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【選挙ウォッチャー】 クソ選挙&良い選挙グランプリ2018。

いよいよ2018年も終わろうとしています。今年4月でサラリーマン生活に終止符を打ち、いよいよ本格的に「選挙ウォッチャー」として生きていくことになった僕なのですが、今年は98本の選挙をレポートとしてお届けしてまいりました。そのほとんどが大なり小なりクソ選挙なのですが、年末ということで、これまでに見てきた選挙の中から「クソ選挙」「良い選挙」をランキングにしてお届けしたいと思います。まずは、心落ち着く「良い選挙」のランキングから発表しましょう。


【5位】犬山市長選

現職と元職の師弟対決となった犬山市長選なのですが、どちらも真面目な性格で、地元のことを考えていて、利権にズブズブのクソ市長ではないということが高評価となったポイントです。争点となったのは「犬山市の産業の中心を工業にするか商業にするか」で、こんな高度な内容を争点にできる選挙は滅多にあるものではなく、選挙の本来あるべき姿を見せてくれている選挙だと思います。当初、選挙ウォッチャーとしてお伝えしようと思っていたのは、こういう選挙なのですが、こういう選挙がめちゃくちゃレアであることに気づかされることになりました。


【4位】狛江市長選

前職の市長がセクハラで辞任するというスキャンダルに見舞われた狛江市ですが、自民党と公明党が擁立してきた松原俊雄さんは共産党市長時代に副市長だった人物。市役所の中で叩き上げで副市長まで出世したダンディな雰囲気のオジサンで、公約も現実的でゴタゴタ市役所をまとめるには適任。共産党から立候補した田中智子さんも非常に良い候補で、市のことをすごく真剣に考えている魅力的な女性市議でした。正直、どちらが市長になっても良いという選挙は大変珍しく、こういう選挙が各地で起これば、きっと市民はもっと幸せです。


【3位】那覇市長選

那覇市民が一丸となってデタラメばかりを並べる戦略に出た自民党の翁長政俊さんに勝ったという意味で、大変素晴らしい選挙だったと思います。翁長政俊さんは安室奈美恵さんを勝手に利用するなど、選挙の戦い方も汚かったのですが、沖縄県知事選と同様、デマで相手を批判する戦法を取っており、城間幹子さんがこれに負けずに圧勝。過去の反省や経験を生かして「デマに負けなかった」という意味で良い選挙だったと思います。選挙期間中に出てきたパイズリ不倫おじさんのスキャンダルも面白かったです。


【2位】君津市長選

新日鉄のある保守王国の君津市で、自民・公明推薦、現職市長の後継指名、地元の重鎮である浜田靖一さんの推薦をもらい、市内に1000枚のポスターを張り巡らせ、盤石の状態で挑んだ渡辺吉郎さんが、「水を守ろう」という市民活動と結びついた石井宏子さんに敗れ、世紀の番狂わせとなった選挙です。圧倒的に強さを誇るクソ市長をどう倒すべきかに悩んでいる全国の皆さんに、大きなヒントとなる選挙であり、このレポートだけは絶対に読んだ方がいいです。これからの選挙を戦う人たちへのバイブルになることは間違いありません。


【1位】沖縄県知事選

沖縄県民が一体となって、辺野古基地建設を進めようという自民党と公明党を打ち破った平成最後の大選挙。みんなが基地問題を考え、さまざまなデマに負けることなく戦うことができたという意味で、沖縄県知事選は後世に語り継がれる伝説の一戦だったと思います。名護市長選の負けをキッカケに、デマに対しての戦い方が研究され、民主主義を守る上での礎となる選挙であると考えられます。その後も日本政府から憲法や民主主義を無視した圧力をかけられていますが、民主主義を根幹に置いて立ち向かう姿は、日本人が本来持つべき大事な姿勢だと思います。そういう意味でも今回の沖縄県知事選は一生忘れることのない選挙です。

こういう素晴らしい選挙がある一方で、クソみたいな選挙もたくさんあります。「選挙ウォッチャー」として本格的に活動してから気付かされたことですが、素晴らしい選挙は全体の1割もなく、ほとんどがクソみたいな選挙です。年内にお伝えしきれていませんが、逗子市長選や三島市長選、八千代市議選や西東京市議選は酷いありさまで、このあたりはランキングに入ってもおかしくありません。ただ、年内にお届けしたレポートの中で特に酷かった選挙を振り返ってみたいと思います。


【10位】蓮田市長選

駅前の不透明な開発をめぐり、ゴタゴタしている蓮田市の腐った選挙。現職は72歳のジジィ。そこに河村たかし名古屋市長の特別秘書だったというオジサンが、土屋品子先生の右腕的な自民党のオジサンをバックにつけ、自民党公認で勝負に挑みました。実は、ここにはもう一人、無所属で完全手弁当の福田聖次さんという66歳のオジサンも立候補しており、この人が一番まともだったのですが、どれだけまともでも無所属だと勝負にならないのが、現代のニッポン。実質的に72歳の利権ズブズブの現職ジジィと、市長の座を狙って落下傘で立候補した自民党公認のオジサンとの戦いになったのですが、最後の最後に土屋品子御大が登場し、まさかの72歳の現職ジジィを猛プッシュ。利権ズブズブのジジィが勝利しました。埼玉県は全体的に腐臭がスゴいです。


【9位】松戸市長選

現職の本郷谷健次さん以外全員が「売名」という地獄のような松戸市長選。この中で一番まともなのは本郷谷健次さんなのですが、何が一番クソなのかって、やはり「NHKから国民を守る党」です。ここで起こった傷害事件について記事にしたところ、立花孝志が「正義のためなら犯罪をしてもいい」とテロリスト丸出しの発言を繰り出し、僕の顔を晒すなどの政治家としての資質が疑われる行動を連発。立花孝志が起こしたスラップ裁判とやらのせいで、弁護士を立てるとなったら1件あたり30万円くらいはかかるため、池袋のガールズバー換算で4ヶ月毎日ガールズたちと1時間楽しく遊べた計算になるため、これをクソと言わずに何と言うのかという選挙です。ただ、選挙そのものは本郷谷健次さんが順当に勝ったので文句はありません。


【8位】草加市議選

どんなにネトウヨで、どんなにポンコツで、どんなに政治家としての資質が問われる人間でも、街で掃除などのボランティアをしていれば市議に当選してしまうことが示された草加市議選。本当に政治家として仕事のできる人間なのかどうかを見極める人は少ないので、掃除のボランティアをしているだけで投票してしまうと言うのが現実です。NHKから国民を守る党が出てこなかっただけマシだけど、各地の市議選はこんな感じでカオスな人たちばかり。本当は地元の選挙こそ重要なのに、真剣に考える人がいないばっかりに酷いことになっているということを皆さんにお伝えしたいです。


【7位】岸和田市長選

自民党からの公認をもらうために、こっそり公認料を払った払わないですったもんだしている間に、大阪維新の会が乗り込んできて、漁夫の利で大阪維新の会が勝ってしまった岸和田市長選。のちに、当選した永野耕平さんは選挙カーの利用料を不正に水増していた疑惑が浮上。永野耕平さんが掲げていた「岸和田の誇りを取り戻す」というキャッチフレーズについて、「岸和田の誇りって何ですか?」という質問をしたところ、その答えをまったく用意していなかったことが発覚。自民党がクソだから大阪維新の会に投票しているのだけど、その大阪維新の会もなかなかのクソであるという大阪地獄。ここに狙いを定め、しっかりモノにしていくだけの科学された選挙戦略が展開されており、その他の野党が一歩出遅れている感満載。まだまだ「維新」が健在であることを示す選挙となりました。


【6位】六ヶ所村長選

青森の僻地にある文字通りの「原子力ムラ」ですが、もんじゅを動かせなくなり、フランスも核燃料サイクルから撤退を表明した今、理論的にも完全に破綻している核燃料サイクルを村民たちが信じているのは、お国のために尽くしてきた歴史や村のアイデンティティを否定できないから。福島第一原発事故が起きてなお、原子力を中心に村を発展させるしか道がないと考えているのですが六ヶ所村はけっして裕福な村ではなく、村民たちは質素な暮らしをしています。実際に行かないと何が起こっているのかを理解できないと思うのだけど、選挙ウォッチャー渾身のルポとなっており、これはconfessのカンパによって行くことになったので、無料でお届けしています。今、日本の片隅で何が起こっているのかを多くの人に知っていただきたいです。


【5位】立川市議選

NHKから国民を守る党が躍進するキッカケとなったのは、政治家としての資質が大きく問われる久保田学が立川市議選で当選を果たしたからです。NHKの受信料問題という市政とは関係ないワンイシューで、これまで数々のトラブルを巻き起こしてきたような人が当選してしまい、街のことを真剣に考えている人が落選してしまうのです。また、ポンコツもたくさん立候補しており、NHKから国民を守る党に限らず、候補者たちの質の低下は国民的な問題です。また、久保田学が当選したことにより、それまでニートだった人が「議員になれば、たいした仕事をしなくても年収1000万円くらいもらえる」と錯覚するようになり、全国的にクソみたいな候補者が増えるキッカケとなり、数打てばどこかで当選してしまうという悩ましい現実があります。クソみたいな候補者が当選しないためにも、人々がもっと政治や選挙に興味を持たなければならないのです。


【4位】品川区長選

羽田空港の新飛行ルートが争点となった品川区長選ですが、人気のない都民ファーストの会がカラんでしまったこと、自由を守る会が都民ファースト潰しのために候補者を擁立して票を割ったことなどで、現職の浜野健さんが当選してしまった選挙。これにより、羽田空港の新飛行ルートは実現することになり、品川区が将来的に騒音問題に悩まされることになりました。品川区の価値が下がり、新宿などの都心部でも飛行機からの落下物で人が死ぬリスクが高まりました。本当は近隣の自治体にも影響する話なのですが、品川区長選の結果を受けて新飛行ルートは決定的になり、これから各所で住みにくくなる現象が起こるのですが、住みにくくなってからではないと人々は気付きません。これもやはり政治に無関心ゆえの悲劇だと思います。


【3位】石垣市議選

石垣島は今、自衛隊配備に向けて動き出している街ですが、リゾート地から自衛隊の拠点に変わりつつある理由は「幸福の科学」です。他の街ではまったく勝負にならない幸福実現党の候補ですが、石垣市では「八重山日報」を通じて、島のカルト化が進められつつあり、幸福実現党の候補が激戦を制し、自民党と会派を組んで軍事化を進めているのです。しかし、この事実に気付いている人はほとんどいません。沖縄は新興宗教の草刈り場となっていて、カルトが蔓延しつつあります。この衝撃の事実は沖縄本島で暮らす人たちも気付いておらず、非常に深刻です。改めて、日本中の小さな島の選挙も見ていくべきだと思いました。


【2位】川西市議選

とうとう堂々と「朝鮮人を殺せ!」と言ってしまえるヘイトおばさんが議員になってしまった選挙です。このヘイトおばさんを擁立したのは「NHKから国民を守る党」です。選挙では良いことしか言わないので、騙されてしまう川西市民が続出。同時に行われた川西市長選では自民党の候補はこの問題をしっかり認識していたのに、立憲民主党や国民民主党などが入って応援していた候補は、この問題について情報共有していたのに、NHKから国民を守る党の売名に利用される始末。葛飾区議に日本第一党推薦の鈴木信行さんが当選しているように、実は、全国にヘイト議員は少なからず存在するのですが、正しい情報を基礎としない議員が誕生し、市政を歪めてしまう問題には、もっと市民が危機感を持って対抗するべきだと思います。


【1位】名護市長選

たくさんのデマに正義が屈してしまった選挙であり、若者を利用した水面下での巧みな選挙戦略によって、市民が最悪の選択をしてしまいました。情報操作の恐ろしさを目の当たりにする形となり、同じ失敗を繰り返さないために研究するべきです。これくらいの大きさの自治体で最も大切なのは「地上戦」であり、いくら空中戦を制しても選挙結果はひっくり返されてしまうということを学びました。名護市は基地を受け入れることで交付金を手にする計算をしているのですが、これをすると街の経済はイビツな構造になり、自立した経済を作れないために貧しくなってしまいます。それまで順調に伸ばしてきた街の発展を阻害してしまう結果を生み出しているのに、人々が「これで名護市が豊かになる」と錯覚しているので、ますます致命的です。この選挙のショックは非常に大きく、翁長雄志さんの体調に影響を与えた可能性があります。今から4年後に向けて動き出すべきであり、名護市は自立した経済を取り戻すべきだと思います。


■ 「ポンコツ候補オブ・ザ・イヤー2018」のお知らせ

ここまで今年の良い選挙とクソ選挙を振り返ってまいりましたが、1月6日(日)には新宿・歌舞伎町にあるROCK CAFE LOFT is your roomにて「ポンコツ候補オブ・ザ・イヤー2018」を開催いたします。98本の選挙を見てきた中で、最もポンコツな候補は誰だったのかを決めるイベントです。このイベントに参加できない方のために1月4日までに、このnoteのサポート機能を使って500円以上のご支援をいただいた方にパスワードをお伝えします。イベントに来た方が絶対に面白いですが、いろいろな事情があると思いますので、ツイキャスにて限定配信させていただきます。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

今年も「選挙ウォッチャー」の活動を温かく見守ってくださり、ありがとうございました。今年は98本の選挙を見守り、皆様にレポートをお伝えしてまいりましたが、来年は奇数日が選挙レポート、偶数日が無料レポートの日ということにして、休まずお届けしていこうと思っています。なので、大晦日の12月31日は茨城県議選の那珂市選挙区、1月1日には那珂市議補選をお届けしようと思います。それでは来年も「選挙ウォッチャー」をよろしくお願いします。[了]

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