見出し画像

【選挙ウォッチャー】 名護市議補選2018・分析レポート。

日本中が大注目していた名護市長選と同じ日、名護市議補選も行われることになりました。それまで市議をしていた渡具知武豊さんが市長選に立候補するため、空いた席を2名が争うことになったのです。こちらを熱心に取材している人はほとんどいないと思うし、熱心に読む人もいないかもしれませんが、重要なことがたくさん書かれています。

■ 安次富 浩  71 オール沖縄
■ 仲尾 ちあき 47 自民・公明

こちらは市議補選なので、どちらが勝っても辺野古基地問題にただちに影響するわけではありませんが、地味に「オール沖縄vs自民党」という構図になっているので、市長選とワンセットになっている市議補選がどのような結果になるのかは注目なのです。


■ オール沖縄の市議補選候補は安次富浩さんで良かったのか

もし、稲嶺進さんと一緒に立候補する市議補選の候補が頼もしい若者だったとしたら、もしかすると選挙の結果は全然異なるものになっていたかもしれません。しかし、立候補したのが辺野古基地に反対し、座り込み歴20年という大ベテランの市民活動を続けていた方だったため、稲嶺進さんの左翼臭が激しくなり、さらに嫌われてしまったのではないかと思います。対する仲尾ちあきさんは、いかにも沖縄らしい体型のお母さんで、パワフルに動いてくれるイメージがありました。実際はネトウヨをこじらせた痛い人ですけど。
辺野古基地を止めるためにはデモや座り込みは、けっして無駄ではありません。デモをしたり、座り込んだりすることを「違法」だと訴えるネトウヨも多いですが、これらは民主的な手法であり、僕たちに認められている当然の権利です。こうした抵抗をする人たちがいなくなってしまえば、無抵抗にやられたい放題になってしまいます。自分たちが政府の強引なやり方に賛同できないということを示すためには、こうした権利の行使することは当然のこと。ただ、ネトウヨの台頭によって、こうした活動をする人たちが嫌われるようになってしまったことも事実です。よほど基地に反対する気持ちが強くなければ、ごく普通の生活をしている人たちがデモに参加することもなければ、座り込みに参加することもありません。のほほんと普通に暮らしている人たちにとっては、99.9%無関係な話なのです。なので、辺野古基地の前で活動している人たちも、稲嶺進さんを応援するために県外から駆けつけた人たちも、ほとんどは活動家ではなく普通の人ですが、一部にガチの左翼の人たちが混ざっているばっかりに、普通の人さえ「左翼」として扱われるようになり、怪しい団体が応援しているので投票するのをやめようと思われてしまいました。こうした誤解を防ぐためには、活動家ではないことをコツコツとアピールしていくしかないのですが、ネトウヨが世論に大きく影響している昨今、その誤解を払拭するのにはたくさんの手間と時間がかかります。
安次富浩さんがどんな人なのかと言えば、「ヘリ基地反対協」の共同代表で、「一坪反戦地主」設立に参加し、市民活動を続けてきた人です。こうした活動をライフワークにしているので、安次富浩さんを「左翼活動家」と扱う人が現れます。実際、僕自身もそのあたりの区別がついていませんでした。そして、長らく辺野古基地反対を訴え続けてきた人なので、もちろん稲嶺進さんと一緒に辺野古基地建設に反対していくスタンスなのですが、世の中に「反左翼」が広がっている中、稲嶺進さんをサポートするために立候補している市議候補が「左翼活動家」に見えることは一般市民に嫌われます。ただでも稲嶺進さんが「基地問題にこだわりすぎている」と思われているのに、もっと基地にこだわっている市議候補とタッグを組んでしまったら、市民の印象は良くありません。安次富浩さんの立候補が「負け」につながってしまった側面もあると考えられます。


【※訂正】安次富浩さんについて修正しました。

安次富浩さんは、辺野古基地に反対するために「左翼」とはまったく関係なく、草の根的な市民運動を続けてきた方でした。昨今の「市民活動=左翼」というネトウヨの価値観を引っ張ってしまい、「左翼活動家」のような表現でレポートを書いてしまったことをお詫びして訂正いたします。

続きをみるには

残り 8,904字 / 9画像

¥ 210

いつもサポートをいただき、ありがとうございます。サポートいただいたお金は、衆院選の取材の赤字分の補填に使わせていただきます。