見出し画像

【選挙ウォッチャー】 NHKから国民を守る党・動向チェック(#78)。

昨日、ANNの世論調査が発表されまして、NHKから国民を守る党の支持率が0.9%もいることがわかりました。れいわ新選組の支持率が0.8%なので、誤差の範囲だとしても、世の中の「N国信者」は意外と多いということになります。もしかすると「どうせ弱小政党なんだから無視すればいいでしょ?」と思うかもしれませんが、ヒトラー率いる「ナチ党」だって最初は弱小政党だったわけですから、とにかく反社会的なカルト団体は、しっかり監視していくしかありません。これまでNHKから国民を守る党は既報の通り、落選運動をした人の顔や名前を晒して住所を募集したり、ヤジを飛ばした人を私人逮捕したりしています。どうしてこんなことができるのかと言ったら、立花孝志いわく「刑法以外の罰則のない法律は守らなくていい」なので、プライバシーに配慮したりはしないのです。そんな奴がMXテレビには「放送法を守れ」と言っているのですから、どれだけおかしいことなのかを皆さんに知っていただきたいです。


■ 世間から嫌われて一気にトーンダウン

立花孝志は8月19日、予告通りにMXテレビの前に現れ、2度目の迷惑パフォーマンスをしました。相変わらず「テレビ局は公共の電波を使っているのだから放送法を守るべきだ」と言っているのですが、立花孝志はこれまで「懲役などの罰則のある刑法は守らなければならないが、罰則のない法律は守る必要がない」と公言してきた人物なのです。だから、僕はずっと「反社会的カルト集団だ」と指摘してきたわけですが、そのくせMXテレビに対しては「放送法を守れ」と言うのですから、どんなダブルスタンダードでしょうか。

さて、立花孝志の主張は日頃からコロコロ変わるので、特に珍しいことではないのですが、さっそく2回目にして主張が変わり始めたのでチェックしなければなりません。立花孝志は当初、「マツコ・デラックスさんを権力者の犬としてワンと鳴かせる」と息巻き、MXテレビには「反論の機会を与えるべく自分を番組に出せ」とまで言っていました。ところが、2回目のパフォーマンスとなった8月19日は、一気にトーンダウンしていて、マツコ・デラックスさんに対してはもう攻撃しない、MXテレビは放送法を守るように提訴することも検討しているが、なぜマツコ・デラックスさんが「気持ち悪い」と言ったのか、その根拠を示してくれればそれで良いと言うようになりました。何か明確な根拠があって「気持ち悪い」と言っているなら良いけれど、何の根拠もないのに「気持ち悪い」と言っているのだとしたら許されないと言うのです。ただ一方で立花孝志は「マツコ・デラックスさんの主観で気持ち悪いと思ったというのでも根拠にはなる」と言っているので、それならこの問題は最初から解決しているじゃないかという話で終わりです。そんなもの、コメンテーターとして出演しているマツコ・デラックスさんの個人的な感想でしょう。気持ち悪いものは気持ち悪いのですから、それ以上でも以下でもありません。こいつは一体、何をゴネているのでしょうか。

ちょっと面白かったのは、立花孝志はMXテレビに対し、「気持ち悪いという根拠を示せ!」と言っているわけですが、この騒動を取材していた記者から「マツコ・デラックスさんに対して『権力者の犬』と表現した根拠は何ですか?」と問われていたことです。立花孝志の答えは「番組のプロデューサーなどから『言え』と言われたことを言っていると思うから」であり、「思う」と言っている時点で、まったく根拠がありません。ただの陰謀論です。つまり、立花孝志はMXテレビに対して厳しく根拠を求めているけれど、自分がマツコ・デラックスさんに対して「権力者の犬」と罵り、しまいに「ワンと鳴かせてやる」とまで豪語したのに、その根拠は脳内で繰り広げられていた陰謀論なのです。マジでめちゃくちゃヤバい奴です。

もう一つ、大きくトーンダウンしたことがあります。それは「崎陽軒の不買運動」です。立花孝志はN国信者たちにマツコ・デラックスさんがCMに出演している企業の商品を「買うな」と呼び掛け、その流れで崎陽軒の不買運動まで始めたわけですが、その批判がめちゃくちゃバズってしまい、とうとう海を越えてダルビッシュ選手にまで届く始末。あまりに不評だったため、この日は立花孝志は聴衆から渡された崎陽軒のシウマイを手に、「私も食べてます!」と宣伝を始めました。そうなるんだったら最初から不買運動なんかやらなければいいのに、クソだせぇです。結局、みんなに嫌われてまで不買運動はできないということで、しょせん立花孝志も「崎陽軒の犬」です。シウマイ弁当の小間切れのタケノコにも及びません。


■ N国が主張し始めた「直接民主主義」

NHKから国民を守る党は、ただNHKの問題をやるだけのワンイシュー政党だと思っていた人も多いかもしれませんが、ここ最近、立花孝志は「前々から直接民主主義を掲げていた」と言い出し、ちっともワンイシューではなかったことを明らかにしています。そうです、NHKから国民を守る党の実態は「直接民主主義党」だったというわけです。

直接民主主義とは何か。それは「代議士」とも呼ばれる議員を介さず、すべての物事を国民が直接決めてしまおうというものです。現状、多くの国では「議員」が存在し、議員が国民を代表していろいろなものを決めています。立花孝志は「インターネットがなかったから直接民主主義ができなかっただけだ」と思っているようですが、そんなことはありません。議員の先生はいろいろな法案を通すにあたり、それらをものすごく勉強して結論を出していることになっています。そのために国会の横に図書館があり、議員様専用のコンシェルジュが存在し、いつでも必要な資料を用意してくれるようになっているのです。議員はこの国や街の専門家であり、さまざまな問題に日々向き合い、解決するための策を考えるもの。批判された人に嫌がらせをするのが仕事ではなく、国会議員であれば日本中に溢れる問題という問題を勉強している人のはずなのです。勉強というのは5分や10分でできるものではなく、ましてや日本中の問題となれば一生かかっても勉強しきれない量でしょう。だから、国会議員というのは「専業」でなければ困るのです。一方、僕たちは日頃から仕事や家事で追われています。僕も時間があったら英語や中国語を勉強したいと思っているのですが、なかなか時間がなくて勉強できません。自分が興味のある勉強ですらままならないのに、法案の是非を決められるぐらいの日本の問題を勉強するのはなかなかできません。となると、今の選挙が既にそうなっているように、法案の是非まで雰囲気で決めることになりかねません。世界ではスイスが直接民主制に近いことになっているのですが、それも立花孝志の提案とはまったく異なるものです。だいたい直接民主主義がそんなに素晴らしいものだったら、先進国でとっくにやっているという話であり、世界から「後退国」と言われている国で、立花孝志のようなデタラメポンコツおじさんが持ち出している時点で、今の日本では到底採用できるものではないと言えると思います。

NHKから国民を守る党が提示してきた「直接民主主義」というのは、僕が想像していたものとは全然違うものでした。NHKから国民を守る党の幹事長である上杉隆の名前でリリースされている資料では、「YouTubeのアンケート機能を活用した直接民主主義への試み」となっています。いくら立花孝志がYouTuberだからって、国の大事なことを決めるのが立花孝志のYouTubeのアンケート機能です。実際、立花孝志がMXテレビの前に来たのも、約13万人がアンケートに答えた結果、72%が賛成だったからだと言っていました。立花孝志のYouTubeなんぞを熱心に見ている人っていうのは、それこそ脳味噌がアハアハになっているN国信者か、路上に落ちている「これは人間のヤツか?」というような立派な一本糞を見つめる気分でチェックしているN国ウォッチャーぐらいなもので、偏った人しか見ていないアンケートで「直接民主主義」とか言い出しているのは、ただ「直接民主主義」という言葉の響きがカッコイイだけのオジサンではないかと思っています。

この「直接民主主義」についても記者から厳しい指摘があり、YouTubeでやってしまうと複数のアカウントを持っていた場合に1人1票ではなくなってしまうのではないかとツッコまれていたのですが、立花孝志は「免許証などの身分証明書をスキャナーなどで取り込み、1人1票にするための仕組みを300万円かけて作っている」と言いました。つまり、NHKから国民を守る党に身分証と個人情報を取られるということです。これを自民党が言っているというのなら、まだ少しぐらいは信用があるかもしれないのですが、NHKから国民を守る党に個人情報を握られるというのは、どういうことなのか。

この世で最も個人情報の取り扱いが信用できないのが「NHKから国民を守る党」です。なにしろ、ちょっと落選運動をしただけで、顔と名前を晒されたあげく、住所を知っている人は教えてほしいと言って住所を晒されてしまうのです。僕に至っては立花孝志に住所を晒されたため、代引商品が勝手に送りつけられる始末で、ある時はその中身が脱法ハーブでした。先日はアダルトグッズが届きました。柏市議選の時には大橋昌信の選挙ハガキまで届く始末で、住所や名前が何の許諾もないまま勝手に使われ、ネットに晒されて嫌がらせを受けるリスクまであるのです。こんな政党の直接民主主義とやらに参加するために、免許証の画像を送るというのです。しかも、最近は個人情報の流出事件が頻発しており、あのセブンイレブンでさえセキュリティーに巨額の費用をかけていたはずなのに「セブンペイ」が悪用され、とうとう電子マネーの分野から撤退したほどなのです。立花孝志は開発費を300万円だと言っているので、およそセキュリティーがしっかりしているとは思えません。NHKから国民を守る党の場合、セキュリティー以上に人間が信用できないのですが・・・。


■ 8月20日は久保田学による裁判がある

8月20日には、立川市議選に立候補したNHKから国民を守る党の久保田学に対して、僕が記事の中で「居住実態のほとんどない」と書いたことが名誉毀損だと訴えてきた裁判があります。立花孝志いわく、居住実態を証明しなければならないのは、ちだいだ。ちだいは『ない』ことを証明しなければならない。『ない』ことを証明するのは悪魔の証明と言われていて、能力の低いちだいにはできないはずだとのことでしたが、居住実態がほとんどないと書くに至った証拠を提出したところ、5時間分も証拠の動画を提出してきた。そんな動画を見ているほど暇ではないと言い出し、前回の期日は「公務多忙」を理由にドタキャン。8月20日の期日も久保田学や立花孝志が現れるかどうかは分かりません。久保田学からの反論を待っていましたが、今日の今日まで資料の提出はありませんでした。ちなみに、もしこの裁判で僕が勝つことになると、これまで立花孝志がさんざん言っていた「ちだいの記事は嘘」というのは、その発言こそが嘘だったということになり、さらに久保田学に議員としての資格があったのかどうかが、改めて問われることになります。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

かねてから言っているように、僕はNHKの受信料問題には取り組むべきだと思いますし、大胆な改革は必要だと思っています。だとすれば、なぜNHKから国民を守る党に対して厳しい批判をするのか。それは、この人たちではNHKをぶっ壊せないばかりか、NHKの得になることしかせず、破壊されるのはNHKではなく、僕たちの文化的な暮らしであるからです。実際、立花孝志は不買運動を呼び掛け、崎陽軒をはじめ、複数の企業の売上を下げようとしてきました。自分を批判したコメンテーターに不服だっただけで、頑張っている日本企業の努力を無駄にする不買運動をするぐらいに、自分たちのことしか考えていないのです。毎度、自分たちはNHKをぶっ壊すんだという正義を語る割に、やっていることは社会に対する迷惑ばかりです。落選運動をした人の顔や住所を晒すのも、気に入らない人間にスラップ裁判を仕掛けるのも、これまで彼らがやってきたことは「迷惑行為」でしかないのです。NHKをぶっ壊すことに払う犠牲が大きすぎて、とても認めることはできません。心を入れ替えて国民のために仕事をするというのであれば、まだ少しは認めるところもあろうかと思いますが、過激なYouTuberがそのまま政治をやっていて、それを支持している人たちもカルト信者だけになってしまったので、この政党は1ヶ月も経たないうちに底を見せたのです。

いつもサポートをいただき、ありがとうございます。サポートいただいたお金は、衆院選の取材の赤字分の補填に使わせていただきます。