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【選挙ウォッチャー】 狛江市長選2018・分析レポート。

とうとう狛江市長のセクハラ問題が大きく膨れ上がり、最初はセクハラを否定していた高橋都彦市長が辞任することになり、急遽、狛江市長選が行われることになりました。最初はなかなかカオスなメンバーが揃う予定だったのですが、結局、香ばしい人たちが直前で断念したため、かなり真面目な一騎打ちになりました。全国的に注目されている選挙なので、追いかけないわけにはいきません。

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松原 俊雄 66 新 自民・公明推薦
田中 智子 60 新 共産・自由・社民推薦

今回の狛江市長選は、大変珍しいことに、どちらもポンコツではない「魅力的な選挙」となりました。多くの選挙でクソ野郎やポンコツが立候補し、しかも、そのクソ野郎やポンコツが当選を果たし、ろくでもない政治が展開されてしまうのですが、今回は現職があまりにもクソすぎたため、その反動なのか、自民・公明が推薦する候補も、共産・自由・社民が推薦する候補も、どちらも素晴らしい人材であり、どちらを選んでも悪いことにはならなそうで、あとは皆さんが「こちらの方が良い」と思う方を選ぶだけでした。どこの自治体もこのような選挙になればいいと思うのですが、残念ながら、こういう選挙は年に数回あるかないかです。


■ 現職の高橋都彦市長のセクハラが大問題になる

そもそもどうして選挙が行われることになったのかと言うと、現職の高橋都彦さんが「セクハラ」をしたからです。最近は「セクハラ」と言っても、「彼氏いるの?」とか「いつ結婚するの?」みたいなことを質問するだけで「セクハラ」と認定される時代です。確かに、女性の立場からすれば「放っておいてくれ!」という話ですし、「それを聞いてテメエはどうするつもりなんだ!」という話なのですが、男性にとっては「それをセクハラと言われちゃうと!」みたいなところがあります。キラキラしたイケメンに彼氏がいるのかを聞かれるのなら恋の始まりの一つも予感するでしょうが、東急ハンズのセールでスカルプDをまとめ買いして、必死に髪が生える呪文を唱えているキモいオジサンに質問されても「生理的に無理=セクハラ」だということは肝に銘じなければなりません。ただ、女性の皆さんには「オマエは何もわかってないな!」と言われるかもしれませんが、キモいオジサンのくせにいろんな女性職員に「彼氏いるの?」みたいなことを質問してしまうのは、セクハラというより『狛江のアサヒ芸能』もしくは『狛江の実話ナックルズ』の類であり、デリカシーのない質問が楽しくてしょうがないだけです。一応、悪意があるケースは少なく、バカだから空気が読めないだけだという弁明をさせてもらいつつ、高橋都彦市長がどんなセクハラをしていたのかと言うと、まず「エレベーターの中で女性職員のケツを触る」です。セーフかアウトかを議論する余地もなく完全アウトですし、「噂には聞くけど21世紀にそんなヤツはいないだろう図鑑」で言うと、チューインガムを顔の半分ぐらいまで膨らませながらバッターボックスに入る助っ人外国人選手ぐらいのレアさ加減です。高橋都彦市長は、それ以外にも女性職員にキモいメールを送ったり、車内で手を握ったり、自分が口をつけたコップで女性職員に飲み物を飲ませたり、一言で言うと「救いようがないくらいキモいオッサン」だったのです。ここまでクソだとクビになって当然なのですが、こういうオッサンはどこまでもセクハラを認めない上に、どこまでも隠蔽するので、とっても往生際が悪く、議会で追及しようにも肝心の部分が黒塗りだったりして、最終的に複数の女性職員が実名で被害を訴えるまで高橋都彦市長は事実を認めませんでした。厳密に言うと、女性たちの実名による訴えを受けてもなお、高橋都彦市長は「家族だと思っていた」とか「そう受け取られたのはレアケース」とか「職員との距離が近すぎただけ」と弁明しており、断固としてセクハラだとは認めていません。自分の能力を高いと思い込んでいるタイプのキモいオッサンは、66歳のジジィにもかかわらず、エリートコースを辿って「市長」になったこともあって、女性たちの憧れの存在として映っているに違いないと勘違いしているのです。実際にはただのキモいハゲオヤジとしか思われていないのに、ご愁傷様なことです。握手会に参加しているアイドルがニコニコと「神対応」なるものを見せていたって、その裏では薬用ハンドソープで熱心に手を洗っているわけです。どこの社長だか知りませんが、握手会でアイドルに向かって上から目線のアドバイスなるものを語るキモヲタのオジサンを思い浮かべてもらえれば、そんな奴と悪手するのは汚い沼で釣れたブラックバスを触るのと変わらないので、爪の間に至るまでしっかり洗い流さないとヌメヌメしてそうで気持ち悪いです。女性にデカい態度をとっているキモいオジサンは、今こそ肝に銘じましょう。

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ということで、高橋都彦さんが2012年に市長になって以来、セクハラ三昧が繰り返されていたことが発覚したため、本当は2020年7月まで任期があったのですが、2018年7月に選挙が行われました。実はこの選挙、はっきり言って、選挙をやる前から決まっていた結果が決まっていたようなものです。というのも、狛江市は共産党出身の市長が4期16年もやっていたので「共産党の街」と言われますが、実際にはまったく共産党の街ではないからです。このあたりを詳しく解説しましょう。


■ 狛江市はちっとも「共産党の街」ではない

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狛江市は全国的にも珍しい共産党の市長が4期16年務めていたこともあり、街で暮らす人々でさえ「狛江市は共産党の街」だと言います。皆さん、たいしたエビデンスを持たずに「共産党の市長がいた」というだけで、勝手に共産党が強い街だと言っているわけです。しかし、実際には共産党が強い街というわけではありません。狛江市長選の出口調査を実施した「情勢調査アナリスト」「るた」さんによれば、自民党の支持率が30%もあるのに対し、共産党の支持率は6%しかありません。詳しくは、るたさんのレポートを読んでいただければデータが掲載されていますが、これは公明党をも下回る数字になっています。狛江市は衆院選の小選挙区では東京22区に分類され、調布市や三鷹市と合区になっているので一概には言えませんが、自民党の伊藤達也さんが11万票獲得しているのに対し、共産党の阿部真さんは2万票しか取れていません。あるいは、前回の市長選でも勝ったのは自民・公明推薦のセクハラ野郎である高橋都彦さんなので、他の街とまったく変わらないはずなのです。では、どうして今でも共産党が強いというイメージになっているのでしょうか。2015年の市議選の政党別得票シェア率を見てみましょう。

無所属 7議席 38.0%
共産党 5議席 20.3%
公明党 4議席 14.1%
自民党 2議席 10.4%
生活ネ 2議席  7.1%
民主党 1議席  6.1%
社民党 1議席  3.3%

無所属の中には、ほとんど自民党と変わらない政治思想の方々もたくさんいますが、政党として最も人数が多いのは共産党になり、政党の得票シェア率が20%を超えるのも珍しいです。共産党を支持している人は6%しかいないのに、共産党の議員に投票した人は20%もいたのですから、地域密着型の選挙で人間性などで選んだ場合に共産党の候補に投票する人がたくさんいるということになります。このあたりが「共産党が強い」というイメージの源になっているのではないかと思います。しかし、今回の選挙のように「自民・公明vs共産」という構図になってしまうと、自民党や公明党を支持する人は潜在的に多いため、共産党の候補が勝つのは非常に難しいということになります。


■ どうして共産党の市長が誕生したのか

矢野裕さんはゴリゴリの共産党員だったわけですが、どうして狛江市に共産党の市長が誕生したのかと言うと、共産党が支持されたからではありません。1996年、矢野裕さんが共産党推薦で立候補を表明したタイミングで、それまで市長だった石井三雄さんが突然の辞任を発表。なんと、現職の石井三雄さんは韓国のバカラ賭博で30億円以上の巨額の借金を抱えており、連日のように返済を求める債権者に追われて失踪。自民党をはじめとする保守陣営は急遽、候補者を擁立するも一本化に失敗し、保守分裂選挙になってしまったのでした。もちろん、矢野裕さんは「バカラ賭博で借金する市長なんてとんでもない!」と訴えたわけですが、あまりにアホすぎる現職市長の辞任に呆れた市民たちは、自民党の候補に投票する気が失せて、矢野裕さんを市長に選んだというわけです。いざ矢野裕さんが市長をやってみると、ゴリゴリに共産党の意見を押し通すタイプではなく、議会では最大会派の自民党の意見も取り入れ、市民のために頑張ったことが市民にも評価されました。年齢が年齢だったこともあり、2012年に5選不出馬を表明し、長らくの共産党市長時代を終わらせたのが高橋都彦市長だったのです。ところが、その高橋都彦市長がクソほどのセクハラ野郎だったため、またしても自民・公明の候補がクソだった結果になり、今回、自民・公明党はクソみたいな候補を擁立してしまったら狛江市では後がないという状況だったのです。


■ 「ネット選挙」が逆利用されている

今回、狛江市長選の動向をチェックしていた「政治ウォッチNOW」のチャオさんは、松原俊雄さんの陣営はSNSを利用したネット選挙を捨てていると指摘しています。「捨てている」と言うと、ネット選挙を展開する余裕がなく、やらないことを選択したのかと思うかもしれませんが、ネット選挙が解禁された今、自民・公明党の選対は「ネットでの選挙がプラスに働くかと思えば、マイナスに働く部分も大きい」と見ているようです。特に、県知事選のような直接的に訴えられる人が少ない選挙の場合にはネットの活用は有効なのですが、市長選や市議選のような選挙では「ネットで訴える」というのは、さほど有効ではなく、ネット選挙を最初から捨てても、さほど大きな影響がないどころか、むしろ捨てた方が減点が少なくて済むと考えているのです。どうやら自民・公明党の選対は、新潟県知事選で野党が負けた理由の一つに「SNSがある」と考えているようで、「相手候補をディスる」「中央政治と結びつける」などは票を増やすどころか票を減らす要因になっていると見ているのです。もともと選挙期間中はどれだけポジティブなことをツイートできるかが勝負だということは知られていましたが、ついうっかり相手候補のことをディスってしまいがちです。相手にディスられたら「なにくそ!」とばかりに2倍や3倍で返したくなってしまうのですが、選挙期間中は完全に封印してもいいのかもしれません。もしライバル候補にディスられた時は、「オマエだって〇〇じゃないか!」と反論するのではなく、「こちらは素晴らしい政策で勝負しようとしているのに、どうしてこんな言われ方をしなければならないのか。酷すぎるじゃないですか。僕たちは政策で勝負しますよ!」というポジティブな姿勢を貫くことが票につながるということです。自民・公明党は、野党がSNSで自爆する様子を見て喜んでいる状態にあり、特に共産党がやっている「中央政権と結びつけての批判」は、一番のNGのようです。確かに、安倍政権については言いたいことがたくさんあると思うのですが、地方政治とはまったく関係ありません。例えば、「安倍政権が許せないから田中智子さんに1票を!」なんて言ってしまうと、人々は「安倍政権を利用して投票を呼びかけているのは信用できない」と感じてしまうのです。なので、選挙期間中のSNSの利用方法については、もっと戦略的でなければならず、それぞれが自由にやっていると応援している候補が票を減らしてしまうので注意が必要です。


■ 共産色を強めれば強めるほど逆風になる選挙

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今回、田中智子さんは限界まで「共産色」を薄めました。もともとは共産党に所属していましたが、市長選に立候補するにあたって「無所属」となり、「ともに狛江市民の会」という市民団体を立ち上げ、そこから立候補するという形を取ったのです。ポスターには共産党にありがちな「憲法9条にNO!」「アベ政治を許さない」みたいなキャッチフレーズを採用せず、「ハラスメント根絶宣言」を掲げ、災害死者ゼロ、待機児童ゼロ、子どもの権利条例制定などを掲げています。ポスターでは、まったくと言っていいほど共産党っぽさを出さず、グリーンバックの爽やかな雰囲気を演出したのです。実は、東京都内に限りますが、共産党のポスターのデザインは洗練されてきています。共産党っぽさを出してしまうと、微妙に票が伸びないということを学習してきているからです。

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松原俊雄さんのポスターもネクタイと背景の青が見事にマッチして、キャッチフレーズは「日本一やさしいまち、狛江」です。こちらは具体的なことを何も言っていませんが、プロフィールはしっかり明記しています。実は、ポスターに「プロフィールを明記する」という手法は、けっこう重要なのかもしれません。高学歴だったり、官僚時代の肩書きがあるからと言って、その人が立派であるとは限らず、人間性はゴミ中のゴミかもしれませんが、日本人はすべてを肩書きで判断する生き物なので、立派な肩書きを見せれば「こっちの方が立派そうだから」ということで投票してもらえるようになる。共産党のポスターにも「実績」を載せることが大切ではないかと思います。


■ 松原俊雄候補の主張

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世の中は、どいつもこいつもクソみたいなジジィで溢れています。現職の高橋都彦市長は、クソほどセクハラを繰り返した末にセクハラの自覚がないジジィだったのですが、松原俊雄さんは、見るからに臭そうな現職とは180度違います。臭さを感じないジェントルマンで、そこらへんにいるジジィとは明らかに雰囲気が違うのです。年齢は高橋都彦市長とほとんど変わらないのに、「ダンディー」という言葉がピッタリで、セクハラについても「人権侵害だ」と言い、許されるものではないとキッパリと言い切っています。もともと共産党市長と言われた矢野裕さんの時代に市職員から副市長に抜擢されただけあり、叩き上げで出世した人なので、職員からの信頼も厚く、松原俊雄さんについての「悪い評判」を聞かないのです。共産党市長を支えた副市長が自民・公明推薦で立候補する時点でずいぶんとねじれているのですが、矢野裕さんからバトンを受けた自民・公明・民主・生活者ネットワーク推薦の高橋都彦さんがクソほどのセクハラ野郎だったわけですから、ここで次の市長までクソだったら終わりです。下手な無能野郎を立候補させてしまうと、いよいよ狛江市は「共産党の市長でいいじゃん!」ということになりかねないので、候補者の選定に失敗は許されなかったのです。だから、松原俊雄さんを擁立できたことは自民・公明の大勝利であり、はっきり言って、松原俊雄さんを擁立できた時点で勝利が決まったと言っても過言ではありません。

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どうして軽々とセクハラができるのかと言うと、自分が偉いと勘違いしているクソだからです。エロい気持ち100%でセクハラをしているケースは少なく、実情は「性的趣向性の強いパワハラ」です。なので、セクハラをする人間はマウンティングのつもりでやっており、経済産業省の福田事務次官が女性記者に「おっぱい触らせて!」と言ったのも、ものすごくおっぱい触らせてもらいたい気持ちというより、実際はそういうことを言ってマウンティングをして喜んでいるマウンテンゴリラに過ぎません。だから、部下からは徹底的に嫌われるのですが、松原俊雄さんは部下から愛される雰囲気を漂わせており、物腰が柔らかく、とにかくダンディーです。現在は市職員を定年退職し、息子さんと一緒に結婚相談所を経営しているそうです。女性の幸せをサポートする仕事をしているわけで、そんな人物がセクハラをするとは考えられません。公約を聞いてみると、さすがは共産党の矢野裕市長時代を支えた人物だけあって、自民・公明党に担ぎ上げられた人物ではありますが、掲げている政策は「リベラル寄り」と言って良いと思います。松原俊雄さん自身が7年間にわたって福祉部門に携わっており、幅広く市民の意見を聞いていたことから「人に優しい街づくり」を政策の柱に掲げていらっしゃいます。公開討論会では政策について、ほぼすべての項目で共産党出身の田中智子さんと同じ意見となっていました。もちろん細かい部分では違うのですが、大筋では「人に優しい街づくり」をイメージしていることがよくわかります。

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ちょっと面白いのは、結婚相談所を経営しているだけあって「大人の出逢いもプロデュースしたい」と語っており、公園などを充実させ、人々のコミュニティーを大切にしたいと話していました。これは松原俊雄さんならではの発想だと思いますので、自民・公明推薦ながら、共産党が目指すような政策を数多く掲げているので、市職員のモチベーションを上げながら、議会で対立を作ることもなく、うまくやっていける市長ではないかと期待したくなりました。自民・公明推薦の候補にしては、かなり良い候補だと言えます。


■ 田中智子候補の主張

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田中智子さんも素晴らしい候補でした。共産党のオバサン市議ということで、物分かりの悪い「堅物ババァ」かと思いきや、まったくそんなことはありませんでした。セクハラの被害に遭った女性たちに寄り添い、セクハラ市長と戦った女性市議の一人で、ポスターにあるように「ハラスメント根絶宣言」を出し、誰もが安心して暮らせる狛江市にしようと、3つのゼロを提案。「災害死者ゼロ」「待機児ゼロ」「孤独死ゼロ」を目指すとしています。特に、災害対策では高齢者や障害者など「災害弱者」と呼ばれる人たちがいち早く避難できる予防対策を打つとしており、どこぞの「保守」を自称しているエセ野郎どもより、よっぽど具体的に市民を守ろうとしていることが伝わってきました。防災対策はけっこう具体的で、行政防災無線が聞こえない地域や人のために家の中で聞こえる個別受信機を貸し出したり、ハザードマップを一人一人でイメージできるように水害に特化した訓練を実施する、自身による転倒防止のお手伝いをして、市内のブロック塀を総点検。本気で災害死者ゼロを目指そうとしています。

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一般的に共産党が弱いとされるのは「経済振興策」ですが、田中智子さんは個別具体的な政策を掲げていました。個人のお店の魅力を高めるような支援を進め、店舗のリニューアルを補助し、広告デザインや商品開発も支援をしていき、仕事づくりも支援。市役所が発注する仕事が地元の皆さんに回るようにすると話していて、住宅リフォーム女性は3~4倍の経済効果があると実証されているので復活するとしています。また、空き店舗を活用した創業支援をして、長く続いたお店が後継者がいなくて閉店してしまうのを防ぎ、技術の継承を実施するための政策実行。市が積極的に作業場所を貸し出し、地域振興条例を策定し、商業者、農業者、金融業も一緒に相談できるネットワークを作り、皆さんの知恵も借りながら、循環型地域経済の活性化を目指すとしています。アホみたいに道路やハコモノを作ることで経済を活性化しようというのではなく、今あるお店がどうすれば儲かるかを考える政策。本当はこういうことで「モデル都市」になれたら素晴らしいと思うのですが、残念ながら、このような経済振興策を掲げる候補は当選できない運命にあります。なぜなら、みんなが道路やハコモノを作る自民党の政策に大賛成しているからです。

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JC(日本青年会議所)が主催する公開討論会で、両候補にさまざまな政策の質問を「○×形式」で答えてもらうコーナーがあったのですが、ほぼすべての項目で松原俊雄さんと田中智子さんの政策が一致。意見が食い違ったのはたったの1つで、狛江市のキャラクター「安安丸」はお役御免かどうかという点でした。なにやら微妙に愛されているキャラクターらしく、松原俊雄さんは「安安丸」を残すとしたのに対し、田中智子さんは「そろそろお役御免ではないか」と答えました。正直、キャラクターがあろうがなかろうが市民の生活にはまったく影響しないので、どっちでもいいところで意見が食い違っていたのですが、会場にいた市民からは「安安丸をクビにするなんてあり得ない!」という声が聞こえました。ただ、ここからがギャグなんですが、この「安安丸」のモデルは高橋都彦市長だったそうで、セクハラ野郎がモチーフになっているキャラクターをPRに使うのは縁起が悪いということで、「安安丸を残す」と言っていたはずの松原俊雄さんがあっさりと広報大使をクビにしていたことが明らかになりました。これからは市の公式キャラクターではなく、ポジションが微妙な「ゆるキャラ」として生きていくことになった安安丸。これから茨の道が続きそうです。

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どうでもいいのですが、今回の狛江市長選の公開討論会で立川市議選に立候補していた乙幡直樹さんに出会いました。乙幡直樹さんと言えば「田母神道場1期生×AI導入」という香ばしさ満点の候補者だったのですが、まったく票を取れずに撃沈した人物です。なんと、乙幡直樹さんは日本青年会議所のスタッフで、このたびの公開討論会の運営に参加していたのです。選挙の時にはポンコツ感が半端なかったのですが、JC(日本青年会議所)ではテキパキと働いており、ここに日本の闇の一端があるような気がしました。


■ 頭の悪いサラリーマンたちの投票行動

実は、狛江市には僕の弟が住んでいるのですが、先日、夏休みということで実家に帰省してきた際に話を聞いてみたのですが、平々凡々なサラリーマンは共産党アレルギーをこじらせており、ネトウヨとは言わないまでも、何も知らないくせに知った口を利いて、「自民党に入れるに決まっている」といった具合でした。ぶっちゃけた話、どちらもポンコツではないので、松原俊雄さんに投票すること自体に異論はないのですが、松原俊雄さんに投票するに至ったプロセスがアホすぎて、実際、こんなヤツばっかりなんだろうと思うと、この国が沈んでいく理由がよくわかります。僕の弟が田中智子さんに投票しなかった理由は「田中智子さんにサラリーマンをした経験がないから」でした。松原俊雄さんは市役所で働いた経験があるが、田中智子さんには市議として働いた経験しかないので市長は務まらないというわけです。こんなに頭の悪い理屈があったでしょうか。「立派な肩書きだから良い仕事をする」というのは幻想に過ぎません。それに、主婦をナメています。どこぞの頭の悪いポンコツなサラリーマンより主婦の方がよっぽど仕事ができます。世の中で大活躍しているパワフルなオバチャン議員のポテンシャルたるや、無能なオッサンの30倍はあります。よくよく考えてみてください。横浜国立大学経済学部を卒業し、東京都庁に入庁し、東京都総務局総務部総務課長、東京都産業労働局観光部長、東京都交通局総務部長、株式会社東京国際フォーラム執行役員、東京都産業労働局理事、公益財団法人東京しごと財団理事長、公益社団法人東京都公園協会理事長。こんな立派な肩書きの人が市長になったら、さぞかし仕事ができるに違いないと思うわけですが、実際にはクソほどのセクハラ野郎なのです。そう、この肩書きは高橋都彦さんのものです。グダグダと言い訳を重ねていますが、エレベーターの中で女性のケツを触り、公用車の中で女性の手を握るキモいオッサンは市長なんぞをやる資格はないのです。本当はこういう所を見極めなければならないのに、「サラリーマン経験のありなし」で投票先を決めるなんて、実に愚かです。こんな話を得意げに上から目線で語られた日には「オマエみたいな奴ばっかりだから、この国が沈むんだ!」と思わずにはいられません。僕はこんなバカが自分の弟であることに腹が立ったのですが、うちの父親は産経新聞を読んでいるし、親戚のおばちゃんは創価学会で公明党激推しなので、これが今の日本なんだと痛感させられました。もっと「まともな候補者が勝つ環境」を整えていかないと、僕たちの生活は政治家によってどんどん苦しめられていくばかりです。肩書きではなく、その先にある人間性を見極められる有権者になりましょう。


■ 前回(2016年)の選挙結果

2016年に行われた狛江市長選でも「自民・公明vs共産」という構図の戦いになり、女性職員のケツを触るほどのセクハラ野郎である高橋都彦さんが勝利しました。こんなクソみたいな市長を当選させるなんて、どんだけ見る目がないんだと思いますが、セクハラ市長は地元のママさんたちを集めて頻繁に交流会を開催していたそうなので、見境のないレベルの女好きということなのかもしれません。この年齢でモテようと思っているので、地元のママさんたちには「気さくなオジサン」と映ったようなのですが、だいぶキモい男に騙されて投票しているあたりは反省した方がいいのではないかと思います。

[当]高橋 都彦 64 現 1万7433票
[落]平井 里美 54 新 1万2856票

投票率は47.01%でした。東京都内にしては、だいぶ投票率が高いと言えます。得票差は4577票なので、それなりに差がついた結果となりました。この結果を見れば、狛江市がけっして共産党の強い街だとは言えないことが分かると思いますが、少なくとも1万7000人以上の狛江市民は「見る目がなかった」という結果になりますので、もっと真剣に政治や選挙と向き合っていただきたいと思います。


■ 今回(2018年)の選挙結果

狛江市の人口は増えたのに、選挙に行く人が増えなかったため、投票率は2%ほど下がる結果になったのですが、2016年に続き、2018年も「自民・公明vs共産」という構図での戦いになり、かなり面白い結果になりました。ご覧ください。

[当]松原 俊雄 66 新 1万7834票
[落]田中 智子 60 新 1万2763票

投票率は45.31%でした。自民・公明推薦の松原俊雄さんが高橋都彦さんより400票ほど積み、共産党推薦の田中智子さんは90票ほど減らしたのですが、2016年の選挙結果とほぼ変わらないシェア率になったのです。今回、田中智子さんは共産・自由・社民党の推薦となっているため、一応は「野党共闘」みたいな構図にはなっているのですが、自由党は玉城デニーさんが沖縄県知事選に立候補すると国会議員が4人になってしまうために政党要件を満たさなくなって消滅する運命にあり、社民党もまた弱小政党に成り下がっているため、ほとんど共産党をアシストできていません。田中智子さんが勝つためには立憲民主党や国民民主党の推薦は欠かせなかったと思われますが、この街では旧民進党がほとんど活躍できていないため、田中智子さんを推す動きがなかったのです。立憲民主党にしろ、国民民主党にしろ、このままだと支持率が下がる一方なのだからカニバリの心配がない選挙は横から入ってきてでも積極的に応援した方が得だと思いますが、こういう所にまで頭が回る人たちだったら、今頃、ザコ野党になんぞなっていないので、立憲民主党や国民民主党は「野党共闘」という名で共産党を利用しているだけで、共産党に恩を返すことがないのです。こんなことだと立憲民主党や国民民主党の候補者が立候補する際の協力もうまくいかなくなるので、旧民進党の二大政党は1人でも多くの議員を誕生させて力を持ちたいなら、共産党と水面下で協力するべきでしょう。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

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おそらく猛暑続きの2018年の選挙の中で、最も暑い時に行われた選挙は狛江市長選です。僕は日本全国の選挙を見続け、もうすぐ1年になろうとしていますが、だいたいどこの選挙を見ても、立候補する人たちの中にクソが紛れています。クソみたいな人間性のクソみたいな候補がクソみたいな利権野郎に担がれてクソみたいなデタラメの政策を掲げてクソみたいに立候補してくるのが「普通」なのです。魅力的な候補が2人並んで、自分がより良いと思える候補に投票できる選挙というのは、年に数回出会えるかどうかです。今回の狛江市長選は全国的にも大変珍しい「より良い候補を選べる選挙」となっており、どちらが市長になっても、しっかりとした市政運営が期待できる最高の選挙でした。唯一、現職の高橋都彦さんがクソほどのセクハラ野郎だっただけです。日本のあらゆる選挙でこのような形を見ることができれば最高なのですが、今のところ、良い候補の中からより良い候補を選べる選挙はほとんどありません。もっと多くの人が政治や選挙に関心を持たなければならないのです。[了]

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