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化石発掘体験


「海亀さんの場合、うちの仕事は
バイトじゃなくて、趣味ですからね」

当時バイトしていた会社の社員さんから
こう言って笑われたことがあります。

子供たちと話している時の私は、
相当 楽しそうな顔をしているようです。

コロナで給料が3割カットになった時、
警備員のバイトと同時に
この「子供向けワークショップイベント」の
アルバイトを始めました。

ショッピングセンターでよくある
子供さん向けの工作イベントみたいなものです

イベント内容は毎週変わりますが
一番人気は「化石発掘体験」。

古代ザメの歯やアンモナイトなど
数種類の化石を埋めて固めた人工の石膏プレートの中から、
ハンマーとノミとハケで化石を発掘します。

発掘できる化石はすべて本物
大当たりは本物のモササウルスの歯と聞いて
子供たちの目の色も変わってきます。

「はい、では、おじさんの説明を良く聞いてください。石のプレートの中に、この図鑑に書いてあるこんな化石がいくつか入っています。
気に入ったプレートをひとつ目の前に置いて、
このハンマーとノミで叩いて、
化石を発掘してください。
そして発掘した後は、このハケで····」

私の目を見て、説明をしっかり聞いてくれる子
図鑑を見ながら名前と形を確認している子
話半分で、どのプレートにするか選んでる子
我慢できずにハンマーで叩き始め、ママに怒られてる子

反応はそれぞれ異なりますが、
みんな少し緊張ながら、合図を待っています。
子供たちの顔をみていると、
わくわくが伝わってきて
こちらもテンションがあがってきます。


ママ&パパのサポートもOKで、制限時間なし。
1個見つけるまで発掘し続けられるので、
ほぼ皆さん笑顔で楽しんで帰られます。

発掘しなから、子どもたちはいろんなことを
話してくれます。

恐竜の生体を教えてくれたり、
福井の博物館のことを話してくれたり、
一緒にきた弟のことを話してくれたり。

「ねぇおじさん!ここに見えてるこの化石を取りたいけど、どこから叩けばいいですか?」
⇒はい、この角度でノミを入れて、
化石を壊さないように少し弱めに叩いてね

「先生、これは、リンコネラですか?」
⇒うん、おじさんは先生じゃないけど、
これは図鑑にのっているリンコネラだね。
よくわかったね。すごいね!

「博士、これは図鑑にのってないけど、新しい種類の化石ですか?」
⇒えーと、残念だけど、このプレートは石膏なので、新種は出てこないんだ。ごめんね。
それはたぶん、前の子が忘れていった何かのおまけだね。


私は、どんな子どもたちともすぐに打ち解けて
友だちのように仲良くなることができます。

泣いている子がいれば、
「どうしたの?大丈夫?」
と声をかけてしまいます。

本業が忙しくなり、
1年半でバイトはやめてしまいましたが
時々 子供たちとお話がしたくなります。

その都度
「通報されるかもしれないからやめて」
と 妻や息子に止められます。

これが天職だったのかなぁなどと
時々懐かしく思い出すことがあります。

定年したら、地元で こども食堂をやってみよう
などと 考えています。