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自己紹介(3)

今回は私の言説のもとになっている死生観に触れてみたいと思います。死生観は「生きる意義」を規定し、正しい生き方を探るもとになります。

基本的には、ブディズムの死生観を踏襲していますが、現代的な表現にするために、科学の知見数学の集合の概念を導入しました。このような試みはあまり見られないと思いますが私の個人的な死生観を述べるために必要なものです。

生命循環モデル:The Model of Life Circulation

ブディズムによれば生命には2つの循環モードがあります。第1循環モードは「繁殖に基づく輪廻」であり、第2循環モードは「阿弥陀仏の他力による生まれ変わり」です。人体はブディズムでは五蘊〈ごうん〉の集合体と言いますが、科学的には37兆の細胞の集合と考えられます。これらの細胞は組織、器官などの部分集合をなし、所定の機能を担っています。

ここに生命循環モデルver.0.1を掲載します。

生命循環モデルver.0.1
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生命循環モデルは、この世の太郎さんが衰えて死亡し、浄土に生まれ変わるプロセスを表現しています。
この世の太郎さんは37兆の細胞の集合ですが、死亡しますと細胞は全て失われ、点線で示された「集合の境界」と「太郎と言う名称」だけになります。

集合の境界は目には見えませんが、ハタラキとして存在しこれが太郎さんの形態になります。人間は「名称」と「形態」だけでものの存在を認識しますから、太郎さんは浄土に往生しても認識されます。

現世は来世と対比しており、現世には現在、過去、未来を含むこの世です。来世は完全にバーチャルな極楽浄土で仏の世界になります。現世は4次元時空、来世は3次元空間です。
矢印は平衡状態から平衡状態への遷移を示しています。

生命循環モード

第1循環モードは輪廻転生です。輪廻は人間の生きざまを長期に渡り観察して得られた法則でしたが、科学により遺伝子の循環であることが明らかになりました。繁殖による遺伝子循環です。

遺伝子は繁殖により減数分裂しながら固体を乗り換えつつ循環し、過去の情報を未来に伝えて行きます。太郎の生きざまは遺伝子に加えられ子孫に受け継がれて行きます。

第2循環モードは太郎と言う個体の生命循環です。太郎の生存欲は繁殖により達成されていますが、太郎自身の個体としての生存欲が満たされてはおりません。臨終を迎えてもまだ強い生存の欲求があります。

そこで、阿弥陀仏のハタラキである回向によって極楽浄土に生まれ変わります。回向は阿弥陀仏の本願力による功徳が振り向けらることです。これが極楽に逝くと言う意味で往相回向と呼ばれます。

往生してからも成仏を目指して修行し、成仏を成就すれば仏となり、現世に回帰して人々を仏道に導きます。これが還相回向です。仏の神通力のハタラキです。

こうしてやっと第2凖巻モードが完成します。

状態遷移を示す矢印を説明します

  1. 死亡(老衰)
    太郎は老衰して死亡します。この時、細胞は全て失われ、集合の境界だけが残り、これが死亡した太郎の形態です。人間は名称と形態が有れば存在を認識しますから脳裏に描いて認識できます。

  2. 往相回向
    太郎は死亡してなお生存願望があります。太郎は阿弥陀仏に帰依して極楽浄土に生まれることを願い、極楽往生を果たします。このハタラキは阿弥陀仏の回向によよって実現しますから往相回向と呼ばれています。

    太郎は往生して不退転の位になりますが、成仏した訳ではありません。仏界におられる全ての仏達を日々供養し、経典を読誦して成仏を目指して修行します。めでたく成仏したら神通力を得て仏としてのハタラキが出来るようになります。

  3. 還相回向
    成仏を果たした太郎は、阿弥陀仏の代わりにこの世に立ち帰り、人々の悲しみを除き、慈しみを垂れ、知恵を授けることができます、このハタラキを還相回向と呼びます。

    この往相回向と還相回向により現世→来世→現世の循環が成立して第2循環モードが完成します。

  4. 輪廻(繁殖)
    輪廻は歴史的に人間社会の在りさまをつぶさに観察して得られた経験則ですが、遺伝子の発見により修正を余儀なくされています。

    輪廻転生するのは現世に存在する個体ではなくその遺伝子であることです。
    遺伝子は過去、現在、未来と固体を乗換えながら、しかも減数分裂しながら循環し行きます。

    太郎は死亡しても子を成しておれば太郎の遺伝子は生き残ります。これが第1循環モードです。


生命循環モデルの意義

  1. 集合論を導入して生命の循環を可視化したこと
    ブディズムの世界は主として人間の生命循環に関わる世界です。このモデルにより、合理的に生まれ変わることができることが明らかに成ると思います。

  2. 現世と来世の位置付けが明確になること
    これまで仏教では人間の魂魄を否定していますので、極楽に往生おするといっても主体は何か明らかにしていません。このため重要な極楽浄土の存在があやふあやなものになりかねませんでした。

  3. 往生浄土の主体の形態を可視化したこと
    人体を細胞の集合であると定義したことにより、人間の形態が集合の境界で定義できるように成りました。これで現世の人も来世の人も脳裏では共に視認できる事実の裏付けができたのです。

  4. 信心に依らず帰依により極楽往生が説明できること
    極楽浄土に往生する主体が明らかでないと信じる外ないですが、帰依の究極が信心であると考えますと矛盾がありません
    帰依は頼ることでこの世のことですが、信心は現実を離れた信仰の世界です。

  5. 正しい生き方を考える拠り所ができること
    人生の正しい生き方はただ闇雲に探し回ることでは見出すことは難しいです。生命循環モデルを見れば自分の立ち位置が分かり、生きることの意義正しい生き方を考える拠り所となるでしょう。

    出来立ての生命循環モデルと未熟な死生観に最後までお付き合い頂きありがとうございました。引き続きバージョンアップに努めたいと思います。

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