◇お酒にめっぽう弱い話

下戸です。アルコールを口にすると顔がすぐ真っ赤になります。
父は体質的に弱く、母も好まず、両親が飲むところを見た記憶がありません。ただし双方の祖父は大のお酒好きでしたし、叔父やいとこはビールを飲みます。だから親戚が訪れる盆や正月だけ、母はアルコール類を用意していました。

兄と弟も体質的には決して強くないのですが、彼らは好んで飲むほう。というか、飲むのを楽しむタイプというのかな。飲みながら会話を楽しんだり、珍しいお酒やおつまみを味わったり、という感じです。
わたしはと言うと、今はめっきり飲まなくなりました。口にするにしても友人との集まりで最初の一杯だけ、という程度。あとはずっとソフトドリンクや水です。頻度が落ちてからますます、アルコールに弱くなった気さえする。

お酒を口にできる年齢になった大学生のころは、サークルやゼミ、友人との集まりなど、何かと飲む機会がありました。特にゼミの教授がお酒好きで、ゼミ生と飲むのが楽しみでもあり、飲み方などを教えてくださったものです。
集まること自体も楽しかったですし、飲めるようになった嬉しさもあって、いろいろなお酒を試していました。

でも、徐々に気づくようになったんですよ。飲み会と称して、集まるのは楽しい。美味しいものを食べながら話を弾ませて、開放的な気分になれる。だけど、アルコール自体は別に好きではないんだなって。むしろ苦手かもしれない。

最初の一杯はいいんです。みんなの飲み物が揃ったところで「かんぱーい!」とグラスを合わせるときの高揚感、ひとくちめの後に漏らす興奮の声や安堵の息、ぽっと身体が温まってほぐされ、舌が滑らかに回る。けれど次に頼むのはソフトドリンク。
弱い体質なので、続けて飲むと体調に影響が出る、という事情もたしかにあります。だからソフトドリンクや水に切り替えるのだけど、酔いが抜けてきてもまたアルコールに手を出そうとは思わない。想像するだけで口の中を苦味が支配してゆく気がする。
わたしにとって飲み会は、集まりを楽しむものであって、お酒を飲むことはあまり重要ではないみたいですね。

そんなわけでお酒をめったに飲まないわたしですが、おつまみの類は大好き。おそらく子どものころ、母方の祖父が、チーズやあたりめ、さきいか等をおやつ代わりにくれたからでしょう。酒好きは遺伝しなかったけれど、そこだけはしっかり受け継いだ孫なのです。