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【選挙ウォッチャー】 安倍政権が進めるキャッシュレス社会と消費税10%。

先日、安倍晋三総理が戸越銀座を訪れ、コンビニで電子マネーを登録し、キャッシュレスでお支払いのお客様に5%還元というキャンペーンを体験し、「外国人観光客4000万人時代に向けて、大胆な5%ポイント還元で、日本でもキャッシュレスを一気に拡大したいと思います」とコメントしました。安倍政権は今年10月にも消費税を10%にしようとしていますが、増税によって予想される消費の冷え込み対策として、プレミアム商品券や低所得者給付金なるものを用意するそうです。しかし、こんなもので消費の冷え込みを抑えることができるのでしょうか。今日は消費税問題を考えます。


■ 今年10月の消費税増税に50%が反対している

朝日新聞が昨年11月17日と18日に行った調査によると、今年10月の消費税増税に「賛成」と答えた人が44%「反対」と答えた人は50%になりました。男女比で見てみると、男性は「賛成」49%「反対」44%。女性は「賛成」38%で、「反対」55%になりました。女性の方がシビアにお金の計算をしているため、反対する人は多いようです。国民の約半数の人が消費税の増税に反対している中で、安倍政権は増税を敢行しようとしているわけですが、消費税を5%に引き上げた時も、8%に引き上げた時も、消費は大きく落ち込みましたので、今回も消費が落ち込むことは避けられそうにありません。


■ プレミアム商品券を発行するという愚策

安倍政権は、消費税を増税した時に予想される消費の落ち込み、さらには貧困対策のため、プレミアム商品券を発行するとしています。この「プレミアム商品券」というアイディアをドヤ感を出して提案しているのが自民党と強力なタッグを組む公明党なのですが、庶民の味方のようでいて、その政策をありがたく受けられるのがプチリッチ層であることを忘れてはいけません。自民党と公明党は小売店で使える2万5000円分のプレミアム商品券を2万円で販売すると言っています。2万円で5000円のお得。2万円の買い物をした時に値上がる消費税は8%だと1600円、10%だと2000円ということになり、差額は400円です。ということは、消費税が上がってもプレミアム商品券を使えば、それでも4600円分はお得になるということです。そんなにお得な商品券があるのなら、ぜひともたくさん欲しい。ところが、お金持ちはプレミアム商品券を無限に買えるけれど、貧乏な人はプレミアム商品券を1枚や2枚買うのがやっとです。貯金のない人たちが少ない手取りの給料で買えるのは、頑張っても数枚でしょう。お金持ちほどプレミアム商品券をたくさん買えるので、このプレミアム商品券の恩恵にたっぷりあやかれるのは「セレブ」だということになります。貧乏な人を助けるためだと言いながら、結局、お金持ちがウハウハするだけのプランなのです。さらに悲しくなるくらいにアホなのが、2万円で5000円分お得というプレミアム商品券では貧乏な人が買えないと言い出し、そこまでは良かったのですが、「500円で買えるプレミアム商品券を作ろう!」と言い出したのです。プレミアム商品券を買えるお金が6万5000円の人がいた時に、2万円の商品券3枚と、500円の商品券を10枚買うことができるという意味で言えば、ちょっとは貧乏な人にもありがたいのですが、先程述べた根本的な事情は何も変わりません。お金持ちがたくさん買えて、貧乏な人は少ししか買えないので、貧乏な人ほどあまり得をしないという現象は変わらないのです。そもそもプレミアム商品券なんていう使い方の限られたセコいものを作って解決しようと思っていることが間違いなのです。


■ 消費税アップに伴い、病院の診察料もアップする

病院の診察には「消費税」という概念はありません。医師に診察してもらうのは商品を買っているわけではないので、保険が適用される診療に関しては消費税を払うことがないのです。しかし、病院で購入しているさまざまな機器や診察に使用する道具には消費税がかかっています。つまり、病院は患者から消費税を取れないけれど、診察するための器具を購入するための消費税は払う。だから、病院の利益はなくなってしまうわけです。病院だって医師や看護師に給料を払わなければいけないし、それなりに儲からないと経営が頓挫して、その町で診察してもらえなくなってしまいます。ということで、厚生労働省と中央社会保険医療協議会が話し合い、診療報酬改定案を示し、おおむね了承されました。これにより、初診や再診料の自己負担額は数円から数十円値上がることになり、僕たちが病院で診察してもらうための基本料が実質的に値上がることになりました。おちおち病気になってもいられない世の中になってきたというわけです。


■ さまざま設定された軽減税率が面倒臭すぎる

消費税を増税するにあたり、食品の税率は8%に据え置かれることになりました。「軽減税率」という言葉が使われていますが、実際のところはまったく軽減されていないので「据え置き税率」です。例えば牛丼屋さんで、お持ち帰りをすれば8%だけど、店内で食べると10%になるという仕様になっているため、吉野家の牛丼で考えてみると、牛丼の並をお持ち帰りすると390円+消費税8%(31円)=421円。店内で食べると390円+消費税10%(39円)=429円ということになります。店内で食べるか家で食べるかで8円の差が生じるということになります。1つにつき8円ですから家族4人で32円。それを2回繰り返せば卵をつけられます。

ちょっとややこしいのが「オロナミンC」「リポビタンD」です。「オロナミンC」は清涼飲料水なので、ジュースと同じ扱いになって8%、「リポビタンD」は指定医薬部外品ということで「薬」という扱いになるので消費税は10%です。地味にややこしいのが「みりん」です。みりんは「酒」というカテゴリーに入れられるため、「みりん風調味料」ということであれば8%ですが、本みりんや料理酒の場合には10%になります。こんな感じで細かい設定がいくつもあって、とてもじゃないけど覚えられません。都会のお店ならバーコードを読み取ることで自動的にやってくれるのでしょうが、田舎のオバチャンが一人でやっている店では計算がややこしくて大変です。


■ マイナンバーカードを使って買い物ポイントをつける

自民党はマイナンバーカードを使って買い物ポイントをつける案を提出しています。マイナンバーカードには、僕たちの年収や資産、婚姻歴などの情報がすべて詰まっているわけですが、これに僕たちの買い物履歴までもが記録されることになりそうです。収入と買い物の差を見れば、こいつがどれだけ貯金しているのかが一目瞭然なので、そんな情報が筒抜けになれば、貯金のある人に資産運用の案内が届いたり、エロ動画ばっかり見ている奴のところには出会い系アプリの案内が届いたりするようになるかもしれません。マイナンバーカードについては、既に登録が大変だから外部の業者に振るという現象が起こっていて、指定された会社がその下請け会社に入力をお願いし、それが中国の企業だったこともありました。セキュリティーを万全にしなければならないマイナンバーカードのセキュリティーは既にグダグダで、おまけに我が国のサイバーセキュリティー担当大臣が桜田義孝先生なので、守られている気が全然しません。先日、Tポイントカードが利用者に無断で警察に個人情報を提供していたことが発覚しましたが、今度は公的なカードでそれが行われるようになるのですから、国家に監視されるディストピアみたいな世界にまっしぐらです。


■ キャッシュレス社会に取り残されて中小企業は死ぬ

キャッシュレス社会になっても、小売店のメリットはほとんどありません。最も大きいのは、現金収入がなくなるため、1ヶ月に1回の振り込みがとても重要になるということです。これまでは手元にある現金で何とかやりくりすることができましたが、これからは「手元にある現金」というものがなくなるため、バッファがなくなります。支払いが立て込んでしまうと、1ヶ月に1回の入金を待てずに資金がショートしてしまい、不渡りを出してしまう可能性があります。もう一つは、キャッシュレス社会になって、電子マネーやらクレジットカードやらの会社に手数料を払わなければならないこと。仮に決済手数料が1%だとしても、小売店の利益は1%減る計算になります。美味しいフレンチを作っても、かわいいぬいぐるみを作っても、性能の良いパソコンを作っても、ありとあらゆる買い物に、Paypayや楽天Edyなどの会社が手数料を取っていくことになる。この人たちは決済するための端末を置いた以外のことは何もしていませんが、売上の一部を必ず持っていくのです。つまり、消費税が上がって商品の値段が高くなったところに、決済会社の手数料が乗る。売っても売っても、今までよりは利益が減るシステムです。かといって、現金でのお支払いをOKにするお店は消費税が10%かかるわけで、どのみち商品の値段が高くなる。想像してみてください、これで日本の消費が回っていくはずがありません。消費税10%とキャッシュレス社会を同時にやろうなんて、ダメージをさらに大きくしているようなものなのです。


■ 安倍政権は参院選を前に消費税アップ中止のカードを握っている

経済の専門家たちは、2019年にリーマンショック級の大きな経済的なダメージが来るリスクを警告しています。それが2019年のいつ来るかは専門家にもわからず、もしかしたら3月とか4月に来るかもしれないし、もしかしたら11月とか12月に来るかもしれない。しかし、いずれにしても日本の経済は、これでもバブル状態にあって、急速に萎んでしまう可能性があるというのです。さまざまなドーピングをしながら株価を維持しているから安倍政権が存続するわけで、株価が大暴落した時には安倍政権が終わる可能性があります。しかし、そうなった時の最後のカードが「消費税率の据え置き」なのです。もし大暴落が6月までに来たら、安倍政権は参院選を睨み、消費税率の据え置きを発表することでしょう。これにより、それまで安倍政権を支持してきた人は離れても、庶民が「さすが安倍さんやで!」と言って投票するからです。ところが、問題は消費税を上げた後に大暴落のタイミングがやってきた時、つまり、11月から12月にかけて大きな経済ショックがあった時、日本は壊滅的なダメージを受ける可能性があります。ただでも消費税が上がって買い物しにくい状況の中、経済も不安定だというのでは買い物をしている場合ではありません。このような最悪シナリオを辿った時の対策は何かできているのか。ここが最も重要なのですが、今のところ最悪シナリオを予想しているようには思えません。ということは、僕たちが自分たちで対策しておかなければならないということです。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

安倍晋三総理の中では「いざなぎ景気」を超える好景気ということになっているようですが、どう考えても日本は不況から脱出することができていません。失われた20年が「失われた30年」になろうとしている今、みんなが不況に慣れてしまって、何が好景気だか分からなくなりつつありますが、この状況で消費税を上げたら、日本経済はますますボロボロになるだけです。ネトウヨの皆さんがどれだけ「大丈夫だ」と言ったところで、これまでネトウヨの皆さんが「大丈夫だ」と言って本当に大丈夫だったものなんか1つもありませんだから、政府が何とかしてくれるだろうなんて甘えるのでなく、11月や12月に世界恐慌が来ても大丈夫なように対策を打っておくことが大切です。悪いことは言いません。べつに僕にお金を預けてくれと言っているわけではありませんので、それぞれが対策するだけでいいのです。2020年の東京五輪を口実にした大型工事は2019年にほぼ終了します。いよいよドーピングが切れ始めるのが2019年で、今、次々と発覚している不正な統計調査に、さらなる深刻な不正や捏造が見つかっても不思議ではありません。今年の日本はだいぶ不安定な一年を過ごすことになるということは予言しておきたいと思います。[了]

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