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【選挙ウォッチャー】 沖縄県知事選2018・キャバクラレポートの炎上を受けて。

キャバクラレポートを公開してから約1週間が経ちましたが、相変わらず反響が大きく、その後もさまざまな角度から検証し、複数の無料公開レポートをお届けしておりますが、そちらはほとんど読んでいただけないまま、相変わらずの炎上状態が続いています。改めて自分が書いたレポートを読み直してみましたが、自分が思っている以上に枕にエクスキューズをつけた記事を書いており、その時はその時で最大限に配慮した記事を書いていたつもりだったことがわかりました。しかし、それでは足りないくらいの格別の配慮が必要だったわけで、タイ人の女の子を可愛いと思って頭を撫でてしまうようなタブーに触れてしまったのだと思います。なので、あのキャバクラレポートは、僕が伝えたかったニュアンスの大部分をカットし、ご指摘いただいた箇所を削除し、「当たり障りがなくて読みやすい記事」にさせていただきました。これで沖縄県民の皆様を怒らせるようなことはないのではないかと思います。


■ 今回の炎上で学んだこと

沖縄は長きにわたり、本土に振り回されている土地です。400年以上にわたって迫害されてきたし、現在も東京の企業に賃金などを搾取されていると思っています。あらゆる事件で「悪いのは誰か」と聞かれたら、悪いのは「加害者」です。「被害者」が悪者になるのはそもそもおかしい話なので、賃金を搾取されるのは誰が悪いのかと言った時に、「加害者」「東京の企業」で、「被害者」「沖縄県民」です。だから、「沖縄県民が悪い」と言ってしまうのは、詐欺の被害者に向かって「騙されるアナタが悪い」と言っているようなもので、一番の悪者である「詐欺をした犯人」のことを無視していると思います。だから、僕は沖縄に広がっているさまざまな問題が、沖縄の自業自得であるとは思っていません。しかし、今回の記事では「上から目線で沖縄を見下している」と捉えられてしまいました。どうしてこんなことが起こってしまったのかを今になって反省してみると、僕はこの記事を沖縄県民に読んでもらうためではなく、沖縄の貧困問題、教育問題、ネトウヨの流しているデマなどを研究している大学教授をはじめ、有識者たちに伝えたいという気持ちが強かったように思います。日頃から沖縄の文化に接している人たちから見れば当たり前の光景かもしれないけれど、東京から来た僕にはセンセーショナルに映り、「沖縄の若者が大変なことになっている!」というSOSを発信してしまったという感覚に近いです。それが沖縄県民の方々にとっては「余計なお世話」であったり、あんまり大きな声で言ってほしくないものだったのだと思います。

僕は沖縄の貧困の実態を少しでも知るために、1冊約3000円もする「沖縄子どもの貧困白書」という本を読んでから行きました。この本を読んだからこそ、僕はキャバクラで働く女の子たちが「普通の若者ではない」とは考えず、むしろ「若者の象徴的な存在である」と考えました。ところが、このような事前の勉強が仇となり、「キャバクラを調査対象にするのは間違えている」と非難を浴びることになりました。選挙に関わっている若者たちは、相対的に裕福であるケースが多く、あまり参考になりません。故・翁長雄志知事が調査に乗り出して分かったように、子どもの貧困率が29.9%と言われる沖縄で、僕がこれまで選挙を通じて知り合ってきた若者たちは、確かに沖縄の若者たちだけど、沖縄の実態に即した若者たちではありません。選挙に関わる大人たちからロレックスの時計をもらって、選挙を手伝っている若者たちをもって「沖縄の若者たち」と呼ぶべきではないと考えたのです。これは玉城デニーさんを応援している大学生も同じです。だから、キャバクラで働いている女の子たちを「沖縄の若者たち」としてシミュレーションに組み込み、現場で聞いた生の声を伝えることにしたのです。そして、これが思わぬ反感を招くことになってしまったというわけです。

あまり信じてもらえないかもしれませんが、僕はシングルマザーに時給1500円を支払うゲストハウスのようなものを経営しようと計画していました。この計画が、今、言い訳のための思いつきで書いているわけではないことは東村議選の選挙レポートを読んでいただければわかると思いますが、僕は僕なりに「政治」とは関係なく、民間企業ベースで沖縄のシングルマザーがキャバクラや風俗に頼らずとも、「搾取をしない」という新しいビジネスモデルを構築することで、貧困から抜け出す方法を作り出せるのではないかと考えていました。今はまだ「選挙ウォッチャー」のプロジェクトが損益分岐点を下回っているため、この夢の実現にはもう少し時間がかかりますが、僕はかねてから言っているように「選挙ウォッチャー」を年商1億円のビジネスにして、10人の「選挙ウォッチャー」を生み出し、ここで得た収益で誰も挑戦したことがないビジネスに挑戦したいのです。僕が人生トップクラスにリスペクトしているワイルド社長は「儲けることは悪いことではない。その利益を何に使うかだ」とおっしゃっており、もし「選挙ウォッチャー」の利益をもとに、1人でも2人でもシングルマザーの家庭を幸せにできるビジネスモデルを作れたとしたら、僕は少しだけ憧れのワイルド社長のような男に近づけるのではないかと思うのです。もしかしたら、沖縄県民の方々にとっては、それさえ迷惑な話かもしれないのですが、これはべつに「沖縄の女性が貧困で可哀想だから」みたいな気持ちで始めたいわけではなく、人件費を削減することに喜びを感じているダサい経営者たちに中指を立て、それまで笑っていなかった人たちを自分の手で笑顔にしてみたいという、なんだかロマンティックドリーマーみたいなことを考えているのです。これはこれで今度は「偽善者」みたいなバッシングに晒されるのかもしれないけれど、そんなふうに沖縄の貧困問題に自分なりのやり方で向き合おうとしていても、Twitterでは「死ね」とまで言われるようになるのです。


■ 「本土の人間が沖縄に口を出すな」という風潮

僕はいろいろな人から「沖縄をメシのタネにしている」と言われましたが、僕のメシのタネは「沖縄」ではなくて「選挙」です。僕がこれまでにリリースしてきた記事を読んでいただければ分かると思いますが、僕はあらゆる選挙を追いかけては取材しており、沖縄県知事選は「その中のひとつ」に過ぎません。沖縄県知事選が終われば、次は君津市長選があり、川西市長選や川西市議選があり、福島県知事選、新潟市長選、草加市長選、みなかみ町長選があります。実は、9月30日は沖縄県知事選と同時に品川区長選も追いかけていました。だから、「沖縄をメシのタネにしている」という批判は、僕のことをまったく理解していないのだと思います。もっとも、いちいち僕がどんな活動をしているのかを調べて批判する人は少ないのかもしれませんが、「沖縄をメシのタネにしている」と批判している人たちは、なぜ僕のことをあまり知らないのに批判できる立場にあるのでしょうか。なんとなく沖縄の話でお金を稼いでいるイメージということでしょうか。また、「沖縄に少しだけ入ってわかった気になってレポートを書いている」という批判もありましたが、「選挙ウォッチャー」に与えられている取材期間はそれほど長いものではありません。なので、僕が皆さんにお伝えできるのは表面的な部分だけかもしれないのです。もっと長期間にわたって深く取材できたらどんなに素晴らしいことかと思いますが、僕が示すことができるのは残念ながら「入口の場所」だけです。できることはせいぜい「こんな問題がある」という話の第1章を見せられるぐらいなもので、その街の問題をどのように解決するのかは、その街で暮らしている市民の皆さんと議員の皆さんに委ねるしかありません。ただし、僕はその他の地域で暮らしている人たちに「あの街にはこんな問題がある」と教えることができます。もしかしたら、同じ悩みを抱えている街があるかもしれないし、その悩みを解決してノウハウを持っている街もあるかもしれません。他人事だと思っていたことを自分事として考えてくれる人が増えれば、解決のアイディアが転がってくるかもしれません。貧困については北海道や東北も同じような問題を抱えているわけで、沖縄の貧困問題を見て、自分の街の貧困問題の解決策が思いつくかもしれません。そして、それをやがて沖縄が共有してもらえるかもしれない。「沖縄の問題」は沖縄だけの問題ではなく、本当は全国の人たちが考えるべき問題なのです。沖縄には「本土の人間が沖縄に口を出すな」という風潮があるようですが、けっして沖縄にダメ出しをしているわけではありません。まさにこの瞬間、沖縄で起こっていることを伝えることで、たくさんの英知と結びつけたいのです。僕はいつもいろいろな人に助けていただいていますが、一人では解決できないことが複数の助けによって解決することがよくあります。ずいぶんと「事実と違う」と非難されてしまったのですが、僕は自分の目で見たことを書いたに過ぎません。最終的な投票シェア率が正解のように扱われていますが、僕の目の前にいた若者たちは、確かに8割がネトウヨ的な理由で佐喜眞淳さんに投票しようとしていたのです。キャバクラ嬢を「若者の象徴」として捉えたのは、先程述べた通りです。


■ 沖縄県民にネトウヨが広がる理由の一端はここにあるかもしれない

ネトウヨに支持されていた佐喜眞淳さんは「対立から対話へ」というキャッチコピーを掲げ、敗れたとはいえ、31万6458票を獲得しました。自民党には一流の選挙プランナーやコピーライターが揃っているわけですから、当然、このキャッチコピーはよく練られているはずで、僕はこのキャッチコピーには2つの意味が隠されていると考えています。1つは、沖縄の基地問題で国と対立するのではなく、対話によって解決しようというものです。ただ、対話をすれば「辺野古基地を作る」という話で合意してしまうので、そんな対話をどれだけの沖縄県民が望んでいるのかという話はあるのですが、もう1つは、「いつもリベラルは対立を生み出している」という意味だと考えています。基地問題という大きなものに対立するのは、絶対に譲れない一線だと思うので当然だとして、「仲間内でも対立するリベラルのイヤなところ」をネトウヨに向かってメッセージしているのだと思うのです。「考えすぎだ」と言われてしまえばそれまでですが、僕が自民党の立場だったら、そういうメッセージを込めているところです。辺野古基地のテントの中ですら対立が生まれてしまうリベラルの現状は、将来的な愁事の一つです。こうした対立を嫌ってネトウヨ化してしまう人たちがいる中で、自分の価値観に合わないものが排除されていく様子を見ていると、果たして、このままで大丈夫なのだろうかと思います。もっとも、僕は排除されてしまった本土の人間なので口を挟むつもりはありませんが。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

もしも炎上の理由が「沖縄の若者は中国デマに騙されるほど愚かではない」と言いたかったのだとすると、それはまったく違います。試しにいっぺん松山のキャバクラで「玉城デニーさんが知事になったら中国が攻めてくるって話、聞いたことある?」とか質問してみればいいのです。僕がネトウヨに見えたから話を合わせただけに違いないとおっしゃりたいなら、今度はあなたが確かめてくればいいのです。自分の目で見て、自分の耳で聞いて、自分で体験することほど正確なものはありません。僕の話を信じる必要はまったくありません。あなたが体験すればいい。これは僕が沖縄で気付いただけで、もしかしたら全国的な問題かもしれません。ただ、沖縄には政治に無関心な人たちにネトウヨカルトな思想を植え付けるだけの環境が整っています。なにしろ、日常的に「沖縄2紙は偏向報道だ」とか言って回る街宣車が走っているのは沖縄だけです。それに石垣市などを見たら、ちょっと頭を抱えたくなるような光景が広がっています。石垣市を見た後でキャバ嬢の話を聞けば、彼女たちが中国デマに影響されるのも納得できるというものです。そうやって考えてみると、沖縄県民の方々には否定されておりますが、もしかしたら、沖縄県民すら知らないような沖縄の姿をお届けできているのかもしれません。部外者だから見える景色というのもあるので。[了]

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