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【選挙ウォッチャー】 NHKから国民を守る党・動向チェック(#244)。

 立花孝志がシャバの空気を吸えるのも、残りわずかかもしれない。
 12月7日、「NHKから国民を守る党」の党首・立花孝志にとって非常に重要な刑事裁判の判決が下された。被告人は、立花孝志に協力してしまった元NHKの訪問スタッフの男性である。
 被告人が問われている罪は、NHKから与えられた端末に入っている個人情報を、勝手に立花孝志に流出させてしまった「不正競争防止法」だ。流出させた相手が悪かったとしか言いようがないが、立花孝志はその個人情報をネットに公開したばかりか、その個人情報を人質に取り、NHK会長宅に押しかけて面会を要求。その一部始終はネットにも公開されていた。
 いわば「立花孝志の共犯者」となってしまった男性の裁判が東京地方裁判所で行われていたのだが、判決は「懲役1年6ヶ月、執行猶予3年」。よりによって立花孝志に協力してしまったために、彼は「前科者」になってしまった。
 いい大人なんだから、それぐらいの善悪の判断は自分でつけてもらわなければ困るという話ではあるが、立花孝志は司法資格を持たないくせに「法律のプロ」や「法律の専門家」を自称しており、立花孝志に任せていれば、法の一線を越えるようなことはないと信じたのかもしれない。あくまで情報を提供しただけであり、これが犯罪にあたるとは露も思わなかったのだろう。
 同様に、私に対する裁判の原告になったN国信者たちもいるが、おそらく立花孝志はリスクがあることを説明していない。なにしろ「ノーリスク・ハイリターン」だと信じ込んでいるぐらいである。
 もともとN国信者たちは、立花孝志の負の側面、都合の悪い部分は見ないようにしてしまう性質があって、「とんでもないリスクが隠されている」という事実を認識できない。実際、NHKから国民を守る党に協力した人がNHKから1100万円の損害賠償を求める裁判を起こされたり、立花孝志に訴状を作ってもらって裁判を仕掛けたものの「スラップ裁判」だと認められて100万円近く支払わされたり、何をしても散々な結果に終わっているのだから、何をやってもうまくいかないことぐらい予想できそうなものであるが、どれだけ失敗しても「立花孝志は天才だ」と信じて疑わないのである。
 今回は、立花孝志を信じてしまったがために「前科」がついてしまった。


■ 立花孝志に執行猶予はつかないかもしれない

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 今回、不正競争防止法違反の罪で、懲役1年6ヶ月、執行猶予3年という判決が下された立花孝志の共犯者。当然、不正競争防止法に加え、威力業務妨害まで問われている立花孝志が、これより罪が軽くなるとは非常に考えづらい。
 被告人は、判決を受け入れ、戦うつもりはないということであるが、そもそも不正競争防止法違反というのは比較的罪が重いため、執行猶予がついただけでも御の字であり、せっかく執行猶予をつけていただいているのに控訴する必要はあるまい。
 被告人を擁護するわけではないが、おそらく被告人は、前科がつくような重罪を犯しているという意識はなかったことだろう。もちろん、個人情報を立花孝志に見せるようなことをしてはならないが、ただ見せただけなら、せいぜい会社をクビになっただけで終わったかもしれない。ところが、立花孝志がネット上に公開したあげく、閑静な住宅街の一角にあるNHK会長宅に行って、これを材料に面会を迫る暴挙に出たために、問題は非常に大きくなってしまった。立花孝志に「そういう使い方をしないでくれ」と言っていればマシだったかもしれないが、立花孝志が会長宅を訪れた際には、司法書士の加陽麻里布も見切れていたのだから、法律のプロを自称する男と、職業的に法律のプロと言える人間がいたら、そこらへんの素人は「大丈夫かな」と思ってしまうかもしれない。
 ところが、現実は立花孝志に巻き込まれる形で、「懲役1年6ヶ月、執行猶予3年」である。前科がついてしまったので、まだ27歳という若さでありながら、これから就職には一生困るかもしれない。飲酒運転のようなもので前科がついても、酒を飲まないことを誓って働かせてもらえるかもしれないが、不正競争防止法違反である。企業が持っている大切な個人情報を流出させた犯罪歴があるとなれば、少なくとも事務系の仕事なんかはできないだろう。立花孝志は、一人の若者の人生を大きく狂わせてしまったが、動画を見る限り、協力してくれた若者の人生を狂わせたことを反省する様子は微塵も感じられない。それどころか、この事件さえも自分の無罪を主張するための材料に使おうとする始末である。こんな劣悪な人間が政治家になってはいけない。

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「で、今日の判決を見ていてですね、あの、まあ、今、弁護士法72条違反をNHKがやってるんじゃないかと、まあ、こういうことずっと言ってるんですが、一番それをやっているのはNHKもそうなんですが、委託会社が一番、まあ、具体的なその作業をしているわけですね。そして、一番最前線でやってるのが、実はそのTさんを含めた集金人がやってるわけですよ。だって、他人の債務を回収することがダメなわけですよね。他人の債権の取り立てをすることが弁護士法72条で禁止されてるので、まあ、そのTさんはもうこの罪を受け入れられているようなんで、まあ、はっきりしました、そこで。だから、我々っていうか、僕、立花、被告人・立花としては、弁護士法違反をしているNHK、その下請け会社、株式会社エフエフっていうんですが、エフエフ、であったり、このTさんが、まあ、3社がですね、弁護士法違反をしてることについて、えー、調査をすると。調書、調査をしていたと、まあ、調査をしてたら、調査をしたということで、えー、無罪主張ということをやっていこうと思っております。NHKがやってることはもう間違いなく弁護士法72条違反であるということは、私も確信をしています。だから来年からこれを、来年の春からもうやめると会長が言い出したわけでね。誰かがこれを暴きに行かなければそういうことは起こらなかったわけですので、刑事事件はそういう形ですね、暴きに、無罪を主張していきます」

 立花孝志は来年1月18日に第1回目となる刑事裁判の期日を控えているが、12月7日に裁判所の前でアップしている動画の説明では、なぜ不正競争防止法違反のような犯罪をしてしまったのかについて、共犯者となった被告人を含む、NHKや下請け会社が弁護士法72条違反をしていたので、それを調査するために不正競争防止法を違反してしまったというストーリーを組み立てたようである。
 しかし、立花孝志が「天才」だと思っているのはN国信者だけで、実際はただのヤバいオジサンだ。なんと、そのストーリーを説明する前に「そのTさんはもうこの罪を受け入れられているようなんで、まあ、はっきりしました、そこで」と述べてしまっている。つまり、このストーリーは今回の刑事裁判を見て思いついたものだとゲロっているのだ。後付けの説明に何の説得力があるのだろうか。
 どうしてこんなに浅はかなのか理解に苦しむが、いずれにせよ、立花孝志は罪を認めることもなければ、反省することもなく、一般人を共犯に巻き込んでしまったことについても何も思っていない。こうなってしまうと情状酌量の余地は認められず、刑を軽くする理由はなくなる。もっと言えば、立花孝志がこれから新たな罪で起訴される可能性もある。アンチN国の人たちまで「立花孝志が初犯でいきなり実刑はない」と思っている人が多いようであるが、いきなり実刑の可能性は高まるばかりだ。


■ 名誉毀損で22万円お支払いの立花孝志

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 立花孝志は、ネット上で批判してきた人たちに対し、次から次へと情報開示の仮処分を申し立て、IPアドレスが開示されるや「名誉毀損で裁判されたくなければ和解金を払え」と迫っている。ところが12月7日には、著述家の菅野完氏から名誉毀損で訴えられた裁判の判決があり、立花孝志が名誉毀損をしていることが認められ、22万円の賠償金の支払いと当該ツイートの削除が命じられた。
 立花孝志の代理人は、1審判決を受け入れ、速やかに22万円を支払うとしているため、菅野完氏の勝訴はほぼ確定した。
 立花孝志は国政政党の代表という立場にありながら、著述家の菅野完氏に対し、「レイプ常習犯」と揶揄。菅野完氏が若い頃にアメリカで女性に暴力を振るったことや、女性にキスを迫って民事裁判を起こされたことが報じられていても、「レイプをした」などという事実はなく、ましてや「レイプ常習犯」となると、これは完全に事実と異なる話である。
 立花孝志は「無理矢理にキスを迫ることも十分にレイプだ」と主張していたが、一般的に「レイプ」という言葉は「強姦」を示す。国政政党の代表者が「レイプ常習犯」という、極めて悪質な犯罪を何度も繰り返しているかのような印象を与える発言をすることには問題があり、名誉毀損が認められるのは当然と言えるだろう。立花孝志はまたしても裁判に負けたのである。
 ちなみに、立花孝志が自分をしてきた人たちのどんな言葉で名誉毀損の裁判を起こそうとしているのかと言うと、「カス」「クズ」「死ね」「ゴキブリ」といった類のものである。
 自分は「レイプ常習犯」などと、えげつないフレーズで名誉毀損をしているくせに、他人から「カス」だの「クズ」だの言われたぐらいで名誉毀損だと訴える神経は、まったくわからない。だいたい国政政党の党首から「レイプ常習犯」と事実無根のことを言われても22万円なのに、匿名の一般人から「クズ」と言われて求める和解金が30万円というのは、どういうことなのだろうか。もっと言えば、私が有料記事の有料部分に「ちんこ。」しか書いていなかったとして、立花孝志が購入者に呼びかけて起こした裁判の慰謝料は33万円である。別の記事では110万1320円の慰謝料を求めるものもある。
 立花孝志に、他人を名誉毀損で訴える資格があるのだろうか。
 これだけ社会に迷惑をかけ、協力してくれた若者の人生を大きく狂わせるようなことをしておきながら、何の反省もない国政政党の党首が「カス」だの「クズ」だの言われるのは、むしろ当然のことであり、こんなものを名誉毀損で訴えたところで1円にもならないことだろう。「カス」や「クズ」で済んでいるだけマシで、「レイプ常習犯」に比べれば、ナンボも可愛いものである。
 立花孝志は、私に対しても「詐欺罪の逃亡犯」と述べており、実際にそれを信じてしまった二人組が、立花孝志が懸けた最大50万円の懸賞金を目当てに私を自宅前で待ち伏せし、取材が中止に追い込まれたこともあった。
 自分のやったことは何でも正当化するくせに、他人のやったことはどんな小さなことでも許さない。これが立花孝志の正体である。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

 気づけば、今、N国信者たちは、立花孝志の「自民党から立花孝志をNHK会長にしたらいいという声が上がっている」というホラッチョを信じ、ついにこの時代が来たとフル勃起状態になっているのだが、どこからどう考えても、そんな声が上がっているはずはない。百万歩譲って、そんなことを言うことがあったとしても「立花孝志をNHK会長にしたらいい(笑)」である。私も自民党関係者から話を聞くが、はっきり言って、立花孝志のことなんて眼中にもありゃしない。
 だいたい、そんな話が自民党から漏れ出しているのなら分かるが、立花孝志が自分で言っていることである。これまで立花孝志が繰り広げてきた数々のスーパーサラリーマン伝説、改め、ホラッチョ伝説を見たら、そんなものは一目瞭然だろう。
 しかし、バカは信じる。とにかく、バカは信じる。信じた先に何があるかと言うと、時として「前科がつく」という悲劇だ。立花孝志に善意で協力しているつもりが、いつの間にか犯罪者になっている、あるいは、不法行為に巻き込まれて裁判をされているのである。
 悪質なのは、立花孝志の共犯者として罪を問われている人は、最初から悪いことをしようと思って立花孝志に近づいたのではなく、むしろ「善意」のつもりで、ただ立花孝志に協力をしたら、自分が犯罪者になっていたパターンである。
 立花孝志に巻き込まれないこと。私が何度も何度も記事を書き、まもなく3年になろうかというぐらいに、ずっと警鐘を鳴らし続けているのは、こうやって人生を棒に振ってしまうような人がまだまだ出そうだからである。最近は少しずつだが、理解されるようになってきただろうか。

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