見出し画像

就職活動続編(デザイン業界事情)@バルセロナ

デザイン分野でのバルセロナにおけるゆるゆる就活も早4ヶ月目に突入。なんだかんだで本日4社目の面接でした。

この大大大不況スペインで果たして自分の希望にマッチした職が見つかるのか?自分の面接での経験や、その業界で働いている(or 過去に働いていた)知人や親戚の話、ネットで情報を調べるうち、バルセロナはデザイン関係の職はかなり飽和状態、買い手市場感が他の職に比べて半端ないということが判明しました。

というのもバルセロナにはヨーロッパ内でも知名度の高いデザイン学校が二校程あり、そこ目がけて海外からも優秀な学生が集まってくるので、企業もそれに目をつけて新人をインターンシップなどの安月給で雇う、というのを繰り返しているところが多い様なのです。

特にグラフィックデザインの分野はやたらインターンシップやbecario(学業と平行して就業する)の求人が多く、これらは8時間労働の月給が手取り400~600€(8万円以下)程度と激安。becarioではない普通のデザイナーやアートディレクターの求人でも手取りで1000€(13.5万円)とかもザラ。その給与レベルで求人内容は「グラフィックデザインとwebデザインの実務経験が三年以上あり、Illustrator、Photoshop、IndesignとFlash(今更)が使いこなせ、HTML5、CSS3、Javascriptを使ったプログラミングが出来て、流暢な英語とスペイン語必須。」とか。そんなでも数百〜数千人の応募があるのです。ほんと日本の不況なんて目じゃない。

物価は東京と同等かそれ以上。(スペインの方が日本に比べ果物野菜が安くらいで、外食は東京より高い!家賃は同等、光熱費は東京より高い。)ヨーロッパでは共働きが基本としても、1000€とか一体どうなってるんですか状態。まあ給料の安さに関してはデザイン職に限ったことではないのですが、この国の若者が国外に出てしまったり、デザイナーがそんなに儲からなくてもフリーランスで働いている理由がよく解ります。

そんなこんなで私のこれまでの面接の経験サマリー。

一社目:ドイツ系が親会社の自動車メーカー(前回のブログで書きましたが)デザイナーというよりイベント運営とかが主仕事でプロデューサー色が強くNG

二社目:米大手電気機器メーカー

三社目:バルセロナが本社の化粧品メーカー

四社目:バルセロナの古株広告代理店

更にここから詳細。

二社目の米大手電気機器メーカーは妊娠時にスカイプで一次面接してくれた会社で、今回は担当部署のマネージャーとの二次面接でした。面接官はオランダ人で感じの良い人で、コミュニケーションを重視してか一時間半のみっちり面接。さすが米企業、一社目の上から目線な圧迫面接とはえらい違い。しかしこのポスト、Gデザインではなく実質UIデザイン職だった為、分野違いでご縁無しでした。これだけ競争率激しいスペインで分野違いではまず採用は無理な模様。

三社目の化粧品メーカー、その名はアレックス&ジョン(仮名)。バルセロナが本社で、スペインの他、ロンドン、アムステルダムに路面店を持っているというこぶりな会社でした。

夏のバケーションまっただ中の8月下旬にいきなり一本のメールが届き、「グループ面接したいからポートフォリオ持って9月に来て。」とのこと。了解ですと返事した翌日、今度は「面接前にXXのプロモーションデザインをして8月31日までに送ってちょ」と来た。おいおい、あと5日しかないではないの。旅先でマウスもネットもない中、子供を義母に預け、近所の知人にマウスを借り、ネットカフェにMacbookと缶詰になり奇跡的に1日で作品を仕上げ送信しました。

で、面接の日。バルセロナの中心地のアンティークな建物のワンフロアがオフィスで、そこに11人の応募者が集まりました。面接は我々で3回目だったらしく、その日面接によばれたのは合計35人程。時間になるまで皆一つの部屋に入れられて待っていたのですが、さすがスペイン、応募者同士で喋る喋る。

「グループ面接ってなにさ。こんな妙なやり方初めてだよ。」

「私なんて課題のメール来た時ビーチにいたのよ!バケーションシーズンに締め切り間近の課題送ってくるってどーいうことよ。」

「つか仕事あるんだけど!なんでこんなに待たされるの?」

「なんか結局一人ひとり呼ばれるらしいよ。」

「マジで!?」

「しかも英語面接だってよ!面接官イギリス人っぽいよ。」

「聞いてないよ!」

などなど。

結局面接は一人3分くらいで次々順番が来て、持ってこいと言われたポートフォリオも見ず。私の番が来てそこに現れたのはなんとジョン(経営者、何故かイギリス人)。これは、、ジョンソン&ジョンソンの面接でジョンソンが面接官だったみたいなものか。高速で質問を投げかけられそれに卓球のように答える私。給与の話になり「いくらが希望?」と尋ねられ、「えーXXX€くらいでしょうか」と言うとWhat!?と固まるジョン。次に「いや、ここスペインではデザイナーの給与は手取り1000€が相場だよ!」と。だったら聞くなよ、、

結局その場ではうまく丸め込まれたのですが、家に帰ってやっぱないわと思い「もう少し上が妥当かと」という主旨のメールしたところ「デザインじゃなくて日本向けのマーケティングの仕事にご興味があれば交渉に応じます。」と返事が来たので、お断りしました。なんか全てにおいて行動が思いつきというか適当すぎるよジョン。

四社目:バルセロナの広告代理店

本日行って来たこちらはバルセロナでは古株の代理店だそうで、割とまともそうな会社でした。面接も一対一。しかしなんと応募者が2000人もいたらしく、それを書類で100人に絞って、そこから更に20人に絞って面接している、あなたはその中の一人なんですが、まだあと十数人面接する予定なので3週間後くらいにお返事します、とのこと。

心無しか面接官の方は疲れている風ででした。また「この業界で働いたことがあるならご存知でしょうが、もっのすごく忙しいです。」と、、ネットで検索すると朝6時とかまで働いてる代理店の人とかがスペインにもいるらしく、古今東西広告業というのは忙しい模様。うーん、母親業と兼業は難しいのか。

という感じで道のりは相変わらず険しい。でも夫や現地の友人曰く、このスペインで面接に呼ばれるだけでも相当いい線行ってるぞ!ベンガベンガ〜(いけいけ)ってことなのでへこたれないで行こうと思います。でもいいこともあって、英語面接にもスペイン語面接にも慣れて来て全然緊張しなくなりました。もはや面接自体を楽しんでいる感もある。色んな会社の中を見られるのも結構面白いものです。

日英西語を活かした仕事に変更すると仕事は見つかりやすそうだけど、急いでないので家でプチデザイン仕事しつつもうちょっとのんびりやろうっと。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?