ChievoVerona-キエーヴォヴェローナ-はこのままBへ落ちてしまうのか?

今年のキエーヴォは例年にない苦しいシーズンを送っている。
セリエクラスタの方ならピッチ外のことはご存知だろう。

不正会計処理に揺れた挙句
勝ち点を3ポイント剥奪され
カテゴリーがAかBが確定せず
メルカートに大きく出遅れてしまい
ピッチ上でも散々の出来で
現在は最下位で残留圏内と勝ち点が11も開いてしまっている。

詳しいことは下記のURL参照したほうが早い。

優等生クラブ・キエーボと悪役会長。残留争い常連の強烈なしたたかさ。-セリエA ダイレクト・レポート https://number.bunshun.jp/articles/-/832654
【コラム】突如浮上した不正会計疑惑 キエーヴォで今何が起きている?-365gialloblu https://chievo-giappone.hatenablog.com/entry/2018/07/01/124605
この2つの記事により
ピッチ外のことは解説され尽くしている。
なので、今回はピッチ内のことをまとめてみようと思う。

まずは、今年夏時点でIn・Outをおさらいしよう。

前年出場試合数/得点
IN
FW
Mariusz Stepinski(リーグアン/ナント/ポーランド代表:ローン後完全移籍)22/5
Filip Đorđević(ラツィオ/元セルビア代表:完全移籍)17/0
Emanuele Giaccherini(ナポリ/元イタリア代表:ローン後完全移籍)17/3

MF
Joel Obi(トリノ/ナイジェリア代表:完全移籍)22/5
Sofian Kiyine(セリエB/サレルニターナ/U20モロッコ代表:レンタルバック) 23/2
Mauro Burruchaga(アルゼンチン/リーベル・プレートB:完全移籍)不明

DF
Nenad Tomovic(フィオレンティーナ/セルビア代表:ローン後完全移籍)27/0
Luca Rossettini(ジェノア/イタリア:ローン)23/0
Strahinja Tanasijevic(セルビア/ラド・ベオグラード:ローン後完全移籍)0/0
Federico Barba(ラ・リーガ/ヒホン:完全移籍)21/0

GK Adrian Šemper(クロアチア/ディナモ・ザグレブ:ローン)24/-29(失点数)

OUT
FW
Roberto Inglese(ナポリ→パルマ/イタリア代表候補:ローン終了後パルマへローン)34/12

MF
Lucas Castro(カリアリ/アルゼンチン:完全移籍) 25/3
Samuel Bastien(ベルギー/スタンダール・リエージュ/U21ベルギー代表:完全移籍)21/1

DF
Massimo Gobbi(パルマ/元イタリア代表:契約満了)24/0
Alessandro Gamberini(引退/元イタリア代表)23/0
Dario Dainelli(セリエB/リヴォルノ/元イタリア代表:契約満了)21/0

と、2年間で2桁マークしたIngleseが去り
長年DFライン貢献した功労者3人も去ったけど
代わりにジェノアからRossettini着たり
ラ・リーガで頑張っていたレフティのBarbaが着たり
昨年DFラインで奮闘したTomovicがまさか完全で残ったり
終盤活躍したStepinskiが完全で残ったり
それ以外にもめぼしい補強ができている!
あれ?去年より昨年より上積みできてない?
(レフトバックかJaroszyńskiだけなのは気になるけど)
しかも今年は昨年残留に導いた D'Annaがシーズン頭から仕切る!
勝ち点ペナルティの可能性!?そんなの吹き飛ばせ!
と、自分は勝手に意気揚々にシーズン迎えたわけですか…。
(余談ですが、Mauro Burruchagaはアルゼンチンの名選手Jorge Luis Burruchagaの息子。)

・開幕8試合で2分6敗と勝ちがなく、D'Anna解任…。
昨年はシーズン残り3試合と言うタイミングで監督就任し
降格圏に位置するキエーヴォを見事3連勝に導き
期待されていた今シーズンもまさかの解任……

この間、何がまずかったのか指摘します。

・デュフェンス、崩壊。
D'Annaが解任される8節まで
失点数はなんと18失点…。
具体的に何がまずかったのかと言うと…。

・カリアリへ移籍したLucas Castroの穴。 
去年は3ボランチの右として大きく貢献したCastroが
恩師Maran率いるカリアリへ完全移籍。

3ボランチは基本Radvanovicをアンカーに
左Hetemaj、右Rigoniが基本線だったが
開幕からRadvanovicとHetemajのコンディションが上がらず
簡単なサイドチェンジについていけないシーンが多く
サイドバックと簡単に1vs1のシーンを作られ
サイドから失点するシーンが目立ってしまった。

去年までなら攻守に大きく貢献したCastroがいたが
昨年もCastroが欠場した試合は勝てない日々が続いた。

新戦力のObiも使われたら悪くないものの
コンディションが整わず欠場する試合も目立った。

中盤のクオリティが昨年と比べ落ちてしまい
ObiやRigoniが出ていった後のスペースを
前線で起用されているBirsaとGiaccheriniが埋めるシーンが多々あり
核の2人ができるだけ攻撃に専念できる環境が作れず
結局得点力も落ちてしまう悪循環に陥ってしまった。

・補強失敗したレフトバックの穴。
Gobbiは契約満了で去り
代わりは誰だ?と様々な噂が飛び交うも
結局メルカートで誰も代役を確保することができず
本職はJaroszyńskiのみでシーズン迎えることに。

そのJaroszyńskiは昨年11試合のみの出場に留まり
出場した試合で活躍できたのも数える程度だった。

案の定、Jaroszyńskiの序盤の出来は散々で
右から入るクロスにボールウォッチャーになってしまう悪癖から
簡単にマークを外し決められるシーンが多々目立ち
シーズン序盤の守備崩壊の原因となってしまった。

・ベテランCB、Dainelliの穴も埋まらず。
D'Annaが昨年就任3連勝飾ったときのDFライン
3試合ともGobbiとDainelliが出場している。
(ボローニャとベネヴェント戦にはCastroも出場している。)

3試合で2失点とまずまずの守備から5得点と
安定した守備から攻撃に繋げてるのは
DainelliとGobbiの存在は決して偶然ではない。

セリエAで1番スピードがないCB(と思われる)
40近い高齢で契約満了となってしまったが
熟練のラインコントロールは今年のキエーヴォでは見られない光景だ。

・後任はまさかのGiampiero Ventura。ただし、わずか1ヶ月で逃げ出す。
イタリア代表監督としてイタリアを60年振りにワールドカップ予選敗退の憂き目に遭った。
まさかその戦犯がキエーヴォで指揮を執るとは…。
案の定、就任して4試合3分1敗 4得点11失点と散々。
わずか1ヶ月で辞任となんとも情けない結果…。

就任から逃げ出す流れについては
365giallobluを管理するYotaroくんがまとめてます。

【コラム】衝撃のVentura新監督就任 空飛ぶロバは再び翔けれるか -365gialloblu https://chievo-giappone.hatenablog.com/entry/2018/10/12/152315
キエーヴォ監督問題(前編) ―Ventura、辞意を表明-365gialloblu https://chievo-giappone.hatenablog.com/entry/2018/11/13/211554
“bandiera"Pellissierの憤怒と覚悟-365gialloblu https://chievo-giappone.hatenablog.com/entry/2018/11/13/212349
キエーヴォ・デビューのアタランタ戦は
Venturaご自慢の3バックを引き下げ戦うものの
左CBのBarbaが前半で退場し
いきなり雲行きが怪しくなる。

3バックと言うより攻められっぱなしなので
実際はドン引き5バックで   ミドルゾーン使われ放題で話にならず
この時調子が上がっていなかったアタランタ相手に5失点を喫した。
先が思いやられるデビュー戦だった。

結局、その後3戦も勝てず
わずか4試合でVentura体制は終了。
この時期は左ウイングバックで使われていたJaroszyńskiが
ボロクソ叩かれていた時期だった…。
(右からクロスが入れば大体失点していた時期。)

もう、Ventulaについて書くことはない…。

・"Mimmo"Domenico Di Carlo、キエーヴォに帰ってくる。
ボローニャ戦後、衝撃の辞意を表明したVentulaの後任は
3回目の登板になる"Mimmo"Domenico Di Carlo氏だ。
昨年はセリエBのノヴァーラを指揮しフリーだった。

これも365giallobluを管理するYotaroくんがまとめてます。
(引用しまくりでごめんなさい!)

・キエーヴォ監督問題(後編) ―10年ぶりのタッグ-365gialloblu- https://chievo-giappone.hatenablog.com/entry/2018/12/07/182826
初戦はアウェイナポリ相手にクリーンシーンを達成し
4-3-1-2を基本線とする堅守が築かれた。
ここから5試合負けなしと言う記録を打ち立てた。
ただし、内訳は5試合すべてドローで
複数得点は1度も奪えなかった。

失点数は間違いなく減ったが
初勝利は就任6試合目のフロジノーネ戦までお預けだった。
数えると第19節での初勝利。
内容的にも褒められたものではなかったが
Emanuele GiaccheriniのFKで勝ち点3を拾った。

冬のメルカートで大きな加入もあったが
残念な放出もあった。

IN
DF Marco Andreolli(カリアリ/完全移籍/)
DF Ezequiel Schelotto(Eプレミア/ブライトン/ローン)
MF Assane Dioussé(リーグアン/サンテティエンヌ/ローン)
FW Lucas Piazón(Eプレミア/チェルシー/ローン)

OUT
DF Fabrizio Cacciatore(カリアリ/ローン)
MF Valter Birsa(カリアリ/完全移籍)
MF Ivan Radovanović(ジェノア/完全移籍)
MF Joel Obi(トルコ/アランヤスポル/ローン)

長年キエーヴォを支え続けてきた
Birsa、Cacciatore、Radvanovicの放出は
Clivensi(キエーヴォ人)を大きく悲しませた。

特にBirsaの放出は理解できない。
Mimmo体制になってから
Capitan Sergio Pellissierが蘇ったのも
トップ下のポジションで良質なパスを供給し続ける
Birsaの貢献があったからだ。

中盤が足りてないのにも関わらず
Radvanovicに加え
Obiの放出も決まり
補強はサンテティエンヌからDiousseのみ。
Diousseの質は疑う気はないけど
量と質、どちらも不足してしまっているのが現状。

そして、レフトバックは結局誰もこない。
まぁ、JaroszyńskiがMimmo体制になってから
ゾーンデュフェンスを覚えたのか
序盤に見せていたまずい守備はなくなったから
補強しなかったのか…
できなかったのか…
(まぁ普通に考えて後者だね…。)

Birsaの代わりは
チェルシーからローンで転々としている
元U23ブラジル代表アタッカー、Lucas Piazón。
セリエA初挑戦のアタッカーにBirsaの代わりは酷だと思うが…。
攻撃はGiaccheriniにすべてがかかっている状況で
少しでも負担が減ると良いが…。  

Cacciatoreの代わりのSchelottoは
疑いようがない良い選手なので
コンディションが上がり
チームにフィットすればすぐ活躍してくれるだろうから心配はしていない。

Schelittoと共に出戻りのAndreolliも
試合から遠ざかっているのは気になるが
実力を発揮すれば過去のような活躍してくれるのは間違いない。
崩壊気味のデュフェンスラインを救ってほしい。

しかしここから今までの堅守が嘘のように
また守備が崩壊してしまう。

ユーベ、ヴィオラ相手には合計7失点喫し
エンポリ戦は2度リードするものの2失点喫しドロー
ローマに成すすべなく3失点
ウディネーゼ戦はVARにPK決められ1失点

(キエーヴォ-エンポリの嘆きのレビューはこちら) 
(キエーヴォ-ローマの怒りのレビューはこちら)
5試合で13失点と
序盤の崩壊っぷりよりはましだな!と逃避したくなる内容。
もっとも前節のジェノア戦はクリーンシート達成も
今度は攻撃陣が沈黙と噛み合わない日々が続いてしまう。

・Birsaの穴はGiaccheriniに負担となり還ってきている。
Birsaが去り、トレクァルティスタのポジションは
Giaccheriniの物になったが、Giakの負担が増え
欠場すると攻撃の形がなかなか見え辛くなってしまった。

KiyneやPiazonなど面白い才能はいるが
セリエA残留をかかっている状況で
若手に運命を託すのは酷。

Birsaがいないのは痛いどころか
ライバルのカリアリにいるのがとても恐ろしいところ…。

・最下位ながら若手の奮闘が光る。
明るい話題もCapitan Pellissierの復活以外ないわけではない。

キエーヴォ・プリマヴェーラ出身のMehdi Lérisは
ボランチ不足問題に煽りを受け
主に不慣れなセントラルミッドフィルダーとして起用されているが
運動量が多く、技術もあるため
守備面に不安がないわけではないが奮闘している。

セリエBのサレルモからローンバックしたSofian Kiyineも
健闘が目立つシーズンとなっている。 まだ数字上の活躍ないが、トップ下、ウイングバック、セントラルミッドフィルダーと
各ポジションで奮闘している。

特にMimmo体制1試合目のナポリ戦は
果敢な突破からナポリ守備陣を脅かせた。
セリエAの将来を背負って立つ存在なのは間違いない。

そして、Cacciatoreからライトバックのポジションを奪った
U-21イタリア代表DF、Fabio Depaoliが若手の中で1番奮闘している。

フィジカルの強さとスピードを生かし
右サイドの守備者として奮闘している。
縦への推進力もあり、将来が楽しみな22歳だ。
クロスの精度はまだまだだが、他のセリエAのクラブが狙っている噂もある。
ビックネーム相手にも激しく行けるメンタルの強さも特徴的だ。

 ・Stepinskiは今年もキエーヴォで輝く。
リーグアン・ナントから完全移籍で加入した
ポーランド代表ストライカー、Mariusz Stępińskiは
ゴール欠乏症で喘ぐチームの中でも奮闘している。

今年はもう既に去年の5ゴールと同じ数字に乗せ
2桁ゴールも視野に入ってくる。

ユーベ、ローマ相手にゴールを決めるなど
ビッククラブ相手に強いのも大きな特徴で
頭、左右両足からゴール決められるスケールが大きいストライカーだ。
今年はポストプレーの成長も見られ
セリエA若手ストライカーの有望株と言ってもいいだろう。

・守備崩壊気味でも、Mattia BaniとFederico Barbaの奮闘は光る。
昨年24歳でセリエAデビューを飾った大型CB、Mattia Baniは
今年はCBの一角としてレギュラーに定着している。

キエーヴォを今年指揮した3指揮官は
全員Baniの事起用するあたり
失点が多い守備陣の中でも認められているのは
間違いないだろう。

ラ・リーガのヒホンから加入したレフティーCB、Federico Barbaは
4バックの左CB、3バックの左CB、レフトバックと
様々な起用の仕方に応えている。

対人守備の強さと左足のフィードセンスは光るものがあり
やはり欠かせない存在になっている。

・何故、今シーズンここまで混迷を極めてしまったか?
・スポーツディレクター、Giancarlo Romaironeの失策。
間違いなく彼のプランはお世辞にも半分も成功したと言えないだろう。
おかげで夏、冬のメルカートは満足な補強することもできておらず
現在もチームは課題が山積みだ。
正直、ピッチ内のことだけなら「Romaironeの失策が原因。」とだけで片付く。

・ここからどうするか?
過ぎてしまった事を悔やんでも仕方がない。
Di Carlo就任してから13試合1勝5敗7分と
いつの間にか、敗戦の数がドローの数に追いつこうとしている。
残留圏内と残り13試合で勝ち点差は11

得点決めるときは大体劣勢。 守備陣が奮闘するときは攻撃陣が沈黙。
と、弱いチームの典型的なパターンに陥ってしまっている。

今年見ていて思うのは
4-3ラインで守ることは今のボランチのクオリティでは
難しいのでは?とシーズン当初から自分は声を上げている。

昨年のMaran体制でも
4-4-2の形で守備から入ったときは
無失点で90分終わることが多かった。

自分が提案するのは4-4-2の形だが
おそらく今シーズンは4-3-1-2のまま進むだろう。