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【選挙ウォッチャー】 沖縄県民投票・現地レポート(#3)。

昨日はうっかり骨太な記事を書いてしまったので、今日は「アンチちだい」の皆さんの期待に応え、石垣島のキャバクラに行こうかと思ったのですが、お客さんを掴むために外に出ていたキャバクラの美女たちが、明らかに貧乏そうな僕を見て、微笑みもしてくれなかったので、こんな状態でキャバクラに行っても惨めな思いをするだけだと思い、こうなったら骨太な記事だけをお届けしてやろうと思いました。

そういえば石垣島は今、千葉ロッテマリーンズの選手たちがキャンプをしていて、プロ野球選手も息抜きに遊びに来るような所です。ついでに、この日は沖縄本島からやってきた陸上自衛隊の新基地建設のための測量技師たちが闊歩しており、どのキャバクラも夜10時頃には外で客引きする美女たちの姿は消え、繁盛している様子でした。かたや数千万プレイヤーでドリンクを飲ませてくれる憧れのプロ野球選手、かたや沖縄までの旅費をキートスで募集して寄付が集まるたびに絶叫をかまし、アンチのジジィに「キートスで金を儲けるのが目的だ」とか言われるのに、交通費と宿泊費がベラボウにかかるので、ちっとも裕福な暮らしができない貧乏な僕。今なら女の子に「1杯いただいていいですか?」と聞かれても、プロ野球選手のように「好きなだけ飲んじゃいなよ!」とは言えず、「ここで美女の皆さんに残念なお知らせがあります。えー、本日、ドリンクを飲みたい、この言葉を禁止にさせていただきます。なお、お店を出て一緒に飲む、この場合に限りまして、最初のドリンク1杯を無料とさせていただきます」と言わなければならないので、「シケた客だな、おい!」と思われること必至。選挙のオフシーズンになるたび、彼女に会うために石垣島にやってくるという生活をするのは夢のまた夢だということで、こうなったらキャバクラにも行かず、現地から真面目な記事ばかりを書いてやろうと思いました。


■ 石垣島で県民投票に興味がある人が少ない理由

石垣島では「県民投票」に興味のある人はそれほど多くないようです。もちろん、戦争を体験したおじい・おばあは興味があるし、戦争の体験をよく聞かされた息子や娘の世代も興味関心があるのだけど、この石垣島というのは移住者が多く、そして、移住者の多くは基地問題に関心が低く、ましてや今回は沖縄本島の「辺野古」の話なので、石垣島の人たちの興味関心が低いというのは、ある意味、当然と言えば当然なのです。

しかし、昨日報じたように、石垣島には陸上自衛隊の基地を作るというプランが浮上し、それも市街地から車で15分ほど行ったところにある、島の真ん中に作ろうというのです。「島に陸上自衛隊の基地ができることについては、どう思っているのか?」という話を聞いてみました。すると、昔から島に住んでいる人たちは当然のことながら反対なのだけど、新しく移住してきた人は賛成する傾向にあるというのです。特に、ナイチャーでそこそこの成功を収め、石垣島に引っ越してきたような人たちが気になるのは、石垣島を訪れる観光客が圧倒的に少ないということ。島の経済を発展させるためには自衛隊の基地を作り、国からの交付金で経済を活性化した方がいいのではないかと考える人がそれなりにいるということです。

しかし、最近になって突然のように持ち上がったプランでは、豊かな森を削り、ここを平坦なコンクリートにすることになっています。ましてや、その建設予定地には石垣島の人たちが水道水として使っている水源があり、飲み水が汚染されてしまう可能性があるのではないかと考えられているのです。いまや石垣島にはたくさんの移住者がやってきて、島で流れるゆっくりとした時間を満喫している人も多いのですが、もともと住んでいる人たちにとっては大切な森でも、外から移住してきた人たちにとっては、あまり思い入れのない森となる。森を潰してコンクリートにしてしまうことに対しても、もともと島で暮らしている人間と、外からやってきた移住者では考え方が全然違うというわけです。

実際、測量技師たちが大量にやってくるだけで、キャバクラのような繁華街は賑わいを見せるのです。基地が作られるとなれば、それだけで経済は潤うし、これから完成までの7~8年にわたって土木の工事関係者たちがやってきて、夜の街で飲んでくれるとあれば、それはそれで経済は潤うと考えられているのです。しかし、それも一時的なものであり、長期的には経済が疲弊する原因になります。なんでも石垣島の人たちはあまり外に出ないのだそうです。外をぶらぶらして外食するという文化はあまりなく、仕事以外は家にいることが多いそうなのです。これは移住者であっても似たような傾向にあるようで、市街地の飲食店は住民のために経営するというより、どのように観光客を店に入れるかがポイントとなり、季節によって大きな影響を受けることになります。基地が完成して陸上自衛隊を受け入れることになっても、自衛隊員やその家族が外をぶらぶらして外食するかと言ったら、そういうわけではない。もちろん、地元のスーパーやドラッグストアなどは日用品を買い求める人が増えるわけですから、多少のプラスにはなるでしょうが、これで島の経済を抜本的に活性化できるのかといったら、あまり見込めないのではないでしょうか。それどころか、自衛隊員とその家族が約1000人だとすると、それだけでナイチャーからやってきた人たちが議員を生み出せるぐらいの力を持つことになり、最初から島で暮らしている人たちの声はますます反映されにくくなります。今、ネトウヨが騒いでいる「中国人が大量に移住してきて島が乗っ取られるのではないか」と言っていることを本土で暮らす日本人がやることになるというわけです。観光客を増やさず、基地に依存する経済構造は、原発を主たる産業にしている街を見ても分かるように、あるいは、他の自衛隊基地を主たる産業にしている街を見ても分かるように、長期的に成功した事例を見たことがありません。

国会では今、ポンコツ大臣の「よしたか(桜田義孝)」が話題になっていますが、石垣市には自衛隊基地をゴリゴリに押し進めるネトウヨ市長の「よしたか(中山義隆)」がいます。選挙の得票数の割に人気がなく、ちっとも経済を良くしてくれないことを不満に思っている市民も多いようです。中山義隆さんは2010年に自民党と公明党の推薦を受けて市長に当選し、2014年、2018年と3期連続で当選しています。その前は大濱長照さんという人が市長だったのですが、石垣空港を米軍と共用する問題が浮上した時には「自衛隊も米軍も基本的には軍隊だ」と発言し、その後、撤回に追い込まれるなど、平和に対する思いが強かった人物。4期16年と長く市長をやっていたため、島の経済のマンネリ化が指摘されており、2010年の選挙は大変な盛り上がりを見せ、市街地で暮らす人たちは、普段は選挙に行かないような人たちまで集まって大々的に中山義隆さんを応援することになったのだそうです。あの時の盛り上がりは異様だったというので、2018年の名護市長選と同じようなことが起こっていたのだと思います。ところが、ここまで約9年の中山市政を振り返ってみると「何も変わっていない」という思いが強く、「結局、誰に投票しても同じなんだ」という思いが強くなり、そこから選挙にも行かなくなったし、今回の県民投票にも参加しないと語る人がいました。期待した分だけ失望が大きく、失望の壁を乗り越えてまで投票する気が起こらない。かつて民主党に期待したけれど、民主党になったからといって何かが大きく変わることはなかった。そんな失望が「民主党攻撃」につながっているのかもしれませんが、ここでは自民・公明党が推薦する中山義隆さんに向けられているようです。地元では長らく自民党を支持してきたけれど、中山義隆は絶対に許さないと言い出す保守の人も増えているようで、今回の急ピッチで強行される基地建設に激怒する人が生まれています。次の選挙も市長でいられる保障はなくなりつつありますし、あと3年で大きな騒動に発展する可能性が高いです。


■ それでも若者たちは投票を呼びかける

僕が現地のお姉さまに話を聞いている頃、若者たちは「県民投票音楽祭」というイベントを開催していました。賛成に入れろとか、反対に入れろとか、そういうことではなく、単純に「県民投票に参加しよう」というイベントです。この音楽祭はカンパによって成り立っており、誰でも入場無料です。テレビ番組に出演するようなメジャーなアーティストはいませんが、知る人ぞ知る「これからの若手アーティスト」が集まり、歌いながら県民投票に行くことを呼びかけたのです。

大人たちが失望から投票に行かなくなった一方で、失望を知らない若者たちが立ち上がり、同世代の仲間たちに「投票に行こう」と呼びかけているのです。ここに「賛成」「反対」の分断はありません。音楽を愛するという共通点があれば、それだけで仲間。他人の意見がどうであれ、政治に興味関心を持って、自分たちの意思を示すことが大切だと訴えています。僕はそこに「多様な情報に触れていただき、その中から判断していただきたい」という思いがあり、産経新聞を読もうが、我那覇真子氏のツイートを見ようが、ボギーてどこん氏のツイートに触れていようが、とにかく情報を偏らせることなく、僕のnoteも読んでいただきたいと思っています。多様な情報に触れなければ何が正しいのかを冷静に見ることができなくなってしまうからです。建設費に最低でも2兆5500億円かかり、マヨネーズばりの軟弱地盤が見つかった今、対中国を見据えた基地を作っているという表向きの話なのに、中国の技術を借りなければ90mまで杭を打つことができない辺野古基地の埋め立て計画はコントそのものです。その2兆5500億円で沖縄の鉄道を敷いた方が経済は潤うし、沖縄の小さな島々を巡れるような小型クルーズ船を就航させた方が、よっぽど地元経済のために役立つことでしょう。

こうしたアイディアが議論されるまでもなく、沖縄の経済のために「基地を作る」と言って、もっと大きなチャンスを逃す政策が続けられている今の日本は、完全に誰かに操られています。もともとは森に作るはずだった滑走路を海に移したのは誰なのか。もともと海に作ることが検討されていた石垣島の陸上自衛隊基地を森に作ることにしたのは誰なのか。この「誰なのか」ということを知ることが大切です。もともと島に住んでいた人たちが追いやられ、ナイチャーからやってきた移住者たちが買い占めた土地が陸上自衛隊の基地になるのだとすると、その裏に何らかの思惑があるのかもしれません。世の中は意外と目先のお金で動いている。しかし、それでは街の人の暮らしが良くなることはありません。誰かの犠牲の上に成り立つ経済は必ず疲弊してしまうからです。


■ ネトウヨは県民投票に行かないことを呼びかける

2月21日付の琉球新報で報じられているところによると、Twitterを分析した結果、県民投票に肯定的な投稿は2122件、否定的な投稿は2199件となっており、賛成に投じるでもなく県民投票に行かないことを呼びかけているようです。その証拠に、賛成に投票するように求める投稿は21件、反対に投票するように呼びかける投稿は196件、どちらでもないに求める投稿は11件となりました。悪天候の影響もあって、このままでは知事選の投票率を割り込む可能性もあり、終盤に向けて投票を呼びかけることが必要になりそうです。また、埋め立て反対を呼びかける運動はボランティアがチラシ配りや個別訪問などを精力的に実施していますが、賛成を呼びかける運動は表立って見られないとのことです。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

どうやら沖縄県民投票は、世論調査でも「反対多数」であることが伝えられている影響もあって、投票に行かなくても反対が多くなるだろうという予測の中、投票に行かない人が増えつつある状況のようです。しかし、本来は情勢がどうであるか以前に、自分の意思はどうなのかということを示すことが目的となっているため、どちらが多そうだという情勢とは関係なく、自分の意思を投票するべき話です。今回の県民投票は「どちらでもない」という項目を加えたことにより、実は棄権した人も「どちらでもない」にカウントされる可能性があり、実は、「どちらでもない」の選択肢は「投票に行って選ぶ」「投票に行かないで自動的にどちらでもないになる」の2パターン存在し、これこそが沖縄の民意を無効化するための作戦なので、とにかく投票に行って自分の気持ちを示すことが一番大事であるということを皆さんに知っていただきたいと思います。


■ 500円以上のサポートでパスワードをお届け

日頃からサポートしていただき、ありがとうございます。このレポートは無料でお届けさせていただいているため、本日から2月28日までの間、500円以上のサポートをいただいた方に、3月3日(日)18時から新宿・歌舞伎町のROCK CAFE LOFT is your roomで行われる「第6回・ドッキドキ選挙報告会」の限定配信パスワードをお届けさせていただきます。当日イベントにお越しになる方も、あの熱狂をもう一度振り返りたい方も、アーカイブも楽しめるようになります。この機会にぜひご支援くださると助かります。よろしくお願いします。[了]

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