◇四季をめぐるような一日

ついに11月になりました。朝はずいぶん冷え込み、布団のぬくもりが名残惜しく感じるようになりました。靴下を履いていても、足裏が冷たい。手の指先もすぐにかじかむ。玄関を開けた瞬間などは、触れた外気の鋭さにおもわず身震いするほどです。車も結露が見られるようになり、乗り込むと冷たさが身にしみる。
ああ、冬に向かって季節は動いているんだなあ……。

時間が下れば徐々に寒さはやわらいでいきます。窓からの風も、涼しくさわやかに感じられる。青空を仰ぎ見て、秋だなあと思う。過ごしやすくて丁度よい。
ところが昼をすぎ、午後になると。
だんだん暖かく、やがては暑く、なってくるんですよね。さすがに汗はかきませんが、身体に熱がこもっているような感じがする。冷たい飲み物が欲しくなる。
15時ごろ外に出ると、太陽が肌を焼くかのような感覚に驚きました。風は涼しく心地よいけれど、だからこそ、照りつける熱の強さを感じてしまう。風の来ない場所で日に当たれば、暑くてしかたない。夏じゃないのに。
今朝の天気予報で、最高気温は20度超えだと言っていたっけ……。

そこから気温は下るばかりで、帰る頃にはだいぶ穏やかになっていました。早くも暗さを帯び始めた空を見れば、暮れの早い秋らしいと感じる。けれど残る暖かさには、春のような心地よさもある。

冬を意識せずにいられないほど冷えた朝にはじまり、涼しげな風と青空に秋を感じた午前、夏のように肌を焼くような感覚を抱いた午後、穏やかな春の暖かさを感じた夕暮れ。
なんだか、いっぺんに四季をめぐったような一日でした。