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モンマルトル:アーティスト村の風景

同僚の先生がパリに来ているので、あわててユーロスターを取って、朝5時半起きでパリに移動した。ユーロスターの料金は、早く取れば取るほど安い。日本では、新幹線のエクスプレス予約を、すでに電車に乗りながらスマホ予約するのがつねであるわたしだが、ロンドンーパリでそういうことをすると、かなり高くつく。

しかしかれは明日帰ってしまうので、会いに行くことにした。すいません、計画性のないのはわたしです。

昨年から今年にかけて、2ヶ月半くらいはパリにいたのだが、美術館はともかく、観光はしていない。じゃあモンマルトルでも行きますか、ということになった。

いまはパリ18区にあるモンマルトルは、以前はパリ市内ではなかった。なので生活費も安かったし、何しろ酒税が安い、つまり酒が安い。そこでモンマルトルは、19世紀末、世紀末芸術の時代に、アーティストの溜まり場となっていった。ナビ派の結成もここだし、キュビスム発祥の地でもある。

写真のLapin Agile(元気なうさぎ。元気というのは精力ですね)は、かれらがたむろしていたキャバレー。この中で、ロートレック、ゴッホ、ピカソ、マティス、詩人のアポリネール、コクトーなどが、会して酒を飲み、歓楽していた様子を、想像してみる。アーティストのそれぞれが、どんな掛け合いをしていたかを再創造できることを考えると、映画づくりは楽しいだろうな。

いまも画家たちが絵を売っている、テルトル広場もある。頼めば似顔絵を描いてくれる。

子どものころユトリロの絵が好きだったが、かれが描いたのも、ここの風景である。かれが描いた建物や街の風景が、それなりにそのまま残っている。

ムーラン・ルージュは、ジャン・ルノワールの『フレンチ・カンカン』などの映画の舞台にもなったキャバレー。父親のピエール=オーギュスト・ルノワールは、『ギャレット風車のダンスホール』を描いている。昨年オルセー美術館で、ルノワール父子展というのをやっていたが、ジャン・ルノワールは、自分は父親のやっていたことを模倣していただけだ、というようなことを言っていた。赤い風車の赤は、欲情の色なのだとか。

お菓子屋さんのディスプレイも、アーティスティック。とてもそそられるし、味も上級である。パリではお店の美しさに誘われて、写真を撮ってしまうことが多い。

『アメリ』の舞台になったことも有名なので、この話はまた書いてみたい。とにかく街全体に、セクシャルでアートな雰囲気がムンムンしている、モンマルトル。

パリの中心部の風景とは、まただいぶちがう。歩いているだけでアーティスト気分になれる、すてきな街でした。

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