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【選挙ウォッチャー】 世田谷区長選2019・分析レポート。

もはや世田谷区長は、政治家の中でも有名人であり、一部にアンチはいるものの、おおむね嫌われていないこともあって安泰です。世田谷区の人口は約90万人なので、これは人口ベースで見ると、ある意味、鳥取県知事島根県知事といった人たちよりも重責であると言えます。知事ほど権限があるわけではなく、東京都よりも立場の弱い区長という存在のため、あんまり活躍の場が与えられているわけではありませんが、今、世田谷区長が警鐘を鳴らしているのが「ふるさと納税」の話です。昔よりも認知されてきた上に、ふるさと納税をした方が納税額を抑えられるとあって、利用しない手はない状態になっています。しかし、これは世田谷区のような自治体にとっては大打撃であり、自治体を壊しかねないと危惧しています。詳しい話は無料でまとめております。

保坂 展人  63 現 無所属
三井 美穂子 56 新 自民・公明推薦

世田谷区長選は、「自民・公明などが幅広く支持している現職に、共産党の新人のオバサン」という、あるあるの構図ではありません。「社民党出身の野党統一候補vs自民・公明推薦の新人」です。さすがに世田谷区長ほどのポストを無投票当選にするわけにはいかないということで自民党が立候補しているのですが、共産党はどちらを応援するでもなく静観しています。


■ 「ふるさと納税」が都会の行政サービスを壊す

最近、さまざまな返礼品をもらえることもあり、税金もお得になるということで普及し始めている「ふるさと納税」ですが、世田谷区長の保坂展人さんはこの「ふるさと納税」に真っ向から異議を唱えています。というのも、ここ最近「ふるさと納税」を活用する人が増えたことで、世田谷区の税収は億単位で純減しているからです。一般的な地方自治体は、自分の自治体だけでは足りない予算を国から援助してもらっています。だから、もしも「ふるさと納税」で税収が減っても国が補ってくれるシステムになっているのです。ところが、世田谷区のように税収に恵まれている所には国からの援助がありません。つまり、世田谷区は「ふるさと納税」を利用されれば利用されるほど世田谷区に入ってくる税収はマイナスになってしまう。これが2億円から3億円といった感じで膨らんでいるため、このままだと世田谷区の行政サービスが十分にできなくなってしまうと訴えているのです。「ふるさと納税」をめぐっては、いまや「企業版ふるさと納税」もあるほどで、あまりに地方にお金がないもので、これからどんどん盛り上がっていく方向にあります。しかし、それは国のコントロールが効かない状態で地方にお金を回すことになって、今はまだ痛みに耐えられるレベルの減り方ですが、これから「ふるさと納税」を利用する人が増えてしまうと、世田谷区のような場所でも成り立たなくなってしまうというのです。そもそも世田谷区に家や会社がある場合、ゴミの回収や上下水道、公共施設などの行政サービスは世田谷区が行っているのです。それなのに、行政サービスをしているわけでもないのに「お肉がもらいたい」みたいな理由で地方にお金が行く。確かに、このシステムはものすごく謎です。こうしたものに異を唱えるでもなく、お国のやることに従うだけのポンコツ区長やポンコツ市長がたくさんいる現代のニッポンにおいて、保坂展人さんのような人は貴重になってしまっているというのが現状です。


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