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ちーさん♨️の【東京銭湯まるっとガイドブック】feat.おっきなお風呂

こんにちは。銭湯大好きちーさんこと銭湯千裕と申します。

「東京銭湯まるっとガイドブック」をご覧いただき、ありがとうございます。
このガイドブックは、東京の銭湯情報を中心に、銭湯のことを全く知らない人でも分かりやすく銭湯の魅力と楽しみ方をお伝えしたいと思っています。
また、今回このガイドブックを執筆するにあたり、お風呂界のインフルエンサーで、私の銭湯仲間でもある「インふろエンサー おっきなお風呂」さんに関連記事を提供していただきました。

1万文字を超える超大作となっていますので、全部読んでももちろんOKですが、必要なところだけ読んでいただいても構いません。
銭湯に行くときの辞書的な立ち位置で、なんども開いていただけると嬉しいです。
それでは、まずは自己紹介から始めていきましょう。

序章:自己紹介

私が銭湯にハマったのは、2018年の6月。ちょうど1年ちょっと前です。
ただハマっただけでなく、銭湯の世界観に惹き込まれ、銭湯を軸に様々な活動を行ってきました。

東京周辺銭湯のデータベース化(累計100軒以上)
noteで銭湯ブログ(累計記事数70以上)
銭湯インスタグラム(投稿数160以上)
チャリで巡る!東京23区銭湯旅(4日間で30軒)
銭湯のオンラインサロン「銭湯再興プロジェクト」に参加(2020年11月~2019年7月)
・銭湯検定4級取得(3級は惜しくも落ちました
銭湯LOVERインタビュー(9名)
銭湯紹介ムービー作成

などなどです。

今回、私が今まで銭湯の活動を通して得たこと、学んだことの集大成をガイドブックのような構成でまとめたいと思います。
このガイドブックは、東京で銭湯ライフを楽しみたい人はもちろん、そうでない人にとってもちょっとした読み物として、楽しめるように書きます。

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第1章:銭湯の基本

この章では、銭湯を楽しむために知っておきたい基礎知識を解説します。

1-1 銭湯の定義

まずは、そもそもどこからどこまでを「銭湯」と呼ぶのか?というお話です。
「銭湯」の定義は、お湯の種類でも施設の充実度でもありません。営業形態によって「銭湯」が区分されています。
「公衆浴場法」という法律で、「一般公衆浴場」に区分されるのが「銭湯」です。

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よく、「温泉が沸いていなくて、水道水のお風呂なのが銭湯」みたいな話を聞きますが、それは大間違い。
銭湯でも、温泉が沸いているところはありますし、スーパー銭湯と同じくらいの設備を整えている銭湯も存在します。
浴場施設を営業する際に、都道府県に届け出をすることになっているのですが、そこで一般公衆浴場として届け出を行えば、価格が規制される代わりに自治体から水道代の補助がもらえるという仕組みです。

詳しくは、こちらの記事でも解説しています。

1-2 家のお風呂との違い(おっきなお風呂Presents)

銭湯に行くのと、家のお風呂に入るのでは何が違うのでしょうか?わざわざお金をかけて銭湯に行く意味は?という点を深掘りしたいと思います。

●趣味として楽しめる
私は、「ご趣味は?」と聞かれたら即答で「銭湯!」と答えます。
「家でお風呂に入ること」は、趣味にはなり得ないと思いますが、銭湯は趣味として十分成立すると思います。
銭湯は、どこも個性豊かなので「神社仏閣巡り」や「お城巡り」のように色々なところを巡る楽しさを味わうことができます。
また、他の趣味との相性も良く、かつ低価格で楽しめて健康にも良いというかなりコスパの良い趣味です。

●実は家のお風呂よりもキレイ
「銭湯って不潔なんじゃないの?」そういうイメージを持つ方も少なくないかもしれません。
しかし、実のところ、銭湯は家のお風呂よりも清潔です。
理由としては、「お湯を循環(または源泉掛け流し)していること」「毎日清掃していること」です。
気になる方は、おっきなお風呂さんの記事を読んでみてください。

●幸せになれる
銭湯は、精神的にも良い影響をもたらすと言われています。
実際に、全国浴場組合連合会の幸福度調査によると、「週1回以上銭湯に通う人は、それ以外の人より断然幸福」という結果が出たそうです。

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画像引用:東京銭湯

簡単に理由を説明すると、

・温冷交互浴で自律神経を整えることができる。
・広い浴槽による「浮力効果」「水圧効果」でリラックス。
・非日常を感じられる。

という感じです。
うつや不眠にも効果あり!
詳しく知りたい人は、おっきなお風呂さんの記事をどうぞ。

1-3 東京にはいくつの銭湯があるの?

東京には一体何軒の銭湯があるのでしょうか?
東京都内の銭湯の数は、2018年12月時点で、「544軒」です。(出典:東京くらしWEB

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悲しいことに、どんどんその数は減ってしまっています。

赤猫丸平さんが、1960年までに存在した2,525軒の銭湯をGoogleマップにまとめてくださっています。

ピーク時は、こんなにたくさんの銭湯があったんですね。
ちなみに、赤色が今も残っている銭湯です。
今も残ってる銭湯というのは、この厳しい銭湯業界を生き抜いた、素晴らしい銭湯なんですよ!
各銭湯をタップすると、詳細情報も載っています。
自宅の近くなどに昔は銭湯があったのか?など調べてみてはいかがでしょうか?

では、今残っている約544軒という数字がどのくらいの数なのか?比較してみたいと思います。

<東京都内のファーストフード店舗数>
 マクドナルド(2018):346軒
 モスバーガー(2019):149軒

つまり、マクドナルドとモスバーガーの店舗数を合わせた数(495軒)よりは多いというのが銭湯の軒数規模です。
どうでしょう?意外と多くないですか?

銭湯って探してみないとなかなか見つからないと思いますが、肌感で言うとひと駅にひとつ以上はあったりします。
家の近く、職場の近く、出先の近くで、Googleマップで「銭湯」と検索してみてください。いろんな銭湯が出てきます。

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1-4 東京銭湯の歴史

ここからは、東京の銭湯の歴史を紐解いていきましょう。
歴史を知ると、銭湯訪問がもっと楽しくなります!

●江戸最初の銭湯
江戸で最初の銭湯を開いたのは、伊勢出身の伊勢与市という人物です。
徳川家康が江戸に入城した翌年の1591年(天正19)、銭亀橋(現在の日本橋の「常盤橋」)のほとりで、営業を始めました。
伊勢では、伊勢神宮のお宮参りの際に身体を清める禊を行なっており、その文化を江戸に持ち込んだのではないかと言われています。

●江戸時代の銭湯
江戸時代の銭湯は、当初、混浴でした。
混浴の方が、浴室は一個で済むので経済的だったからです。
しかし、浴室内でセクハラが横行したり、ペリー来航時に「男女が裸で入浴とは道徳心を疑う」と言われてしまったりしたため、天保の改革などで厳しく取り締まりが行われました。
ただそれでもなかなか混浴はなくならず、完全に男女別になったのは明治の中頃になってからでした。

●明治〜大正の銭湯
明治時代までのお風呂は全て木でできていましたが、大正時代になると、タイルが登場し、衛生面や耐久性が向上しました。

銭湯ではお馴染みの「富士山の絵」が生まれたのも、大正時代です。
東京千代田区の猿楽町にあったキカイ湯が大正元年(1912年)に増築することになり、2代目の東雄三郎さんのアイデアで「壁に富士山を描いたら子供が喜ぶのではないか」ということで富士山の絵が実現しました。
当時、江戸の人々にとって富士山は憧れの地であったこともあり、富士山の絵はたちまちに評判になり、広がっていきました。

こうして銭湯は、庶民の生活に欠かせないものとなり、その数をどんどん増やしていきますが、1923年の関東大震災で一気に数が減ってしまいます。

関東大震災の復興で立ち上がったのが、銭湯を建設する宮大工です。
関東大震災で多くの銭湯を焼失した東京墨田区で、銭湯の建設依頼を受けた津村亨右氏は、宮大工の技術を持っていました。
そこで津村氏は、今までにない銭湯を建てて多くのお客さんにきてもらおうと「宮造り」というお寺のような屋根をした銭湯を建てました。
東京の銭湯には、今でも宮造りの銭湯がたくさん残っています。

●江戸から現在まで続く銭湯
ちなみに、東京には江戸時代創業で現在も営業し続けている銭湯があります。

1つ目は、江戸川区の「あけぼの湯」。
1773年(安永2年)の創業で、それ以前は船堀で舟問屋「乙女屋」を営んでおりました。
舟客らを相手に銭湯の経営も始め、現在19代目です。

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2つ目は、銀座の繁華街にある「金春湯」。
1863年(文久2年)に創業です。1957年(昭和32)に、ビル銭湯になりました。屋号の「金春」は、江戸時代の幕府直属の能役者「金春太夫」の屋敷が近くにあったことからきています。

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浅草にあった「蛇骨湯」も江戸時代創業の銭湯でしたが、残念ながらつい先日(2019年5月31日)閉業してしまいました。

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1-5 銭湯のマナー(おっきなお風呂Presents)

おっきなお風呂さん提供記事より、銭湯を利用するにあたって知っておきたいマナーを紹介します。
そんなに堅苦しいことはなく、基本は「他人に迷惑をかけないこと」そして「お湯を汚さないこと」です。
細かいルールについては、記事の中身をチェックしてくださいね。

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第2章:東京銭湯の巡り方

この章では、どうやって東京の銭湯を巡るのか?について、第1章よりも実用的な内容を書いていきます。

2-1 東京銭湯の料金システム

全国の銭湯では、都道府県別に入浴料金が規制されており、料金は一律となっています。(全国の入浴料金はこちら。)
東京都は、2019年9月までは460円でしたが、2019年10月から470円に値上げします。
銭湯側は、入浴料金を勝手に値上げしたり割引したりすることは原則できませんが、サウナ料金・アメニティ料金・飲食代などは自由に設定することができます。

東京では、この料金が一律であるという点を生かして「都内共通入浴券」というのを発行しています。

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これは、10枚綴り4,400円(1回あたり30円引き)で東京都浴場組合に加入している全ての銭湯に入ることができる入浴券です。
有効期限が1年となっており、対象の銭湯の番台で購入することができます。
有効期限が切れる前に使いきれない場合も、新しい入浴券と取り替えてもらうことができます。
銭湯によく行く人は買っておいて損はないです!
これがあれば、財布を持たずにふらっと家の近くの銭湯に行くことも可能です。(ドライヤー代やタオル代がかかる場合は小銭は必要)

2-2 銭湯の持ち物

よくある疑問として、銭湯には何を持っていけばいいのか?というのがあると思います。
結論から言うと、銭湯は手ぶらで行っても、数十円から数百円のお金さえあればなんとかなります。
東京では、ほぼ全ての銭湯で、タオルセット・ソープ類・ドライヤーを無料または有料で提供しています。
提供の仕方は、銭湯によってバラバラですが、手ぶらで行っても困ることはないでしょう。
料金相場は以下の通りです。(あくまで肌感)

レンタルミニタオル:20~50円
レンタルバスタオル:100~200円
サウナ(バスタオル付き):200~500円
ミニソープ・シャンプー・リンス販売:30円
ドライヤー:3分あたり20円

上記のサービスを使えば、手ぶらで行ったとしても入浴料金プラス100~200円くらいでなんとかなります。
なお、ドライヤーは持って行ってもコンセントを使えないところがほとんどなので無駄でしょう。

基本的には手ぶらでもOKですが、できれば持っていた方がいいオススメの持ちものを紹介します。

・速乾タオル
・たくさんの10円玉
・ミニソープ、シャンプー、リンス
・洗顔、乳液、化粧落としなど
・マスク(化粧対策)
・くし
・歯ブラシ、歯磨き粉

タオルについては、濡れたものを持って帰るのがだるいので、借りちゃったほうがいいかなと思います。
シャンプーやソープを無料提供しているところは多いですが、洗顔や乳液などがおいてあることは稀なので必要な人は小分けにして持ち歩きましょう。
夜ご飯のあとに銭湯に行く場合は、銭湯で歯磨きも済ませちゃうと楽です。

2-3 東京銭湯の選び方

ここでは、千差万別の東京銭湯をどのように選ぶのが良いか?という点についてお話ししたいと思います。

●立地から選ぶ
一番メジャーと思われるのがこの方法です。
家の近くの銭湯、職場の近くの銭湯、出かけ先に近い銭湯、このように自分の都合のいい場所の近くで銭湯を探すという方法です。
オススメの探し方は、「Googleマップ」です。
やり方は簡単で、キーワードに「銭湯」と入れるだけでほとんど全ての銭湯がヒットします。
さらに詳細を見ると、銭湯の写真や口コミ、公式HPなどの情報が載っているので、非常に便利です。

●スペックから選ぶ
東京の銭湯は、チェーン店というのが存在せず、入浴以外のサービスについてはオーナーが自由に決めて営業しているため、スペックについては本当に千差万別です。
例えば、サウナ・水風呂・露天風呂・温泉・漫画、これらの施設やサービスは、銭湯によって有無がかなり分かれてきます。
なので、自分が銭湯に求めるサービス基準を満たしている銭湯から選ぶというのが合理的です。
私の銭湯データベースでは、色々な基準から条件を満たしている銭湯を検索することができますので、ぜひ使ってみてください。

●行きたい銭湯から選ぶ
立地やスペック関係なく、行ってみたい銭湯を日頃からリストアップしておき、時間のあるときに訪問するという方法もあります。
例えば、先日販売された「銭湯図解」に載っている銭湯を制覇するなど、銭湯が掲載された本から銭湯を選ぶこともできるでしょう。

他にも、銭湯に詳しい人にオススメの銭湯を聞いて行ってみるという方法もあります。
このガイドブックの最後におすすめの銭湯を載せておいたので、それも参考にしてみてください。
銭湯のリストアップには、これまたGoogleマップがオススメです。
Googleマップでは、任意の「リスト」を作成することができるので、行きたい銭湯があったらどんどん追加していきましょう。

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第3章:銭湯をもっと楽しむコツ

この章では、銭湯を楽しむコツについてワンランク上の情報をお届けします。

-スタンプラリーに参加してみる

東京浴場組合では、「銭湯お遍路」と言って、全ての加盟浴場を対象に銭湯のスタンプラリーを実施しています。
紙で参加する方法とアプリで参加する方法が選べます。
紙で参加するには、銭湯で販売されているスタンプノート(100円)を購入するか、公式HPでPDFを印刷しましょう。
アプリで参加する場合は、スマホにアプリをインストールすればOKです。

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26軒貯めることができれば、認定証と記念品がもらえます!
東京都全体のスタンプラリーの他に、期間限定で区ごとに実施しているスタンプラリーもあり、一定条件を達成すると何かしらの記念品がもらえるので、ぜひ色々チャレンジしてみてください。

-仕事終わりのご褒美銭湯

個人的にオススメなのが、仕事帰りに銭湯に行くということです。
特に金曜日の夜に行くのがオススメです。

仕事で凝り固まった体を銭湯が優しく癒してくれて、明日への活力になることでしょう。
銭湯で入浴を済ませてしまえば、あとは家に帰って寝るだけというのも楽チンです。

-晩飯とセットで

銭湯の後のご飯は格別に美味しいものです。
特に、カラカラに喉が乾いた後のビールは最高です!
銭湯から出たら、近くを少しウロウロしてみて、気になる定食屋さんや居酒屋があったら、ふらっと入ってしまいましょう。
銭湯とともに、その地域の食まで満喫できてしまいます。
番台の人にオススメのお店を聞いちゃうのもありです!

-休日のプチ旅行として

休日のプチ旅行に、銭湯という選択肢もあります。
東京に住んでいても、行く機会のない地域ってたくさんありますよね?
そんな時、少し足を伸ばして銭湯のある地域に行ってみましょう。
ついでに、街も散策して美味しいご飯も食べれば、格安のプチ旅行となります。
時間のある休日に、ぜひ試してみてください。

-遠くの温泉宿より近くの温泉銭湯

「温泉旅行」と聞いて思い浮かべるのは、「箱根」「熱海」「別府」などでしょうか。
「温泉に入りたい」というだけだったら、東京都内の銭湯でも良いかもしれません。
東京には、温泉が湧いている銭湯がいくつもあります。
特に、大田区と品川区には温泉銭湯が多く、「黒湯」と呼ばれる温泉が湧いています。
黒湯は、古代の海の浅瀬に生えていた植物類が海底に沈殿し、火山灰などの堆積物により厚く閉じ込められ、何億年という年月を掛けて圧力や経年変化により有機酸に分解された成分「フミン酸」が含まれているお湯です。
名前の通り、墨汁のような真っ黒い色をしています。
黒湯以外の温泉も、都内にはたくさんあります。
銭湯を活用すれば、格安の日帰り温泉旅行もできちゃうということです。
大田区の温泉については、おっきなお風呂さんの記事で詳しく紹介されています。

-銭湯でノマドしてみる

銭湯によっては、フリーWiFiや机椅子のある銭湯があります。
あまり長居しすぎるのは良くないですが、ちょっとした作業であれば銭湯でもできてしまいます。
カフェで仕事しながら、疲れたら近くの銭湯で休憩する「銭湯ワーク」もオススメ。

-朝風呂とモーニング

東京の銭湯には、朝から営業している朝風呂銭湯もあります。
穏やかな朝、天井から木漏れる朝日を浴びながら明るい銭湯に入るととても幸せな気分になります。
朝風呂の後は、近くの喫茶店などでモーニングを食べれば、優雅な朝の出来上がり。
北区の「金星湯」では、日曜の朝限定で主人がモーニングを提供しており、お風呂上がりにいただくことができます。

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-デジタルデトックス銭湯

最近注目を集めているデジタルデトックスも、銭湯と組み合わせるとやりやすいと思います。
そもそも、銭湯の浴室内はスマホや電子機器を一切持ち込むことができないデジタルデトックス空間です。
例えば、1日中スマホの電源をオフにして近くの銭湯に行き、たっぷりと時間をとって入浴をして、休憩スペースでぼーっと過ごす、なんていう日をたまに作ってみてもいいかもしれません。
経験談ですが、デジタルデトックスすると、アイデアが湧きやすくなります。

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第4章:銭湯でととのう

「ととのう」という概念を知ると、より深く銭湯にハマっていきます。
この章では、銭湯でととのうための方法について伝授していきたいと思います。

4-1 「ととのう」とは

ととのうについて説明する前に、「温冷交互浴」を解説しなければなりません。
温冷交互浴は、熱いお湯またはサウナと冷たい水風呂を往復することで、交感神経と副交感神経を交互に刺激し、自律神経を整える活動です。
サウナ(あつ湯)→水風呂→休憩のサイクルを何度か繰り返し、休憩の時に気持ちよすぎて昇天してしまいそうな幸福感を感じた状態が「ととのう」です。
ととのうについて分かりやすく解説された、オリラジ藤森さんの動画を載せておきます。

4-2 銭湯でととのうための条件

「ととのう」と言うと、サウナ施設やスパを連想する方も多いかもしれませんが、銭湯でも十分可能です。
ただし、銭湯でととのうには、条件を満たした銭湯に行かねばなりません。

●水風呂
ととのうための必須条件は、水風呂です。
銭湯には、水風呂がない銭湯もあるので、ここは注意が必要です。
また、水風呂は水風呂でも、ぬるすぎたりするとイマイチととのいません。
さらに、水風呂の中でも、より自然に近い水(地下水や温泉)の方がととのいやすいです。
この辺は感覚なので、自分で足を運んでみて、ととのいやすい水風呂を見つけてください。

●あつ湯・サウナ
浴槽のない銭湯はありませんが、銭湯だとサウナがない場合もあります。
サウナがない銭湯でもととのうことは可能です。
その際は、なるべく熱めのお湯(42~43度)で交互浴を行いましょう。
サウナがある銭湯に行けば、スーパー銭湯やスパに行くよりもサウナ費用を安く抑えることができます。
サウナ料金は銭湯によってまちまちですが、安いと100円前後、高くても500~600円くらいなので、入浴料金と合わせて大体600円~1100円くらいです。
無料でサウナを提供している銭湯もあります。

●休憩スペース
水風呂が終わった後の休憩スペースも、ととのうための重要な要素です。
ベストなのは、背もたれのある椅子で外気浴ができる銭湯です。
露天風呂スペースに少し立派目な椅子が置いてある銭湯はいくつかあるので、探してみてください。
外気浴ができなくても、背もたれ椅子が置いてある銭湯だといいですね。
もし、外気浴スペースも背もたれ椅子もないという場合は、カランの前に風呂イスを置いて休憩します。

4-3 ととのう銭湯の探し方

あとは、先ほど挙げたととのう銭湯の条件に沿って銭湯を探します。
私の銭湯データベースでは、水風呂・サウナ・露天風呂については条件検索が可能です。
ただ、水風呂やサウナの温度に関する情報はないので、そこまで見て探したい場合は、「サウナイキタイ」というサイトを使いましょう。

サウナイキタイは、「サウナのある入浴施設」を対象としたサウナ検索サイトです。
サウナのない銭湯は掲載されていませんが、サウナのある銭湯に関する情報は掲載されています。
サウナの温度や設備の詳細なども細かく記載されているので、参考になります。

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第5章:おすすめの東京銭湯

本章では、東京都内のオススメ銭湯を厳選10軒、紹介したいと思います。
銭湯というのは、本当に個性豊かなので単純にランキングにすることはできません。
「〇〇という点では、ここがオススメ」というやり方で紹介していきたいと思います。

-都内最大級のテーマパーク銭湯「萩の湯」

鶯谷にある萩の湯は、「本当にこの値段で入っちゃっていいの⁉︎」と仰天しちゃうほど、とにかく大きくてすごい銭湯です。
大きいだけでなく、新しくて、食堂もあって、サウナ・水風呂・露天風呂など設備も一通り揃っているというまさに銭湯のテーマパーク。
銭湯ファンも、初めての方も、一度は訪れてほしい銭湯です。

-アメニティ充実の初心者向け銭湯「小杉湯」

別名「交互浴の聖地」とも呼ばれている高円寺の小杉湯。
小杉湯に水風呂前にある、交互浴のやり方のポップを見て交互浴にハマった人も多いはず。
そんな小杉湯ですが、特に素晴らしいと思うのは、ソフト面を充実させることで最高の居心地を提供しているところです。
アメニティがかなり充実、掃除が行き届いている、温度調節完璧、漫画も置いてあるなどなどです。
銭湯の基本的なところがしっかり抑えられているので、初心者の人にこそ行ってほしい銭湯です。

-デザインがおしゃれな銭湯「御谷湯」

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錦糸町や両国付近に行ったときによく訪れている銭湯です。
御谷湯の特徴は、水風呂からあつ湯まで温泉の浴槽がたくさんあること、そして浴槽の縁が木になってるなどおしゃれな空間が演出されていることです。
建物は、5階建になっており、4階と5階で男女入れ替わり制です。
2階には、カフェ兼バーが併設されています。
1階のマッサージが割とお気に入りです。

-銭湯だけど高級旅館のような空間「久松湯」

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練馬区では珍しい、天然温泉の露天風呂が楽しめる銭湯です。
2014年にリニューアルオープン。
プロジェクションマッピングが楽しめるなど、かなり個性派な銭湯です。
マッサージ店も併設されています。

-最高の外気浴が味わえる銭湯「ゆ家和ごころ吉の湯」

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杉並区の都心から少し離れたところにあり、レジャー感覚での利用もオススメなのが「ゆ家ごころ吉の湯」です。
ここは、銭湯に珍しく、露天風呂に3種類もの浴槽があり、外にサウナと水風呂が置いてあります。
非常にお手頃な価格で、サウナ・水風呂・外気浴が楽しめる銭湯です。

-ハンモックがある下町銭湯「押上温泉大黒湯」

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スカイツリーの近く押上にある伝統的な見た目の銭湯。
ここは、なんと夜通し営業しています。
WiFiや充電も無料で利用することができてサービスも充実。
そして、男女交互に入れ替わる片方の風呂には、ハンモック付きのウッドデッキがあります。
ハンモックから、スカイツリーが見えるかも?

-早朝6時からオープン伝統的銭湯「燕湯」

朝6時からオープンしており、朝風呂にもオススメなのが御徒町の燕湯。
東京都の銭湯では唯一となる国の登録有形文化財に登録されている銭湯です。
見た目も中も、「ザ・江戸の銭湯」という感じで、レトロ感を楽しみたい人にも◎。
立派な屋根と塀が素敵ですね。
東京駅からも割と近いので、夜行バス明けに使う人も多いみたいです。
お湯が結構熱いのでご注意を。

-内装がかわいい銭湯「梅の湯」

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内装に一目惚れしたのが、荒川区の尾久にある梅の湯です。
赤を基調とした可愛らしいデザインが見所です。
最近リニューアルしたばかりなので、中もピカピカで過ごしやすい。
けっこう大きめな露天風呂もあります。
サウナ・ドライヤーが無料、フリーWiFiもあります。

-銭湯とスーパー銭湯の融合施設「ヌーランドさがみ湯」

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銭湯とスーパー銭湯が混ざったような施設。
銭湯料金で入れるプランとリラックスルームなどが使えるプランがあります。
施設は2階建ですが、敷地面積がびっくりするほど広いです。
大田区名物の黒湯温泉が沸いています。

-ソフトもハードも充実のリニューアル銭湯「COCOFUROますの湯」

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2019年3月にリニューアルしたばかりの銭湯です。
施設だけではなく、ブランドイメージや営業時間、サービス内容などソフト面も一新して生まれ変わりました。
貸しタオル・サウナ・ドライヤー・漫画が全て無料で、水風呂まで温泉なのが嬉しい。
久が原駅目の前の好立地です。

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第6章:銭湯雑学

知って得するかどうか分からない雑学のコーナーです。

6-1 銭湯の日

10月10日は、「銭湯の日」です。東京都江東区の公衆浴場商業協同組合が1991年(平成3年)に制定したのが始まりです。
なぜ10月10日なのかというと、1000(せん)10(とう)という語呂合わせになっています。
よく見ると、東京都浴場組合のHPのドメインも「1010」になっています。

これは、他の記念日でもよくありますよね。
実は、もうひとつ理由があって、10月10日は1999年まで体育の日でした。(現在は、3連休にするため10月の第2月曜)
10月10日は、1964年に東京オリンピックの開会式が行われた日だったためです。
なので、それに乗っかって「スポーツで汗を流した後に銭湯に入ろう」という意味も込められていたそうです。
銭湯の日にどんなイベントがあるかというと、これは地域や銭湯にもよりますが、東京では、都内銭湯で一斉に「ラベンダー湯」というイベントが開催されます。また、区によって様々な特典を用意しています。
その年のイベント情報については、東京都浴場組合のHPで確認できます。


(銭湯雑学は今後追記予定)

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あとがき

「東京銭湯まるっとガイドブック」いかがでしたでしょうか?
「東京の銭湯」というテーマだけで、ここまでたくさん深掘りできる奥の深さに私は惚れ込んだんだと思います。
廃業が相次ぐ銭湯業界ですが、その中で創意工夫をこらしながら頑張っている銭湯オーナーもたくさんいます。
これから銭湯をもっと盛り上げていくには、銭湯オーナーだけでなく私たち利用者の盛り上がりが欠かせません。
最近は、銭湯に関するドラマや特集も増えてきました。
今、特に私たちのような若い世代が銭湯を再定義して、一度は離れてしまったところからまた回帰していくタイミングなんだと思います。
一緒に、銭湯の明るい未来を作っていきましょう!

2019年9月 銭湯千裕(ちーさん)

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
銭湯に関する情報発信は、TwitterとInstagram、そしてこのnoteで行なっています。
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