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【選挙ウォッチャー】 新潟県知事選2018・選挙戦略中間レポート第2弾。

実は、今回の新潟県知事選は「安倍政権」と切っても切れない関係にあります。というのも、こんな状態でも自民党総裁の3選目を狙っている安倍晋三総理は、新潟県知事選の結果次第で今国会会期末に「モリカケリセット解散」をすると見られているからです。もし新潟県知事選で花角英世さんが勝つことがあれば、安倍政権はまだまだ安泰だということになり、やりたい放題は続きます。どれだけ支持率が下がろうと、選挙に負けさえしなければ良いわけですから、この新潟県知事選はとても重要な意味を持ちます。

なので、県外にいながら新潟県知事選をモヤモヤしながら見守っている方がたくさんいると思うのですが、県外にいるからと言って何もできないわけではありません。この選挙戦略中間レポートでは、池田千賀子さん本人や陣営スタッフがやるべき選挙戦略ではなく、池田千賀子さんを応援している一般の人たちの選挙戦略を考えます。


■ 自民党と公明党が強いのは、支持者が「選挙活動をしている」から

よく「自民党や公明党には組織票があるから野党は勝てない」と言う人がいます。確かに、自民党には商工会議所や医師連盟、地元の土建屋などがバックについているし、公明党には「創価学会」がついています。しかし、彼らがなぜ選挙に強いのかと言えば「選挙活動をしているから」です。それだけ彼らが「あの人に投票しよう」とたくさんの人に呼びかけている証拠です。地元の企業に期日前投票に行った名簿を提出させているなんていう話もありますが、ただ自分が1票を投じるのではなく、知り合いに電話をかけ、わざわざ街頭演説に足を運び、「選挙活動」をしている。この「選挙活動」なくして自民党や公明党の勝利はあり得ないわけです。
一方、自民党や公明党の組織票にやられ放題にやられ、幾度となく辛酸を舐めている野党の方々を応援している人たちが何をしているのかと言えば、ただ負ける様を見守っているだけです。共産党には高齢の共産党員がいますが、立憲民主党や無党派だけど緩やかに野党側を応援している人たちは「組織」ではないため、ただ見守るだけになりがちなのです。しかし、どれだけ見守っても選挙には勝てません。勝って欲しいと思うのであれば「選挙活動」の一つもしなければならないのです。


■ SNSで拡散することは県外の人にもできる

一番良いのは新潟まで行って、選挙ボランティアの一員として選挙活動に取り組むことですが、会社を休んでまでボランティアをするのは難しいと思いますし、そこまで気合いが入っている人も少ないと思います。日本の命運を大きく左右するような選挙なので、本来なら新潟に駆けつけるべき案件ではありますが、新潟に駆けつけたことで会社をクビになってはいけませんし、個人商店であっても、それで赤字をこじらせるようなことがあってはなりません。そこまでしなくても、みんなができることを少しずつやるだけで選挙の結果は変わってくるのです。例えば、誰でも親指1つで簡単にできるものに「リツイート」があります。どうせ自分のフォロワーは少ないのでやっても無駄だと思う人がいるかもしれませんが、Twitterのリツイートというのは、フォロワーが少なくても思わぬインフルエンサーに辿り着けば遠いところで爆発的に拡散されるものです。ネトウヨが強いのは、一人一人のフォロワーの数は少ないのに、ネトウヨネットワークがしっかり機能しているため、拡散力を持つということです。そして、常にネットを見ていられるだけの自由な時間があるので、常に拡散を繰り返し、それがアフィリエイトにもつながっている状態です。本来、ネットの世界でしか活躍できないネトウヨと異なり、リアルな生活が充実している「安倍政権に危機感を持っている人たち」は、ネトウヨ以上のポテンシャルを持っているのに、それを駆使していない人が多いのです。中にはリツイートしにくいものもあるかもしれませんが、リツイートしにくいものまで積極的にリツイートする必要はありません。リツイートしやすいものだけでもリツイートしていく。あるいは自分で発信していく。今まで選挙に興味のなかった人に興味を持ってもらうことが大切なのです。


■ 花角英世さんの「花」を使った主婦層の取り込みを無効化する

どんなビジネスにも「ユーモア」が必要であるように、選挙にも「ユーモア」が必要です。僕は放送作家だった経験を生かして、企業に「ユーモア」を提供する会社を経営しているのですが、実は、選挙においてもユーモアは非常に重要な役割を果たします。例えば、花角英世さんの陣営は「花」を使って楽しそうな感じを演出をしています。街頭演説をする際にも、沿道の人たちに「花」を配って、まるで花角英世さんを応援する人が自主的に花を持って応援しているかのように振る舞っているのです。

ただし、花角英世さんの陣営スタッフが配っていた花は「造花」で、本物の花ではありません。つまり、ここに「花を愛でる」みたいな精神は一切なく、ニセモノでもいいから花を持っていることが重要なのだということがわかります。確かに、本物の花を使うとなれば値段も高い上に管理も難しくなるので、造花の10倍以上の手間がかかることは間違いありません。本来であれば「花を愛でる」という「愛」が重要なはずなのに、そこをあっさりと無視して造花を採用しているところが、いかにも花角英世さんの本質を見ているような気がします。
話は逸れましたが、このように「花を持つ」という演出は、味噌汁における「出汁」のようなもので、具にばかり目が行きがちですが、実は「ユーモア」こそ候補者を魅力的に見せるために必要不可欠な要素だったりします。そして、選挙もビジネスも「ユーモア」を持つ余裕のある人の方が勝ちやすくなります。花角英世さんは既に「花を使ったユーモア」を武器にしていますが、池田千賀子さんにはユーモアが足りません。それならば、池田千賀子さんを応援している人たちがユーモアを補えばいいのです。

池田千賀子さんの陣営には「未来のための公共」のメンバーが入っていて、SEALDsっぽい演出が見え隠れします。まさに洗練された合理的な演出が成されているのです。しかし、池田千賀子さんはインテリ系の現役女子大生ではありません。インテリ系の現役女子大生であれば、とにかく洗練されたものだけを採用するのも魅力になりますが、等身大のオバサンに魅力がないかと言われたら、けっしてそんなことはありません。カッコつける必要はないのです。実際、花角英世さんがやっている「街頭演説に花を持ってくる」なんて演出は、冷静に考えたらめちゃくちゃ気持ち悪い話です。普通に考えてもらったら分かりますが、理由もなくひまわりを持って信号待ちしているオッサンがいたら不気味でしかありません。それこそ「ハッピーメールで待ち合わせしとるんか!」って話になります。しかし、そのダサさこそが花角英世さんの魅力になっているのです。なかなか伝わらないかもしれないですが、ダサいことも重要なのです。

選挙においては、相手の戦略を無効化することに勝利のヒントがあります。例えば、花角英世さんは一生懸命「花」で演出しているのですが、池田千賀子さんの方が「花」で溢れてしまったらどうでしょう。花で攻めたつもりが合気道のように池田千賀子さんの力に変わってしまう。僕が選挙参謀だったら、池田千賀子さんを花で囲んだようなバナーをネットに流すところから始めると思います。「花」を使って「花角英世」という名前を覚えてもらって投票してもらう作戦だったのに、「花角英世」という名前を見て、そういえば池田千賀子さんが花で囲まれていたことを思い出し、うっかり池田千賀子さんに投票してしまう作戦です。ちなみに、池田千賀子さんの戦略にだけ触れるのはアンフェアな気がするので、もし僕が花角英世さんの選挙参謀だったらという話もしておきましょう。もし池田千賀子さんが「大量の花で溢れさせる大作戦」を展開してきたら、花の種類を1つに絞り、統一感を持って花で対抗していきます。もちろん、花の種類を一つにまとめてきた時には、それはそれで対抗策があるので、この戦いは永遠に続くことになります。本来はこのように無効化に無効化を重ねながら戦っていくべきなのですが、知恵が尽きた方が負けになるのです。


■ なぜ「大阪航空局長」だった経歴を隠していたのか

6月2日の新潟駅万代口で行われた花角英世さんの街頭演説の際、田中龍作さんをはじめ、複数の記者やジャーナリストが「なぜ大阪航空局長という経歴を隠しているのか」という質問をして、まったく答えてもらえませんでした。当初は沿道にやってきた支援者たちと握手をする予定だったのですが、記者に質問されたことを受け、隣にいたスタッフに促されて握手を中止し、選挙カーに乗り込んでしまったのです。そこで翌日、柏崎刈羽原発を取材していたところ、花角英世さんが柏崎市にやって来るとの情報が入り、街頭演説を聞くことにしたのですが、そこで花角英世さんを直撃することに成功したのです。

「それ、昨日だった、知らないんですよ。全然、あの、関係ないっていうか、どういう、えー、私の資格っていうか、あの、これまでの経歴を、どこにどう書いていたのか知らないんですけど、私も大臣官房審議官、港湾海事担当、これもぜひ、自分としては言いたいことですし、観光の、観光庁の総務課長という仕事も、非常にあの、自分にしてみれば、一生懸命仕事をした時代なので、で、大阪航空局長も、まさに関空とるために経営統合の仕事をしていた時代なので、ぜひ申し上げたいんですけど、何のことをおっしゃっているんですか?昨日もたまにご質問があって、何のことをおっしゃっているのかよくわからないんですけど。あの、まさに順を追っていけば、今申し上げた、港湾海事の審議官、大阪航空局長、観光庁総務課長、観光政策局長、観光事業課長と、全部書いてもらいたいんですけど。よろしくお願いします」

自分の政策ビラやオフィシャルサイトに書かれているプロフィールの話をしているのですが、どこにどう書いてあるのか知らないというのですから、自分の経歴をノーチェックで公開しているということなのでしょうか。そして、そのプロフィールには海上保安庁の次長だったことも、観光庁の総務課長だったことも書いてありますが、「森友学園」で話題になっている「大阪航空局長」だった経歴は書いていません。「どうして書いていないのですか?」という質問に対しては、「どこにどう書いていたのか知らない」と答えているので、スタッフが「忖度」したのかもしれません。花角英世さんが大阪航空局長を務めていたのは2011年8月から2012年9月であり、当時は「民主党政権」ということになりますが、大阪府知事は橋下徹さんから松井一郎さんにバトンが渡された時代であり、大阪音楽大学が土地の購入を希望するも「値段が安すぎる」として売らなかったのは花角英世さんが局長を務めていた時代ということになります。当時、森友学園の籠池泰典理事長が働きかけていた政治家は、日本維新の会の議員や候補者であり、安倍昭恵夫人と知り合ってから神風が吹くようになったとされています。また、その籠池泰典理事長が国会の証人喚問の席で、最もハシゴを外されたと思う人物を聞かれ、「大阪府知事」と答えているように、松井一郎さんが何らか関係していることが示唆されています。この時の大阪航空局長が花角英世さんということになるので、「何かを知っている可能性がある人物」の一人であることは間違いありません。知っていても墓まで持って行く話になると思うので真実を知ることは期待できませんが、こうした疑惑がカラむことを嫌ったせいなのか、花角英世さんのプロフィールからは「大阪航空局長」だったという肩書きは表立って公表されていないというわけです。


■ ネトウヨが騒ぎ始めた被曝と鼻血の関係について

僕がネトウヨウォッチャーの一環として追いかけている須賀川市議の渡辺康平さんが「デマを政治的な意図を持って発言している人々や団体がいる」と言い出し、ネトウヨからそれなりの支持を得ています。「美味しんぼ」の作者・雁屋哲さんが発言した時にも大炎上しましたが、ネトウヨはB層なので「どうして鼻血を出したという体験談が相次いでいるのか」という点について、ただ「デマ」だと決めつけるだけで解明しようとしません。今回、福島から自主避難してきた女性は、あくまで自身の体験談として鼻血を語っており、偶然だろうと何だろうと娘さんが鼻血を出したということは事実であり、それを「デマ」だと言い切る神経はどうかしています。その後も地道に被曝の研究は進んでおり、なぜ原発事故直後に鼻血を出す人がたくさん現れたのかについては、「セシウムボール」との関係性も疑われています。実は、原発事故直後から「セシウムボール」の話は出ていましたが、大阪大学の菊池誠さんの言説を信じるB層のネトウヨを中心に、ことごとく「デマ」として扱われてきました。しかし、その後の研究で「セシウムボール」は存在することが確認され、ガラスなどと結びついて非水溶性となってしまった粒子状の放射性物質の塊が人体に深刻な影響を与えることが分かっています。「セシウムボール」のような粒子状のものが鼻の粘膜を傷つければ鼻血が出る可能性が考えられるわけで、被曝と鼻血のメカニズムについてはしっかり研究されています。それより悪なのは、実際に体験した人の声を勝手に「デマ」だとレッテルを貼ってしまう市議会議員の存在です。僕は「NHKから国民を守る党」をはじめ、ろくでもない議員たちをフォローし、その動向をチェックしていますが、人々があまりに政治や選挙に関心を持たなくなってしまったために、およそ政治家としての資質に欠けている人間が議員になっていることを広く伝えたいと思います。そして、こうした「アイツはデマだ」というデマを流すタイプの人間にも、しっかりと反論して無効化していく必要があるだろうと思います。これこそ市民がやるべきことです。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

残り数日となった新潟県知事選が、どうなってしまうのか震えながら見ている人たちは、いっそのこと選挙活動に参加することをオススメします。新潟まで行ける人は新潟まで行ったらいいと思いますが、新潟まで行けない人はネットで参加する方法もあります。ただ見ているだけで何もしないなんて、「きっと誰かがやってくれるだろう」というお客様精神に溢れ過ぎていて、脳味噌がお花畑です。誰かにやってもらうことを考えるより、自分でやった方がよっぽど早いし確実です。お客様精神を捨てましょう。僕がこうしてレポートを書いているのも、自分にできることをやっているに過ぎません。この国がこのままで良いと思うかどうか。新潟県民の選択を皆さんでサポートしましょう。そして、もしよろしければ、この僕のnoteをフォローしていただき、もっともっと選挙に触れてもらえるようになると幸いでございます。[了]

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