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【選挙ウォッチャー】 統一地方選2019・自由を守る会で何が起こっているのか。

首都圏を中心に候補者を擁立している地域政党「自由を守る会」に、今、異変が起こっています。自民党や公明党といった国政政党のことは多くの方が知っているのですが、ほとんどのは「自由を守る会って何?」という感じだと思います。僕も「選挙ウォッチャー」になっていなければ存在すら知らなかったと思うのですが、こう説明すれば、なんとなく分かる人もいるのではないでしょうか。前回の衆院選の時、都民ファーストの会の小池百合子さんが「希望の党」を作る大博打に打って出た時、音喜多駿さんとともに都民ファーストの会を離党した上田令子さんが作った地域政党、それが「自由を守る会」です。

本当は自民党や公明党といった大政党の闇こそ報じなければならないのですが、小さな選挙も片っ端から見ている僕なので、ここ最近の「自由を守る会」の迷走ぶりは、触れずにはいられない「気になる出来事」の一つとなっています。この「自由を守る会」については、今のところ「良い政党である」とも「悪い政党である」とも言えないのですが、とにかくウォッチングして「党の本質」というところを見極めたいと考えています。かつて「NHKから国民を守る党」「良いとも悪いとも言えない」というところからスタートしましたが、今は完璧に「皆さんに警鐘を鳴らす存在」となりました。「自由を守る会」についても、本当に市民のために活動してくれる政党なのか、本当に自由を守るつもりがあるのかを見ていく必要がありそうです。


■ 町田市議の矢口真由さんが「自由を守る会」を離党

「自由を守る会」の異変は、町田市議の矢口真由さんが離党したことに象徴されています。矢口真由さんは今年2月の町田市議選で、上田令子さんのバックアップのもと、町田市議選で最も「ドブ板選挙」を展開し、見事に当選を果たした人物です。立憲民主党の東友美さんと並び、町田の「美人候補」ということで、取材する僕のテンションも上がったものでしたが、選挙期間中、あれだけ上田令子さんに背中を推されていたのに、その「自由を守る会」を離党するというのは、なかなかの話であると言えると思います。矢口真由さんは当選直後から政治報告をブログで展開していますが、そこには音喜多駿さんと妻である三次由梨香さんをめぐる週刊誌の報道に関して、党首や幹事長から納得のいく回答が得られなかったこと、党を変えようと努力したものの、他の党のスパイや裏切り者のように扱われてしまったことなどが綴られていました。党のために意見を言えば言うほど孤立を深める形になってしまったのかもしれません。党に限らず、会社などでもよく起こることだと思いますが、真面目に取り組んでいる人が悪者になり、自浄作用を失っていくのだとすると、「自由を守る会」に輝かしい未来は待っていないと言えるかもしれません。


■ 週刊文春が報じた「セフレ容認契約書」は誰がリークしたのか

矢口真由さんが離党する決定打となったのが、週刊文春が音喜多駿さんの嫁である三次由梨香さんには夫と結んだ「セフレ容認契約書」なるものが存在すると報じたことです。ぶっちゃけた話、夫婦の間でどんな取り決めがあっても、そいつは夫婦の話であり、それがたとえ「セフレを容認する」というものであったとしても、そんなのは第三者である僕たちには知ったこっちゃない話です。夫婦がお互いに納得しているものに、いちいち関係のない第三者が割って入って「そんなのはけしからん!」とか言っていたら、そいつの方がよっぽどややこしいです。世の中にゲスな話題を提供してキャッキャ言わせるのが週刊誌の役割だとして、美人政治家が夫婦間でセレフ容認契約書を結んでいるって話は「オモローな話題」ということになろうかと思いますし、それを読んだどこかのハゲが「それなら俺がセフレに!」的なことを言って、最終的にはどこかの個室ビデオ屋にでも入ってシコるのだと思いますが、問題はそんなことではありません。

音喜多駿さんは、この報道をキッカケに上田令子さんと組んでいた「かがやけTokyo」という会派を解消することを発表しました。その理由は、この話をリークしたのが上田令子さんの側近である可能性が高いからだと言います。そして、音喜多駿さんは「自由を守る会」に対して、リークした可能性があることについての回答を求めていましたが、今のところ、まともな回答を得られないままとなっているようです。この問題のポイントは、音喜多駿さんの嫁である三次由梨香さんが「自由を守る会」に所属している議員であるということにあります。先日、音喜多駿さんはクラウドファンディングで1000万円集め、「あたらしい党」という新政党を立ち上げましたが、ここに三次由梨香さんの姿はありませんでした。葛飾区議選の時には音喜多駿さんと上田令子さんが並んで立つこともあったと記憶していますが、どのあたりから仲が悪くなってしまったのか、今は週刊誌に情報をリークするまでに関係が悪くなってしまったということでしょうか。

しかし、もし新政党の「あたらしい党」を立ち上げた音喜多駿さんを貶めるにしても、セフレ容認契約書の件を週刊誌にリークするやり方は、きょうび、マフィア映画のボスでもやらないんじゃないかというほど、まったく仁義がありません。先程も言ったように、三次由梨香さんは「自由を守る会」に所属している議員なのです。つまり、これは仲間をぶっ殺してでも音喜多駿さんにダメージを負わせようという手法になってしまいます。こんなことをしてしまうと、上田令子さんについている部下たちは「今度は自分が殺されるのではないか」と戦々恐々になるでしょう。音喜多駿さんだけにダメージを喰わせるやり方をするならともかく、相手にダメージを負わせるために自分たちの仲間がそれ以上のダメージを負うなんて、こんなサイコパスなやり方があっていいはずがありません。なので、矢口真由さんが離党するのも納得であり、上田令子さんの狙いがさっぱりわかりません。上田令子さんがまったくのノータッチで起こってしまった騒動だとしても、そこは仲間を傷つけるようなやり方をする無能こそ真っ先に首を切るべきでしょう。上田令子さんはこの件に関して、党として組織的にやったことではないということを釈明していますが、それ以上のことはコメントをしていません。


■ 上田令子さんは「頼りがいのある姐さん」であってほしい

上田令子さんは地元のママさんたちから頼りがいのある姐さんとして慕われており、江戸川区で圧倒的なトップ当選を果たすような人物です。「みんなの党」と関係が深いため、葛飾区議選の時には大森有希子さんの応援に渡辺喜美さんがやってきて「シャキーン!」などとクソみたいなギャグをかましていました。そして、町田市議選の時には政党のバックアップもない普通の主婦を脅威のどぶ板選挙で当選に導くなど、その選挙の強さはピカイチだったはずでした。

ところが、先日の草加市議選では「ネクスト草加」の津田洋一さんを応援するも、あれだけポンコツ臭の漂っていた日本維新の会の小森重紀さんや、ゴリゴリのネトウヨで「メルセデスベンツのエンジン音を聞くと英霊と一緒になれる気がする」でお馴染みの矢部正平さんが当選を果たす中、2期連続となる落選を決めてしまいました。品川区長選では羽田空港の新飛行ルートという超重要な争点があったにもかかわらず、都民ファーストの会が野党共闘で佐藤裕彦さんを推していることを受け、西本貴子さんを擁立して票を割り、結局は自民党の現職である浜野健さんが勝ち、羽田空港の新飛行ルートを実現し、品川区民が騒音問題で悩まされる原因を作ってしまいました。勝てる見込みがあったわけでもないのに嫌がらせのために擁立したようにしか見えないため、上田令子さんが市民や区民のために政治をしているのかどうかが、さっぱりわからなくなってしまいました。このままでは慕ってくれる人も離れ、ますます孤立することになりかねないので、ちゃんと区民や市民のために仕事をする議員になってほしいと思わずにはいられません。

来年4月には統一地方選がありますので、おそらく「自由を守る会」からも候補者が擁立されることでしょう。しかし、この人たちが本当に区民や市民のために働いてくれるのかどうかは「わからない」と言えるようになってしまいましたので、しっかりと候補者と話し、本質を見極める必要が出てきました。世の中の動きとしては、立憲民主党がどこにどれだけの候補者を擁立するのかという点の方が興味があると思うのですが、党利党略のために区民や市民のための仕事をほとんどしない無能のポンコツを議員にして、税金を無駄に使うのは良いことではありません。議員はハローワークじゃないので、ちゃんと仕事のできる人を議員にしましょう。


■ 統一地方選の前哨戦となる来年3月の台東区議選に注目

このレポートは、まさに「選挙ウォッチャー」としてやってきたことが少しだけ実になったものと言えるかもしれません。なにしろ、葛飾区議選町田市議選品川区長選草加市議選と、さまざまな選挙を串で通してまとめることで、何が起こっているのかをわかりやすく紹介できるようになったからです。一見、それぞれの選挙を見て、その結果がどうこう言っているように見えて、こういう問題が起こった時に、「あの選挙ではどうなっていて、この選挙ではどうなっていたから、きっとこんなことになっているんじゃないかな」ということが言えるようになるというわけです。それまで「選挙ウォッチャー」を職業にする人が存在しなかったため、これまでだったら、ただ美人市議が離党しただけの話になって終わっていたところが、「そうなんだよ、最近、ちょっとおかしいんだよ」と伝えられるようになったというのは大きな話だと思うのです。「自画自賛かよ!」って話なのですが、自分のやっていることが不毛に思える職業でもあるので、少しでも実を結ぶようなことがあると嬉しいのです。

さて、統一地方選の前に、ぜひ皆さんにチェックしていただきたい選挙があります。それが3月17日に行われる予定の台東区議選です。同時に台東区長選も行われるのですが、台東区は4月の統一地方選に先駆けて3月17日に行われる予定になっています。先日、上野の街をぶらりと歩いてみたのですが、早くも都民ファーストの会の二連ポスターが貼られており、さっそく選挙に向けて動き出していました。現状、上田令子さんは都民ファーストの会を落とすことに情熱を燃やしているように見えるので、どのような戦いになるのか、今から注目です。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

上田令子さんとの会派を解消し、「あたらしい党」を立ち上げた音喜多駿さんは、現在、日本維新の会と新たな会派を組むとしています。つまり、「あたらしい党」の政策は「日本維新の会」と共通するものが多く、会派を組めるほど近いということになります。一方、「自由を守る会」もまた渡辺喜美さんと縁が深いことを考えると、やはり「新自由主義」を掲げている政党ということになり、もともと同じ会派を組んでいたことから考えても、政策は似ていると言えると思います。新自由主義とは社会に「弱肉強食」の原理を取り入れるに等しく、強いものが栄え、弱いものが滅ぶのは当たり前だという考え方です。安倍政権が進んでいる方向も、大阪維新の会が進めている方向も「新自由主義」なので、日本はどんどん「新自由主義」が当たり前になりつつあります。消費税が高くなり、年金をもらえず、自己負担額は多くなり、地味に物価だけが上昇し、電気代や水道代など生活に不可欠な料金も値上がりする中、「払えなくて困るのはオマエが無能だから」という社会がすぐ目の前までやってきていて、そんな政党の人たちが仲間を殺すことも厭わず、自分たちの島を広げるために仁義なき戦いをしている。これが大政党のやっていることならドラマティックなのですが、小さな地域政党の人たちがこれを繰り広げているので、誰も興味がありません。もっと市民や区民のために働いてくれる小さな地域政党があったら応援したいのですが、今のところ、「ここは最高や!」という政党は見つかっていないというのが現状です。これはもう市民が自分たちの手で作る以外にはないのかもしれません。とにかくみんなが政治に興味を持つところがスタートラインです。[了]

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