生湯葉 シホ

ライター・エッセイスト/飼っている亀が何歳なのかわからなくなってきました

生湯葉 シホ

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生湯葉が書いた文章まとめ(2021年4月更新)

これまで書いてきたエッセイや、寄稿/インタビューのお仕事などを抜粋しつつ紹介します。 生湯葉とはフリーランスのライター/エッセイスト。1992年生まれ、東京在住。インターネットで文章を書くこと、読書、香水などが好きです。 「生…湯葉? 本名ですか……?」ってよく聞かれるのですがペンネームです。生湯葉が食べ物のなかでいちばん好きです。次は豚汁。 「DRESS」での連載エッセイWebメディア「DRESS」で「偏屈女のやっかいな日々」という月1のエッセイ連載をしています。日々

    • さいきん考えていること、あるいは書かないようにしていること(近況など)

      けさ、これまで寄稿した文章やインタビュー記事の整理をしようと思い、1年ぶりぐらいに自分のnoteのページをひらきました。1年……。全然あけてなかった郵便ポストあけたときみたいな謎のすがすがしさがあります。 ここをどのくらいの人が見てくださっているのかわからないのですが、ささやかな近況やら最近考えていたことをふとカジュアルに、Webラジオみたいな感じで書きたくなり、ここからは200円で読めるかたちにさせてください(すみません。たぶんあんまり今後は有料記事設定しないと思います)

      有料
      200
      • きょうちゃんのこと #あの日のLINE

        LINEのスクショをしょっちゅう撮るくせにそれを見かえすことが少ないのは、メッセージを送ってきた相手がもう、いまここにはいないからだ。人の気持ちと関係は刻一刻と変わっていくから、文字にされたたいがいの「いつか」や「ずっと」はいずれウソになる。その変化はスクショを撮ったところで止められないってわかっているのだけど、それでも確かにあったということを覚えていたい日はある。 *** ゼミも専攻もサークルも違ったから、私ときょうちゃんがキャンパスで顔を合わせることはほとんどなかった

        • 物語を内面化してしまうことの危険性について

          ライターという仕事柄、人にインタビューをさせていただく機会がときどきある。そのかたのこれまでを振り返るような種類のインタビューだと、“人生の転機”的なものについてお聞きすることも多い。 (たとえば)「そんなに辛いなかでどうして仕事をがんばれたんですか」とか「ひきこもっていた部屋から出た日のことを覚えてますか」というような質問をすると、みなさん「うーん……」と考え込まれる。それから「実はこういうことがあって」とか「なんか気づいたら徐々に」とか「あんまり覚えてないですね」とか、

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        生湯葉が書いた文章まとめ(2021年4月更新)

          こうして人は依存する(あるいは、依存先を分散させることについて)

          友だちや仕事関係のひとたちと居酒屋で飲んでいるとき、スマホの画面を上向きにしたままテーブルに置くくせがある。ちょっと行儀は悪いけれどそんなに珍しいことでもないので、気にせずにスルーしてもらえることが多い(と思う)。 ただ、一度だけ、「シホさんってLINEの通知がくるとなんか怖い顔しますよね」と指摘されたことがあった。そのときは「気づかなかった、ごめんなさい」と謝ってスマホをしまったのだけれど、怖い顔をしているという自覚はなくても、そう言われた理由には正直心当たりがあった。

          こうして人は依存する(あるいは、依存先を分散させることについて)

          幻は年を取らない

          ある晩、歌人の木下侑介さんから「“この世に存在しない歌集”の展示を、期間限定で行います」というメールがきた。聞けば聞くほど面白そうだったので、展示に先がけてその(まだ存在しない)歌集の書評を書かせていただいた。 木下さんの短歌は『食器と食パンとペン』(安福望)や『短歌ください』(穂村弘)などに載っていて、前からすごく好きだった。「夏」が印象的に出てくる歌を詠む方なので夏が好きなんだろうと思っていたが、木下さんからのメールには「展示は冬に行う予定です。僕は冬が好きなので」とあ

          幻は年を取らない

          私信

          私信のような文章を書くということはこれまであまりしてこなかったのですが、ふと思い立ってTwitterにお題箱を連動させたところ、こんな相談をいただきました。お返事を書きたくなったので(そしてそれが長文になると思ったので)、ここに書こうと思います。 いきなり自分の話になってしまって申し訳ないのですが、学生時代の恩師に言われた言葉で印象に残っているのが2つあります。 ひとつは高校時代、行きたい大学特にないんだよね、と私が話したときに担任が言った「じゃあとりあえず○○大くらいは

          ポルノグラフィティの美しい歌詞10選(完全版)

          昨年の夏、「ポルノグラフィティの美しい歌詞10選」というタイトルでnoteを書き始めたのですが、前半で力尽き、いつか書こうと思っていた後半を置き去りにしたままほとんど1年が経過してしまいました。 なんともう、初夏です。また今年も渚には新しいナンバー溢れていくよ。 ……というわけで、大変遅くなりましたが、後半の5選を含めた「ポルノグラフィティの美しい歌詞10選(完全版)」です。 80年代後半~ゼロ年代生まれの人たちは基本的に、GTOのオープニングやらポカリのCMやらコナンの

          ポルノグラフィティの美しい歌詞10選(完全版)

          限界の足音

          「Twitterのフォロワーがひとり減って、あれ、と思ったらインスタもひとり減ってて、2日前のLINEも既読にならなくて、あ、切られたって思ったの」 アイスココアをストローでぐるぐるとかき混ぜながら彼女は言う。「切られた」と私がつぶやくと、「うん。音信不通」と射抜くような目でこちらを見た。 よく陽の当たるテラス席だった。友人は彼氏が1年間の交際のなかで一度も怒ったことのない温厚な人だったこと、学生時代のバイト先の先輩であったこと、激務で鬱病を患ってからも変わらずに優しかった

          限界の足音