スプリングイズカミングスーン

私が呼び込みました、と言えるような春になればいい。


"それ"がなくとも、あるいは存在すら知らなくても普通に暮らしていけるが、ひとたび知ってしまえばもう二度と戻れない。
なぞなぞのような書き方になってしまったが、そんなモノやコトに出会うと、自分で世界をぐいと広げることができたような気がして嬉しくなる。

例を挙げればいくらでもある。

16歳からコンタクトをつけるようになり、以来毎日お世話になっているが、プチストレスはたまに訪れる。
それは、移動中や休憩中のうたた寝から目覚めた直後。目が猛烈に乾いてまともに開けられないのだ。電車を降りる駅でちょうど目覚め、慌てて降りるときなんて最悪で、薄目のしかめっ面で手刀を切らねばならない。かっこ悪いし、第一、危ない。
つい最近まで、それに対する私の対処法は「涙が出てくるまでじっと耐える」の一択だった。コンタクトをつけたまま寝てしまった自分に対する罰だ、とすら思って甘んじて受け止めていた。

ところが最近、気付いてしまったのだ。
きっかけは、コンタクトを受け取りに行った眼科の診察で言われた、
「まだ目が乾燥する季節ですから、適宜“目薬”を使ってくださいね」
という何気ない一言だった。

目薬。
これまでの私の人生には無かった発想だ。

翌日、私は初めて目薬を買った。

そのひとさしで、クリアになる視界。まぶたが喜んでいるのを感じる。
眠気も吹き飛び、頭もスッキリ。
そして、一滴も頰に垂らすことなく上手にさせたときの全能感。
こんなに素敵な世界があるなんて。

お薬は、用法・用量を守って正しく使います!!

かくして私のプチストレスは今後、劇的に改善するに違いない。

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