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なんのために働いていた?

私は15年ほど薬剤師として仕事をしていました
病院に3年間、その後は町の調剤薬局で

病院で働いていたときは、それはもう必死
初めての一人暮らし+病院薬剤師の仕事はとってもハードで

冬はまだ太陽が昇る前の始発に近い電車に乗り
田舎だったので、仕事が終わるのが8時を過ぎるとスーパーも閉まり夜ごはんはコンビニ

その後に転職した調剤薬局は
市内でも一番処方箋枚数が多いような大病院の門前薬局でめちゃくちゃ忙しかったけど

病院薬剤師のときはダンボール箱の上で10分でお昼休憩をすますような環境だったので

お給料も高く、日曜日はお休み、職場は素敵な先輩方もたくさんいて 、17時半定時ぴったりに帰れる職場は天国のようでした

ただ、薬局あるあるですが
患者さんは病院で長い時間待たされて、薬局でお薬をもらう頃にはもうくたくた

そこにめちゃくちゃ混んでいる薬局なので、簡単な処方でも1時間待ちとか、、泣
待たせすぎだろうと怒られることもしょっちゅう

だから、お薬の説明も大事だけど
患者さんに気持ちよく帰っていただくことに私は力を注いでいました

どんな人にも丁寧に、でも素早く必要なことを伝える。笑顔はマスト!
雰囲気を読み取る
この人は話したそうだな
早く帰りたそうだな
怒ってるな、悲しそうだな
どんなひと言をかけたら嬉しいかな

たくさんお話しする時間はないので
・元気になってください
・早くよくなるといいですね
・痛みが和らぎますように
・ご家族も大変ですね
・今月もお顔が見れて嬉しいです
など
言えるときはひと言添えて、
『お大事になさってください』にものすごくたくさんの想いを込めていたように思います

『お大事に』のひと言と一瞬のお互いの視線や意識のなかでたくさん会話を交わすような感覚です

なんかそうすると、イライラしていた方もふわっと空気が変わるような気がしていました

あるとき、
処方箋を受け取った事務員さんに怒っている年配の男性がいて

薬剤師一同、うわぁ。あのひとには当たりたくないわみたいな雰囲気

後輩の子がお薬を渡す担当になり
しかも、確か不備があり確認しないといけないことがあってその男性の所へ
めちゃくちゃ怒られてる!

凹んで戻ってきた後輩の子とバトンタッチして私がお話ししに行ったところ

実はその日病院で奥様の重い病気が発覚し、落ち込んで薬局に来たところ事務員さんの処方箋の受け取り方がぶっきら棒だったことに傷つき
心のやり場がなくて怒鳴ってしまったとお話ししてくださいました

虫の声が風流に感じる
スクランブル交差点でもひとにぶつからない
空気を読むことができる
などは外国のひとには難しいと聞きます

マスクをしていてもその人が笑顔なのか、なんか愛想がないなとかなんのとなくわかってしまうのは日本人だからかな

表に出ている言葉や感情の裏にある気持ちを察する

命と隣り合わせのものすごく忙しかった日々はそんな感覚に磨きをかけてくれていたように思います

嫌なこともたくさんあったけど、楽しかったな
お薬のことよりそんな患者さんとのやり取りの方が今も鮮明に記憶に残っています

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