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【選挙ウォッチャー】 今日から消費税10%になったけど、みんなどうする?

日付が変わり、今日から消費税が10%になりました。一部は「軽減税率」という名の「据え置きなので軽減ではない」という8%になりますが、ほとんどの商品が10%になってしまいました。増税されたものの中には、トイレットペーパーや紙おむつ、生理用品などの「明らかに生活に必要なもの」も含まれており、政治家たちが僕たちの暮らしのことをろくすっぽ考えていないことがよくわかります。食品は8%のままなのに、水道水が10%に値上がるなんて、これもどうかしています。生きるために必要不可欠なものが10%になるのに、なぜか新聞の定期購読だけは8%に据え置かれ、こういった税制改革に文句の一つも言わない日本人。政治や選挙に無関心になってしまったばっかりに、僕たちはますます生きづらい世の中になっているのです。


■ 増税で無駄な資源がたくさん出る

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もう皆さんご存知だと思いますが、今日から飲食店で食べるのは贅沢だから10%、お持ち帰りにするのは慎ましいから8%ということになりました。こうなってくると、これまでスタバでコーヒーを飲む時には環境に配慮して「店内用のマグカップ」で飲んでいましたが、無駄に消費税を取られるのは嫌なので、お持ち帰りだと言って紙コップで注文し、会計が済んだと同時に腰を押さえて「痛たたたた!」とか言いながら、「こんなに腰が痛かったら外を歩けないので、ちょっとお店で休んでから行くことにしよう」とか言い訳をして、お店の中で優雅にコーヒーをしばきたいと思います。マクドナルドでも同様です。いつもだったら環境に配慮してトレーにハンバーガーを乗せてもらうのですが、無駄に消費税を取られるのは嫌なので、お持ち帰りだと言って袋に入れてもらい、突然、空気に向かって「爺さん、おうちに帰ってからだと言ったでしょう」と言い出し、キョトンとする店員のお姉さんを横目に「実は死んだ爺さんがこのお店のフィレオフィッシュを大好きでね。今日は供養のつもりでフィレオフィッシュを買って帰ろうと思ったんです。でも、今、僕の横に死んだ爺さんの霊がいるんですよ。祟りがあるといけないから、せっかく袋に入れていただいたけど、ここでフィレオフィッシュをお供えしましょうかね。ナンマイダー、ナンマイダー」とか言って、お姉さんのスマイルを全力で凍らせながら、「はい、お爺ちゃん」と天に向かってフィレオフィッシュを掲げた後、優雅に椅子に座って頬張ってやろうと思います。が、ありとあらゆる小ワザを駆使して、本当は10%のイートインを8%に抑えたとしても、出てしまうのが無駄な資源です。本当は紙コップを使わなくて良かったし、本当は袋に入れなくてよかったけれど、少しでもお金を節約するためには環境に悪いことをする。僕も含め、貧乏な人ほど知恵で乗り切らなければ乗り切れないわけですから、こんなのは当たり前です。なので、消費税が上がったことによって、地球環境への負荷がさらにかかることは避けられません。先日、国民の大きな期待を背負った小泉進次郎センセイが環境大臣に就任されましたが、国際舞台でどうやって火力発電を減らすのかを聞かれて、鯉のように口をパクパクさせるばかりでなく、こういう問題こそセクシーに解決していただきたいと思います。


■ 金持ちを優遇する愚策

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消費税を上げることを受け、政府は「プレミアム商品券」なるものを配ることにしました。2万円で2万5000円分の買い物ができるという素敵な商品券です。2万円に消費税がつく場合、8%なら1600円でしたが、これからは10%なので2000円になる。つまり、400円の増税になるわけですが、このプレミアム商品券は5000円分のお得なので、差し引きで4600円分のお得ということになります。ただ、このプレミアム商品券ですが、貯金のない人は買えません。僕もNHKから国民を守る党からスラップ裁判を仕掛けられなければ、少しくらいは貯金があったはずなのですが、貯金がないので2万円分のプレミアム商品券を事前に買うことができません。つまり、貧乏な人たちが困らないようにお届けされているはずの「プレミアム商品券」が、貧乏な人は買えず、裕福でプレミアム商品券をたくさん買える人たちほど得をするのです。実は、今回の消費増税はお金持ちほどダメージが少なくできています。およそ庶民が食べに行くとは思えない銀座の高級寿司店や会員制バーなどは、クレジットカードで支払うと5%も還元されることになりました。これが本当の「軽減税率」です。水道、ガス、電気、トイレットペーパーや紙おむつ、生理用品までもが10%のままなのに、麻生太郎財務大臣がよく食べたり飲んだりしていそうな高級飲食店では5%も還元してもらえる。なんなら今まで以上にちょっとお得に飲食できるようになっているのです。建前の上では、キャッシュレス社会を推進していく上で、小規模や個人経営の飲食店にレジでのキャッシュレス化を対応してもらうには負担が多いからということになっていますが、実際はセレブしか行かず、とっくの昔にクレジットカードに対応しているようなお店にも5%の還元がつけられているのです。そんなことなら愛人の姉ちゃんを連れて行くようなお店ではなく、小さな子供を連れて行くであろうファミレスにつけてもらえた方がありがたいのですが、僕たちが一生懸命腰を痛めたり、霊が見えるフリをして、あの手この手でどう8%にしようか必死な中で、高級寿司店は今までよりお得な5%で食べられるようになるのです。どないなっとるのでしょうか。


■ 本当は消費税35%必要だという理論

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先日、ジャーナリストの池上彰さんがテレビ番組の中で解説していたのは、もし日本の借金を返そうと思った時には、本当は消費税を35%にしなければいけないという話でした。本当は35%にしなければいけないんだから、10%に上がるぐらいのことは大したことがないと思った人もいるかもしれませんが、僕たちは税金とは別に高額の電気代や水道代を払い、健康保険を払い、年金を払い、NHKの受信料を払い、病院代もタダではないし、学校もタダではないし、スマホにかかる電話代だって高いという世の中を生きていて、さらに消費税を35%にしなければいけないという話をされているのです。一方で、安倍政権が世界の国々に配ってきたお金を考えたら、消費税を2%にする必要なんてなかったかもしれません。しかし、そんな批判をするわけでもなく、本当は消費税を35%にする必要があると言い、とうとう「貯蓄税」「死亡消費税」なるものまで検討され始めようとしています。まだまだ消費税が必要だと言われたら、さすがに将来が不安になるので貯蓄をしようという話になりますが、貯金をしたら税金を払わなければならないのが「貯蓄税」です。「死亡消費税」に至っては、死んだらとにかく一律で税金が引かれるという制度です。相続税には控除額が設けられていますが、金持ちだろうが貧乏人だろうが、とにかく死んだら税金を取るというわけです。どんな買い物をするにも消費税を取られ、死んだら死んだで消費税を取られる。そろそろ本当に国民が幸せに生きるための税制改革が必要です。


■ 急速に車を使った業界が冷え込む可能性

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消費税が増えると、急に高く感じられるもの。それは「ガソリン」です。9月30日の時点で1リットルあたりの値段が158円ということになっていますが、これが10月1日からは161円に値上がりすることになります。ただでもサウジアラビアの情勢が不安定で、もっとガソリン代が高くなるのではないかと懸念されている中で、世界の情勢とはまったく関係なく「消費増税」によって、ガソリンの価格が高騰するわけです。僕たちは日頃からガソリンスタンドの前に置かれた看板の値段を見て「高くなった」とか「安くなった」とか思いながら生きているのに、一気に3円も高くなれば、それは増税の影響を実感せずにはいられません。

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ガソリン代が高くなれば、当然、物流のコストも変わってくると思います。ネット通販などで一定金額以上の送料を無料にしているところでは会社の負担が増え、社員の駅まで送迎をしているような会社でもコストが増え、営業車を走らせるにもコストが増える。目に見えないところで増税分を誰かが喰らうことになってしまうわけです。消費税の増税の影響は、そもそもお客さんに金銭的な余裕がなくなって売上が減るということも考えられますが、会社の負担もボディーブローのように効いてくるわけで、会社の生産活動にも影響してくると思うのです。潤沢にお金がある大企業には関係ないかもしれませんが、中小・零細企業にとってはガソリン代の高騰すら死活問題です。結局、日本の経済活動そのものにも悪い影響を与えているとしか言いようがありません。


■ 今回の増税で得をしたのは誰なのか

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世の中には「もっと消費税を上げるべきだ」と主張する人たちがいます。例えば、大手企業の経営陣で構成された「経団連」のオジサンたちです。彼らがなぜ「消費税を上げろ」と言っているのかと言うと、その代わりに下がる税金があるからです。それは会社が払う「法人税」です。実際、消費税が上がるたびに法人税は下げられており、しかも、この法人税は利益が出ていても払っていない会社がたくさんあります。大手企業になれば大手企業になるほど、さまざまな節税対策でろくすっぽ払っていないのが現状で、ただでもあんまり払っていない法人税をさらに払わなくしつつ、その負担を庶民に押しつけられているというわけです。しかし、この消費税は小さな子供がお菓子を買っても、貯金を切り崩しながら生きている年金暮らしの爺さん婆さんも、等しく負担が増えるという税金です。庶民の生活はどんどん苦しくなるけれど、大企業は得をして、さらにセレブ御用達の高級な飲食店は消費税が5%も還元されます。結局、今回の増税で得をしたのは「セレブ」ということになります。なぜこの世に「税金」が存在するかと言ったら、それは「富の再分配」をするためであり、この「富の再分配」というのは共産主義的な話ではなく、むしろ健全な資本主義を維持するために必要不可欠なものなのですが、今の日本は「富の再分配」を放棄し、お金持ちはよりお得になり、貧乏人はより苦しめられるという国になっています。つまり、もっともっと貧富の差を広げるような税制になっているというわけです。国民のために働くべき政治家たちが、なぜ一部の大企業の声ばかり聞くのか。それは庶民が選挙に行かず、庶民に媚びても票にならないからです。みんなが政治に関心を持ち、選挙に行くようにならなければ、まだまだ消費税は上げられるし、人々のための政治をしてもらえることはないということです。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

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今のところ、消費税の増税に対して反対しているのは、共産党、社民党、れいわ新選組ということになります。れいわ新選組は今年の参院選直前に発足した政党で、今のところ、国会議員が2人しかいない政党です。社民党もほとんど議員がいません。共産党は議員もそれなりに存在しますが、今年の4月に行われた統一地方選の結果を見てみると、獲得票数は大幅に減り、議席も減少しています。これは何を意味しているかと言うと、政治というのは消費税の問題がすべてではありませんので、トータルで見た時に、多くの有権者が消費税を下げようと言っている政党よりも、消費税を上げようと言っている政党を支持しているということになります。つまり、いろいろとおかしなことになっている消費税の増税は、国民が選んだ結果であり、多くの経済評論家が「消費税を増やしたら日本経済はますますガタガタになる」と警鐘を鳴らしているけれど、政治家も国民もあんまり気にしていないということになります。それもこれも「政治に無関心」だからなのですが、台風15号による千葉県の被害を見ても分かるように、僕たちがこれだけ税金を払っても、いざ災害で生活に困った時ですら、この国の政治家たちは僕たちの生活を助けてくれるようなことはありません。いよいよこの国の経済が死にかけた頃になって、ようやく他の政党も消費税を下げようということになるかもしれませんが、その時から取り組んで経済を回復できるのかどうかは、よくわかりません。さて、今日から僕たちは、どうやって生きていきましょう。

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