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とうとう僕は監督になってしまった。

とうとう僕は監督になってしまった。
映画ではないものの
地上波テレビの連続ドラマの監督だ。

はるか遠い昔、
中学2年生の僕は
WOWOWの開局とともに映画好きが加速する。
当時、市川崑監督の天河伝説殺人事件という、
決して傑作とはいえない、
だれの記憶にも必要ないであろう作品に出会い
僕の未来は大きく変わることになる。
遡ることさらに数年前
小学生の頃記憶は、
14インチのブラウン管テレビを父がテレビ台から下ろし、
布団にねっ転がりながら見ている姿が好きで、
僕も父のよこにねっ転がって、夜更かしするのが楽しかった。
特に、金曜ロードショー、ゴールデン洋画劇場、日曜洋画劇場の金土日、
そこでたくさんの映画をみた。
記憶にあるのは、カリオストロの城、ビバリーヒルズコップ、アンタッチャブル、犬神家の一族、、などなど。
映画好きになった僕は、父に定期的に映画に連れてってもらうようになる。
グーニーズ、バックトゥザフューチャー、私をスキーに連れてって、スターウォーズ、南極物語、太陽の帝国などが強い記憶。
父が母と離婚後も、月に1度養育費を受け取りに父と映画、そのサイクルが僕は楽しかった。
天河伝説殺人事件に出会ったのはその頃。
市川崑監督が、久しぶりに角川とタッグで
金田一耕助シリーズ以来のミステリーシリーズとしてスタートした作品だった。
第1ファイルと銘打ったもののヒットせず第2弾は作られなかったが、中2の僕には衝撃でした。
構図がグラフィックであること、光のコントラストが強いこと、テンポの良さ、音楽の軽快さ、
そしてなんといってもOPのグラフィック、タイポグラフィに感動し引き寄せられてしまった。
そこからはOPのグラフィックにこだわる人になっていく。
犬神家の一族は何度も見返し、
マーティンスコセッシ作品、
グッドフェローズにハマってからは、ソールバスを知るようになる。
グラフィックデザインで映画に関わりたい。
そう思い始めた。
単館の映画館がブームだった頃、ゴダール、トリュフォー、ゲンズブール、
観たかった60年代映画がどんどんリバイバルされていく。
いつしか僕は、デザインで映画を見るようになって行った。
伊丹十三監督にはまったのもこの頃。
「ミンボーの女」のオープニングを見て、グラフィックを感じた。
もともとグラフィックデザイナーだったことに加えて
宣伝も、予告だけでなくエッセイ、TV、ワイドショーと
様々な方向から話題を作って、伊丹十三本人が仕掛けていく。
(今思うとこれがアートディレクションだった)
その仕組みに憧れ
50歳が初監督「お葬式」だった伊丹十三にちなみ、僕自身
「50歳になったら映画監督になる」と20歳ぐらいから公言するようになる。
この、映画オタク少年が、デザインに移行しながら
結局ずっと頭に描いているのは「映画」だった。
とうとう僕は、その一歩を踏み出したのだ。

そして
東京デザインが生まれる日。

まさにそれは僕自身の歩み。
12月2日にそれが生まれるのかもしれない。
僕のデザインの答えは映画であり、
その答えへと導くのが今回のドラマなのだ。
今回、ドラマの監督は
ひょんなことから持ち上がった話ではあるが
監督になる!というプロセスとしては
いきなり出来るものではなく、この幼少期の積み重ねと
れもんらいふをやってきた10年があったからこそだと思っている。

「よーいスタート!」と
声を上げながら、モニターの前でカットをかける。
そこに今まで関わってきた仲間たちがいて
みんなが協力してそこにいる。

目の前のことをやりながらも
俯瞰から見下ろす僕が感動していた。
「これこそが総合芸術と言われるアレか」
れもんらいふでやってきたこと、
れもんらいふで出会ってきた人、
生まれてから家族に支えられた、友達に支えられた
その全てが今日に至るまでの総合芸術なのかもしれない。

ドラマの主人公〈睦〉は
誰がモデルですか?永瀬さんですか?
なんてよく聞かれますが
強いて言うなら僕です。
千原徹子も、僕だし、〈睦〉も僕です。
〈睦〉を見てると夢を持ってこの世界に飛び込み、右も左もわからず
がむしゃらに走り続けた若い日々を思い出します。

誰もが、はじめは人生に迷い、苦しみます。
このドラマは、そんな苦しい日々の中でも、
夢を目指して頑張る女の子が主人公です。
ドラマの中で、
「夢がないから毎日楽しく生きる」
「夢に向かって苦しみながら頑張る」
どっちが幸せ?と問うシーンがあります。
主人公の〈睦〉は、後者を選びますが、
今の時代を生き抜くには、前者も間違いではありません。
どちらの考えも正しいだけに悩みます。
このドラマには、何が正解かわからない女の子たちがたくさん登場します。
僕自身が〈睦〉というのは、僕も同じ悩みの渦にいたからです。
本当に僕はデザインなのか?
本当に僕はデザインでいつか何かをつかめるのか?
本当に僕は映画が夢なのか?
毎日悩み、毎日打ちのめされました。
それでも何かを掴もうと頑張る女の子たち。
見てくれるみなさんは、
自分と照らし合わせてこの物語を楽しんでほしいです。
頑張る全ての女の子へ。
僕からのエール、僕自身へのエール、
それが「東京デザインが生まれる日」です。

みんな、
絶対みてほしいです👍

https://www.tv-tokyo.co.jp/tokyodesign/

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