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【選挙ウォッチャー】 沖縄県知事選2018・中間選挙戦略レポート。

ついに、この季節がやってきてしまいました。まもなく9月30日投開票の沖縄県知事選も後半戦に突入するところですが、ここまでの玉城デニーさん、佐喜眞淳さんの選挙戦略を分析し、どこが「GOOD」で、どこが「BAD」なのかを客観的にお届けしようと考えております。なお、前回は6月の新潟県知事選中間選挙戦略レポートをお届けしたのですが、その時は池田千賀子さんの当選にはつながらなかったものの、指摘させていただいた点はだいぶ修正され、後半の猛追へとつながりました。僕はあくまで「選挙ウォッチャー」として平等な観点で分析しなければならないと思っていますので、今回は選挙戦略という観点では疑問の多い佐喜眞淳さんに対するアドバイスが中心となるかもしれません。ネトウヨの皆さんからは「落選請負人」のようなレッテルを貼られておりますが、それは違います。劣勢に置かれている候補に選挙戦略上のアドバイスをするから、まるで応援しているように勘違いされ、そのように言われているのです。なので、安心してください。僕が選挙戦略を分析したぐらいのことで選挙の結果が変わることはありません。


■ 佐喜眞淳さんの応援に入った小泉進次郎さんのタイミングが最悪

小泉進次郎さんが沖縄入りを果たしたのは、まさに安室奈美恵さんのラストライブのド真ん中でした。みんなが安室奈美恵さんに対する愛を語っている時に、いくら沖縄県知事選の真っ最中とはいえ、ここに小泉進次郎さんが投入されるのは最悪のタイミングだったと言わざるを得ません。確かに、小泉進次郎さんは人気があります。ワールドカップの試合が行われている時に、別のチャンネルのバラエティー番組を見る人もいるわけですから、世の中には安室奈美恵さんに興味がなく、小泉進次郎さんの応援に沸き上がる人もいることでしょう。しかし、それはあくまで少数派です。むしろ、せっかく安室奈美恵さんが築き上げてきた25年の集大成が沖縄で行われようとしている時に、「佐喜眞淳さんを応援している人はすぐそこの期日前投票所に行きましょう」とか言っているのですから、安室奈美恵さんに対する嫌がらせなのかと思わずにはいられません。もしかすると、安室奈美恵さんのライブと重なったら話題になるかもしれないというゲス心が働いたのかもしれませんが、むしろ逆効果で、小泉進次郎さんが沖縄入りを果たし、沖縄県知事選が盛り上がっているという演出はできませんでした。小泉進次郎さんは自民党が誇る最強のキラーコンテンツです。おそらく後半にも小泉進次郎さんが入るタイミングがあろうかと思いますが、少なくとも前半の小泉進次郎砲は中途半端な形で終わっています。なぜ安室奈美恵さんのライブ当日に小泉進次郎さんをぶつけてきたのかは本当に謎なのですが、これほど空気の読めないタイミングは滅多にあるものではないので、後半のタイミングはベストを狙っていくべきだと思います。


■ 「携帯電話料金4割引」という公約が大ブーイング

佐喜眞淳さんを応援する青年たちを中心に「沖縄ボイスアクション」というキャンペーンが展開されました。これは今年2月の名護市長選の時に、若者たちが中心になって公約を作り、それを若者たちが共有したため、実績もあって選挙に強いはずの稲嶺進さんを退け、渡具知武豊さんを当選させることに成功しました。今回も同じ手法で、若者たちが中心となって佐喜眞淳さんに公約にしてほしいことを届けようというキャンペーンが展開され、日米地位協定、携帯電話4割引、沖縄にプロ野球チームを作る、中小企業の支援、留学や就活の支援の5つの中から1つを選んでもらい、その中で最も声の大きかったものを佐喜眞淳さんに実現してもらうために頑張ってもらうということになっていたのです。佐喜眞淳さんはこれらを「公約」として認めているわけではありませんが、このキャンペーンが選挙戦略の一環として行われていることは間違いないため、世の中にはこれが実質的な公約であると受け止められており、この中で「携帯電話料金4割引」は明らかに嘘すぎて、ただでも宜野湾市長選でディズニーリゾートの誘致や給食費の無償化を約束しておいて、まったく守らなかったのに、よりによって本当に生活に密着していて、人々が本当に望んでいることを公約の一つに並べてしまったため、どれだけ嘘であるかということをさまざまな角度から検証され、結果、「嘘つき野郎じゃないか」ということでブーイングに変わりつつあるのです。このブーイングの火は今も静かに燃えており、風が吹けばさらに燃え上がるというところに来ています。僕も検証した一人なので、僕がアドバイスするのはマッチポンプすぎるのですが、この公約は静かに触らない方がいいのではないかと思います。


■ 沖縄のネトウヨがアグレッシブすぎて戦力になっていない

今年6月の新潟県知事選では、当時はまだ調子こいていた杉田水脈さんをはじめ、ネトウヨに人気の議員が応援に駆けつけ、ネトウヨ議員の応援が票につながったと分析しています。冬の引きこもりタイムが長い新潟県はネトウヨ人口も多く、ネトウヨ議員の発言にいちいち反応があったのですが、沖縄のネトウヨは先鋭化が進みまくってしまい、ここに新興宗教の皆さんも加わり、ものすごくカルトでカオスなことになっているのです。実は、沖縄という土地は自宅に引きこもってネトウヨ化している若者の人口はそれほど多くありません。成人式を見てもらえば分かるように、沖縄は独特のヤンキーカルチャーが根付いているので、どちらかと言えば体育会系のヤンキーが手首にゴリゴリの数珠をつけながら選挙に戦うスタイルなのです。今年2月の名護市長選で勝利できたのは、圧倒的に地上戦を制圧できたからであり、SNSを有効活用した空中戦はさほど効果を発揮していません。

沖縄は日本で最もネトウヨが先鋭化し、行くところまで行ってしまっている街なので、最終的に何を言い始めたかと言うと、「玉城デニーさんが知事になったら、沖縄が中国に支配されてウイグルになる!」です。ウイグルを話題にしているのは、初詣に欠かさず靖国神社に行っちゃうレベルのネトウヨだけなので、多くの人は「ウイグルって何? やんばるとは何が違うの?」という状況なのに、中国人とおぼしき人が棒で人をボッコボコに殴っているグロ動画を貼ったりしながら、支離滅裂なネトウヨしぐさを晒しまくる始末。ここまで行っちゃうと、どう考えても精神がイッちゃっているとしか思えず、黄色い救急車がやってくるレベルです。最近はデマを広げるネトウヨのカリスマたちが新興宗教の関係者であることもバレつつあるので、新潟県知事選のようにネトウヨが機能していないのです。


■ ゴリッとした男の臭いが強すぎて生理的に受けつけない

佐喜眞淳さんが空手をやってきたゴリゴリの体育会系ということもあるのだと思いますが、まわりを固めている人たちがゴリッとした男の臭いを醸し出しており、一言で言うと「むさ苦しい」という状態に突入しています。もし佐喜眞淳さんが女性に安心感を与えるようなハゲ方をした男性であれば、もう少し男臭いのは和らいだかもしれませんが、腕毛ボーボーのゴリッとしたオジサンなのです。これで選対幹部に入っているのが、松山で女性を口説いた末に口論となり、止めに入った観光客をぶん殴って書類送検された国場幸之助さんだったりするのです。「どうせ強引にホテルに連れて行こうとしたんでしょ? 最低よね!」という批判的な声が根強く残る中、何の反省もなく選対の幹部に入って、ノコノコとテレビのインタビューに答えて露出している始末なのです。ただでも玉城デニーさんは女性の好感度が高い候補なのに、最初から女性票を捨てるような動きになっています。後半でどれだけ修正されるのか分かりませんが、女性にも応援されている様子を演出しないと、この世の半数は女性なのですから、半分くらいの票を捨てに行っているのではないでしょうか。


■ 玉城デニーさんの陣営がやらなければならないこと

ここまで佐喜眞淳さんに利するアドバイスばかり書いてしまいましたので、玉城デニーさんにもアドバイスをしなければフェアではありません。玉城デニーさんの陣営がやるべきことは、玉城デニーさんのスケジュールをしっかりと前日までには明らかにして発表することです。玉城デニーさんを応援している人はたくさんいるし、玉城デニーさんに会いたい人はたくさんいるのに、スケジュールが公表されないなんて、大きなチャンスを逃している以外のナニモノでもありません。9月29日まで玉城デニーさんのスケジュールを随時公開し、女性や若者に支持されている様子を積極的にSNSに公開していくことが大切です。県外から玉城デニーさんを応援している人たちは、SNSを活用して、かなり順調に玉城デニーさんの応援ができていると思います。物理量は十分に満たされているのですが、先程も書いたように、沖縄はネトウヨが先鋭化していることもあり、いつ玉城デニーさんの応援ツイートなどがかき消されるレベルで佐喜眞淳さんの応援ツイートが大量投入されるか分かりません。今の2倍くらいSNSを使った応援を頑張っても損はありません。今のうちに大量に書き込んでおけば、選挙終盤に選挙前半に書いたツイートがササることもあります。なので、バナー作戦、動画作戦、どんどんやった方がいいでしょう。ここからは佐喜眞淳さんを批判するより、玉城デニーさんの魅力をたっぷりツイートする方が有効です。


■ 玉城デニーさんが勝った時の保険はかかっているのか

玉城デニーさんの人気と年齢を考えた時に、おそらく3期12年は沖縄県知事であり続けると思います。つまり、これから12年間、自民党や公明党からお世話してもらおうと考えていた企業は、その計算が成り立たなくなってしまう可能性があります。だからこそ佐喜眞淳さんを応援している人たちにとっては「絶対に負けられない戦い」になるわけですが、ここまでの選挙戦略を見た上で、大きな作戦がことごとく崩れている様子を見ると、自民党の皆さんが思っているほど戦況は良くないと見ています。もっとも「オマエの言うことなんて信用しねぇよ!」とおっしゃるなら、それはそれで良いのです。ただ、ここで問われるのは確固たる信念と根拠を持って佐喜眞淳さんを応援しているかどうかです。県民の多くが反対している辺野古基地の建設を推進し、沖縄の貧困と治安をさらに拡大するカジノの誘致、本当はまったくの嘘だったディズニーリゾートの誘致に続いて携帯電話料金の4割削減などの実現性の低い公約を掲げている人物を、2018年の沖縄県知事選の時に恥ずかしげもなく「投票してほしい」とお願いしていたという人という記憶は残されることでしょう。確固たる信念と根拠があるのなら、他人からどう思われようと知ったこっちゃないかもしれませんが、恥ずかしげもなくネットワークビジネスの商品を紹介しているようなものですから、勝ち馬に乗れたら最高ですが、勝ち馬に乗れなかった時の悲惨さはなかなかのものです。かつて小池百合子さんが「排除します」と言った瞬間に、当時、絶好の追い風だった「希望の党」に猛烈な逆風が吹き荒れましたが、今回は「携帯電話料金4割減」が最大のブレーキ要素になったと見ています。こうなってくると沈没船から脱出した者勝ちです。抜け出すなら今しかありません。こんなことを書いてしまうと、まるで佐喜眞淳陣営の分断を狙っているのではないかと思われるかもしれませんが、いつの時代もリスクヘッジは大切です。あまり時間はありませんが、戦況をよく見守って判断した方がいいでしょう。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

このたびは「confess」の沖縄県知事選可視化プロジェクトにたくさんのご支援をいただき、ありがとうございました。現状は経費の7割ほどのご支援をいただいており、ある程度はカバーできているのですが、引き続きのご支援をお願いしております。現地の風を肌で感じながら、現地でさまざまなリサーチを重ね、まだまだ選挙レポートをお届けしたいと考えております。玉城デニーさんが先行しているという情報が出回っていますが、もちろん、佐喜眞淳さんも猛追しています。一流の選挙プランナーや大手広告代理店がついているので、巻き返し策が考えられていないはずがありません。なので、玉城デニーさんを応援されている皆さんには、応援の手を緩めることなく9月30日まで走り切っていただきたいと思います。「confess」にご支援いただいている方の中には、おそらく玉城デニーさんを応援している方が多かったのではないかと思いますが、選挙戦略を客観的に分析したレポートをリリースすることをお約束させていただいていたつもりなので、今回はこのような内容となりました。選挙終盤はネガティブよりポジティブが票を取ります。ライバル候補の批判は極力避け、ただひたすらポジティブに候補者自身の魅力を伝えていくことを心がけてみてください。思わぬ逆風のリスクを生まないためにも、下手にネガティブな内容を書くよりも、あくまでポジティブに行くのがいいでしょう。そして、最後の最後は笑顔率の高い候補者が勝ちます。ご健闘をお祈りしております。最後に、このレポートが少しでも良いと思っていただきましたら、サポートよろしくお願いいたします。[了]

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