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【選挙ウォッチャー】 盛岡市長選2019・分析レポート。

10月23日にネイキッドロフトで行われる「やや日刊カルト新聞」のイベントにゲスト出演するにあたり、このレポートだけは先に出しておきたいという気持ちになりましたので、今日と明日は8月17日告示、8月25日投票の盛岡市長選と盛岡市議選のレポートをお届けしたいと思います。

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仙台市議選を取材した後、青春18きっぷを駆使して盛岡市に降り立った僕だったのですが、そこで見たのは「利権」「カルト」です。言うまでもなく、盛岡市は岩手県の県庁所在地であり、岩手県最大の都市。しかし、人口減少に歯止めはかからず、盛岡市の経済はどんどん疲弊しています。こうなってくると、当然、市長に求められる仕事は「どうやって盛岡市の経済を活性化させるか」ということになろうかと思うのですが、街の発展より利権が優先されているとしか思えない政策が続き、このままでは盛岡市が寂れた街になってしまいます。


■ 盛岡城周辺の再開発計画

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今、盛岡市で始まろうとしているのが、盛岡城周辺の再開発です。盛岡城の敷地内の公園になっている部分に、新しく買い物をできる施設を作って観光客を集めようという試みのようなのですが、その隣は歴史博物館になっていて、どう考えても買い物客が集まるような所ではありません。強引に観光客を誘致する環境を作り出すという作戦なのかもしれませんが、ここに入るテナントの多くは東京に会社がある企業のようで、地元発のブランドではないようです。しかし、そうなってくると東京で買えるものをわざわざ新幹線に乗って盛岡で買うバカタレはいないわけで、もっと言えば、これだけネット通販で何でも買えるようになっている時代に、果たして、ここで買い物をしてくれるかどうかはすごく微妙なのです。

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さらに、盛岡城の中には「櫻山神社」という神社があるのですが、その境内の中には商店街が軒を連ねるという非常に珍しい構造になっています。が、これも現職の谷藤裕明市長はぶっ壊そうとしています。というのも、ここには複雑な歴史があり、この商店街は戦後に引き上げてきた人たちが、家がなくて神社の境内に身を寄せて暮らすようになり、いつしかここに店を出すようになってしまったことに始まるのです。言ってしまえば「不法占拠」から始まっていて、一部の地元の人たちはこの商店街で暮らしている人たちのことを「ずるい」と思っているのです。こういう感覚がなんとも日本人っぽいのですが、一部の地元の人に認められない商店街は「ぶっ壊す」。しかし、ここには盛岡市民のソールフードと言っても過言ではない盛岡ジャジャ麺の名店「白龍(パイロン)」があるため、この計画に反対している人たちもかなり多いのです。

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百歩譲って、街の発展のためにぶっ壊すのはアリだとして、この味のある境内の商店街をぶっ壊して、果たして、盛岡市の経済は今より良くなるのでしょうか。この味わい深い雰囲気を醸し出している商店街を潰して、新しくて綺麗なビルを整備したところで、観光客が今の2倍来るようになるのでしょうか。最近も東京都知事の小池百合子さんが「築地市場」という日本の財産をぶっ壊したばかりですが、お城の近くに建てられた古びた商店街は、まさに盛岡の財産と言えるのではないでしょうか。

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もし本当に盛岡市の経済を活性化させたいのであれば、盛岡市で起業してくれるような若者たちにチャンスを与えるべきだと思うのです。この商店街は盛岡市民が築き上げた「歴史」「文化」であり、何よりも「財産」です。東京からやってくる人が求めているのは「盛岡っぽさ」であり、東京にあるものには価値がありません。盛岡で食べる冷麺、盛岡で食べるわんこそば、盛岡で食べる焼肉、盛岡で食べる盛岡っぽいものにこそ価値があり、どこにでもあるチェーン店に行こうとは思わないのです。なのに、こういう商店街を壊そうと言ってしまうのは、盛岡市にとっては何のメリットもなく、建て直しでウマウマするゼネコンへの配慮でしかありません。地元の文化を大切にしない政策を見ると、ただの「利権野郎」にしか見えないのです。


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