衆参同日選はありうるのか?これは「皇位継承」解散か?

衆参同日選挙について、可能性がでてきたと思います。では、どんな構図か。

まず、「常識的」に考えれば、衆議院解散はあり得ません。統一地方選、そして参院選の準備で与党の基礎組織は疲弊しています。いわゆる「亥年選挙」というやつで、歴史的には与党が必ず敗北してきた年なわけですから。

また、過去、衆参同日選挙で与党は勝利していますが、あくまで中選挙区制時代の話であり、与党に有利に傾く保障はありません。

では、なぜ解散に傾くのか。それは、参院選後の状況から逆算して考えてみる必要がある。10月の消費増税、景気後退の拡大等々、今後、時間がたてばたつほど、与党にとって不利な状況になっていくことが予想されます。著書「社会を変えようといわれたら」にも書きましたように、安倍政権はもうすべてを弾を撃ち尽くしていて、政権としての生命力は尽き、増大する無関心の上で浮かんでいるだけの状態になっています。このままでは、野党の進出次第では、手をこまねいていると「追い込まれ解散」になり、麻生政権の二の舞になってしまいます。

そうなってしまうならば、ここで解散に打って出て、多少の議席を減らしてでも政権を維持する。維持したうえで、(表面的な)刷新のために、後継体制にシフトしていくという思惑が、安倍さんの頭にはあると思います。

なお、この間大阪で、維新と公明が、そして自民党が市議団を振り切って「打ち方止め」にしたのも、解散総選挙を念頭においているからだと思われます。

解散は総理大臣の専権事項。すべては「安倍さんがこれからどうしたいのか」にかかっています。改憲3分の2にこだわるならば、解散はやめたほうがいい。とはいえ、参院選で参議院の3分の2を割れば、改憲は遠のきます。だったら追い込まれるまえに衆院も解散すればいいということになります。

だとすると、目先の改憲にこだわるよりも、しっかりした傀儡の後継者をつくって、院政を敷いた方がいいということになります。場合によっては消費増税や経済危機の苦境は後継者にやらせて、また返り咲けばいいわけですから。

このシナリオは、実はかなり前からありました。いわゆる「ロシア同日選挙」です。北方領土交渉がうまくいけば、「二島返還を国民に問う」という口実で総選挙に打って出るというものでした。しかし、プーチンとの交渉が大失敗に陥ったのは周知のとおり。いまや丸山ほだかが炎上している始末です。だから次の一手として、「金正恩と無条件対話をする」を打ち出した。北朝鮮外交を解散の口実のひとつにするというのが目論見なわけですが、トランプに大枚はたいて口利きしてもらったものの、ミサイル撃たれるわ、交渉窓口はないわで、これもうまくはいっていない。じゃあ消費増税延期かと、側近の萩生田あたりにちらつかせているわけですが、麻生・財務省は猛反発しています。このように同日選のシナリオがうまく描けているわけではないのですが、それでも打って出た方が、「安倍体制」を維持していくうえではベターであるという判断があるのでしょう。

じゃあ同日選で過半数を確保して乗り切ったとして、後継者はどうするのか。これも著書に書きましたように、安倍政権の強さのひとつは、後継者を育てない、つぶしてきたことにあります。稲田、ムリ。石破、潰す。じゃあリベラルっぽくてなんでもいうことを聞く岸田かという話になるわけです。岸田総理、安倍副総理でいいじゃないと。他方で「令和おじさん」菅が総理候補に浮上しています。しかしこれには、麻生は猛反発します。なお、古賀や二階が「菅総理」と持ち上げているのは、菅が浮上すればするほど、自民党内で反発が強まるからです。つまり足を引っ張るためにやっている。自らの権力を維持するために「子殺し」に走ったがために、スムーズな皇位継承ができなくなっている。でも、いずれ後継シフトはせざるをえない。さあどうしよう。ここが安倍政権の致命的な弱さでもあります。

このように、「安倍政権の後継(傀儡)体制をつくるうえで、どのような選択がベターなのか」というところから逆算して、衆参同日選の可能性とその意図を捉える必要があります。独裁体制の維持のためには、これまでの「常識」をも覆す。そのくらいやっても、野党が大きく伸びることはないという想定で、このシナリオは組み立てられているわけです。

「野党が大きく伸びることはない」という想定でこのシナリオは組み立てられているわけですから、このシナリオを狂わせるためには、野党が勝ちぬくしかないのです。独裁体制の膿が溜まりまくり、にっちもさっちもいかない自民党と公明党には、このシナリオを変更する力はもうありません。同日選の危機感は、野党の選挙区での一本化を促進させはするでしょう。一本化に成功すれば、同日選で「そこそこ」は勝つでしょう。しかしそれでいいのか。野党は、共闘は大前提として、抜本的な対抗策を打ち出す段階にきています。

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