縄でハンストをしている若者には文句を言うが、お金を払って北方領土をプレゼントする総理大臣には文句も言わずに「これが現実だ」とおっしゃる。ネトウヨは保守でも何でもなく、ただのバカです。本当に保守であるならば、今こそ安倍晋三総理に「何してるんだ!」と言わなければならないのではないでしょうか。[了]

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