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新卒2年目で社会人芸大生になった話。

やりたいこと、やったもん勝ち!(いくつになっても)という気持ち。


2021年4月、社会人デビュー

真面目に就活をして、そこそこ大きい企業に内定して、4月。これからこの会社で頑張っていくぞ!!!と意気込んだのもつかの間、想像していたのと少し違う生活にはてなマークが浮かびはじめました。

真っ白なオフィスで、毎日、パソコンを触って、パソコンを触って、パソコンを触る日々。蛍光灯とブルーライトを交互に浴びる生活。

とても、のっぺりとしている。

ブラック企業!限界社畜!激務12時間勤務!みたいなドラマティックが欲しかったわけではありません。

ただ淡々と続く毎日を淡々と続けて、ふと我にかえりました。

私、こんなに彩りのない生活、したかったっけ?


何が好きかを考える日々

これはいけない、と思いました。
生きるために働いているのに、心はどんどん活力を失っていく。何が好きなのか、何をしたいのかすら考える暇がありませんでした。

それでも何とか時間を作って、改めて自分と向き合ってみたとき、実は忘れていた「好き」を思い出しました。

絵画です。

大学時代、たまたま行ってみた「怖い絵」展で、ドラローシュの《レディ・ジェーン・グレイの処刑》に圧倒されました。そこから少しずつ、行ける範囲の美術館に足を運ぶようになりました。

絵画のモチーフは様々。
行ったことのない場所、見たことのない景色。かと思えば、なんじゃこりゃという混沌。
ただ観るだけでも楽しいですが、解説を読むことでさらに面白さが増しました。知らなかったこと、気づかなかったことへ導かれて、新しい視点で絵画を楽しむ体験。

もっと知りたい!この美しさの内側を、もっと深く探索したい!
あわよくば仕事になんてできたら、もう最高じゃない?

そうやって興奮したのもつかの間、「社会人」の自分がザッと冷水を浴びせました。

今さらすぎるよ、と。

京都芸術大学通信教育部アートライティングコース

半分諦めつつ、でもずるずると転職サイトで「アート」「芸術」「学芸員」と検索をかけていた時。

Googleのいたずらで、京都芸大のページに辿り着きました。

完全オンラインの芸大。
しかも、高校生より社会人の「学びたい」にフォーカスしている。

そんな大学があることも、そんなシステムがあることも、私は全く知りませんでした。

驚くほどたくさんの学科•コースがある中で、私の目に留まったのは「アートライティングコース」でした。公式サイトに記載されている特長は3つ。

01. 芸術史や理論を体系的に学ぶ。
02. 新たな価値を発見し、位置づける。
03. 自分なりの視点を持つことばで、伝える人へ。

https://www.kyoto-art.ac.jp/t/course/art_writing/

キラッと、自分の心が光ったような気がしました。

芸術を知ること、その上で伝える力を身につけること。
私がやりたいと微かに望んでいたことを、学べる環境があるらしい、と知りました。

社会人でも、大学生になれるんだ。
仕事しながら学べるんだ。

思いもよらない第3の道が拓けた瞬間でした。

もしかして、という可能性の話

大学に入ったら、どこかの会社に入って、10年ぐらいしたら転職して、そのまま定年を迎えるものだと思っていました。

もちろんそうじゃない生き方が星の数ほどあるのは承知の上で、少なくとも「私は」極めて一般的なレールに沿って生きるものだと思っていました。だってこれまで、6-3-3-4で真っ直ぐ生きてきたから。

だけどもしかして、1回就職したとしても、全く別の道を目指せる方法があるのかもしれない。

もしかして、踏み出すのって「今」かもしれない。


資料請求。そして入学へ

退勤後の電車内で、ページを見つけたその指で、資料請求を申し込みました。

しばらくして届いた分厚いパンフレット。わくわくしながら何度も読んで、オンライン説明会にも参加しました。目の前に、アートという新しい扉がはっきりと見えていて、早くドアノブを掴みたい気持ちでいっぱいになりました。

ネックになるのは学費ですが、諸々込みで年25万円前後(コースによります)。
ボーナスをどうにかすれば、どうにかできる範囲内でした。月割りして少し高い習い事をすると思えば、そこまでの無理はなさそうでした。

あのとき冷水をぶっかけてきた「社会人」の自分は、もう消えていました。
やりたいことが現実的な方法で実現できるのなら、止める理由はなかったから。

そして季節が回って2022年の春、私は晴れて社会人芸大生になりました。
大学を卒業した翌年に、また大学生になるとは。

送られてきた2枚目の学生証が、とても輝いて見えました。

たとえ違っていたとしても

でも、同時に大切にしたかったのは「楽しむ」ということ。

最初から仕事にしよう!とかキャリアアップのために!とかはあまり考えないようにしていました。
彩りのなかった生活に、アートという彩りを添えたかった。ただ知りたい!書いてみたい!という思いを大事にしました。

お金を払って義務を増やすなんて、本末転倒です。

そういう意味で、たとえ思っていたことと違っていたとしても、それでいいと思っていました。義務ではないから、嫌になったら辞めればいい、と。

ただ、踏み出した先で何か得るものがあるはずだと、そう信じてもいました。

祝!3年目

結果として、現在、社会人芸大生3年目を迎えます。
正直なところ、衝動的に辞めたいと思ったことはありましたが、それでも「楽しい」が勝ってここまで来ました。

今年はいよいよ卒業の年。
最後に良い卒業制作ができるよう、思いっきり考え、調べ、書いていくつもりです。


今、悩んでいる方へ

入学しようかどうしようか、悩んでいる方がいれば「とりあえずやってみる」ことを伝えたいです。

仕事と大学の両立は、簡単ではありません。
でも、そこまで難しいとも思いません。

理由はシンプル。楽しいからです!!

「学ぶ」ということは、新しい「眼」を手に入れることだと思います。「アート」という新しい「眼」で見る世界は、それまでとは全く違います。

今まで何となく観ていた作品の背景や、芸術史上の位置付けを知ることで、美術館へ行くことがさらに楽しくなりました。知らなかった作品と出会うことで、知らなかった自分の価値観にも出会うことができました。

ライティング面では、教員の方や他の生徒さんから予想外の褒め言葉をいただけると、何とも言えない嬉しさを感じられます。(学生生活に関する詳しい記事は別途公開予定です!)

悩んでいる時点で、あなたはもう「眼」を手に入れたいと思っているはず。その気持ちに素直になって、飛び込んでみてはいかがでしょうか?


あの時、踏み出していて良かったと、心から思います。
2度目の大学生活、最後まで目いっぱい楽しむ予定です!

数ヶ月に一度、京都のキャンパスを訪れます。ついでに京都の美術館へ行くことも楽しみのひとつです(もちろん大学生料金で!)


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