2019-2020セリエB開幕戦 キエーヴォが見せた攻撃の形 ペルージャ2-1キエーヴォ

セリエBに落ちて分かったことがあります。
youtubeにハイライトがあがりません。
それもそう、今までセリエA公式チャンネルが上げていたのだから。
今までハイライト動画貼りつけてましたが、当面なしになると思います…。

前置きは置いといて…。

07-08シーズン以来、12シーズン振りにセリエBで開幕を迎えることになった空飛ぶロバこと、キエーヴォヴェローナ。
クラブ創立90周年と言う節目の年に、Bで開幕迎えるのはもどかしい気持ちでしかないが、去年ピッチ上で行われた出来事を思えば、降格は妥当としか言いようがない屈辱の昨シーズン。
チームを滅茶苦茶にしたSD Giancarlo Romaironeは去り、数多くの選手もヴェローナを後にした。
チームを再建をしながら、昇格を目指すとても厳しいシーズンとなる。
去った選手もいるが、残った選手もいる。そして新しく加入した選手もいる。
なんとか筆者もセリエBを視聴する環境は整ったので、毎試合マッチレポートを書くことができればなと思う。

・キエーヴォのスタメンとやり方の雑感。


ペルージャ戦のスタメンを元に、今季のキエーヴォの攻撃の作り方や守り方を解説していこうと思う。それに加え、選手の雑感も少し。

GKはクロアチアU-21代表のAdrian Šemperは今シーズン正GKとして活躍が求められるが、その素質は去年の終盤に十二分に魅せたし、特に心配はしていない。

DFラインは大幅にメンバーが入れ替わった。

CBは大ベテランの元スロベニア代表のファイター、Bostjan Cesarではなく、昨年はBのテルナーナとCのノヴァーラでプレーした、キエーヴォ・プリマヴェーラ出身のMichele Rigione、サルデーニャ島の2チーム(オリビア、カリアリ)でプレーし、サンプから完全移籍でやってきたフランス人CBのMaxime Leverbeの2人がコンビを組む。
なお、Rigioneは10年目のシーズンを迎えるが、プリマヴェーラを過ごしたキエーヴォでプレーするのは初となる。
RigioneとLeverbeのコンビは公式戦初めのコパ・イタリアの2試合で組んでいる。

LBにはAでの経験豊富な元U-21イタリア代表のDavide Brivioが入る。昨年はスイス2部のChiassoでプレーしていた。左足のクロスの精度が魅力的な選手で、筆者でも知っているBrivioの加入はとても心強い。

RBは、キエーヴォU-19から昇格したMassimo Bertagnoliが入った。この選手はU-19のCapitanoで、元々は守備的MFだったが、トップチームに上がってからはライトバックへコンバートされている。

1番注目するべきは中盤の構成。
一見、オーソドックスな4-3-1-2に見えるが、実際攻撃のときは、4-1-3-2のような形で攻撃をする。
レジスタのU-20イタリア代表のSalvatore Espositoから攻撃が始まり、3センターハーフの左右がサイドに大きく開き、大げさに見れば、4-1-1-4みたいな形になり、サイドの幅を広げ、ワイドな攻撃を展開するのが今年の形だろう。
そのため、センターハーフと言うべきか、サイドハーフには攻撃的な選手が入った。
左は元イタリア代表のEmanuele Giaccherini.
右は昨季はBのカルピにローンで出されていたLuca Garritano.
Giakに至っては元々中央のポジションでプレーすることを好んでいるが、 Garritanoはウイングのイメージが強く、筆者的にはこのポジションでプレーすることに驚きがある。
この2選手の起用は、新指揮官のMichele Marcoliniの目指すサッカーが色濃く出ている。
守備的なサッカーではなく、サイドを軸としたコンテ式のサッカーに見える。
この形をとることを筆者は支持したい。今までのMaranやDi Carloの4-3-1-2とは打って変わり、非常に攻撃的だ。
サイドハーフ(センターハーフ)の選手は前にも後ろにも出る必要があり、サイドバックのような運動量が求められる。

守備のときは、サイドハーフをセンターハーフの位置まで下げ、従来の4-3-1-2の形で相手を迎え撃つ。
ただし、カウンターを喰らってしまった場合、サイドハーフが戻り切れない場合は、デュフェンスラインを高く保ち、サイドハーフが出てったポジションにレジスタが対応するか、サイドバックが恐れずに前に出てつぶしにかかるかのどちらか。

去年までだと、ほとんどセカンドボールを拾われ、なかなか前に出れずに、引いて守る状況が多かったが、今年は前へ前へ推し進めるサッカーに変貌を遂げている。
結果的にペルージャ戦は、何度も波状攻撃を作ることができた。
Aで戦うためには、結果も大切だが、サッカーの質を上げることにもMarcoliniは注視しているのがよくわかる。

アタッカーはトップ下にManuel Pucciarelli.
2トップは今年からCapitanoとなったRiccardo Meggiorini、ポーランド代表のMariusz Stępińskiが入った。
ちなみにこの3人は昨年から在籍しており、StępińskiはSPALやブレシアから興味持たれたが、残留する見込み。

アタッカーとサイドハーフ(センターハーフ)を合わせ、5人貼るメリットは、サイドバックやサイドハーフからクロスが入る場合、中の人数を揃えることが出来る。

現にMeggioの先制点のシーンはBrivioのクロスのとき、しっかり3人Pa内に侵入することができている。当たり前のことかもしれないが、うまくいっていないチームはクロスターゲットが揃っていない場合が多い。
その当たり前のことができていなかった去年はと比べると、今年のやり方のほうが格段と得点の香りを感じる。(カテゴリーは度外視とする。)

開幕戦は結果的に2-1と敗れてしまい、コパ・イタリアもカリアリに負け、既に敗退が決まっており、公式戦では結果が出ていない。
開幕節のペルージャ戦は、Leverbeが2度もPa内で反則を犯し、PK2発に沈み、StepinskiやPucciarelliなどが決定機を外してしまうシーンがあり、勝ち点が拾えなかった。

確かに課題も多く、けが人も多い。決してネガティブな材料が少ないわけではない。ただ、ピッチ上で行われているサッカーは、結果はまだ出てないものの、内容的には一定の評価ができる。開幕節からこれだけやりたいことを示すことができれば、昇格のチャンスは十二分にある。
サッカーの質を上げ、結果も追いつかせるのは非常に難しいが、今年のMarcolini Chievoはその両方のタスクをこなす力は十分にあるはずだ。

日本では陽が当たらないセリエBだが、今年はBの舞台を中心に筆者は欧州サッカーを追いかけていく。
少しでも、キエーヴォを気に掛けてくださる方々に、情報を発信することができればなと思う。