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約8年後に迎えた別れと喜び。

8年は長い。
人間ならこの世に生まれ小学校に入学している年月だ。
入社8年目だとしても中堅社員だろう。
8年共に過ごすせばそばにいて当たり前のような感情が生まれる。
その分ぞんざいにして、気付いた時には遅いこともある。
そんな8年という年月を共にし、ついに別離の日を迎えた。
いや、むしろ別離を選んだという方が正確だ。

だって時々何の前触れもなく沈黙するんだもの。
その沈黙に私があたふたしているのを知ってか知らずか、急に明るくなってパスワードを要求してくるんだから。

そう、これは私が8年使ったスマホの話である。

私が使っていたのはiPhone 5sだ。
片手に収まる大きさ。
余分なものを削ぎ落とした機能とデザイン。
少しも不満がなかった。
5sを手にした日から、なんと8年もの時間を過ごしたのだ。
それは濃密で他の何かが入る隙のない時間だった。
しかし、その5sの様子が今年1月頃から不調が現れ始めた。
初めの不具合はバッテリーだった。
北海道の寒さもあるだろうが、あり得ない速さでバッテリーが減ってしまうのだ。
その時は寒さのせいにして春を待った。
その不具合は春になって少し緩やかなものになったが、それでも明らかに減りが早かった。
バッテリーを交換しようと思いつつ、また月日は流れた。

そしてついに5sから最後通告を受けることになる。
ある日ビデオ機能で風景と共にウグイスの鳴き声を撮ろうとしたら、いきなり電源が落ちたのだ。
画面は真っ暗。
私は慌てた。
ひたすらじっと待っていると、今度はりんごマークが浮かんできた。
勝手に再起動したのだった。
さて、再起動したのでパスワードを入れた。
通常画面に戻ったので恐る恐るまた動画を撮ろうと試みた。
しかし、また落ちた。
そして再起動。

ここで私は一つの決心をした。

新しいスマホを買おう。

8年という年月を共にした5sを手放す決心を固め、先日スマホを見に行ったのだ。

ちょろい。
私はなんとちょろいお客だろうか。
たかが8年されど8年、スマホは進化していた。
5sを鞄におさめその存在を感じつつ、その進化をためらいなく受け入れ心躍らせた。
私がスマホを選ぶ基準の一つに、持った感覚というものがある。
片手で持った時にしっくりくる、重さと大きさ。
ピアノ弾きなのに手が小さい私が気に入ったのは、12miniだった。

いざ買うことにしてカウンターで差し出されたトレイに5sと12miniが並んだ時、5sは12miniよりひとまわり小さかった。
ややくたびれた感もある。
対応してくれた店員さんも、5sを見た時に一瞬目をまん丸にして固まった。

「これは…古いのですね」

笑ってしまった。
そう、5sは古い。古いのだ。
古くて勝手に再起動するし、バッテリーも減りまくる。
それでも約7年は性能そのままに働いてくれたし、メモリに余裕もある。
こうして5sは8年間の思い出と共にトレイに乗せられ運ばれた。

こうして5sはsimカードを抜かれ隠居することとなった。

12miniも現在よく働いてくれている。
スマホゲーム「どうぶつの森 ポケットキャンプ」のAR機能も使える。

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まるでリリアンが家に来てピアノを弾いてくれているようだ。
進化はこれだけではない。
これから12miniを検討している方々のためにも、そう強く進言しよう。

さて5sはどうしているかというと、もっぱらYoutube担当のミュージックプレーヤーだ。
キッチンに立って暑さと闘っている時に、音楽で応援してくれる。
バッテリー問題は解決していないので充電器につながれ囚われの身のことが多いのだが。
老体に鞭打っている感があるものの…これからもよろしくね、5s!

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