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【選挙ウォッチャー】 沖縄県民投票に反対した自治体の議員賛否一覧表・前編。

2月24日に行われる予定の「沖縄県民投票」に、沖縄市宜野湾市、うるま市、石垣市、宮古島市の5つの自治体が参加しない可能性が出てきています。沖縄で行われた世論調査によると、辺野古基地の建設に賛成している人たちも「県民投票を実施するべきだ」と答えている人が多く、沖縄県民は基地の賛否にかかわらず、住民の意見を聞いてほしいと思っていることが明らかになっていますが、これらの自治体では「住民の意見は聞かない」という決議が成されてしまいました。これはこれで驚くべき話ですが、さまざまな理由をくっつけて、とにかく住民投票をやりたくないと主張する市長や市議の皆さん。もちろん、これらの自治体にも「住民投票をやるべきだ」と主張している議員もいるのですが、誰が賛成していて、誰が反対しているのか。これからの参考になると思いますので、それぞれをまとめてみました。

■ 沖縄市議会の賛否

まずは沖縄市議会です。議員の数は30人ですが、桑江朝千夫市長はゴリゴリの日本会議の市長です。去年の沖縄統一地方選で、僕が期待した若手の議員はどのような決断をしたのか。これは基地に賛成か反対かという議論ではなく、「住民の意見を聞くかどうか」という話なので、もし日本が当たり前のように民主主義国家だというのであれば、答えは一つです。これはイデオロギーではなく、民主主義国家における議員の姿勢そのものが問われているので、反対している議員がいるとすると、それは「住民の代表ではない」ということを意味します。まさか議員ともあろう人たちが僕の言っていることを理解できないとは思いませんので、改めて議員の「知性」を見てみることにしましょう。

瑞慶山 良一郎 44 自民党 投票反対
諸見里 宏美  56 社民党 投票賛成
真栄城 健二  38 無所属 投票賛成
新屋 勝    52 無所属 投票反対
高橋 真    41 公明党 投票反対
上地 崇    30 公明党 投票反対
屋富祖 功   49 無所属 投票賛成
喜友名 秀樹  37 無所属 投票賛成
伊佐 強    50 無所属 投票賛成
新里 治利   38 無所属 投票反対
阿多利 修   57 公明党 投票反対
小谷 良博   62 無所属 投票反対
池原 秀明   75 共産党 投票賛成
大城 隼    36 無所属 投票反対
藤山 勇一   36 公明党 投票反対
高江洲 義八  69 無所属 投票賛成
小浜 守勝   65 無所属 議長
金城 由美   61 無所属 投票反対
桑江 直哉   44 無所属 投票賛成
町田 裕介   37 無所属 投票反対
森山 政和   69 無所属 投票賛成
仲宗根 誠   40 無所属 投票反対
喜友名 朝彦  48 無所属 投票反対
嵩元 直萌   30 無所属 投票反対
伊礼 悟    58 無所属 投票反対
稲嶺 隆之   45 無所属 投票賛成
島田 茂    52 無所属 投票反対
宮城 浩    50 無所属 投票賛成
栄野比 和光  62 無所属 投票反対
前宮 美津子  66 共産党 投票賛成

沖縄市では、県民投票に賛成している議員が12人、県民投票に反対している議員が17人となりました。議長は賛成にも反対にも投じることができません。ここで言えることは「公明党は住民投票反対」であるということ。基地建設の賛否が問われているわけではなく、「住民の意見を聞くかどうか」を問われているのに反対しているのですから、いよいよ公明党は「創価学会の人たちの意見も含めて住民の意見は聞かない」と言っているのです。前回の沖縄県知事選でも公明党から離反する創価学会員が続出しましたが、今度は「住民の意見さえも聞かない」と言っているのですから、おかしな方向に進んでいることは明らかです。

気になることは、沖縄市には30代の議員が8人もいるのですが、住民投票に賛成しているのは無所属の真栄城健二さんだけ。残る7人の議員は全員、住民投票に反対しているということです。30歳の嵩本直萌さんは、選挙期間中の騒音で赤ちゃんが起きてしまうかもしれないと言って、選挙カーを使わない「優しい選挙」を展開していたのですが、騒音だらけの基地問題には実質的に賛成していたので、こういう筋の通らない議員はきっと住民投票にも反対するだろうと思っていました。結果は反対なので予想通りではありますが、僕が大きな期待を寄せた大城隼さんがどちらに投票しているのか。これは僕の中で、とても大きな問題でした。

大城隼さんは36歳です。30代の議員で住民投票に賛成しているのが真栄城健二さんだけだということは、大城隼さんもまた住民投票には反対しているということです。選挙の時には、あれだけ住民の意見を聞いて公約を作り上げていたのに、いざ基地問題の住民投票をしようということになったら、住民の意見は聞かないと言っているのです。正直言って、失望しました。基地に賛成なら賛成でも良いのです。基地に賛成であるという自分たちの意見や主張を票に投じられるかどうかが問われているのですが、賛成に投じることも許されないわけですから、大城隼さんをはじめ、30代の議員たちがことごとく「民主主義」「議員の役割」をまったく理解していなかったということになります。住民の意見を聞かないということは、住民のために政治をしているのではなく、基地を建設したい政府の思惑のために政治をしているということになります。ガッカリです。市民のために働かない奴は議員である必要はありません。

■ うるま市議会の賛否

うるま市は、沖縄県知事選の時に市議選も行われ、県議補選と合わせてトリプル選挙になった土地です。野党陣営は全員が当選しても過半数に届かないという選挙だったのですが、おそらく自民党系の候補たちは全員が県民投票に反対したものと思われます。うるま市は米軍関係者に女子大生が強姦殺人をされた場所。そんな土地にありながら、「県民の声を聞く必要ない」という選択をしてしまうのですから、よっぽど腐っているのではないかと思います。誰が反対したのかを一覧にしました。

喜屋武 力  58 無所属 投票反対
中村 正人  53 無所属 投票反対
金城 加奈栄 40 共産党 投票賛成
伊盛 サチ子 62 共産党 投票賛成
天願 久史  51 無所属 無投票
幸喜 勇   43 無所属 投票反対
平良 栄順  65 無所属 投票反対
比嘉 直人  55 無所属 投票反対
兼本 光治  55 無所属 投票反対
仲程 孝   49 社民党 投票賛成
徳田 政信  68 無所属 投票反対
下門 勝   50 無所属 投票反対
宮里 朝盛  75 無所属 投票賛成
又吉 法尚  46 無所属 投票賛成
国吉 亮   35 無所属 投票賛成
大屋 政善  62 無所属 投票反対
真栄城 隆  55 公明党 投票反対
仲本 辰雄  66 公明党 投票反対
荻堂 盛仁  68 無所属 投票賛成
国場 正剛  52 無所属 投票反対
幸地 政和  68 無所属 議長
松田 久男  57 無所属 投票賛成
名嘉真 宜徳 73 無所属 投票賛成
伊波 良明  66 無所属 投票反対
伊波 洋   65 無所属 投票賛成
佐久田 悟  61 無所属 投票反対
蔵根 武   39 無所属 投票反対
東浜 光雄  64 無所属 投票賛成
大城 直   56 無所属 投票反対
宮城 一寿  67 無所属 投票賛成

うるま市は、議員の数が30人。議長を含めて2人の無投票があったため、実質的に28人が投じました。賛成は12人、反対は16人となりました。ここでも注目すべきは公明党で、これは基地の賛否ではなく、住民に意見を聞くかどうかなのですが、「住民の意見は聞かない」ということで決着しています。やはり創価学会の住民の意見さえも聞かないということになりますので、このあたりはどう判断されるのでしょうか。もしかして民主主義ではないカルト政党だったのでしょうか。

■ 宮古島市議会の賛否

昨年の沖縄県知事選でも石垣島と宮古島は佐喜眞淳さんに投票した人の方が多いエリアです。なので、こうなることは想定の範囲内なのですが、誰がどんな判断をしたのかはチェックしておく必要があると思います。

平良 和彦  50 無所属 投票反対
新里 匠   40 無所属 投票反対
棚原 芳樹  54 無所属 投票賛成
上地 廣敏  64 無所属 投票反対
狩俣 政作  45 公明党 投票反対
下地 信広  59 無所属 投票反対
上里 樹   59 共産党 投票賛成
前里 光健  35 無所属 投票反対
我如古 三雄 64 無所属 投票反対
国仲 昌二  56 自由党 投票賛成
真栄城 徳彦 67 無所属 投票反対
平良 敏夫  64 自民党 投票反対
平 百合香  43 無所属 投票反対
平良 隆   67 無所属 死去
山里 雅彦  56 無所属 投票反対
仲里 タカ子 60 無所属 投票賛成
砂川 辰夫  61 無所属 投票反対
佐久本 洋介 70 無所属 議長
高吉 幸光  46 公明党 投票反対
友利 光徳  67 無所属 投票賛成
粟国 恒広  52 無所属 投票反対
浜元 雅浩  43 無所属 投票反対
島尻 誠   47 無所属 投票賛成
下地 勇徳  62 無所属 投票賛成

宮古島市の市議選は、前回の統一地方選からはズレれているので2017年に行われました。選挙直後にお亡くなりになった議員がいましたので、次点だった下地勇徳さんが繰り上がり当選。その後、平良隆さんがお亡くなりになったため、現在は23名の議員出構成されています。議長を除くと22名の議員が投票したことになりますが、賛成した人が6人、反対した人が16人という結果になりました。宮古島市のバランスがどれだけ悪いのかが分かるかと思いますが、こうなってしまった理由はおそらく石垣市と同じことです。

■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

辺野古基地の賛否はそれぞれでしょうが、住民の意見を聞く「住民投票」を否定するというのは、民主主義の原則に反しています。いくら辺野古基地に反対する声が多そうだからと言って、それで住民の意見を聞かないというのは明らかにおかしな話です。政治家が自分たちの意見を通すために住民の意見は聞かないと言っているに等しいからです。しかし、そもそも議員というのは住民の代表であり、住民の意見を反映するために議会に立っているのです。にもかかわらず、その役割を忘れ、自分たちが住民をコントロールしようとしているのですから、ちっとも民主主義ではありません。僕たちは政治家に命令される筋合いはまったくないのです。むしろ、市民というのは政治家に命令する側の立場にあるはずなので、それを逆転させようという不届き者たちは、しっかりと可視化して、次の選挙では投票しないことが大切だと思います。今回、この一覧表を作ろうと思ったキッカケは、僕が沖縄の統一地方選を取材した際、何人か期待できる議員を見つけたのですが、その人たちが県民のために動いているのかどうかをチェックしたいと思ったから。結果は、まったく市民のために動いていませんでした。おそらく自分が民主主義国家で何をしているのかが理解できていないのだと思います。

■ 次回予告

次回は1月24日に宜野湾市石垣市の議員リストをお届けする予定です。今回も無料で記事をお届けしておりますが、いつもサポートしてくださる皆さんのおかげで取材ができております。ここでサポートしていただいたお金は、主に無料記事の取材に充てさせていただいております。ご支援くださっている皆様にはいつも感謝しております。ありがとうございます。

追記:宮古島市に八重山日報が存在するという表記をしてしまいましたが、宮古島市には八重山日報は存在しませんでした。修正いたしました。[了]

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