あの物騒な曲に魅せられて〜トワイライト

インターネットを彷徨っているとたまにとんでもない曲に出会うことがある。

しかもその曲がどういうアーティストがどういう背景で作り上げたのかは全くわからず、曲だけがポンっと目の前に現れることがほとんどだ。

今回取り上げる曲もそんな出会いで突然目の前に現れた楽曲だった。

お前を殺す by 自由ヶ丘

物騒なタイトルにポケモンのプリンの画像というアンバランスなアートワーク。

再生してみると、オシャレなコード弾きのギターが醸し出す落ち着いた雰囲気で始まったかと思いきや、裏声なのかなんなのか、何とも言えない声色の歌声でとんでもない歌詞が淡々と歌われている。

狂気だ。

だけど、とてもポップでついつい何度も聴きたくなる中毒性がある。

これはとんでもない曲に出会ってしまった…。

そう思うと同時に、もっとこのアーティストを深堀りしたくなってきた。

しかし、このSoundCloudのページにはこの曲の他にもう一曲「ヒワダタウン」という楽曲がアップされているのみ。

こっちの曲は全編ピアノのみで全然雰囲気が違うのでさらに謎が深まる。

アーティストの詳細にも当時は何もリンクが載っておらず、全く手掛かりになりそうなことが無かった。

検索しようにも「自由ヶ丘」というキーワードで検索したところでお店やら地名やらが出てきて行く手を阻まれる。

そんな感じで、もうこれ以上は深堀りできないんだなぁ…と口惜しい気持ちになりつつ、時折思い出してSoundCloudを聴いたりして過ごしていた。


それから数年たったある日、Twitterで「自由ヶ丘」というアカウントを発見した。

もしやこれはあの自由ヶ丘さんでは…!?と、ピンと来て、なんとなくフォローしてみた。

すると、その数日後にLocal Visionsの公式Twitterがこんなツイートを投稿していた。

これは…期待していいのかい…?

そんなワクワクを抱えながら数日後↓

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

やっぱりそうだった…!

数年越しの願いがようやく叶う…!
しかも三月さんとの共作というのもさらに嬉しい。

早くその日が来ないかと待ち望んでさらに数日後↓

リリースされた🙌

速攻で購入し、その場では聴かずに一晩寝かせ、翌朝ランニングしながらじっくり聴いた(二周リピートした)

せっかくなので全曲感想を書いてみる。

1. 逢魔時(feat. hikaru yamada)
のっけから都会的な音でガツンとやられる。
次に入ってくるサックスの音色でさらに引き込まれる。
もうここで期待を裏切らない感じがヒシヒシ伝わってきてニンマリした。

2. 蟲
前曲からガラッと雰囲気が変わって爽やかなギターから始まるポップソング。
かと思いきや、よくよく聴くと想像するととんでもなく気持ち悪い歌詞をポップなメロディに乗せてサラリと歌っている。
とんでもなく気の狂った曲だった。好き。

3. 蒸発都市
こちらも前曲同様にミドルテンポでポップな楽曲。
残響の無いデッドなピアノがスタッカート気味に小気味よいリズムを刻む。
歌詞が何語かわからないけどシンセの音と相まって心地良い。

4. 新世代サイバネティック
ジャングル風なリズムで始まり、切ないメロディが乗ってくる。
この浮遊感、良い。
太いスラップベースみたいなベースが気持ち良い。

5. 雑木林で踊ろう
このアルバムの中で特に「これぞ!」と思った楽曲。
イントロから名曲の予感。
マリンバっぽいプラック音もフレーズも、どこかノスタルジーかつドリーミングでステキ。

6. 猫のお医者さん
三月さんの歌唱でSoundCloudでよく聴いていた好きな楽曲。
「自分が何をしてるかわかっているの」という歌詞が、色々な捉え方ができてステキだなぁと思った。
…というか、改めてSoundCloudで聴いてみようと訪ねてみたら、元は「やわもち」さんという方のページだったのに「自由ヶ丘2」というページに変わっていた。
知らず知らずのうちに自由ヶ丘さんの楽曲を聴いていたということ…?
おそろしい…。

7. 電脳警察24時
これも好きな曲調。
緩やかに転調を繰り返しながら滑り降りていく展開が気持ち良い。
こういうテクニック、惚れ惚れする。

8. 知らない駅
この曲も前曲同様に転調を多用しているけど、こちらは節操なく飛びまくる、混沌とした楽曲。
というか、この目まぐるしい転調に併せて普通に歌えるってどういうことなのか…。
ラストのチープなサックスの音もしっくりきて映えている。

9. お前を殺す
前曲の混沌を乗り越えて、満を持しての登場である。
もうこの曲に向かってここまで進んできたのかとさえ思うような、納得感のあるラストソング。
やっぱり好きだ。

間違いなく、今年のベストアルバムに入るくらい好きなアルバムに出会ってしまった。

もう一度頭から聴き直そう。

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