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モスクワのカールソン/情報封鎖が破れた


【嘘が通らなくなる時代】



1月20日に冥王星がまた水瓶座に戻ってきてるのだそうで、どうもその頃から、状況が大きく変わってきているようだ。冥王星が水瓶座に入るとは、嘘がもはや隠しておけなくなり、破壊的な事態が生じてしまう、ということなのだそうだ。どうもまさにそのようなことが、世界中で激しく起こり始めているようなのだ。

1月末には、国際刑事裁判所が、イスラエルがガザでジェノサイドを行なったと認める判決を出した。これは、南アフリカなどの数カ国が出した訴えだったのだけれど、これまで国際刑事裁判所は、NATOの見解に反するような判決は出さないことになっていた。だから、この南アフリカの訴えも、どうせわけのわからない理由をつけて、却下されるのだろうと思っていたけれど、これが何と、認められたのだ。

国際刑事裁判所は、昨年春に、ロシア大統領プーチンに、ウクライナの子供を強制連行したという訴えで逮捕状を出していた。これはまったく根拠のないもので、内容も要領を得ないものだったのだけれど、それでも逮捕状が出されてしまったのだ。この判決を出した裁判官は日本人で、ロシア政府はこの裁判官に逮捕状を出した。国際刑事裁判所は、NATOの攻撃を正当化するために存在しているようなところさえあり、これまで世界中のあちこちで行われてきた市民への無差別攻撃は、NATO側が行なったことであれば、一度も訴えられず、ロシアや中国がやったという話では、事実は逆であっても有罪判決が出ることになっていた。

だから、イスラエルがジェノサイドを行なったという判決が出たのは、それでネタニヤフに逮捕状が出なかったにしても、ともかくも大きな変化だったと言える。しかも、その数日後、ロシア軍が戦争犯罪を犯したとしてウクライナ政府が出した訴えは、すべて却下されたのだ。

国際刑事裁判所だって、西側グローバリストが罪から守ってくれるのを、いつまでも当てにしているわけにもいかなくなってきたのかもしれない。あるいは、もう裁判官を買収したり脅したりして、操作するだけの力が、西側グローバリストになくなってきたのかもしれない。いずれにしても、現実に行われている虐殺を裁かないなどということは、司法者としては、ジェノサイドに加担することになる。冥王星が水瓶座に入ったことで、こちらの圧力の方が大きくなったのかもしれない。

ニカラグアは、ドイツなどの数カ国が、イスラエルに武器援助をしていることで、ジェノサイドを支援しているとして、国際刑事裁判所に訴えを出したということだった。いつ判決が出るのかわからないけれど、パレスチナで行われている攻撃は、NATO諸国がイスラエルにやらせている代理戦争だということを、もう世界の多くの国々は知っているのだ。そして、それを公に訴えることをもはや恐れてはいないということを、このことは示している。

また、ドイツでは、ZDFのジャーナリストがロシアに併合されたマリウポリから、現地の様子をありのままに報道したことで、大騒ぎになっていた。西側メディアでは、マリウポリはロシアの攻撃で街が破壊され、多くの市民が殺されたという話になっているのだけれど、今マリウポリは、ロシア政府によってインフラが整えられ、学校や病院も建設され、爆撃された劇場も再建された。もともとマリウポリに住んでいた人たちは、ロシア語を話す人たちなので、劇場が再開され、ロシア語で演じることができることを、喜んでいる。ウクライナだったときには、ロシア語を使うことは禁じられていたからだ。

レポーターは、鉄条網で封鎖してある区間の前に立っていて、しかも夜なので暗くてほとんど何も見えない。それは、何とかしてマリウポリが「ロシアに占領」されたことで、悲惨になっていることを示そうという試みのように思えた。しかし、それでもマリウポリがよくなっていて、人々が幸せになっているということは、どうにも隠しようがないようだ。このレポートのことで、ウクライナ政府はロシアのプロパガンダを報道したと批判したのだそうで、ドイツの他の主流メディアも、バッシングしていた。そもそもロシアが占領した地域に行ってレポートすること自体が、ロシアに協力したことになる、というのだ。他にもう批判する理由がないからなのかもしれないけれど、これはもう偏向報道をしろと公に言っているようなものだ。

2月6日には、フォックスニュースを解雇されたアメリカのニュースキャスターのタッカー・カールソンが、これからロシア大統領プーチンにインタビューするとモスクワから動画メッセージを出して、世界中で大騒ぎになった。まだ内容も出ていないのに、西側主流メディアは、タッカー・カールソンはロシアのプロパガンダを宣伝しているとか、極右だとか、ありとあることを言って、政治家たちは追放しろとか経済制裁をかけろとまで言っていた。

まさにそのことで、アメリカのメディアは、ロシア政府の見解を一切知らせないようにして、一方的にロシアが悪いという印象を与え続けてきたということが、はっきりとしてしまったのだ。ロシアの軍事介入が始まってから、西側のメディアは、一回もロシアの政治家にインタビューしてこなかった。もう3年目になるのにだ。タッカー・カールソンは、昨年9月にプーチンにインタビューする計画を立てていたのだけれど、アメリカ政府の諜報機関に阻止されたと言っていた。それで今回は、どこをどう通っていったのか、とにかくトルコからの飛行機でモスクワに到着することに成功した。おそらくは、諜報機関の追跡をかわしながらの旅だったのだろう。モスクワからの動画メッセージでは、その類の冒険を行なっている人間の緊迫感がにじみ出ていた。まさに命がけで、彼はモスクワまでたどり着いたのだ。

彼は、プーチンを支持するから来たのではなく、アメリカの報道の自由のために来たのだと言っていた。自分もアメリカ人であり、アメリカを愛するからこそ、来たのだと。アメリカ人は、ウクライナの戦争の真実をまったく知らされないままに、ウクライナに軍事支援させられている。だから、アメリカ人は真実を知る権利があるのだと。この動画メッセージは、Xで公開され、テレグラムやXで拡散されて、数時間の間に、一億回以上も再生された。

インタビューは2時間に及び、そのすべてをまったく修正もカットもないままにXとカールソンのホームページとで公開するということだ。内容は、おそらくはロシア側の報道を見てきた人にとっては、何ら新しいことはないのだろうと思う。ロシアにとっての戦争の目的は、最初からずっと変わってはいないし、プーチンはただその内容を、これまで知らされてこなかったアメリカの人たちに向けて語ったのだと思う。しかし今、このインタビューに全世界が注目している。カールソンからメッセージでインタビューのあらましを知らされたアレックス・ジョーンズは、「これは歴史を変えることになるだろう」と言っていた。何か大きな転換が起こっていることを、感じているようだ。

これまで何年もの間、西側世界はあからさまな嘘を信じさせられてきたのだけれど、嘘はいつまでも隠しておけるものではない。嘘を信じさせるために、買収や脅しや暴力、暗殺まで、ありとある手が使われてきたのだけれど、世界の大部分はすでにそうした脅しには従わなくなっている。軍事産業で儲けているグローバリストたちは、まだ支配できる西側諸国を何とか騙したままにしておこうとしているけれど、それももう破滅するときが来ているのかもしれない。

ホワイトハウス報道官の記者会見で一人のジャーナリストが、カールソンがプーチンにインタビューするのを、バイデン政権が阻止しようとしたと言っていることについて、事実なのかどうかと質問していた。それについて報道官のカリーヌ・ジャン=ピエールは、「まったくバカバカしい」とだけ言って、一切のコメントを拒否していた。もしそれが「まったくバカバカしい」のであれば、タッカー・カールソンがプーチンにインタビューするためにモスクワに行ったからといって、何ら責められることはないはずなのだから、これは事実であることを認めたのも同然だ。

ちょうど同じ頃に、ロシアのガスパイプライン、ノルド・ストリームの爆破事件について、調査していたスウェーデンが、結果なしということで調査を中止したことを発表した。この爆破事件については、ウクライナの工作員がバカンス用のヨットを使ってやったという、まったくあり得ないような説が出ていたのだけれど、スウェーデン人は誰もこの事件に関わっていないということを証明しただけで、それ以上のことを追及する責任はスウェーデンにはない、とスウェーデン当局は言ったそうだ。つまり、スウェーデンはこの件についての嘘をでっち上げることに協力することを拒否したということだ。

冥王星が水瓶座入りしてから、こうしたことが立て続けに起こっていったことを考えると、これまで嘘で固められていた世界が、もうガラガラと崩れて、真実が表に出るときが来ているのではないかという気がする。私たちは今まで、ハイジャックされた飛行機に乗せられていたようなものだったのだ。生き延びるために、犯人を刺激するようなことを言わないように気をつけてきた。私たち人間は、こうしたことを本能的にやるようになっている。

その間、私たちの内なる真実の声は、口をふさがれたインナーチャイルドのように、黙らされているのだけれど、犯人が捕まって飛行機から救出され、安全だとなったら、本当のことをことを大声で叫び始めるだろう。どうも冥王星が水瓶座にあるときのエネルギーというのは、こうしたもののようだ。もう真実を言うことの危険よりも、言わないことの危険の方が大きくなってしまうかのようだ。まさにこの流れが、これまで嘘で固められ、そのために不正がまかり通ってきた世界を破壊していくことになるだろう。それによって、ありのままの真実が表に出て、不正が裁かれるようになり、本当の調和が戻るようにだ。

2024年2月8日

スコット・リッターさんが、タッカーさんのインタビューについて語っています。これはアメリカ人がロシアのことを理解していくための最初のステップであり、そのための地図のようなものだと言っています。カールソンは、ロシアの専門家じゃないし、ロシアの歴史もロシアのメンタリティも知らない。だからこそ、アメリカ人がロシアを理解する扉を開けることができるということですね。そして、これが人類を救うための冒険の始まりだと言っています。

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【モスクワのアメリカ人】



アメリカのジャーナリスト、タッカー・カールソンがアメリカ政府の諜報機関の追跡をかわしながら、モスクワにたどり着き、ロシア大統領プーチンにインタビューすることに成功して、世界中は大騒ぎになっていた。西側のメディアや政治家たちは、内容が出る前から、あれはすべて嘘だとかプロパガンダだとか言っていた。アメリカの東海岸タイムで8日の午後6時に、インタビューが一切修正なしカットなしで公開されたあとにも、やはり西側メディアはすべて嘘だから見てはいけないと言っていたようだけれど、何がどう違うとは、ほとんど誰も言えなかったようだ。

このことは、西側世界、特にアメリカで、ロシアの情報がどれだけ隠されてきたのかということを示している。ウクライナにあれだけ国を挙げての軍事支援をしてきて、国民はロシアが何故戦争をしているのかについて、まったく知らされていなかったのだ。そして、それを知ろうとすることさえ、国を裏切ることであるかのように言われてきた。これが言論弾圧でなくて、何だろう? タッカー・カールソンは、ただアメリカの言論の自由を守るためにと、危険をおかしてモスクワにわたり、プーチンにインタビューしたのだ。

ロシアの情報に通じている人たちにとっては、あのインタビューは特に何も新しいことはなかった。プーチンは、いつも言っているようなことを、アメリカの視聴者のために語っただけだった。カールソンの質問の仕方や、プーチンの答えに対する反応を見ていて、この人はロシアのことを何も知らないのか、それともアメリカの視聴者のために知らないふりをしているだけなのか、どっちなのだろうと思っていた。

インタビューの最後に、モスクワでスパイ容疑で逮捕されたウォール・ストリート・ジャーナルの記者イヴァン・ゲルシコヴィッチを釈放して欲しいと、カールソンはプーチンに言っていた。アメリカでは、このジャーナリストは、ロシア政府に不当に監禁されているように報道されていて、タッカー・カールソンもそれを信じていたようだった。まだ若いジャーナリストが、スパイのようなことをしたはずはないだろうと言っていた。

ロシアの情報に通じている人ならば、ロシアは言論弾圧も反政府運動の弾圧もしていないのを知っている。西側で、反政府活動家として逮捕されたと思われているナワリヌイは、詐欺で保護監察になっていたのに、出頭しないで国外に逃亡していたために、再入国したときに逮捕されただけのことだった。西側諸国のメディアや政府が、ロシアが不当逮捕したと言って騒いでいるのは、いつもこの類なのだ。そしてまた、ロシアには本当にたくさんの工作員やテロリストやスパイが、西側から送り込まれていることも事実だ。ナワリヌイも、つまりは西側に逃亡した腐敗オリガルヒが資金を出して、ロシアで反政府活動をさせていた工作員だった。

だから、ロシアでスパイとして逮捕されて、しかも西側メディアが不当だと騒いでいたら、まず事実としてスパイなのだろうと、ロシアのことを知っている人ならば思う。だけどカールソンは、アメリカで言われている通りに、ゲルシコヴィッチは不当に逮捕されたのだと思っていたようだった。プーチンは、彼は機密文書を受け取ったところを現行犯で逮捕されたので、確かにロシアの法律を犯したのだと言っていた。

アメリカの元諜報部員のスコット・リッターは、翌日「時にはスパイは本当にスパイだ」という記事を書いて、このことを解説していた。ゲルシコヴィッチは、取材の名目で、エカテリンブルクの武器製造会社に入り込んで、新しいミサイルに関する軍事機密文書を受け取ったところを逮捕された。このことからして、おそらく彼は、アメリカ諜報部がジャーナリストに仕立て上げて送り込んだ工作員なのだろう。そして、ゲルシコヴィッチが不当に逮捕されたと書き立てていたロシア系のジャーナリストは、ロシア政府を批判するために、あることないこと書いてきた人物だった。これもおそらくは、中央情報局のプロパガンダ部門から出ている情報工作なのだろう。

アメリカでは、本当に言論弾圧で逮捕されている人、バッシングされた人、解雇されたり、脅されたり、暗殺された人もたくさんいる。タッカー・カールソンだって、その一人だ。アメリカ人である彼にとって、言論弾圧は言わば当たり前のことで、アメリカにあってロシアにないなどということが、あるわけがないと思ったのだろうか? 自由の国であるはずのアメリカでさえ言論弾圧があるのに、自由がないはずのロシアで言論弾圧がないはずがないだろうと? 

インタビューの翌日に、カールソンはロシアのメディアにインタビューを受けて、現代のロシアは予想外にすばらしい、モスクワはとてもすてきな街だ、とすっかり緊張が解けたように、晴れ晴れとした顔をして語っていた。そのときはインタビューが公開される前のことだったから、ただインタビューがうまくいってホッとしているんだなと思っただけだった。しかし、インタビューを見たあとに、彼のあの発言を思い出すと、あのインタビューは彼にとっても、ロシアの印象が引っくり返った瞬間だったのだなと思う。

彼もまた、一般のアメリカ人と同様に、ロシアは言論弾圧や不当逮捕などが行われている、独裁的な国だというイメージを持っていたのだ。だから、彼の質問から引き出されるプーチンの答えは、彼にとってはまったく想像もつかないものだったのかもしれない。それによって彼は、思ってもみなかった現実に引き出されてしまったのだ。そして晴れ晴れとした表情をして、現代のロシアはすばらしい、と語ったのだ。

彼の最初の質問は、何故ロシアはウクライナに軍を出すことに決めたのか、ということだった。領土が欲しいのか、ウクライナがNATOに加盟することによる脅威が問題なのか、といった答えを、彼は期待していた。それに対してプーチンは、ウクライナのことは歴史を知らないと理解できないからと言って、一千年前のロシアの歴史から物語り始めた。カールソンはそのことにいら立っている様子で、何度かプーチンを遮って、ウクライナの戦争のことに話を戻そうとした。しかしプーチンは、そのたびにその話はあとに出てくるから、今は話させて欲しいと言って、歴史の話を続けていった。

インタビューを終わりまで聞いて初めて、一千年前の歴史から話す必要があったのだということがよくわかる。もともとウクライナという国があったわけではなく、そういう民族が別に存在していたわけでもなく、同じロシア民族がいただけだったのだ。それが19世紀の頃から、ウクライナの土地を植民地化しようとする外国の勢力によって、ウクライナはロシアと異なる民族だという印象操作が行われていった。そうやって、ウクライナの独立運動を起こして、ロシアから切り離して支配しようとしていたのだ。それでウクライナは、ポーランドに支配されたり、ドイツに支配されたりするようなことになり、そのたびに残虐な扱いを受けてきた。

ウクライナという国は、ソ連ができてから初めてできた国だった。しかも、ポーランド、ルーマニア、ハンガリーの一部がどういうわけだか入れられているという、奇妙な国境の引き方をされた国だった。この人たちはウクライナ人だというアイデンティティを持っているわけではなく、自分たちをハンガリー人だとかロシア人だとか思って生きてきた。

こういう人たちに、ウクライナ人だというアイデンティティを持たせるために、何と80年前にヒトラーに協力してポーランド人やユダヤ人やロシア人を虐殺していたバンデラ主義者が、国の英雄として祀り上げられることになったのだ。それが、2014年のクーデターで政権を取ったのだけれど、それで、クーデターに反対する人たちが軍事的に攻撃される事態になった。そのときにすでに訓練ということでウクライナに基地を作っていたNATO軍が、空爆していた証拠写真があると、プーチンは言っていた。

セルビアでもチェチェンでもウクライナでも、すべて同じことだった。アメリカ中央情報局が、ロシアを弱体化させるための戦略として、反政府テロリストを送り込み、紛争を起こすので、その国の政府がロシアに助けを求めてくる。それでロシアが紛争解決のために軍を出すと、西側のメディアと政府が、一斉にロシアが侵攻したと大騒ぎするのだ。そして、ロシアに経済制裁をかけ、ロシアのスポーツ選手を国際大会から締め出し、ロシアは恐ろしい国だと、世界中の人々に思わせる。

カールソンは、そうしたことを語っていくプーチンに対して、でもどうして交渉しようとしないのか、証拠があるならどうして公表しないのか、どうしてワシントンに電話してやめろと言わないのかと、鋭く追及するような質問をしていく。プーチンはそれに対して、困ったような顔をしながら、ごく率直に、正直に、真実を語っていく。アメリカの政治家は、インタビューでは、もっと駆け引きや演技で答えてくるのだと思う。こんな風に率直な語り方をする政治家は、アメリカにはいない。

カールソンは、駆け引きで語ってくる政治家から真実を引き出すべく、鋭い質問をすることに慣れているのだと思う。しかし、いくら質問をしても、彼はプーチンを追い詰めることはできず、その代わりに、また一つアメリカの政治の闇が明かされていくことになる。どうしてワシントンに言わないのか? プーチンは歴代のアメリカ大統領といつも個人的に話して、いい関係を作ろうとした。安全保障協定を結んで、一緒にミサイル開発することを持ちかけもした。NATOに加盟することさえ提案した。アメリカ大統領はそれに合意するけれど、あとになってやっぱりできないと言う。アメリカの政治家は、大統領でさえも、何者かに操られていて、自由に決めることができないというのだ。

そうやって、これまでロシアがただ平和な国際関係を求めて行なってきたことが、すべてアメリカの政治を動かしているエリートによって壊されていったことが明かされていった。ロシアや中国が脅威だということこそが、作られたプロパガンダであり、それによって、アメリカの国民は、戦争に投資させられてきたのだ。しかし、もう世界は変わっていっているし、ウクライナの戦争がどうなろうが、それとは関係なく、この動きは止めることができない、とプーチンは言う。つまり、アメリカはもう世界を支配し続けることはできず、他の民族のあり方を認めて、協調していくあり方を探すしかないということだ。アメリカ国民こそ、ロシアや中国の脅威という物語を信じるのをやめて、税金が国民のために使われるように政府を変えるべきなのだ。それに気づければ、世界は戦争から解放されることになる。

スコット・リッターは、このインタビューについて、「これは、人類を救う旅の始まり、最も重要な最初の第一歩だ」と言っていた。カールソンは、モスクワにやってきて、今のロシアのありのままの姿を見て、ありのままのプーチンを見て、アメリカの人々とともに、これまで信じさせられてきた嘘から目覚めていくプロセスを始めたのだ。それはまるで、ウサギの巣穴に落ちて、まったく別な世界を知ることになったアリスのようだ。存在しないと思っていたような世界が、目の前に開けたようなものだと思う。

アメリカ人は、もともとその土地に住んでいた民族ではない。そこに住んでいた民族を駆逐していくことで、国を作った人たちだ。だからアメリカ人にとっては、国とは支配であり、戦争とは征服だ。しかし、ロシアにとって、そこに住む民族を尊重して、協調していくことが支配であり、ロシアは紛争を解決するために戦うのだ。これは、まったく対極のあり方で、アメリカの人たちにとって、そうしたあり方が可能だということさえ、理解しがたいことなのかもしれない。

だからこれは、アメリカが別なあり方へと目覚めていくプロセスの始まりだ。そして、それが冥王星が水瓶座に入って2週間したところで起こったというのも、世界がもう否応もなくその方向へと向かって動いていることを示しているようだ。

2024年2月10日


ロシア語の文字起こしからの日本語訳が出てました。

エヴァン・ゲルシコヴィッチの逮捕についてのスコット・リッターの解説。「時には、スパイは本当にスパイだ」。

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【技術的な成功と政治的な失敗】



モスクワに来たアメリカのジャーナリスト、タッカー・カールソンのインタビューに答えて、ロシア大統領プーチンは、30分もの間、一千年前からのロシアの歴史を語り続けていた。ロシアの歴史といっても、ウクライナに関わる歴史だけだ。その中で、ウクライナの土地で、ロシア人たちがポーランドに支配されて残虐に扱われていたという話がある。それが13世紀のことで、17世紀になって、ウクライナのロシア人権力者が、モスクワに手紙を書き、ウクライナの土地をモスクワ王国の一部として併合し、ポーランドの手から守って欲しいと頼んできた。それにより、ロシアはポーランドと戦争することになり、キエフを含めたドニエプル川以東の土地が、モスクワ王国になったということだった。

これについては、そのときに交わされた文書のコピーのファイルを、プーチンはカールソンに手渡している。これは作り話ではなく、本当の話なのだと。

ロシアの歴史には、同様の話がいくつもある。トルコとの戦争でも、ロシアは領土を征服しようとして戦争したわけではなく、トルコに侵略されて困っていたブルガリアに救援を頼まれて、解放したということだった。2014年に併合されたクリミア半島も、クリミアの住民が望んでのことだったし、2022年秋に併合されたドンバス地域もだ。ロシア連邦に守って欲しいと住民が望んで、住民投票によって、ロシアに民主的に併合されたのだ。

ロシアは極東まで広大な領地があり、そのすべてがどのようにして併合されることになったのかはわからないけれど、ロシアは土地に住む人々の民族伝統や宗教につねに敬意を払ってきた、とプーチンは言っている。そして、まさにそれがロシアの力なのだと。どの土地の人々も、ロシアが祖国であり、そこでは家族の一部であるように守られるという感覚を持っているのだと。

ウクライナは、ロシアとポーランドの境にある土地だけれど、まさにここがポーランドに何度も征服され、戦闘が繰り返されてきたのだ。ロシア人はロシア語を話し、ロシア正教を信じる民族で、ポーランド人とは違う民族だ。ポーランド人はポーランド語を話し、ローマ・カトリックを信じる民族だ。どうもこの、正教とローマ・カトリックの違いというのが、争いの根源になっているらしい。

それというのも、ローマ・カトリックは、ローマ帝国が支配に利用していた教会組織で、異教徒は排除したり虐殺してもいいという論理で、周囲の民族を征服支配していたからだ。このローマ・カトリック教徒たちによって、ヨーロッパのケルト・ゲルマン民族は、ほとんどすべて征服され、土地の神々を信じることを禁じられ、ローマ・カトリックに帰依することを強要された。そして、ローマ・カトリックに帰依するとは、バチカンつまりローマ帝国に服従するということを意味していた。

ところでロシアは、王族から正教徒になって、それが広がっていく形で、正教を信じる民族になっていったので、征服されて改宗していったのではない。ロシアは、併合された土地の民族の宗教を大事にした。どの宗教も、つまるところ同じものだという考えを持っていて、押しつけることはなかったのだ。

これは、ローマ・カトリックのあり方と、まさに正反対だと言える。ローマ・カトリックは、教えを広めることを、征服支配の手段として使っていた。南アメリカ大陸に渡ったスペイン人たちは、土地の人々を残らずカトリック教徒にしてしまい、カトリック教徒になろうとしない人々は虐殺してしまった。これは、ナザレのイエスの教えとは何の関係もない、ローマ帝国的な植民地主義と言うべきものだ。

2014年のマイダン革命で、ウクライナは、ロシアとの関係を保とうとするヤヌコヴィッチから、NATO加盟を望むナショナリストの政権に交替した。これは革命と呼ばれてはいるけれど、事実上は暴力的なクーデターで、このためにアメリカ政府は50億ドルを投資していた。このお金で、工作員を送り込み、ナショナリストのテロリストグループを養成し、武装させ、反政府デモを組織して、議会を乗っ取らせたのだ。

このときにも、プーチンはアメリカ政府と取引があったということを、インタビューの中で明かしている。アメリカ政府は、ヤヌコヴィッチが軍事的手段に訴えないようにしてくれたら、マイダン革命のナショナリストたちをなだめて暴力沙汰に走らないようにするからと、プーチンに言った。それで、ヤヌコヴィッチは軍隊を出動させなかった。すると、ナショナリストたちがクーデターを起こして、議会を乗っ取り、ヤヌコヴィッチを追い出してしまった。

マイダン革命では、警察隊は出動していたけれど、銃に弾が入っていなかったか、安全装置を外す許可が出ていなかったというような話だったと思う。とにかく、建物の上から狙撃手が発砲して、デモの人々だけでなく、警察官も何人も犠牲になった。アメリカ政府は、プーチンとヤヌコヴィッチを裏切ったのだ。それについてプーチンは、「アメリカ中央情報局は、技術的にはすべて正しいことをしたけれど、政治的には大失策をした」と言っていた。

アメリカ中央情報局は、冷戦の時代から、ロシアをいかに弱体化するかということを専門にしてきて、それ以外のことはまったく考えられないし、まったく見えていない、とプーチンは言う。ロシアを弱体化するのが目的だから、その目的が達成されるためには、何でもする。ロシアの政治家をだまして、空約束をしたり、流血騒ぎを起こしたり、どんな手段も使うのだ。そこには、ただ目的を達成するための計算があるだけだ。その結果、どんな事態になろうが、そこまでは視野に入っていない。アメリカにはそのように専門化した技術者がたくさんいて、それぞれ目的を達成することしか考えていないというのだ。

しかし、ロシアの人々はそのようには考えない。ロシア人は正教の信仰を大事にする人々で、永遠や道徳の価値観でものを考えるのだと、プーチンは言う。そして、まさにそのように考えて行動しているからこそ、ロシアでは異なる民族、異なる宗教の人々が、まるで一つの家族のように団結している。

排他的な支配は、つまるところ、ローマ帝国のようにいつかは崩壊していく運命にある。西ローマ帝国は、支配されていたゲルマン人たちが、次第に経済的に強くなっていって、ローマまで攻めてくる事態になり、それによって崩壊したのだ。ローマ帝国が滅亡するのには、500年かかったけれど、今はそれよりも遥かに早いスピードで崩壊が進行している、とプーチンは言っている。

暴力で支配すれば、いずれは暴力で破滅させられる。プーチンが「政治的な大失策」と言ったのは、つまりはこのことなのだろう。人をだまし討ちにかけたり、大虐殺を行なったりすれば、敵意が大きくなり、暴力を使ってしか支配できなくなっていく。そしていつか強くなった人々は、支配勢力を滅亡させるべく戦い始める。

そして、まさにその事態が今、起こっているのだ。戦後世界を支配してきたアメリカは、すでに経済力でも技術力でも軍事力でも、BRICSに負けている。国際通貨としての米ドルを、政治的武器として使ったために、今や多くの国は米ドルから離脱しようとしているし、いくら軍事力を投じても、もうロシアをつぶすことはできない状況だ。世界支配勢力としてのアメリカは、今、ローマ帝国と同様に滅亡していこうとしている。

しかし、ここでアメリカの人々が、技術的に目的を達成する思考から離れて、もっと大きな視点で状況を見ることができれば、起こることは変わってくるだろうと、プーチンは言うのだ。自分から滅亡へと突っ走っていくのではなく、協調する国際関係を築くことで、病的な分裂状態が癒やされていくだろうと。

私たちは、征服したりされたり、支配したりされたり、という世界が当たり前だと思ってきて、それが人間の性であり、それ以外の世界などないのだとさえ思っている。ところで、それはローマ帝国とローマ・カトリックが支配してきた世界でのことにすぎず、ロシアや正教を信仰する人々は、対極的と言ってもいいくらいに、違う原理で動く世界に生きていたのだ。

この200年ほど、支配と策略とで動く西側世界は、道義を大事にするロシア人を、空約束でさんざんだまして、思い通りにしてきた。しかし、それは技術的な成功にすぎない。政治的な視野で見たら、アメリカ帝国の崩壊を加速しただけのことだったのだ。

2024年2月11日


クレムリンでプーチン大統領にインタビューするカールソン

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【情報封鎖が破れた】



タッカー・カールソンのプーチンのインタビューが公開されてから2日ほどした頃に、ロシアのテレビ番組で、「このインタビューは、西側の情報封鎖を破った」と報道されていたそうだ。Xで公開されたこのインタビューは、たった一日で1億6千万回以上も再生され、これはアメリカで最も視聴率の高い番組よりも、何倍も高い。しかも、このインタビューがアメリカ東海岸タイムの18時に公開されてから、CNNの視聴率がいつもよりぐっと低下したそうだ。CNNは、コロナの報道の頃から、もうすでにずいぶん視聴率が下がっていたようなのだけれど、ということは、まだCNNを見ていたアメリカ人でさえも、プーチンのインタビューを見たということになる。

ロシア大統領報道官のドミトリー・ペスコフが、テレビのインタビューに答えて、「このインタビューで、アメリカの普通の人たちに、ロシア側の情報が伝わったのは、いいことだった」と、これまで見たこともないくらいに輝いた顔をして言っていた。まるで、戦闘で敵の包囲網をついに破った、とでもいうような顔の輝かせ方だと思った。情報戦は第二の前線だ、とロシアでは言っていたようなのだけれど、このインタビューは、まさに最も強固な包囲網に、最初の決定的な風穴を開けたというようなものだったと思う。

これまでも、独立系のジャーナリストたちが、ロシアの情報を命がけでレポートして、テレグラムなどで西側諸国の人々に流していたから、そういう情報を追いかけている人たちは、ロシアの本当の状況を知っていた。その下地があったところに、タッカー・カールソンみたいに有名なジャーナリストがインタビューを公開するとなって、普通にテレビを見ていた人たちまで、このインタビューを見たのだ。これはまさに、アメリカで情報操作をしていた人たちが、最も防ごうとしていた事態だった。

インタビューの直後、カールソンは、クレムリンの控室でコーヒーを飲みながら、最初の動画メッセージを出していた。そのときはただ、インタビューは予想外の展開だったということ、プーチンは西側がロシアを受け入れなかったことを怨んでいるようだということくらいしか言っていなかった。まだ自分の中でインタビューの内容が整理されていない。これを完全に理解するには、まだ時間がかかるだろうと。

インタビューの内容は、ロシアの情報を追っていた人たちには、ほとんど何も新しいことはなかったけれど、カールソンはやはり情報封鎖の壁の向こう側にいた人だったらしい。インタビュー直後は、まだすべてが新しすぎて、一種のショック状態だったようだ。これまで知らされていたようなこととは、まったく違うようだということはわかったものの、それが本当なのかも、それが何を意味するのかも、まだはっきりつかめてはいない、という風だった。

その後、ロシアのテレビ局のインタビューか何かで、モスクワのどこかからの動画メッセージが出ていて、そのときは「ロシアは領土を拡大しようとなんかしていないんだ。ロシアが侵攻してくるだなんて、そんなことを言うのはまったくバカげている」と言っていた。

「ロシアはこれだけの広大な領土があり、たくさんの民族がいて、言語も宗教もさまざまで、一体どうやって治められるのかもわからない。これでどうしてポーランドを占領したいんだ? 一体何のために? 資源なんか、ロシアにはいくらでもある。ありあまるくらいだ。あのヌーランドの大嘘つきが、ロシアがヒトラーだとか軍国主義の大日本帝国だとかみたいに、宣伝したんだ」そう語っていたのだ。そのときのカールソンの顔は、真実を知って驚いている人のように、目が大きくなっていて、澄んだ光を放っていた。

あのインタビューの内容が、じわじわと浸透していっているのだ。カールソンの中で、ロシアに対する意識が刻々と変わっていっている。そしてそれと同時に、カールソンを追っているアメリカの人たちもまた、意識を変えていくのだろう。そのプロセスがまさに起こっているのだ。大統領報道官のペスコフのあの顔の輝かせ方は、このことを意味していたのに違いない。第二の前線である情報戦で、ついに包囲を突破したということ。たった一箇所でも、包囲を破ったら、あとは時間の問題だ。第二次世界大戦で、レニングラードの包囲を突破して、街をついに解放したときと、同じようなプロセスだ。最初の突破口ができたら、それを広げていくのは、はるかに容易なのだ。

このときの動画メッセージでは、カールソンは、ロシアがウクライナと停戦協定を結びたいと考えていることに驚いた、と言っていた。彼は、西側のメディアや政府が言っている通りに、ロシアは停戦するつもりはなく、ウクライナ全体を占領し、ポーランドまで侵攻しようとしているのだと思っていたらしい。「あるいはプーチンが嘘をついていたのかもしれないけれど」と言いながら、しかし、プーチンは何度も和平交渉のことを言っていたし、イスタンブールで行われた2022年3月の交渉では、すでにウクライナの提案を承諾していたという話もしていた。それを、イギリスの当時の首相ボリス・ジョンソンが、停戦するなとウクライナを説得して、すべてはおじゃんになったのだと。

そして、ロシアがクリミア半島をウクライナに返還するなんて、そんなことを考えるのは、頭が狂っている、とも言っていた。クリミア半島は、もともとロシア人が住んでいた土地だし、住民投票で併合されたんだからと。ヌーランドはプーチンを降ろせと言ったけれど、あれだけの大きな国を弱い指導者が治めたりしたら、それこそ核戦争が起こる、とも言っていた。ガダフィを殺したあと、リビアはどうなったのか、フセインを殺したあと、イラクはどうなったのか、あれと同じことがロシアみたいな核兵器を保有する大国で起こったら、それこそ大変なことだ、と。

その後、カールソンは、ドバイの政治イベントでスピーチしていたけれど、そこでは、モスクワの街はとてもきれいで安全で、食べ物もサービスもすばらしく、あんな快適な街は、アメリカには一つもない、と言っていた。これは政治力の差を示すものだと。ニューヨークの地下鉄は、治安が悪いし、汚いし、使わない人も多いけれど、モスクワの地下鉄はまったく違う、と。

多くのアメリカ人は、90年代のモスクワのままだと思っているのかもしれない。薄暗くて煤けていて、寂れていて、治安が悪い街のままだと。カールソンは実際にモスクワの街を歩き、地下鉄に乗り、スーパーで買い物したりもして、これまで思っていたロシアのイメージが、ガラガラと崩れていったのかもしれない。ロシアはもはや貧しい共産国ではなく、独裁的な国でもないのだ。

そして、ドバイでもまた、ロシアにクリミア半島を返還させようなんて気狂いじみているとか、ロシアは平和的に交渉する用意があるのに、西側が何度も壊したのだということを、興奮した調子で語っていた。そのときは、モスクワで語っていたときのような、懐疑的な調子はもうなくなっていた。ロシアは平和的な関係を望んでいて、交渉に応じる用意があるのに、NATOがあくまでロシアと敵対して、追い詰めてきた結果、今のウクライナの戦争になったのだということに、すっかり納得しているようだった。

このときには、ロシアにはアメリカよりも多くの検閲があるけれど、とカールソンは言っていたけれど、もう少し長くモスクワにいたら、ロシアでは言論弾圧をしていないということにも、納得するのかもしれない。実際、ロシアではアメリカのCNNでさえ見ることができ、そういう情報を信じて、反戦運動をしている人たちもいるくらいだ。一方、アメリカでは、ロシアのメディアは一切排除されていて、動画もたちまち削除されている。検閲が多いのは、アメリカの方なのだ。

ロシア大統領報道官のペスコフは、アメリカ人はとても閉鎖的な国民で、外国のことをまったく知ろうとしないと、テレビのインタビューで言っていた。だから、カールソンのインタビューは、普通の閉鎖的なアメリカ人に、外国のことを知らせる機会になったのではないかと。アメリカ人が、外国のことを知ろうとしないというのも、メディア操作で作られていた状況だったのかもしれない。世界で最も国際的な影響力の強い国の人々が、外国のことを知ろうとしていないとは、考えてみたら実に奇妙なことだ。まさにそうした状況こそが、戦後のアメリカの覇権主義的な世界支配を可能にしてきたのだろう。一般のアメリカ人たちは、何も知らされないままに、税金のかなりの部分を、外国での残虐行為に使われていたのだから。

独立系メディアですでにロシアのことを知っていた人たちがいて、そこにカールソンからの情報が入ってきたとき、オセロの駒のように、それまで少数派だった方が、たちまち多数派に変わってしまうようなことも、起こるのかもしれない。あの歴史的なインタビューのあとで、カールソンがモスクワから、そしてドバイから、刻々と変化していく見解を語っていくのを見ていて、そのプロセスをまさにリアルタイムで目撃しているような気がしている。

2024年2月13日


ロシア大統領報道官のドミトリー・ペスコフ


ドバイの政治イベントでスピーチするカールソン

ドバイでのタッカー・カールソンのスピーチ。英語版。

https://x.com/TuckerCarlson/status/1757117841151557943?s=20

インタビュー後のモスクワからのカールソンの動画メッセージ。

https://x.com/vladi_the_gr8/status/1756033514599059955?s=20

***



【ウクライナを軍事支援することは、ウクライナ人を殺すことだ】


モスクワに行ったアメリカのジャーナリスト、タッカー・カールソンは、クレムリンでプーチン大統領にインタビューした6日後には、ドバイの世界政府サミットでスピーチし、ロシアは2022年3月にすでに停戦するつもりだったということを語っていた。戦争が続いているのは、ロシアがウクライナを占領したいからなのではなくて、ボリス・ジョンソンやヴィクトリア・ヌーランドがウクライナをそそのかしてロシアを攻撃させようとしているからなのだと。

同じ日の晩に、彼はアメリカ上院議員のジェームズ・ディヴィッド・ヴァンスに、オンラインでインタビューして、ウクライナへの軍事支援を米上院で可決したことについて、聞いていた。そこで彼は、ウクライナを軍事支援することは、ウクライナ人を殺すことでしかない、とはっきり言っている。

まさにその事実を、西側のメディアと政府は隠していたのだ。ウクライナに軍事支援をすればするほど、ウクライナ人がさらに死ぬだけだということを。カールソンは、インタビューの直後には、まだこの点について懐疑的だった。プーチンは何度も停戦しようとしてきたと言っていたけれど、ロシアは本当に停戦する用意があるのかどうか、彼は半信半疑といった風だった。しかし、ドバイでの発言では、彼は完全にそのことについて確信したようだ。

アメリカやヨーロッパ、つまり西側のNATO諸国は、ウクライナが戦闘をやめたら、ロシアはウクライナを占領して、さらに西へ侵攻する、と言い続けていた。だから、その事態を食い止めるためにも、ウクライナに支援し続けるしかないのだと。さもなければ、アメリカ人まで戦争に駆り出されることになるのだからと。

プーチンは、アメリカが軍事支援をやめれば、数週間で戦争は終わる、と言っていた。インタビューしていた時点では、カールソンはまだそのことをよく理解していなかったようだ。ロシアは本当に停戦するつもりがあるのか、あるのならどうして今まで停戦にならなかったのか? それでプーチンは、何度も2022年3月のイスタンブールでの停戦交渉のことに話を戻している。あのときは、ロシアはまだドンバスを併合していなかった。ウクライナ軍がドンバスへの攻撃をやめ、軍を撤退して、ロシア人差別をやめれば、ドンバスはウクライナの一部のままでよかった。

つまり、ロシアはウクライナの領土など少しも求めていなかったのだ。ただ、ドンバスの人々の安全とロシア語を話し、正教を信仰して生きる権利が確保されればよかった。この停戦交渉は、ロシアが本当にウクライナの内戦を止めるため、ドンバスに平和をもたらすために軍事介入しただけなのだということを、はっきりと示している。

その停戦交渉のときに、ボリス・ジョンソンがキエフに来て、ウクライナに停戦を思い留まらせたのは、それでロシアを弱体化させることができると思っていたからだ。しかし今、NATO軍が束になってかかっても、ロシアに勝つことはできないことがはっきりしている。ウクライナに軍事支援すればするほど、ウクライナ兵が犠牲になるだけなのだ。ウクライナでは、若い年齢層はほぼ全滅して、動員されている人々の平均年齢は45歳を越えている。ウクライナ人が絶滅するまで戦争を続けるつもりなのか? これはまったく非道だ、まったく気狂いじみている、とカールソンは言う。

ところで、アメリカの上院議会で、600億ドルを数年間にわたってウクライナに支援する法律が可決された。上院議会は戦争を推進する民主党が過半数を占めているけれど、下院議会では、ウクライナへの軍事支援に反対している共和党が過半数を占めているので、これは下院で否決される可能性は高い。上院議員のジェームズ・ディヴィッド・ヴァンスによれば、この法律の目的は、何とトランプを弾劾するためだという。もし次期大統領にトランプが選ばれた場合でも、トランプがウクライナへの軍事支援を拒否すれば、法律に違反したということで、弾劾することができる。そのための下地を作っておこうとしているのだと。

いずれにしても、ウクライナに軍事支援するのは、軍事的にはまったく何の意味もないということを、カールソンは完全に理解したようだ。ウクライナを守ろうと思ったら、軍事支援をやめて、停戦させればいいだけのことなのだ。それなのに、軍事支援を続けていれば、税金がウクライナの腐敗した政権に流れていく。そして、ウクライナ政府はさらに人々を動員して、戦争を続けようとするのだ。ウクライナ人は動員されてどんどん死んでいき、西側経済は軍事支援と経済制裁によって衰退していく。

かくして、アメリカは腐敗のお金ばかりが流れていき、インフラを整備することにも投資していないので、街は汚いし、治安は悪いし、地下鉄はボロボロだ。カールソンは、実際にモスクワの街を歩き、地下鉄に乗り、スーパーで買い物したりして、ロシア政府は国民の生活のために税金を使っているということに納得したのだと思う。どうしてアメリカとこんなに違うのか? それは、ロシアでは、政府が国民のために働いているからなのだ。アメリカやヨーロッパでは、明らかに違う。政府は国民の利益のためではなく、グローバルエリートの利益のために動いている。だから、税金は、地下鉄をきれいな安全なものにするためではなく、アメリカの軍事産業やウクライナの腐敗政権の利益のために使われている。

カールソンは、モスクワに行って、今のロシアを自分の目で見て、プーチンと話をして、ロシアだけでなく、世界がおかれている状況が理解できたのだと思う。それまで彼は、多かれ少なかれ情報のマトリックスの中にいたのだけれど、そこから外に出てみたときに、初めて全体が一つ次元の高いところから見えてくるのだ。その視点に立ったとき、どうすればいいのかは、かなりはっきりと見て取ることができる。カールソンは今、その地点から、アメリカについて語っているのだ。そして、マトリックスの中にいるアメリカの人たちに、それを伝えている。

カールソンがアメリカ政府の妨害を乗り越えて、モスクワに到着したとき、マトリックスの壁に亀裂ができ、このプロセスが否応もなく始まったのだ。世界全体が一つ高いところに視点を移していくプロセスがだ。

2024年2月14日


タッカー・カールソンの新しい動画メッセージ。モスクワの地下鉄のキエフスカヤ駅を見せています。70年前にスターリンが作ったそうですが、アメリカの地下鉄と違って、臭くないし、落書きもないし、浮浪者もいないし、線路に突き落とそうとする人もいなくて、完全に清潔、戦争の真っ最中にです、と言ってます。

https://x.com/TuckerCarlson/status/1757901280830505037?s=20

ドバイから、米上院議員ヴァンスにインタビューするタッカー・カールソン。英語版字幕付きです。

https://x.com/TuckerCarlson/status/1757159485162799334?s=20

***



【自由と民主主義を謳う独裁者】



プーチンにインタビューしたタッカー・カールソンに、逮捕しろとか経済制裁をかけろということが、アメリカやEUで言われているらしい。そのことについて、ロシアのジャーナリストが、プーチンにインタビューして聞いていた。いったいそんなことが起こるでしょうか、と。それに対してプーチンは、現にジュリアン・アサンジュが逮捕されているのだから、西側ではそんなことがあってもおかしくはないでしょう、と言っている。アサンジュは、機密情報を公開したということで、確かに違法なこともしているけれど、カールソンは何も法に触れるようなことはしていない。しかし、今の西側諸国では、何があってもおかしくはない、と。

カールソンがアサンジュみたいなことになるとしたら、カールソンからしたら、悲しいことではある。でも、それによって、リベラル民主主義者と称する独裁者たちが、本当の顔を見せることになる、ということを考えたら、いいことかもしれませんね、とプーチンは言っていた。

プーチンを独裁者扱いしている西側のエリートたちは、ロシアは独裁国だから、ロシアの支配から他の国の自由と民主主義とを守らなければならないのだと言っている。まさにそれが、NATOの存在理由になっていて、ウクライナに巨額の税金を流す理由にもなっている。そして、それがロシアに関するあらゆる情報、ロシアを擁護するあらゆる言論を禁じる理由にもなっているのだ。民主主義のためと言えば、どんな暴政も許されるかのようにだ。

それでプーチンは、アメリカがカールソンをアサンジュみたいに逮捕したら、あの民主主義を騙る人々こそが、本物の独裁者であったことを、世界中の人々に示すことになる、と言っているのだ。そのためには、それもいいことかもしれない、などとずいぶん薄情なことを言っているのだけれど、彼は、自分が言ったことは、西側ではすべて政治的に利用されることを、よく知っているのだと思う。だから、カールソンを擁護するようなことは、彼は絶対に言わないだろう。そんなことをすれば、あの「民主主義を騙る独裁主義者」たちは、大喜びでカールソンを、やっぱりプーチンのお気に入りだと言って非難するだろうから。

アメリカは、民主主義のためにと言って、リビアとイラクを爆撃し、「独裁者」を殺してしまった。その結果は、民主主義どころか、安全に住める国さえもなくなって、人々は国を復興させることもできないままだ。ソ連は自由化して、民主主義的な国にするべきだと言われて、公共事業を私営化していったけれど、その結果は、西側のグローバリストたちに食い物にされて、政治は腐敗し、経済は崩壊し、治安は悪くなり、公共機関は一つとしてまともに機能していない状態だった。

いったい何のための自由化であり民主化だったのか? 国が無法状態になって、「自由主義者」を名乗る金儲け主義者たちが食い尽くしていくのを「自由と民主主義」と呼ぶのであれば、それは、一般国民を搾取する自由でしかない。それによって、大多数の人々は、平和的に生活する自由さえもないようなありさまに落とされていくだけだ。

ロシアや中国が、西側諸国に独裁国扱いされるのは、まさにこのグローバリストに食い尽くさせる「自由」を、制限しているからだった。ソ連崩壊後のロシアは、西側資本に食い尽くされて、その間に立ったロシア人だけがとつぜん富裕になり、政治家を買収して、国家事業を西側資本に売り渡すことで、巨万の富を得ていた。これがいわゆるロシアのオリガルヒたちだ。

プーチンが大統領に就任したとき、この腐敗を止めることから始めて、ロシアの経済を建て直した。企業家が政治家を買収することを禁じて、取り締まった。西側資本は、国際NGOを使って、外国の政治家を買収し、税金を流させていたから、プーチンは外国のNGOを「外国エージェント」として登録させ、NGOのお金の流れを監視するシステムを作った。これにより、政治家たちが外国の企業の利益のために税金を流すのを防いだのだ。

アメリカやEUが「独裁国」と呼んで攻撃するのは、実はこの国際NGOを監視するシステムを持っている国のことだ。西側グローバリストたちは、民主主義のためだとか環境のためだとか、人々の健康と自由のためだとか、そういう表向き理想的な目的を掲げているNGOを、政治工作員のように送り込んでくる。そして、政治家を買収して、NGOの提案するプロジェクトに資金を出させるのだけれど、このプロジェクトは、このNGOに資金を出しているグローバル企業が請け負うことになっている。そうして、税金がその国のために使われる代わりに、外国の企業に流れることになる。その結果、その国の地場産業が淘汰され、有害な農薬や医薬品が入り込み、人々が依存状態にさせられたり、民族文化的なアイデンティティを失わされたりしている。それを阻止しようとする国を、グローバリストたちは、独裁国と呼ばせて、攻撃しているのだ。

これはまさに、ソ連の共産国家の時代に、「堕落した資本主義社会」と呼んでいたようなものかもしれない。この頃、これまで隠されていた情報が表に出てきて、こうした背景が見えてくると、ソ連が西側諸国からの情報をシャットアウトしていたのも、それほど間違ってはいなかったようにも思える。日本もそうだけれど、戦後「アメリカ文化」として入り込んできたものによって、一般の人々がグローバル経済に依存する根無し草のようにされてしまったこともまた、事実だからだ。

しかし、禁止したからといって流入が防げるものでもない。禁じられるからこそ、ますます欲しくなるということもある。結局のところ、その圧力によって、ソ連崩壊後のロシアは、腐敗でボロボロになったのかもしれない。それで、プーチンが大統領に就任してからのロシアは、西側文化を禁じるのではなくて、強者が弱者を淘汰しないようにバランスを取っていく道を選んだのだと思う。

カールソンは、モスクワの地下鉄やスーパーの様子をレポートした短い動画を公開していた。西側メディアは、ロシアが今でもソ連時代のように、品物がろくにないような寂れた生活を人々が送っているかのように思わせている。ところが、モスクワの地下鉄は、アメリカのどこの街にもないくらい、きれいで快適で、治安もいい。アメリカの地下鉄は、どこも汚くて臭くて、ホームレスがあっちにもこっちにも寝ていて、治安が悪いし、落書きだらけなのにだ。アメリカの行政は、修復に投資していないし、ホームレスを収容するとか自立させるとか、そういうことにも投資していない。落書きを取り締まろうともしていない。その結果、普通のアメリカ人は恐くて地下鉄が使えないくらいだ。

ロシアの人々が、安心して使える地下鉄があり、良質の食糧が安価に手に入るスーパーがある環境で生活しているのは、行政が人々の利益のために動いているからなのだ。まさにこの自由が、アメリカにはない。政府による経済への介入が、「独裁的」だと思われていて、税金の使いみちも、経済の自由競争にまかされるべきだと思っている。その結果、経済的強者であるグローバル大企業が独占することになる。そして、それを批判する人たちを、「民主主義にとって危険」だと言って、弾圧さえしているのだ。これは、「自由と民主主義」という理念をツールとして使った、独裁主義に他ならない。

カールソンは、モスクワの巨大スーパーに行って、平均的な4人家族が週一で買うような食糧を買い込んだ。品物は豊富で、品質もよく、西側のメーカーのものも普通に売っており、経済制裁の影はまったく見られない。金額は、アメリカの4分の1ほどだった。「この事実は、俺を過激にさせる!」とカールソンは動画の最後で叫んでいる。

イデオロギーだとか思想がどうとかいう以前に、普通の人々が十分な食糧にありつくのかどうかということが、政治の質をはかるものではないか、と彼は言う。自由と民主主義の国アメリカは、普通の人々が普通の快適な生活ができるようにすることさえ、政府はやっていない。そして、それを確保するために、グローバル企業を制限しているロシアを、独裁国だと言って非難しているのだ。

自由の国アメリカと独裁国ロシアというイメージを、カールソンもやはりある程度は持っていたらしい。モスクワの地下鉄やスーパーを見て、彼は「ショックを受けた」と言っている。人々は豊かで快適な生活をしていて、幸せなのだ。ロシア政府は、人々の利益のために動いていて、そのために税金を使っている。システムやイデオロギーの問題ではなく、それこそは「民主的」、つまり民が主である国というものではないか? まさにそこで、ロジックが歪曲され、騙されてきたことに気づいて、カールソンは「このことは俺を過激にさせる!」と言っているのだ。そう、まさに「過激になる」べきなのだ。今まで、「自由と民主主義のために」と言って、まさにその正反対の方向に行かされていたのだから。

2024年2月16日


ロシアのジャーナリストのインタビューに答えるプーチン大統領
モスクワのスーパーマーケットで語るタッカー・カールソン

アレックス・ジョーンズが、ナワリヌイの死について、プーチンが殺すわけがない、と言っています。
。。。。
「なぜプーチンはナヴァルニーを殺すのか?  ウクライナ戦争に勝ったばかりなのに? タッカー・プーチンのインタビューに答えたばかりなのに? 選挙で勝つためのポールポジションにいるのに? 彼には動機がない。誰が動機を持っているのか、私たちは皆知っている......」


これは、アメリカ民主党が、ウクライナ支援を通すために、偽旗としてやったのだ、と彼は言っています。バイデンは、ナワリヌイの死について、プーチンがやったのだと言っており、だからウクライナ支援を続けなければ、と言っています。上院で可決して、下院が今、休みに入っているので、中断されていますが、下院は共和党が過半数なので、否決される可能性があります。これを無理やり通すために、ナワリヌイを使って、ドラマ性を盛り上げようとしたということですね。

共和党がどう出るのか、楽しみです。ナワリヌイの死についての嘘を、議会で暴いて欲しいです。それにしても、こんなことのために仲間に殺されてしまったナワリヌイが憐れです。

スコット・リッターが、タッカー・カールソンのモスクワの地下鉄やスーパーやファストフードの動画について、語っています。スコット・リッターは、ロシアで仕事していたこともあり、ロシア語もできるし、ロシアのことをよく知っています。タッカーが言ったことは、モスクワだけのことではなく、ノボシビルスクでもエカテリンブルクでもどこでもそうだと言っています。どこも、地下鉄はきれいで便利だし、お店にはあらゆる食品が並んでいて、ファストフードの店もある、と。ロシアは近代的な国で、街をきれいにしておこうとするからなのだと。カールソンは、8日間モスクワで過ごして、「過激になった」と言っているけれど、モスクワで「過激になった」のなら、ロシアのあらゆるところへ言ってみて欲しい、とスコットさんは言っています。広大なロシアのありとある街、ありとある民族文化がある街、どこでも近代的で便利で、豊かな生活がある、と。


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