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お母さんに優しくしたいな。

父がまだ生きている時。

その日は息子が学校に行かなくて、
わたしはイライラしていた。

どうしてわたしばっかり。
他の人は、こんな思いしていないのに、
どうしてわたしばっかり。

そんな気持ちに駆られて、父に言った。

「あの子が学校に行かないのは
わたしの愛情不足が原因なんだよ、どうせ。
でも、わたしだって、どうしていいのか分かんないんだよ。
貰ってない愛情を、あの子に教えることなんて、出来ないんだよ」

そう言った。

そう、
わたしが苦しいのは、あんたのせいよ。
あの子が苦しいのも、あんたのせいよ。

そんな気持ちで、父にぶつけた言葉だった。

父が亡くなる2か月くらい前だった。


先日母と出掛けた。

車の中で、わたしは母に言った。

「わたしは、仕事が長続きしない。
どこに行っても、どんな仕事をしても
いつも人間関係に苦しむ。
いつもお局にイジメられる。
わたしは、普通の人のようには生きられない。
わたしは、みんなみたいにはなれない。」

それは
普通の人のようになれない責任は
お母さん、あなたにあるんだよ。
わたしをもっと無条件に愛してくれれば。
もっと受け入れてくれれば。

そんな気持ちで言った皮肉だった。


父も母も、
わたしの言葉に黙っていた。

そして、
「スーパー寄ろうか?
何か、欲しいものある?」

「お寿司でも食べていこうか。
お父さん、お金出すから」

父も母もそんなような言葉を言った。


わたしは、自己嫌悪に陥った。

悲しさといら立ちを
自分で処理しきれなくて
それを誰かのせいにしたくて
一番理由になりそうな『親の愛情不足』に転換する。

そして、父と母を悲しくさせる。


お母さん、ごめんね。
お父さん、あの時、ごめんね、ごめんね……。


お母さんに優しくなりたいな。
お父さんに優しくすればよかったな。

優しくするっていうのは
八つ当たりしないことでも、
酷い言葉を投げないことでもなくて、

『自分の人生を、自分で責任を持つ』
ということ。

色々なことがあったけれど、
でも、わたしは自分で自分を幸せにしていくよ。

その姿を見せること。

それが、お母さんに優しくすること。
それが、お父さんに本当にしたかった優しさ。


サポートありがとうございます。東京でライティング講座に参加したいです。きっと才能あふれた都会のオシャレさんがたくさんいて気後れしてしまいそうですが、おばさん頑張ります。