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【選挙ウォッチャー】 上尾市長選2017・分析レポート。

まさかの市長が逮捕されるという事件が起こり、出直し市長選が行われることになった埼玉県上尾市。2017年12月17日に投開票が行われ、新人4名が立候補していました。大宮に隣接する大きな自治体の市長が賄賂をもらって情報を流していたというのですから呆れて物も言えませんが、今度こそ悪いことをしない市長を選べるのか。上尾市民の皆様にはしっかり反省してもらい、きちんとした市長を誕生させてほしいものですが、あんな事件が起こっても市民の関心は低く、すこぶる微妙な選挙になりました。

■ 秋山 かほる 64 上尾市議会議員
■ 石山 勝朗  84 都市開発コンサルタント
■ 鈴木 茂   62 上尾市議会議員
■ 畠山 稔   68 埼玉県議会議員

今回の上尾市長選は、非常に複雑で候補者を見定めるのに難易度の高い選挙であったと言えます。なぜなら民進党や共産党から支持されているように見せかけて、その中身は自民党だからです。上尾市議会の中は自民党が2つに分裂していて、チューチューと利権を貪っている議員たちの温床と化しているため、市長や議長が逮捕されたのは氷山の一角。市長や議長が利権を独り占めしようとしたから逮捕されてしまっただけで、利権がなくなったわけではありません。昔から地元の病院経営者たちと結託し、建設業者と結託してきた「汚職」の巣窟と言える上尾市。この腐った政治を叩き壊せるのは、市民派の怪獣みたいなオバサンくらいなものでした。しかし、そのオバサンは一部のママさんたちに熱烈に支持されているものの、選挙戦略は素人以下。市長や議長が逮捕されても市民の関心は低いままで、結局、利権野郎が勝ってしまったので、上尾市の腐った政治は、最低でも4年は続くことになりました。


■ 市長が逮捕された事件とは?

ごみ処理施設「西貝塚環境センター」の運転管理業務の入札にあたり、さいたま市浦和区の設備業者「明石産業」に情報を流し、賄賂を受け取っていた受託収賄罪で、島村穣市長と田中守議長が逮捕されました。100万円の賄賂の他に、両被告にそれぞれ数百万円を渡していたとされ、島村穣市長と田中守議長は明石産業のために「誠心誠意対応する」という念書まで書いていたというのですから、完全な黒です。
ガチガチの犯罪ではあるのですが、この逮捕の裏には上尾を利権体質にしたと言われる前々市長の新井弘治さんの力が働いているのではないかと噂されています。利権のおいしさをみんなで分け合うのではなく、独占し始めてしまった島村穣市長と田中守議長。この体制を壊すため、市長を辞めても交通安全協会に籍を置き続け、今でも大きな影響力を持つとされる新井弘治さんが動いたのではないかというのです。もちろん、市民がヒソヒソと話していることなので真相は不明ですし、こんなことを検証するために命を懸けるつもりもありません。ただ、上尾署は「桶川ストーカー殺人事件」で無能を晒し、遺族から「犯人と警察に殺された」と断じられるほど。無能の上尾署が地元市長の受託収賄を自主的に調べるはずがなく、自民党の内部分裂の末に市長と議長が刺されてしまったとみられているのです。


■ 上尾図書館の移転問題

上尾駅から徒歩6分の場所にある上尾図書館を、北上尾駅から徒歩17分の場所に移転しようという計画が建てられ、約38億円が投じられることになりました。図書館を便利な場所に移転するというなら話も分かるのですが、市の中心地にある図書館をリニューアルするのではなく、あえて誰も利用しないであろう人里離れた場所に移転しようというのですから不可解な話です。しかも、その土地は不動産会社が2400万円で購入し、約4倍となる9500万円で市が購入したとの話もあり、「なぜ郊外に移転するのか」という話は誰も語らない始末です。
市民団体の試算によると、本館を移転せずに改築する場合には7億円で済むとされますが、新図書館の工事には総額38億円が投じられる計画です。図書館そのものの建築費に12億8304万円(千代本興行)、自動書架や家具の工事に2億6827万円(島村工業)、電力設備工事に2億3220万円(栄電業)、空調換気設備工事に3億6158万円(アサヒ住建)などの内訳となっています。国会図書館のように、ありとあらゆる本を揃えている場所ならともかく、北上尾駅から17分の不便な図書館に2億円の自動書架や家具が必要なのか、2億円分の電気設備が必要なのか、3億円の空調設備が必要なのかということになってきます。普通の金銭感覚を持っている人なら「ずいぶん高いな!」と感じることでしょう。
上尾市の異常な金銭感覚は日頃から顕著です。例えば、上尾市では電線地中化工事をしているのですが、1kmあたり9~10億円かけて工事をしています。しかし、他の自治体の平均的な費用は、1kmあたり3億5000万円なのです。つまり、上尾市ではあらゆる建設費を通常の3倍の値段で発注しているということになります。本来なら7億円で済むはずの図書館が38億円になってしまうことを見ても、ハコモノ利権企業に5倍の値段を払って「それでよし!」ということになっているのです。要するに、上尾市には普通の金銭感覚の人間が存在しないのです。
さらに、「図書館本館を守る会」が511人の利用者にアンケートを実施しているのですが、新しい図書館に行く回数は今より減ると答えた人は72%。逆に、増えると答えた人は、わずか5%しかいなかったのです。新しい図書館が今より便利な所にできるのではなく、今より不便な所にできるので、多くの人が「利用しない」と答えているのです。こんなにマヌケな話があるでしょうか。なお、昨年は文化センターの改修工事に27億円使ってきました。こんなお金の使い方をしているので、上尾市では学校の教材が無料ではありません。最近は子供にしっかりお金を使うことが自治体のトレンドになっていますが、上尾市では教材をPTAが1万2200円負担しているのです。もちろん、貧しい家庭からも等しくお金を取ります。こんな調子なので、子供に手厚いサービスは存在せず、子育て世代がどんどん離れています。全国平均1.45の出生率が上尾市では1.27となっており、子供を産むことを躊躇しているほどです。実際、0~14歳、15歳~64歳までの人口は減少し、65歳以上の人口が増加しています。若い人たちは引っ越し、ジジィとババァだらけになっているということです。さいたま市の隣でこうなっているのですから、どれだけ市政が無能なのかという話です。結局、クソみたいにハコモノにお金を使って、肝心の住民サービスが不十分だということです。


■ パークゴルフ場問題

ゴルフ人口の減少が囁かれる昨今、市がゴルフ場を作るのは珍しいのではないでしょうか。しかも、全27ホールのゴルフ場を作ろうというのですから、かなり本格的なゴルフ場ということになります。河原に作られるゴルフ場なら、わざわざ27ホールである必要はないのですが、建設するホール数が多いほど業者は儲かります。
上尾市はスポーツを推進しており、女子バレーボールの実業団が有名ですが、新たにゴルフで有名にしていこうという作戦なのでしょうか。例えば、松山英樹選手のような世界に通用するゴルフプレイヤーを育てるために、子供たちが無料に近い状態でコースを回れる計画を立て、日本全国からプロゴルファーになりたい子供たちを集めて、市の歳入を増やそうとしているのなら話は分かりますが、もちろん、ゴルフ好きのオジサンたちが上尾市でお手軽にゴルフを楽しむために「建設ありき」で始まったプロジェクトなので、ほとんどの市民が賛同していません。


■ ベッドタウンなのに若い奥さんほど上尾市を離れる現実

上尾市の子育て世代の人口流出に歯止めがかからず、20代後半から30代後半の女性の人口は毎年平均63人ずつ減少しています。30代前半から40代後半の男性の人口も毎年平均43人ずつ減少しており、若い奥さんたちは「上尾を選ばない」という傾向にあります。東京に行くにも新宿に行くにも横浜に行くにも1本で行ける便利な町なのに、若者が選ばないのは「異常」と言うしかありません。すべての責任は政治にあると言っても過言ではありません。行政サービスの充実を図り、子育て世代を大切にしてこそ街の発展があるのに、残念ながら、上尾市の未来は今後も暗いでしょう。

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