2019-2020セリエB第2節 欲を言えば勝ちたかったが、内容的には前進。キエーヴォ1-1エンポリ

エンポリは、キエーヴォと同じくセリエBに降格し、ストライカーのCaputo、Traorèなど多くの主力選手が去り、指揮官も今年からサッスオーロで指揮を執った経験のある、前ベネヴェント監督、Cristian Bucchiが就任した。

開幕節はセリエCから昇格したユーヴェ・スタビアをホームに迎え、2-1で競り勝ち、開幕2連勝をかけて、アウェイの地、ベンテゴディに乗り込む。

キエーヴォは、アウェイのレナト・クーリに乗り込み、ペルージャと開幕戦を戦った。しかし、今年から新Capitanoに就任したベテラン・Meggioriniのゴールで先制点を奪ったが、サンプから加入したフランス人DF、Leverbeが2度もリゴーレを与えてしまい、フォッジャ(保有権はベネヴェント)から移籍してきたペルージャの新ストライカー、Iemmelloのトッピエッダに屈した。

(前節のキエーヴォ-ペルージャのマッチレポートはこちら。)

・ポゼッションから攻めるエンポリ、カウンターを狙うキエーヴォの構図の前半。

立ち上がりは、なかなかキエーヴォの前線守備の開始する場所が定まらず、エンポリのDFラインから中盤を経由し、前に簡単に運ばれてしまい、キエーヴォからしたら良い立ち上がりとは言えなかった。
と言っても、エンポリも攻め切れない場面で、キエーヴォにボールを拾われ、アンカーのEspositoを中心に、サイドを軸にサイドにストライカーが流れ、前の人数をかけつつ、前に押し進めるカウンターを展開する。
エンポリの終いの甘さも感じ、エンポリペースで試合進みつつも、キエーヴォの攻め手も決してないわけではないと言う、ほぼ五分五分な展開。

・先制したのはエンポリ、キエーヴォの守備の隙を突く。

前も後ろも、甘さを見せたために、失点してしまった前半31分のシーン。


エンポリの3センターハーフの左、Bandinelliがハーフェーラインでボール受けるものの、ノンプレッシャーで前に進む。このとき、トップ下のPucciarelliは、チェックに行かず、スペースをただ埋めるだけで、Bandinelliがノンプレッシャーでサイドに展開してしまう原因となった。
Bandinelliから、レフトバックのBalkovecへ展開。中にカットインし、右足でクロスをあげるものの、1度はキエーヴォCBのVäisänenが跳ね返す。

しかし、ルーズボールを危険な位置でドフリーのJacopo Deziに気持ち良くシュート打たれてしまい、GKのSemperはノーチャンスで失点。

まず、最初に気になったのは、このポジションを守っている人たちのポジショニング。

LBのBrivioは論外ですね。どうしてそんなところ守っていたんですか?オフサイドも取れないし、良いことなしです。別に逆サイドからクロス上がった状況でニアゾーン守る意味もないだろうに。

Giakは…うーん元々攻撃的な選手だし、3センターハーフで使うとこういうカバーに回れるほど器用じゃないのは、わかっての起用のはず。
危険察知能力が高いセンターハーフ起用していれば、また違った結果になったかもしれないが、責任は7割くらいはサイドバックにあるから難しい。

総括すると、サイドバックとセンターハーフの間のスペースが空き過ぎ。
そりゃ、あんな危険な位置でスペースあげたら、そうなるよねと言う必然的な失点。

・それでも、前半のうちに追いつくキエーヴォ。

左サイドでMaggioとPucciarelliが粘り、LBのBrivioへ展開。
デュフェンスの抵抗にあいながら、グランダーのクロスボールを出す。

Giakがスルーし、CBのS.Romagnoliがボールにチャレンジできず、そのままĐorđevićの足元に流れ、これを軸足(左足)で流し込み、キエーヴォが前半のうちに同点に追いつく。

前半のうちに追いつけたのが非常に大きい!この時に返せてなければ、後述する後半の攻勢は絶対なかったから、試合の流れを考えても、貴重なゴール。

これはエンポリの守備陣のせいにするのは難しいかな…。
人は足りているし、Brivioのクロスは、無抵抗で上げさせたわけじゃなかった。Giakのスルーがボール(ゴール)の行方を5割決めたところある。

GKのBrignoliも決してポジショニング良いわけじゃないんだけど、そもそも目の前のDFでブラインド気味になってる気がするし、これでは、シュートの出処もわからない。


・後半の立ち上がりは、キエーヴォは前から行く。

前回のマッチレポートで、 Marcolini Chievoは、攻撃的なサッカーを展開すると説明した。立ち上がりこそ、なかなか前に出れなかったが、後半の今節は、相手が昇格候補のエンポリだからと言って、引くことはなく、ペルージャ戦と同じく、前からアグレッシブに相手とボールにチャレンジするサッカーにシフトすることができた。

エンポリのセンターバックは、ブレシアからやってきたSimone Romagnoliとギリシャ代表の新加入CBのDīmītrīs Nikolaouだったが、キエーヴォの果敢な前線守備によって、後ろから効率的なビルドアップすることができず、以下のような展開になり、前半とは異なり、キエーヴォペースで試合が進んだ。

「エンポリが後ろでポゼッション→キエーヴォの前線がボールへチャレンジ→ロングボール無理矢理前線に蹴る→キエーヴォのCBが跳ね返す→キエーヴォがハーフェーライン付近でボールを回収→ショートカウンター気味にゴールへ向かう」


・後半の決定機は、キエーヴォの方が多かった。

立ち上がり、人数かけた左サイド攻撃から、サイドに流れたMeggioのクロスから、センターハーフの位置から上がってきたSegreのボレーシュートは枠外。

50分、相手のビルドアップのミスを突き、Giakが絶好の機会でボールをPa内で持つものの、GKのBrignoliの好守に阻まれる。(Brignoliのミスだから自作自演だけど…)

51分、エンポリPa内付近で、CBのRigioneの謎のオーバーラップから、GiakがPaの外からミドルシュートを打つものの、Brignoliの正面。

その後の57分にもすぐまた、Giakがミドルシュートもまたしても正面。

68分、後半開始時にPucciarelliに代わって入ったレンタルバック組のGarritanoが左サイドでGiakとの絡みから、左サイドで遠いサイドに、マイナス気味にクロスあげるものの、Segreのボレーシュートは、枠外。

72分、左サイドのGiakのショートクロスを、Sergeが胸で落とし、GarritanoがĐorđevićに繋ぎ、GKと1vs1迎えるものの、シュートは、枠外に外してしまう。

84分、RBのBertagnoliがアーリークロスを上げ、Meggioと代わって途中出場のRodríguezが落とし、Đorđevićがキープしたこぼれ球をRodríguezが押し込むも、Brignoliが足で防ぐ。

この間、エンポリは、1度も決定機を迎えることなく、ほとんどエンポリ陣内でキエーヴォが試合することができた。
後半、これだけ決定機がありながら、1点も取れなかったのも問題だが、結果は1-1のドローで、別に勝ち点をすべて失ったわけではない。
昇格候補のエンポリ相手に、後半ここまで押し込むことができたのは、非常に収穫で、やはり今年は、サイドを軸に前へ真へ押し進めるサッカーは、昨年よりずっと可能性を感じる。

・ヴェローナへ去ったStepiskiの代わりは、Filip Đorđevićで十分。

開幕節は、Stepinskiがスタメンだったが、試合後、移籍志願し、今節はĐorđevićがスタメン。メルカートでは、高年俸ながら期待外れに終わった昨シーズンを受け、放出候補だったが、結局残留が決まった。あまり良い残留の仕方ではなかったが、今節のチャンスをしっかりモノにした。

それ以外にも決定機に絡み、外し過ぎの批判もあるが、ポストプレーも確実にこなし、今年のĐorđevićは、セリエB屈指のストライカーとなり、復活する可能性も十分ある。

・トリノからローンでやってきたSergeは、もうレギュラー当確で良い。

開幕戦のペルージャ戦は途中出場し、今節は、開幕戦の活躍が認められ、右のセンターハーフでスタメン出場。

豊富な運動量で上下動し、決定機にまで絡む運動量の多さで、好守に渡りチームに貢献。
あれだけ走れて、ゴール前でも仕事できる選手センターハーフの選手は、Aで戦っていた昨シーズンのキエーヴォには、見当たらなかった。

Hetemajがベネヴェントに去り、戦力ダウンがささやかれる中、開幕2試合でSergeは、堂々のパフォーマンスを魅せている。
このパフォーマンスならば、Hetemajがいても、なかなかスタメンで出る機会はないだろう。


・コゼンツァからのレンタルバックしたLuca Garritanoは、今シーズンは、センターハーフで新境地を開拓。

元々、今シーズンのキエーヴォは、4-3-1-2の布陣で攻撃的にサイドを軸に攻め立てるサッカーだが、指揮官のMarcoliniは、元々ウインガーのGarritanoをサイドハーフ気味のセンターハーフにうまく当てはめている。

守備のときは、センターハーフの守備タスクを課しながら、左サイドから攻撃するときは、サイドに開き、得意の形でゴールへ迫ることが出来る。
それに加え、右利きながら左サイドでそのまま左足でクロスを上げ切るシーンもあり、今ままでのGarritanoとは、違う姿を魅せている。

トルコのチームからレンタルバックしたObiも、Garritanoのほどのパフォーマンス魅せることが出来ればいいが、現状は、コンディション不良でベンチ入りもままならない。

・DFリーダーは、レンタルバック組のMichele Rigioneで決まりか。

キエーヴォ・プリマヴェーラ(その後インテル・プリマヴェーラへ移籍)出身ながら、28歳となる今シーズンで、やっとキエーヴォデビューを果たした苦労人のイタリア人CBは、ここ2試合のパフォーマンスは、確かなものがある。

昨シーズンは、BのテルナーナとCのノヴァーラで合わせて、16試合しか出場してなく、あまり期待していなかったのが正直なところだが、筆者の期待値を超える活躍を魅せている。

スピードこそ、あまりないものの、強靭なフィジカルと安全第一のプレーで、キエーヴォのデュフェンスラインを引き締めている。

Bani,Barba,Tomovicなど、多くの選手が抜け、不安視されたポジションだが、今のところは、Rigioneが堂々としたプレーを魅せているし、このままレギュラーポジションを確保してほしい。

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今週は、代表ウィークのため、試合がなく、けが人が多く出ている今は、な、恵みの1週間となるだろう。(その間に色々と書きたいことを消化したいところ…)

新戦力・レンタルバック組が多く台頭し、開幕前の調子の悪さが嘘のような立ち上がりである。いや、まだ1分1敗だから結果は出てないのだが、内容的には、昇格の希望を十分持てる内容だから、ポジティブになってもいいでしょ?

サンプからやってきたIvan、カリアリからローンで来たコロンビアの怪人Ceter、残留したVignatoなど、スタメンだと思われていた選手たちがまだ試合に絡んでいないのだ。上がり目は、まだまだある。

次節は、既に開幕節でトラーパニ相手に勝利を挙げているヴィネツィアと対戦。また、再来週お会いしましょう。