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【選挙ウォッチャー】 杉並区長選2018・分析レポート。

もともとは民主党系の区長だったのに、今となってはすっかり利権野郎になってしまい、自民党と一緒になって福祉をどんどん削減しては民営化している現職の田中良区長。区長のやり方を批判する人は意外と多く、6月10日に行われた中野区長選と同じような構図になりました。中野区長選は立憲民主党から立候補した酒井直人さんが現職を下すという歴史的な選挙になりましたが、今回の杉並区長選はどうだったのでしょうか。弁護士の三浦佑哉さんを推す声も大きかったと思いますので、敗因と今後の展望を分析します。

南 俊輔  33 新 総理大臣を目指す男
木梨 盛祥 68 新 自民党ベテラン区議
田中 良  57 現 自民・公明推薦
三浦 佑哉 34 新 弁護士

6月10日に行われた中野区長選が劇的な勝利だっただけに、ほぼ同じ構図である杉並区長選でも劇的な勝利を期待する声は少なくなかったのですが、現実はそう甘くありませんでした。選挙に負けない自信があるからこそパワハラやセクハラ、公用車の不正利用疑惑などがまかり通るのです。選挙期間中にひっくり返すためには事前の準備が必要不可欠です。選挙期間が1週間しかないと思っていること自体が間違いなので、日頃から街で起こっている不正に対し、住民が敏感になっていかなければならないのだと思います。負けるたびに学習し、僕たちは強くならなければなりません。


■ パワハラ・セクハラ問題が浮上している田中良区長

ゴリゴリに利権に突き進んだ中野区長の田中大輔さんと異なり、お隣の杉並区長・田中良さんはパワハラやセクハラが問題になり、一言で言えば「偉そうなジジィ」なのだと思います。人間性という意味で言えば、中野区も杉並区も、どちらもクソであることに変わりはありませんが、新たなハコモノを作るために税金をジャブジャブ使って文化を破壊する中野区長と違い、ただ「偉そうなジジィ」というだけの田中良さんは、保育園を壊すことはあっても、文化を壊す怪獣ではないため、猛烈に嫌われるところまでは至っていませんでした。日本ではパワハラジジィが当たり前すぎて、多くの人に「パワハラ耐性」がついているため、区長がパワハラを繰り返していても「パワハラをうまく交わすスキルが必要だよね」ぐらいの話になってしまい、なかなか「けしからん!」というムードにはならないのでした。

ただ、そのパワハラの影響は確実に選挙に現れていました。現職の市政を批判して立候補した自民党の木梨盛祥さんの選挙を、議会でパワハラされた女性議員が手伝う一幕があり、三浦佑哉さんを応援する地元議員たちもまた「パワハラ・セクハラ・恫喝区長はもうゴメン!」というボードを掲げ、区民にアピールしていました。しかし、田中良区長の酷すぎる会議での振る舞いは、なかなか区民に伝わっていなかったのです。また、選挙戦略の観点から言うと、このようなボードを掲げるというのは「マイナス効果」になってしまうので、この後、選挙戦略の重要さについて解説したいと思います。


■ 公用車を私的利用して歌舞伎町に乗り付けている疑惑

かつて東京都知事の舛添要一さんが公用車で温泉付きの別荘に帰っていて「私的利用だ」と糾弾され、最終的には都知事を辞任することになりましたが、杉並区長の田中良さんは産経新聞で公用車の私的利用疑惑が報じられても、まったく悪びれる様子もなく、何事もなかったかのように選挙に立候補しています。

産経新聞が報じたところによると、2017年は年間使用の約3割にあたる80日で午後11時以降の利用だったことが発覚。運転日誌から新宿区に48日行っていて、うち28日については情報公開請求をかけても公務の内容が不明。午前0時を回った日も27回あり、「新宿で飲み歩いている」と指摘されています。田中区長は新宿区には行政機関や式典会場となる民間施設が多数あり、昼間に時間が取れない場合には夜に懇談し、それが重なることがあると説明しています。しかし、そんなにたくさん深夜の会合があるものでしょうか。午後11時以降に懇談しようと言ったら、多くの社会人が心配すると思いますし、いくら昼に時間が取れないと言っても午後11時過ぎから懇談を始めるのは、それに付き合う人も大変なはずです。フリーランスのライターですら午後11時から打ち合わせをすることなんてないのに、区長が午後11時から打ち合わせや式典に参加するものでしょうか。明らかに辻褄の合わないことを平然といってのける神経。この時点で人間性を疑うクソ加減です。


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