夫の得意料理はいくつかある。
その中で筆頭にあがるのは麻婆茄子だ。

『そろそろ麻婆茄子作ろうか？』

夫がそう言うので、私は飛びついた。

『食べたい！！お願いします！』

ところで、料理を作ってもらう身としては礼儀を示すことが大事だ、と私は思う。
そういう気持ちもあって、材料を切ったりなどの下準備には積極的に参加することにしている。

今回頼まれたのは、包丁でナスに切れ目を入れて乱切りにすることだ。切れ目を入れることでナスにより味を染み込みやすくさせるようだ。

調子良く包丁で切り進め、乱切りにされたたくさんのナスがまな板の上に広がっていく。
できた！と思って包丁を置いた瞬間、我に返った。

『切れ目入れ忘れた...』

さすがにナス10本分の乱切りをしてしまった後で切れ目を入れろとは言わないよね、、？と思い
夫にその旨を伝えると、

『がんばれ☆』

無情な返事が返ってきた。

そりゃそうですよね！！！！忘れた私が悪いです！！！喜んで切らせていただきますうう！！(泣)

さすがは夫、美味しいものを作るためには妥協を許さない...。大変過ぎて、泣いた...。

そんなナスは素揚げをされて美味しく油を吸った後、フライパンの中で調味料と共に炒められていく。
ナスの鮮やかな紫色と、辛めに味つけられた餡の赤色がとても美しい。

そして完成。

トロトロなナスが舌触り良く、粒山椒の辛さがピリリと口の中に広がる。ナスに切れ目を入れたのもあってか、中までしっかりと味が染み込んでいる。
こんなに美味しくなるなら、そりゃナスの切れ目の工程ははずせないね！！

今日も本当にありがとう。
ごちそうさまでした。