見出し画像

【選挙ウォッチャー】沖縄県知事選2018・翁長雄志さんの訃報。

とても悲しいニュースが飛び込んできました。8月8日、沖縄県の翁長雄志知事が膵臓がんのため、入院中の浦添総合病院で亡くなりました。67歳でした。この日の午後5時に記者会見が行われ、翁長雄志さんに意識混濁が見られるようになったため、しばらくの間、謝花喜一郎副知事と富川盛武副知事が職務代行をするという発表があり、辞職については否定していました。ところが、その会見からわずか2時間ばかりの間に、翁長知事は天国へと旅立ってしまったのです。体調があまり良さそうでないことは、ここ最近のお姿を見て察していましたが、まさかこんなに早く亡くなるとは想像もしておらず、今、途方に暮れながら記事を書いているところです。

今年2月に行われた名護市長選の際にも取材をさせていただき、その時は元気な姿を見せてくれていました。あれからちょうど半年、まさかこんな日が来るなんて想像もしていませんでした。つい数日前に、最後の力を振り絞るように「辺野古基地の承認撤回」を発表したばかり。おそらくギリギリの状態だったのだと思いますが、人生をかけて辺野古基地建設を反対してくださったのでしょう。ご冥福をお祈りいたします。


■ 沖縄県知事選は9月30日投開票の見込み

本当は皆さんと一緒に悲しみに暮れ、翁長雄志さんの思い出に浸りながら酒の一つも飲みたいところですが、僕は「選挙ウォッチャー」を仕事にしていますので、沖縄県知事選がどうなりそうなのかを伝えなければなりません。なかなか気持ちを切り替えることはできませんが、これから極めて事務的な話をします。当初の予定では、沖縄県知事選は11月18日投開票、11月1日に告示となる予定でした。約2週間ちょっとの選挙戦で、オール沖縄からは翁長雄志さん、菅義偉官房長官が何度も沖縄入りしている自民・公明・維新の基地推進派は複数の候補者の中から最終的に一本化して宜野湾市長の佐喜眞淳さんが臨むはずでした。ところが、翁長知事の訃報を受け、50日以内に選挙をしなければならないという法律がありますので、本日付けの辞職であれば9月23日投開票だったのですが、今回は辞職の理由が「死去」になりますので、手続きを挟み、9月30日投開票になると考えられます。もし9月30日投開票というスケジュールになりますと、9月2日と9日に沖縄の統一地方選が行われるのですが、9月13日告示・9月30日投開票となる見込みで、沖縄では約1ヶ月以上にわたって、ずっと選挙が展開されているという形になります。これに伴い、「選挙ウォッチャー」である僕もほとんどを沖縄で過ごすことになります。日本の命運を大きく左右する重要な選挙になりますので、取材しないわけにはいかないのですが、予算がまったく足りないので、今、どうするべきかを考えているところです。


■ 辺野古基地の承認撤回の手続きを考慮せずに土砂搬入は進む

今、辺野古基地では埋め立てのための土砂搬入が行われており、住民たちが反対しています。あのキレイな海に土砂が搬入されてしまえば、元に戻したくなっても戻せなくなってしまう。これは沖縄に駐在している仁尾淳史さんが撮影したものですが、沖縄防衛局で抗議をする元読谷村長の山内徳信さんです。ネトウヨの皆さんは「パヨク」と呼ばれる特別な人たちが日当で集まっているという認識ですが、それは情弱をこじらせているからで、めちゃくちゃ当たり前の話ですが、反対しているのは「地元の人たち」です。ある日突然、あなたの家の隣に火葬場を作りますとか、原発を作りますと言われても困るように、基地を作りますと言われても困るのは住民であり、反対しているのも住民です。それをいかにも「特別な人たち」であるかのような印象操作をしているのがネトウヨなのですが、地元の人たちにとって辺野古の海はとても大切なものなのです。その大切な海に土砂を搬入し、埋め立てて基地を作ろうと言われたら「やめてよ!」という人がいるのは当然です。そして、この工事は小野寺防衛大臣が防衛大臣の仕事としてやっているのではなく、菅義偉官房長官が沖縄に乗り込んできて陣頭指揮を執っています。これは何を意味しているかというと、辺野古基地の建設が菅義偉官房長官やその周辺の関係者にお世話になっている企業のためにあるということです。そして、翁長雄志知事によって辺野古基地の承認撤回が宣言されましたが、どうにか手続きをしている間に少しでも進めてしまいたい。とりあえず、土砂を搬入して埋め立ててしまえば、泣こうが叫ぼうが戻すことはできないので、この土砂の搬入は8月17日頃に本番を迎えると言われており、沖縄県知事選にもカラんでくるので取材に行きたいと考えています。サッカーであれば、ケガをしている選手がいたらボールを外に蹴り出し、フェアプレーで試合が進められるものですが、利権のために基地を作ろうという人間にそのような精神があるはずもありません。


■ 9月2日に投開票がある2つの自治体

8月28日告示、9月2日投開票で、「今帰仁村(なきじんそん)」「北谷町(ちゃたんちょう)」の市議選が行われます。今帰仁村は名護市の北西にあり、名護市にベースを構えるなら取材に行ける距離にあります。北谷町は那覇から名護に向かって進んでいく際に、那覇市→浦添市→宜野湾市→北谷町→沖縄市という順番で通ることになるので、那覇から名護に向かう通り道で取材が可能です。「選挙ウォッチャー」としての月商が100万円くらいあれば、これらの選挙にも余裕で行けるのですが、現段階では赤字レポートを作っている場合ではないので、この2つの選挙を追いかけるのは断念することにしました。もし、これを取材することにした場合、8月27日(月)の昼に出発し、30日(木)の早朝に返ってくるプランで、最も安いジェットスターの飛行機で利用した場合で、往復の飛行機代だけで3万5300円となり、これにレンタカー代とガソリン代で2万5000円、宿泊費をユースホステルを利用したとしても2泊で6000円前後。これに食費やら何やらが重なると考えた場合、なんだかんだで10万コースになってしまいます。これを黒字にするためには、今帰仁村と北谷町というマイナーな市議選で各5万円を売り上げなければならず、仮に250円で販売したとしても200人に販売しないといけませんので、現時点では非現実的な数字です。よって、今回は断念せざるを得ません。


■ 9月2日告示・9月9日投開票の注目選挙

この中で最も注目度が高いのは、何と言っても名護市議選です。今年2月の名護市長選で、辺野古基地を推進する立場の渡具知武豊さんが市長になりましたが、市議会のバランスは反対派が多いため、市長権限で進むところは進んでしまいますが、議会の承認が必要なところでは反対派が優勢です。このバランスがどう変わるのかを見守ることは大切だと思います。宜野湾市議選も見逃せません。こちらは普天間基地がある街なので、辺野古基地が建設された場合、速やかに返還を求めることになります。いまだに米軍機が小学校や保育園の上を飛び交っており、米軍との約束が守られていないので、この問題に積極的に取り組んでくれる市議が存在するのかどうかを見極めたいと考えています。沖縄市は地域経済を復活させるためのアイディアを持った市議が存在するのか、南城市は今年1月の選挙「オール沖縄」の瑞慶覧長敏さんが市長になりましたので、このあたりが市議選にどのように影響するのかを見たいと思っています。夏休みが終わった後なので、飛行機もレンタカーもホテル代も少し安くなるはずで、この4自治体の選挙は見逃せません。


■ 9月4日告示・9月9日投開票の選挙はたくさんある

今回、取材する予定の場所は、東村、恩納村、宜野座村、西原町、読谷村、中城村、北中城村、八重瀬町、南風原町の9自治体です。この中で最も注目度が高いのは、高江ヘリパッドのある東村になると思います。それ以外の場所は、注目の自治体を取材する際の通り道となりますので、通りすがらに見ていこうと考えているものになります。先程の4自治体+9自治体を取材するとあれば、わずか6日間の間に13自治体を取材することになり、とてつもないハードスケジュールになります。約1週間にわたってレンタカーを借り、自由に移動できる環境を整えながらの行動になるかと思います。宿泊地は予約せず、なるべくゲストハウスやユースホステルなどを利用しようと考えています。


■ 今後の選挙スケジュール

8月9日以降、どのような選挙が行われる予定なのかをチェックしておきたい思います。沖縄県知事選は確定ではありませんので、もしかしたらスケジュールが変わるかもしれませんが、今のところ、このような日程になりそうだというものを皆さんと共有したいと思います。

8月 9日 香川県知事選の告示
8月14日 翁長知事のお葬式等の取材
8月15日 辺野古基地の土砂搬入予定(~17日)
8月17日 香川県議補選の告示
8月22日 国民民主党代表選の告示
8月26日 香川県知事選の投開票
8月28日 沖縄県今帰仁村と北谷町の告示
9月 1日 選挙報告会(@ROCK CAFE LOFT)
9月 2日 沖縄県今帰仁村と北谷町の投開票
9月 2日 沖縄県名護市や宜野湾市などの告示
9月 4日 国民民主党代表選の投開票
9月 4日 沖縄県東村や恩納村などの告示
9月 7日 自民党総裁選の告示
9月 9日 沖縄県統一地方選の投開票
9月13日 沖縄県知事選の告示
9月20日 自民党総裁選の投開票
9月23日 品川区長選の告示
9月30日 品川区長選の投開票
9月30日 沖縄県知事選の投開票

「選挙ウォッチャー」として注目していた選挙に、8月26日の小樽市長選、9月9日のみなかみ町議選がありましたが、小樽市長選は経済的な理由で、みなかみ町長選は日程的な理由で取材を断念いたします。沖縄の統一地方選で9月上旬が忙しいことは覚悟していたのですが、8月から9月にかけてフル稼働状態になってしまうとは想像もしませんでした。当初は岡山や広島などの被災地も取材する予定だったので、このあたりのスケジュールも調整する必要が出てきました。


■ 沖縄県知事選は「オール沖縄」が圧倒的に不利になった

菅義偉官房長官が中心となってまとめている自民・公明・維新の「辺野古基地推進派」は、宜野湾市長の佐喜眞淳さんに一本化しましたので、本来であれば「翁長雄志vs佐喜眞淳」という構図になるはずでした。複数の選択肢の中から最も勝つ可能性がある佐喜眞淳さんを擁立することになったので、「辺野古基地推進派」の連合軍は万全の状態で選挙に挑む形となります。対する「オール沖縄」は、翁長雄志さん以外に選択肢がありませんでした。体調を心配する声はありましたが、11月の沖縄県知事選に立候補するつもりでいたのです。謝花喜一郎さんによれば、8月4日まで翁長雄志さんと普通に会話をしていたそうなので、この数日の間に意識混濁の状態に陥り、8月8日に亡くなってしまったということになります。もし「オール沖縄」に翁長雄志さんに代わる候補者が隠されていたなら、きっと僕の耳にも入っていたはずなので、これから急ピッチで擁立する候補者を見つけないといけません。地元では「玉城デニーさんが立候補すれば勝てるのではないか」と言われていますが、玉城デニーさんが立候補するとなると自由党が政党要件を満たさなくなってしまうので、小沢一郎さんが許さないだろうと言われています。翁長雄志さんと二人三脚で「オール沖縄」を築いてきた稲嶺進さんは73歳で、高齢であることに加え、名護市長選で負けているので、勝ちきれるのかどうかが心配されており、周囲からの熱烈なラブコール次第なのかもしれませんが、今のところ、立候補に前向きではありません。糸数慶子さんという声もありますが、2006年に沖縄県知事選に立候補し、仲井眞弘多さんに敗れているため、あれから12年が経ち、糸数慶子さんは現在70歳。勝てるかどうかには大きな不安があります。知名度があって有力とされる人たちが立候補しにくい事情を抱えているため、候補者が決まっていない「オール沖縄」は後手に回る形となりました。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

「日本」という国は呪われているのでしょうか。次々と起こる「負の連鎖」に愕然としています。しかし、子どもたちに明るい未来を手渡すためには、どんなに逆境が続こうと、けっして諦めることなく、ただコツコツと自分にできることをしていくしかないのだと思います。選挙に負けることはあっても、人が死ぬのは初めてなので、こんなに涙を流す間もなく、ドライに次のことを考えなければならない仕事だとは思いませんでした。これから忙しくなりますし、資金がショートするかもしれませんが、前を向いて全力を尽くしてまいりたいと思います。もしよろしければ、過去の記事を買っていただいたり、サポートをしていただきますと、その売上は僕の取材活動費となりますので、よろしくお願いいたします。[了]

いつもサポートをいただき、ありがとうございます。サポートいただいたお金は、衆院選の取材の赤字分の補填に使わせていただきます。