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【選挙ウォッチャー】 沖縄県知事選2018・佐喜眞淳さんのPVを見る。

9月30日には沖縄県知事選が行われますが、自民・公明・維新・希望推薦で立候補している佐喜眞淳さんが「リツィ希望」と言って拡散している佐喜眞淳さんのプロモーションビデオが、想像以上に新譜をリリースしたばかりのアーティスト風だったので、これは那覇市の繁華街・松山あたりのミュージックバーで流れていても遜色ないクオリティーだと思い、今回は佐喜眞淳さんのプロモーションビデオを岡崎体育テイストで、全49カットすべてを余すことなくご紹介したいと思います。これは全国の選挙に立候補する政治家と、ベタなミュージシャンとしてデビューしたい人には、とっても参考になる「プロモーションビデオの教科書」だと思います。それでは、まいりましょう!

まずは、アーティストのロゴを一発かまし、初めての人にも認知してもらいます。ここでは「#あっちゃん」こと佐喜眞淳さんのハンコ風のイラストを採用。本家の「あっちゃん」こと前田敦子さんは本日、妊娠を発表しましたが、「対立から対話へ」は、佐喜眞淳さんの新曲です。ちなみに、この後の展開を見ると、どうやら青春系ラブソングです。NOW ON SALE!

ピアノ風のイントロとともに、かりゆしを着た佐喜眞淳さんが3歩ぐらい歩いてきて止まります。新人アーティスト・佐喜眞淳、よろしくお願いしますです。

宜野湾市長だった佐喜眞淳さんが、市民のために何らかの電話をかけているようなカット。実際には、デリバリーピザを注文しようとしている可能性もあります。「シーフードイタリアーナのMサイズを1つ」です。

宜野湾市長だった佐喜眞淳さんが、市民のために何かの資料を読み込んでいるようなカット。実際には、デリバリーのピザを注文した後になって、こっちの「濃厚シーフード・アヒージョ仕立て」の方が良かったんじゃないかと思ってしまい、どうせだったらハーフ&ハーフで試してみればよかったと後悔している可能性もあります。

その頃、沖縄の海ではサーファーのカップルが沈む夕日を見ながら青春していました。沖縄の海は最高です。

沖縄の東海岸では美しい朝日も楽しめます。こんなふうにカップルで座って、海の向こう側からゆっくりと昇ってくる太陽を見るのも、いい思い出になります。沖縄の海は最高なのです。

沖縄の美しい海はカップルだけのものではありません。親子で心に刻んでも、この美しい景色は生涯忘れられない景色になることでしょう。なにしろ、沖縄の海は最高なのです。

男「って言いながら、その海にコンクリ流して基地作るんだけどな!」
女「何それ、ウケるー!」

「どんまーい!」的な感じで夕暮れを飛んでいく飛行機。佐喜眞淳さんは辺野古基地推進派なので、サンゴや多様な生物で溢れる大浦湾の美しい海にコンクリートを流し込み、工事をガンガンに推進していく計画を立てているのです。が、「どんまーい!」です。

ってなことを思いながら「なんくるないさ」的に、海に沈む夕日に向かって三線を弾く人。っていうか、こんなことをする人は本当にいるんでしょうか。こんなのauのCMの桐谷健太ぐらいしか見たことがありません。

ということで、改めましてカメラ目線、私が佐喜眞淳です。大浦湾にコンクリートを流し込みます。仲良くしてください。

「佐喜眞様、握手してくだせぇ!」のオジサン。今回、公明党が推薦していますので、創価学会のオジサンが動員されることになりました。

「佐喜眞さーん、私とも握手してください!」のオバサンです。同じく創価学会です。創価学会の教えでは公明党が推薦している人に投票すると、「徳を積める」ことになっています。ありがたいですね、南無妙法蓮華経です。

すっかり人気者の佐喜眞淳さん。今回の沖縄県知事選では、創価学会とそのフレンド票だけで10万票を積むと言われています。

「実績」。よりによって、工事現場の画を使っていますけど、佐喜眞淳さんが言うところの「実績」というのは、地元に工事を作り出してきたということで、よろしいのでしょうか。プロモーションビデオの画がこうだということは、そういうことだと思うのですが、工事を請け負っているオッチャンのヘルメットにご注目ください。菱形の中にカタカナの「コ」の文字です。これは沖縄大手ゼネコンの「国場組」のマークです。国場組は今回、佐喜眞淳さんの選対幹部になっている自民党沖縄県連会長の国場幸之助議員の親族企業です。もちろん、辺野古基地の建設にも大きく関わってございます。これが「実績」です。誰にアピールしているか、わかりますよね。

「医療福祉」。森の前に立って、こっちを見つめるオバチャン。服のセンスが独特です。いろんな色の唇なのか、いろんな色のアワビなのか。

「子育て王国」。小学生の女の子たち3人がとっても笑顔です。なぜ「子育て」とか「子育て支援」ではなく、「王国」にしちゃったのかは謎です。

「沖縄の誇り」。国際通りでエイサーを踊る人たち。「沖縄の伝統」と言われたら、この画でも納得なのですが、自民党は「絆」とか「誇り」とかが大好きなので、「誇り」という画にしづらいものを画にしなければならない環境を自ら作り出し、最終的に「沖縄の誇り=エイサー」になりました。

「女性活躍」。よりによって働く女性の姿ではなく、海をバックに爽やかに微笑む女性2人を使ってしまったため、ボラギノールのCMにしか見えません。お尻の悩みは解決しましょう。

「所得」。沖縄の都市部の空撮です。結局、国場組が儲かるような税金の使い方をしているから沖縄県民の所得が低いままだということに、まだ誰も気付いていないようです。

「経済振興」。ゆいレールの延伸でしょうか。ゆいレールは2両しかないため、輸送能力に限界があり、根本から見直す必要があるかもしれません。

「基地返還」。佐喜眞淳さんは普天間基地を返還してもらうために、新たに辺野古基地を作って、そこを米軍に提供しようという話をしていますので、これは「返還」ではありません。言葉の使い方が不適切です。佐喜眞淳さんがやろうとしていることは、まさしく「移設」です。100万円の収入があっても110万円の支出があったら「赤字」なのですが、100万円の収入があることだけを見て「黒字」と言っているに過ぎません。

「跡地利用」。佐喜眞淳さんは、宜野湾市長選に立候補した際に、普天間基地の跡地に「ディズニーリゾートを作る」という公約を掲げて当選を果たしました。あの時、「そんなの来るはずないだろ!」と思いましたが、菅義偉官房長官が一緒になってオリエンタルランドの幹部と話し合い、「前向きに検討します」の回答を引き出し、なんだかディズニーリゾートが来るような雰囲気を演出しました。ところが、ディズニーリゾートのような大型テーマパークは近隣に1000万人規模の商圏都市がなければ成立しないビジネスモデルのため、人口145万人の沖縄県で大型テーマパークを経営するのは絶対に無理です。もちろん、ディズニーリゾート誘致の話はあっという間に消えてなくなり、USJは検討の余地もなく「やらない」という決断をしました。佐喜眞淳さんには最初から不可能なことを詐欺的に公約に掲げ、まるでなかったかのように過ごしている前科があるのです。

「実現力」。ディズニーの前科があるにもかかわらず、よく恥ずかしげもなく「実現力」をアピールできたと思います。今回の沖縄県知事選で「デモクラシー」「D」を掲げて立候補している玉城デニーさんより先に「ディズニー」「D」を掲げて宜野湾市長選に立候補していた佐喜眞淳さんは、辺野古の海にコンクリートを流すということだけは実現しそうです。「ディストピア」「D」でしょうか。

「対立から対話へ」。海に沈む夕日ベースで、手をつなぐカップルの手のアップ。青春系ラブソングの基本中の基本と言える画です。ここから佐喜眞淳さんのニューシングル「対立から対話へ」は、ゴリゴリに青春系ラブソングの王道とも言うべきカットが連発します。

ベタな幸せの画その1、海辺を歩くカップル。

ベタな幸せの画その2、「ずっと友達だよ」的な感じで、子どもの頃から遊んでた友達。

ベタな幸せの画その3、「生まれてきてくれて、ありがとう」的な感じで、赤ちゃんを抱き寄せる若いママ。

「♪Ah~ なぜ沖縄(おれ)だけがこんなにも~」

「♪愛してるが溢れて止まらないんだろう~」

「♪こんなに伝えたいのに~」

「♪But, You're always with me, in my heart~」

カメラ目線のオスプレイ。言っておきますけど、住民の反対を押し切ってオスプレイを積極的に導入しているのは日本政府であり、佐喜眞淳さんが政策協定を結んでいる自民党です。

戦闘機が飛び交う沖縄。米軍ヘリの窓枠が小学校に落ちた時、その保護者たちとの面会を拒否したのは、他ならぬ佐喜眞淳さんだったと聞いていますが、市民の声を聞かずに問題を解決できるのでしょうか。

「♪今も、街のど真ん中におまえを待ってる俺がいる~」

普天間基地の空撮です。改めて、ここにディズニーリゾートを誘致するのは無理筋すぎです。客を飽きさせないために拡張しなければならないビジネスなのに、拡張の余地がありませんし、これだけの市街地の真ん中に大型テーマパークを作って、どれだけの渋滞を作り出すつもりでしょうか。

普天間飛行場は居座り続けていると言いますが、そりゃそうです。だって、返還の約束ができていないのですから。普通は返還の約束をしてから辺野古基地を作るもんだと思いますが、約束ができていない段階から見切り発車で新しい基地を作るなんて、沖縄に基地を増やすリスクが多分にあるのに、そこは無視です。ちなみに、オスプレイを悪者のように扱っていますが、佐喜眞淳さんは「オスプレイファンクラブ」というネトウヨをこじらせたオジサンとマブダチで、そのオジサンの番組に出演したこともあります。そのオジサンの名前は、ボギーてどこん。佐喜眞淳さんは日本会議に所属していることもあり、基本的なスタンスは、オスプレイウェルカム派です。

交渉の順番を間違えれば、そりゃ居座り続けるに決まっていますし、経済界のオジサンたちを引き連れてノコノコとロシアに旅立ち、北方領土を取られそうになって大ピンチの安倍晋三総理を見てもらえば分かるように、本質がアホなので、アメリカとうまく交渉できるはずがありません。トランプ大統領のケツを舐めるだけのアナルペロペロおじさんの安倍晋三総理には、バンカーでひっくり返るジャパニーズジョークを世界に披露する以外に何も成果らしい成果はないので、そんな安倍晋三総理を熱烈に支持しているネトウヨのオジサンに普天間基地の返還を期待するのは、僕に今からハーバード大学に合格してアップルの社長になることを期待するようなものです。

「絶対に固定化があってはなりません」とおっしゃっていますが、辺野古に基地を作って移設してもらうということは、そこに米軍を固定化するということです。よくもこんなに矛盾したことを堂々と言えたものです。宜野湾市長ということもあって、普天間基地さえなくなれば、沖縄県全体のことはどうでもいいのでしょうか。

おっと、いきなり何かを見つめています。

何やらオジサンと話をしているようですね、誰でしょうか。

出ました、ガースー黒光り官房長官こと、菅義偉官房長官です。「絶対に笑ってはいけない沖縄県知事選」がスタートしたようです。それにしても、二人の距離、近すぎないでしょうか。この距離感は会談というより、「どうする? これからキャバクラ行く?」の距離感です。

「いい店知ってるから俺に任せろ!」の肩ポンですね、わかります。もしかして、国場幸之助先生がチャンネエを口説こうとして失敗した末に、止めに入った観光客をぶん殴って書類送検された噂のガールズバーでしょうか。

「♪イン・マイ・ハーーーー(In my heart)」

デデーン! 安倍、麻生、萩生田、アウト! 佐喜眞淳さん、いきなり歌い始めるのは卑怯です。っつーか、In my heartって何でしょうか。まあ、僕が書き始めたことではありますが。

と、ここからは保険のCMにありがちなカットが連発します。まずは「働き盛りのお父さんのための医療保険」のCMにありがちなカット。「働く35歳からの『がん保険』」です。

こちらは「65歳からでも入れる医療保険」のCMにありがちなカット。保険料は一生涯上がりません。

何の前触れもなくスイカを食べる少女のアップ。

ということで、「県民の暮らし、最優先。沖縄の和の心で、対立から対話へ」の佐喜眞淳さんでした。こんな感じのVTRを電通先生と組んでガンガンにアップしていくというのが、このたびの佐喜眞淳さんの選挙戦略のようです。

エイチティーティーピーコロンスラッシュスラッシュ、アッツーシ・ハイフン・サキマ、ドットジェーピー。最後はハンコみたいなイラストでシメました。このVTRの中で佐喜眞淳さんは「基地を取り戻す」とおっしゃっているのですが、正確には基地になっている土地を取り戻すということですね。しかし、基地を取り戻して新たな基地を提供するマッチポンプをしようとしているので、行って来いのプラマイゼロだということは指摘しておきたいと思います。


■ それより問題なのは公職選挙法違反の期日前投票VTR

電通先生が作る教科書のようなプロモーションビデオに、感動のあまり全カット解説をつけてしまいましたが、それより問題なのは「公職選挙法違反」としか思えない内容の期日前投票PRの動画を作っていることにあります。この16秒の動画もまた電通先生が作っていると指摘されていますが、もし電通先生にお金を払って制作を依頼して出来上がったものだとすると、これは完全に公職選挙法違反です。投票用紙に名前を書くところまでやるとは思いませんでした。何でもアリすぎます。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

ということで、これらの動画を松山のミュージックバーでカクテルを揺らしながら眺めてみたいなと思っているところなんですが、百戦錬磨の選挙を経験し、これまで連戦連勝している自民党の皆さんなので、こうしたプロモーションビデオが高い効果を発揮することは既に科学されているわけです。普通にVTRを眺めるだけだったら、なんとなく投票したい気分になってしまうのかもしれませんが、工事現場のオジサンのヘルメットのマークにまで注目するほどVTRをよく見てみると、けっこう面白いことがわかってきます。さて、玉城デニーさんも同じようなVTRを作っているのであれば、そちらはネトウヨ目線で解説してみたいと思います。また今度![了]

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