籔谷智恵

ライター|神奈川出身、茨城、札幌を経て富山在住|www.chieyabutani.com

籔谷智恵

ライター|神奈川出身、茨城、札幌を経て富山在住|www.chieyabutani.com

マガジン

  • 仮説の日々

    日々生じる仮説を検証したりしなかったりする育児とそのほか諸々の記録。

  • bush valley lub → 山川藪文庫

    富山県西部の山間部でのリノベ改修までの記録 →住み始めてからのあれこれ

  • OKOPEOPLE - お香とわたしの物語

    • 115本

    OKOCROSSING が運営する、香りにまつわる「わたしの物語」を編み集めるプロジェクトです。https://oko-crossing.net/okolife

  • 断片と断片のあいだ

    インタビューの間に考えたことなど

  • 子どものつむじは甘い匂い

    抱っこをしたり、着替えをさせたり、歯を磨いたり。小さい子どもの頭はよくわたしの鼻の下にあって、それが発する匂いは、なんとなく甘い。 1歳女児を育児中の湘南出身・富山在住ライターが綴る、「匂い」にまつわる暮らしと子育ての話。

最近の記事

梅干しと土用

引っ越した氷見の家の前には梅の木がある。 今は街に住んでる元近所のおじさんのもので、好きなだけ採っていいよと言われているので、たくさんたくさんいただいて、梅干しと、梅シロップと、梅ジャムをつくった。 自分でつくった梅干しがほんとおいしくて、一番好きと思う。 梅と塩とお日様の力でこんなにおいしくつくれる、なんて恩寵。ナムナム。 今年はたくさん梅干しをつくったおかげで夏の土用を実感した。 土用とは季節の変わり目、立秋など立○の前の約18日間のことで、春夏秋冬それぞれにある

    • よろこぶたのしみ

      子どもの言葉 ●よろこぶたのしみ 子がある日、「ママのよろこぶたのしみはなに?」と聞く。 よろこぶたのしみ!きれいな言葉だなあ。 いろんな文字を覚えること クリスマスツリーのかざりつけ かわいいお花を見つけて歩くこと かわいいお花をもっとかわいくすること 楽しいお菓子をかわいくすること これが子の「よろこぶたのしみ」だそうです。 ●どんぐりさん 雪の日に赤ちゃんの頃に買ったどんぐり帽子をかぶせてみたら、まだかぶれて、気に入ったみたいで家の中でもかぶってたのがかわい

      • 自分のものさしで見てはいけない

        子どもが自転車を漕ぎたいというので、モールにヘルメットを買いに行った。トイザらスは鬼門で、入ったら最後無傷では出られないから、できるだけ近寄りたくないのだが、ヘルメットは試着の必要があるから行くしかない。で、意外に、トイザらスはすんなりと出ることができて、あとはいくつか別の店に用事がありつつ、子が今使ってる水筒はそろそろサイズが小さいかも、どういうサイズ感のがあるのかな、何かいいのないかな、と水筒が置いてありそうな店をちょいちょいとのぞいていたら、子が、淡いピンクの本体にフル

        • アナキズム雛とか、そのあたりのこと

          「受け入れられんと、病むんよ」 取材で出かけた奈良の山のなかで、土地のおばちゃんと談笑していたら、世間話がまさかの皇室ゴシップネタだった。いわく、「今生天皇と弟妹は全員母親が違うんよ」。跡取となる男児は一人ではなく二人は産まなければいけない、だからもし自分が産めないなら他の女性の胎を借りる必要がある、前皇后はそれを受け入れた、今の皇后には無理だった、 そして冒頭の一言。 「でも皇室に入るって、女にとって最高の出世やろ?」 「…うーん?」 私と、一緒に話を聞いていた仕

        梅干しと土用

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        • 仮説の日々
          77本
        • bush valley lub → 山川藪文庫
          25本
        • OKOPEOPLE - お香とわたしの物語
          115本
        • 断片と断片のあいだ
          5本
        • 子どものつむじは甘い匂い
          12本
        • と富山
          1本

        記事

          育児は身体にいい

          子どもができてから、自炊が基本になっている。会社で働いていたときに比べると、とても健全な食生活だと思う。子どもがいると、いくら自分が忙しくても、食事を抜くことはできないから、何かしらつくる。できあいのものを買うこともあるけど少ない。これだけでかなり身体によさそう。 独身時代は、疲れすぎて風呂に入る余力もなく、いつのまにか床で寝てしまい、気づいたら朝で、身体が痛くて余計に疲れている、とかもよくあった。今は子を風呂に入れるのに自分も入るし、寝落ちするなら寝かしつける布団のなかだ

          育児は身体にいい

          かわいさの奥にいるもの

          子があと2ヶ月で4歳になる。この世に出てきてもう丸4年になるのか。 4歳になりかけている娘は相変わらずかわいい。これまでもずっとかわいかったし、今もかわいい。 小さい人、のような感じが、かわいい。ピンク色のカットソーにピンク色のニットズボンを履いているのが林家パー子みたいで、かわいい。 私がかわいい、というと、子どもは照れるのか、「かわいくない〜」といって顔を隠す。一方で、寝るときに 「おかあさん、いいたいこと、あるでしょ」 「いや、ない。はやく寝るよ」 「おかあさん、

          かわいさの奥にいるもの

          27|あるもので遊ぶ 蓬染めと藤蔓編み

          味噌を仕込もうとか、スイカ割りしようとか、里に集まって一緒に遊ぶ子たちがいる。かわちゃんという一回り下の女の子と私で企画して、集まれる人が集まって遊ぶ。先生はいない、とりあえずやってみようの会。 5月には蓬の会をした。春といえば蓬。蓬はそこらじゅうに生えている。ほんとうは、蓬を摘んで、草餅をつくって、お昼には蓬のジェノベーゼやたんぽぽのサラダ、野草の炒め物をつくって食べて、蓬で草木染をする蓬フェスを予定していたが、コロナのなかで集って料理して食べるのはやめようということで、

          27|あるもので遊ぶ 蓬染めと藤蔓編み

          26|全ての建材はどこかからやってきた

          排水システムが傾斜土槽法に決まったところで、水周りの設計図面提出日まであと10日のタイミングになっていた。わあ。 図面は夫にお任せだが、それまでに床や壁の素材やら照明やら水栓やらも決めないといけない。全然決まってない。そもそも、お風呂ならお風呂、脱衣所なら脱衣所が、どれだけの要素で成り立っていて、何をどこから選べばいいのかも、わかってない。 わかろう。ということで、洗い出していく。 たとえばお風呂場は、床、壁、天井、窓、バスタブ、シャワー水栓、タオルかけ、照明、換気扇、

          26|全ての建材はどこかからやってきた

          25|穴掘り、傾斜土槽法、壁壊し

          GWには庭に深さ60cmの穴も掘った。60cmも掘れるかしら、と思ったが、途中何度も石にぶつかりながらも掘れた。清々しい気分になった。 掘っていくと色の違う層がみえてきて、いつも立っている場所の、地下のことは何も知らなかったと思った。毎日、知らなかったことさえ知らなかった新しい何かと出会っている気がする。 なぜ土を掘ったかというと、土壌浸透調査のためだ。業者の人が緊急事態宣言下で都内から出られず、宣言延長の気配も濃厚ということで、やり方を教えてもらって、自分たちでやること

          25|穴掘り、傾斜土槽法、壁壊し

          24|コンポストトイレに決めた

          大野からの帰り道、道の駅で山葵とコシアブラを買った。四方を山に囲まれた、山オブ山。しんとした清廉な、みずみずしい空気。 自然の景観も人がつくる景観も山のもので、こんなにはっきり違うんだっておもしろいくらいに、富山と家が違う。 勾配の低い屋根は、雪を落とさない発想かな。玄関が部屋のラインよりも奥まっていて、玄関前にぽっかり風除室のような空間がある。しっかり梁が渡してあって、ぐうんと曲がった木そのままで格好いい。そこで雪を落としてから家に入るんだろう。雪が深いんだ。 車で走

          24|コンポストトイレに決めた

          23|排水と水を巡る白山水系の旅 大野

          エコロンシステムの見学で、GWに福井の大野へ行った。 エコロンシステムも、仕組みは毛管浸潤トレンチと似ている。どちらも土中に、まず汚水をためる沈殿槽があり、その先に微生物繁殖資材があり、上に土をかぶせて、表面には植物。全ての層にいる生き物が汚物を浄化(分解)してくれて、さらに分解された養分を含む土が植物を育てるという、その場に循環をつくりだしてくれる装置。 毛管浸潤トレンチは、沈殿槽と繁殖層を横につなげるから広い設置面積(4m×10m)が必要なところ、エコロンシステムは上

          23|排水と水を巡る白山水系の旅 大野

          22|コンポストトイレと毛管浸潤トレンチ

          うかうかしているうちに、家の取得日から一年が経とうとしている。市と県の移住者向けリフォーム補助金に取得から1年の縛りがあるため、ここにきて急に、5月半ばまでに水回りの工事を発注、6月末までに完了というスケジュールが明確になった。 目に見えるデザインや素材と同時に、排水の配管も決めないといけない。つまりそれまでに、屎尿と雑排水の処理システムを決めないといけない。 トイレは、コンポストトイレが優勢。カナダ製のコンポストトイレ輸入代理店の事務所を訪ねて話をきいたところ、なんとな

          22|コンポストトイレと毛管浸潤トレンチ

          21|在るものからはじまる

          家の設計が進んできた。図面を書いてくれているのは夫の研究室のK君。 私は施主、夫は施主であり建築事務所、K君はその事務所の担当所員、というイメージの立ち位置で、3人での打ち合わせと、夫からの指導とを踏まえながら、K君からの提案もあって、強く誰が主導、というのではなく、話し合いながら、良い具合にまとまっていっている。 3月20日の初回提案から、打ち合わせ6回くらいで4月15日に基本設計が終了。間取りを主とする全体の枠組みが決まった。 これから、構造設計のできる人に耐震構造

          21|在るものからはじまる

          20|卵かけご飯は料理である

          たまに学生を呼んで食事会をする。人を呼ぶときはたくさん料理をつくるので(これまた学生がびっくりするほど食べる)、「毎日こんな料理が食べられていいですね」と言ってもらえたりするが、普段はそんなふうにはつくらない。 最近は、平日は味噌汁と納豆とか、味噌汁と卵かけご飯とか、朝ごはんみたいな夕飯が多い。 それは、まったくもって手抜きではないと、確信している。 きっかけは、子供にご飯を食べさせるのに苦労していることだった。 少し前までは1人でばくばく食べる子だったのに、今はいろ

          20|卵かけご飯は料理である

          19|うんちの行方

          「これもうくさくない?」畳んである洗濯物のパンツをさして娘が言う。 「手であらってくれたやつ」 ああ、よく覚えているね。前におもらしして、うんちまみれになったやつだね。 子供が生まれて以来、うんちフレンドリーな生活を送っている。娘の体から出てきた便りは毎回確認するし、どうしようもなく手についてしまったものを洗ったり、ただただ水に流していた時代よりも、多少のうんち耐性はついている。家庭内でのうんちそのほかの下水システムについて、考えるには良いタイミングだ。 排泄物その他

          19|うんちの行方

          18|モダニズムとか民藝とか、富山の家は揃っている

          住宅街を車で走っていたら、前川國男の自邸のような家があった。とても格好良かった。中から知り合いが出てきて、庭の端につくられた鶏小屋のニワトリに餌をあげはじめた。前川國男の家みたいで格好いいですね、と話しかけると、パクりました、と笑っていた。こんな住宅街でもニワトリって飼えるんだなあと思った。 「民藝ってモダニズムじゃないの。機能的なものは美しい」 その後、昼ご飯を食べながら夫が言う。コルビジェの弟子、前川國男から連想したのだろう。夫は民藝がよくわからないという。 「いや

          18|モダニズムとか民藝とか、富山の家は揃っている