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【選挙ウォッチャー】キャッシュレス決済で消費税2%還元という愚策。

先日、安倍晋三総理が来年10月に予定通り、消費税を10%に引き上げることを発表しましたが、キャッシュレス社会を目指そうということで、クレジットカード等で支払う場合には消費税2%分を還元するという仕組みにすることを検討しているそうです。クレジットカードを利用すれば、どの商品を買うにしても単純に2%安く買えるということになりますので、コンビニでも薬局でも、それまで現金で払っていたものをクレジットカードで支払う人は多くなると思うのですが、ここにはとても大きな落とし穴がありますので、皆さんと情報を共有したいと思います。

消費税を10%にするけれど、クレジットカード等で支払う場合には2%還元するので、実質的に8%と同じという仕組みは、富裕層はより裕福に、貧困層はより貧困に陥る愚策中の愚策です。本来、国の役割というのは弱者をいかに救済するかが使命なのに、それを放棄して、貧困層がより貧困に陥るような政策をしようというのですから、これほど頭の悪い政権は見たことがありません。詳しく解説しましょう。


■ クレジットカードを持てない貧困層は、より貧困になる

実は、クレジットカードを持っているという人は、一定の収入と信頼がある人です。自己破産したことのある人は持つことができないし、資産や収入が基準を満たさない人はクレジットカードを持つことができません。そもそもクレジットカードというのは誰でも当たり前に持てるものではないのです。なので、まずクレジットカードを持つことができない人たちは2%のキャッシュバックが受けられず、10%の消費税を払うしかありません。EdyやSuicaのような電子マネーもキャッシュレスではないかと思うかもしれませんが、現金をチャージしなければならない時点でキャッシュレスとは言えないので、銀行口座と直結したEdyやSuicaなどの電子マネーが登場すれば、キャッシュレスと言えるかもしれません。もしかしたらアコムやプロミスなどの消費者金融カードもキャッシュレスとして扱われるかもしれませんが、そもそも計画的にお金を使えない人や借金をしなければ生活できないほどの貧困層がアコムやプロミスを利用するわけですから、これはこれで地獄の入口です。ご存知の通り、消費税には「逆累進性」があり、消費税が高くなると、裕福な人ほどダメージが少なく、貧乏な人ほどダメージが大きく、生活は苦しくなります。例えば、100万円持っている人の10%は10万円で、10万円という金額だけ聞くと大きいように思えますが、90万円も使えるお金があるので、大した問題ではありません。一方、10万円しか持っていない人は、10万円で生活しなければならないのに、そのうちの1万円を税金として納めなければならず、どうにか9万円で生きていかなければならなくなります。このように消費税というのは貧乏な人ほど苦しめられる徴税方法だということです。これらを踏まえた上で、クレジットカードを持てる裕福な人は消費税が上がっても困らないのに8%でお支払いになり、クレジットカードを持てない貧乏な人は消費税が上がると困るのに10%のお支払いになる。つまり、安倍政権がやろうとしていることは弱者の救済ではなく、「弱者叩き」であると言えます。


■ 本当はクレジットカード会社への利益誘導である

そもそも「一度は取った税金を少しだけ返す」という概念は存在するのでしょうか。今、政府が言っていることは「消費税を10%払ったら消費税が2%返ってくる」という話です。だったら最初から8%を徴収すればいいじゃないかというところを「一度は10%を取るけれど8%だけ徴収して2%を返す」という、ものすごくややこしいことをしようとしているのです。だいたい「返さなければならない(支出のある)税金」なんて聞いたことがありません。となると、この2%還元というのは国家ではなく、民間で負担させられることになるのではないでしょうか。なにしろ東京五輪の医療スタッフですらボランティアにさせられているのですから、キャッシュレス社会を実現するための協力は民間の犠牲のもとに成り立つというわけです。

キャッシュレス社会になって、まず得をすると考えられているのがクレジットカード会社です。クレジットカードというのは、クレジットカードが使われるたび、お店から手数料をいただき、カード会社が儲かるシステムです。社長さんが持っているようなクレジットカードになると、年会費に数万円から数十万円かかるものもありますが、ビジネスモデルとしては年会費よりも手数料の方がメインです。クレジットカードを利用するとポイントがついたりして、利用者には得がありますが、どうして得をしているのかと言うと、その分のお金を店舗が払っているからだということになります。例えば、クレジットカード会社がお客さんに2%のポイントを還元する場合、店舗がクレジットカード会社に5%の手数料を払い、そのうちの2%をお客さんに還元するポイントに使い、3%がクレジットカード会社の収入になるといった具合です。これを踏まえて、もしクレジットカードを利用したら消費税分の2%を還元するという世界になったら、どのようなことが起こるでしょうか。まずは想像してみましょう。

①店舗から手数料の5%を取り、ポイントとして2%を還元し、消費税として2%を還元し、クレジットカード会社が1%の利益を得る。

この場合、クレジットカード会社の利益は大幅に減り、クレジットカード会社がまったくおいしくないことになります。せっかくクレジットカードを使ってくれる人が増えたのに、利幅を下げてどうするんだということになるので、このシナリオはあり得ません。もしかしたら、クレジットカードの利用者が増えることを計算した上で、ほんの少しだけ手数料を下げることはあるかもしれませんが、トータルではクレジットカード会社が今より利益を減らすことは考えられないので、下がる手数料は微々たるものだと思います。

②店舗から手数料の5%を取り、従来のポイントは還元せず、その代わりに消費税の2%を還元し、クレジットカード会社が3%の利益を得る。

この場合、お客さんは全商品2%引きで買うことができるので得をすると言えば得をするのですが、そのクレジットカードを使うメリットはなくなります。クレジットカード会社はさまざま存在しますが、そのクレジットカード会社である必要がないということは、ライバル会社に客を取られる可能性があるということです。自分のところのクレジットカードが一番良いと思ってもらわないといけないので、やはり独自のポイントは欲しいところです。

③店舗から手数料を7%取って、ポイントとして2%を還元し、消費税として2%を還元し、クレジットカード会社が3%の利益を得る。

この場合、店舗の負担額は増えますが、お客さんもクレジットカード会社も損をすることはありません。おそらく、この路線が濃厚ではないかと思います。しかし、これには深刻な落とし穴があります。それは、クレジットカードを利用する人は増えるけれど、「消費が増えるわけではない」ということです。つまり、店舗がクレジットカード会社に支払わなければならない出費が増えるため、その分、利益は減ります。そうすると、それを補うために価格を高くするか、人件費をはじめとするコストを下げて対応するということになり、社員の給料が上がらないなどの弊害が出てきて、人々の苦しい生活に拍車をかけることになります。


■ キャッシュレス社会で非正規雇用が増える可能性

店舗を経営していると、必ず発生するのが「売上」です。例えば、全国10店舗の飲食店を経営していて、各店舗の1日の売上が100万円になるような繁盛店だったとします。毎日、店を閉める頃にはレジの中に100万円の現金があるので、この現金をレジに置いておくことはできず、閉店後に銀行口座に移す作業が必要になります。このお金を移す作業を誰にやってもらうかという話なのですが、正社員の店長なら任せられるけど、今日来たばかりの新人バイトに任せるのは不安です。100万円を持ってトンズラこかれたら最悪なので、お金の管理を任せても安心な人にお願いするということになります。そうすると、やはりバイトよりも正社員ということになり、正社員にはある程度の安定した収入や福利厚生を用意しなければならず、雇用するコストは高くなります。全国に10店舗あるのであれば、各店にお金を管理できる店長を置かなければならなくなるため、10人の店長が必要になるかもしれません。ところが、もしキャッシュレス社会が実現すると、「お金の管理を任せる店長」というものが必要なくなります。最初から「お金」が存在ないので、社長がパソコン上で銀行口座の管理画面を見れば済む話になるのです。ということは、店舗で働く人間は全員バイトで良くなるということになります。そうすると、人件費をカットできるようになる。大手企業ではクレジットカード会社の手数料が増えたとしても、こうやって人件費をカットしてしまえばトータルでは得をするかもしれない。逆に、社長が自らお金を管理しているような零細企業では、ただクレジットカード会社に支払う金額が上がるだけで、利益は目減りします。このことからも分かるように、このキャッシュレス社会の実現というのは完全なる弱者の切り捨てであり、富裕層や大手企業だけが得をするシステムということになります。


■ 本当は怖いかもしれないキャッシュレス社会

キャッシュレス社会では、カードが止められたら一切の買い物ができないという現象が生じます。クレジットカードを利用している人が、たまに「限度額に達しているから今月は使えない」なんてことをこぼすことがあると思いますが、お金がなくてカードが止まるのは、まだどうにかなります。しかし、恐ろしいのは「犯罪をした人は国家がカードを止める」ということが起こった場合です。カードが止められてしまうと、いくら口座にお金があっても買い物をすることができなくなり、生活に困るようになってしまう。もしかすると「犯罪をしたのが悪いんだから、そんな奴の口座が止められるのは当然だ」と言ってしまう人がいることでしょう。しかし、もし日本に徴兵制が導入されたとして、徴兵を拒んだ人間はカードが使えないようになると言ったら、どうでしょうか。一生買い物ができないというハンディキャップを背負って生きていくのは大変なので、仕方なく徴兵制に応じることになるでしょう。あるいは、総理大臣の悪口でも言おうものなら「不敬罪」などと言ってカードが止まる世の中になったらどうしましょう。僕は今、「NHKから国民を守る党」の代表で葛飾区議の立花孝志さんに「オマエとオマエの会社を訴えて、noteの売上を差し押さえてやる!」と言われています。もう既に気に入らないことがあると、こうやって嫌がらせのように生活できなくさせてやろうと考える議員が存在しているのです。もちろん、今は地方議員の一人に過ぎないので、今の日本がすぐにそうなるかと言ったら、そんなことはないかもしれません。しかし、いつどんなバカが総理大臣になるのかはわかりません。もう既になかなかの人物が総理大臣をやっている時代なのですから、次元の違うバカが総理大臣になったら大変です。そんな時、僕たちはキャッシュレス社会によって国家に従わなければならない時代がやってくるかもしれない。そのリスクを承知の上で、皆さんがキャッシュレス社会を望むということは覚悟していただきたいと思います。


■ 安倍晋三総理は「貧乏」を想像できない人間である

幼少の頃から政治家のお坊ちゃまとして生きてきた安倍晋三総理は、人生で一度も「貧乏」を経験したことはありません。つまり、お金のない人の気持ちなんて1ミリも分からないということです。今、かなりギリギリの生活をしていて、消費税が2%上がるだけで日々の生活が赤字になってしまう人たちの気持ちなんて、想像したこともないのです。あらゆるものに「新自由主義経済」を取り入れようとしている安倍政権は、「弱者になるのは自業自得である」と考えており、「オマエがお金を稼げないのはお金を稼ぐ努力をしなかったからだ」ということにしています。しかし、人間はいつ経済的弱者になるかは分かりません。例えば、明日にも脳卒中になって1年ぐらい働けなくなるかもしれないわけで、そんな人でも安心して生きていけるのが「国家」というもののはずなのですが、脳卒中になったことさえ「日頃の生活習慣が良くなかったのだから自業自得だ」と言い出し、そういう人たちが食べる米や野菜にも容赦なく10%の消費税をかけることになるわけです。海外には日本より消費税が高い国がありますが、そういう国々には弱者を救済する制度がしっかり整っているし、公文書を改竄しないし、例えば、食べ物には消費税がかからなかったりするし、全世代の医療費や教育費が無料だったりするのです。ところが、日本は食べ物にも消費税がかかるし、医療費や教育費にもお金がかかる。公文書が改竄されているので本当のデータがわかりません。徴収された税金はわずか1ヶ月間しか開催されない東京五輪のスタジアムなどのハコモノ、道路、ダム、基地、オスプレイやイージス・アショアなどに使われ、これだけ熱中症で倒れる人が多い時代にもかかわらず、小中学校の教室にはエアコンもついていないし、貧困ゆえに栄養のあるゴハンを食べられない子どものための「子ども食堂」は、国の補助があるわけでもなく、民間のボランティアの手によって運営されているほどです。無駄なものばかりに税金を使い、国民の生活は蔑ろにされている現実。なのに、日本で暮らす人たちは政治に無関心すぎて、消費税が10%になることに何と言っているのか。「計算しやすいからいいよね!」です。せめて消費税を上げるなら、税金の使われ方ぐらいチェックしたいところですが、「無駄なものに使われている」という認識を持ちながらも、無駄なものに使っている政治家たちに投票しているのです。取り返しがつかないところまで進んでから「これではダメだ」と思っても、その時にはもう遅いかもしれません。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

安倍晋三総理が「消費税を10%にする」と言い出しても、ほとんどの国民が素直に受け入れた日本。僕たちの生活は確実に苦しくなっているのに、税金の無駄遣いを認め、「これこそが経済を回すもの」などと言っているのです。もう北朝鮮のことを笑えません。だいたい、無駄なものは何をやっても無駄なのです。本当に使わなければいけないところにお金を使わず、使わなくていいところにお金を使っているのですから、そんなものを認めていいはずがありません。もう少し政治や選挙に関心を持たないと、僕たちの生活はますます苦しくなり、弱者は死するのみです。国家に殺される国が幸せであるとは思えないので、身近な生活を豊かにするために、どうすればいいのかを考えましょう。[了]

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