今の日韓関係について正しく理解したい

愛知トリエンナーレの「表現の不自由展」、韓国のホワイト国除外、連日報道される日韓関係の冷え込みについて、本質的な理解をしたかった。

私のこのnoteを書くきっかけだ。

私の考えはとりあえず置いておいて、基本的な知識すらなかった自分を恥じつつ、まとめてみようと思う。

韓国側の主張は「従軍慰安婦問題」「強制徴用工問題」に対する謝罪がなされていないことへの抗議、日本による「韓国のホワイト国除外」に対する抗議である。

従軍慰安婦問題とは

第二次世界大戦中、それぞれの国の軍隊は売春宿を持っており、軍の売春宿のことを慰安所と呼んだ。軍人達は慰安所のことを知っていたし、戦争の一つの側面と言える。慰安婦とは慰安所にいた売春婦のこと。この時の慰安婦達は無理やり、性的なサービスを提供させられていたという(諸説あるので注意が必要)。

しかし、韓国における従軍慰安婦の問題が強調されはしているが、韓国も戦時中ベトナムで同様のことをしていたし、敗戦直後日本から満洲に渡っていた日本人の中にもソ連軍相手に性的な接待をさせられていた人がいた。

さて、日本における従軍慰安婦問題については、一応解決したことになっている。2015年12月28日慰安婦問題日韓合意が日韓外相会談にて行われた。韓国側に10億円(約103億ウォン)が支払われたことによって、日韓は不可逆的な合意がなされたのだ。

参照

https://www.huffingtonpost.jp/entry/ishido-colum02_jp_5d53ffc8e4b05fa9df07f09b

強制徴用工問題とは

第二次世界大戦中、日本の統治下にあった朝鮮や中国で日本企業で労働させられた人たちがいた(一部希望者もあり)。元労働者やその遺族は奴隷のように扱われたことに対し、現地で複数の日本企業相手に訴訟を起こしている。

韓国での訴訟にどのような問題があるのかというと、1965年の日韓請求権協定で韓国政府は徴用工問題を解決済としているのにも関わらず、個人の訴訟が起きていることである。

韓国の大法院(韓国で言う最高裁)は日韓請求権協定で個人の請求権(企業を訴える権利)はなくなっていないとして、2018年10月30日新日本製鉄に対し、韓国人4人へ一人あたり1億ウォン(約1000万円)の損害賠償を命じた。

日本側の主張は日韓請求権協定で国家間ですでに解決済の問題について蒸し返して来たことはおかしいというもの。国際法的にもおかしい。もし、解決が難しい場合は国際司法裁判所への提訴も考えているらしい。

韓国のホワイト国除外とは

キャッチオール規制(補完的輸出規制)は、大量破壊兵器や通常兵器の開発等に使われる可能性がある貨物の輸出や技術の提供を行う場合、経済産業大臣への届け出およびその許可が必要となる制度。

ホワイト国はこのような輸出のルールのなかで、手続きがいくつか免除されるなどの優遇措置を取っている国である。2004年に韓国もこのホワイト国に認定された。

前提として、この輸出規制は武器の材料にもなりうる危険なものを管理しようとして行っていることをおさえておきたい。

今回韓国がホワイト国を除外になったのは、事実上日本が輸出した兵器に転用できる物資を適切に管理する体制が取れていないためである。日本では該当の担当部署には100人以上の人員を配置している。韓国では、十分な人員が配置されていないためか、これまで、シリア・イラン・北朝鮮などに化学兵器に転用可能な物品を輸出した複数の会社を行政処分している。

このように韓国の輸出管理実態に疑問があるから、ホワイト国除外になったのである。

日本で今起きている問題たちについての私なりの考え

あいちトリエンナーレの慰安婦像等の展示について

私は慰安婦像について展示したことは悪いとは思わない。戦争の一側面として、慰安婦問題があったことは事実であり、認めねばならないことだから。

ほんとにこの通りだと思うし、慰安婦像そのものに反発している人は引っ込め!と私は思っている。

私は慰安婦像を作った作家のインタビュー記事を読み、この意図で展示される限りでは戦争という場面で一方的に性的な搾取を受けた女性の思いを表現した作品であると感じた。

今回あいちトリエンナーレの総合的なテーマを考えると、圧倒的にタイミングが悪かったからこうなった側面が大きいと言える。確かに過去の言動を批判されがちな津田大介氏を批判したい気持ちもわからなくもないが、表現の不自由展の作品たちに日本を侮蔑的に捉えたような作品があったのかというとそうでもないような気もする。

表現の不自由展はそもそも、これまで展示拒否にあったような作品を実際に見て、表現の自由・不自由について議論しようというものだった。「天皇の写真を燃やした」という誤った情報も報道の中に混じり、メディアの報道には悪意しか感じなかった。

正しい情報を何かの政治的意図を感じさせることなく、報道するという正しい報道が行われていたら、と残念な気持ちでいっぱいだ。

実際に、津田大介氏や大浦信行氏のコメントを見ても、慰安婦問題を用いて日本を侮蔑的に捉えたわけでも、皇室に対する批判的な意図はなかったとされている。(津田大介氏の発言の一部は言い訳のように聞こえるし、真偽についてはここでは重要ではないと考えている)

日本人として、戦争の加害責任や韓国についてどう考えたらいいか

報道が正しい情報を与えてくれるとは限らないなか、私が韓国と日本の第二次世界大戦に対する加害責任をどう考えたらいいのか。

もうたくさんの事実が複雑に混じり合って思考を放棄したくなったので、同じように戦争で大きな被害を受けながら加害責任を背負うドイツがどうしているのかいうことを参考にしてみようと思う。

ドイツの加害責任に含まれるものは、ナチスの台頭、反ユダヤ主義、アウシュビッツ、ホロコーストなど、一度でも歴史教育を受けた人なら聞いたことのある数々の出来事のほか、フランスやポーランドといった近隣諸国にも大きな戦争被害を残したことも含まれる。

対して、ドイツの受けた被害と呼べるものは、ドレスデンに行われた連邦国軍の無差別攻撃や冷戦による国土の分断などが挙げられる。

ドイツでは、刑法第130条(民衆扇動罪)で、ナチのシンボルを掲げたり、「アウシュヴィッツにガス室はなかった」などと歴史的虚偽を広めることを禁止している。これには、ドイツが第二次世界大戦中行ってしまったことを深く反省し二度と起こすまいという強い意志を感じる。

ドイツの加害責任の果たし方は、学校教育や政治などを見れば如実にわかる。ドイツの学校教育では強制収容所について必ず学ぶことになっており、国内のいたるところに加害に関するミュージアムや史跡がある。これを作るきっかけとなったのが市民運動である。

1960年代後半の学生運動(前述の市民運動)は、親世代の戦争責任を問うもので、子供が親に『戦争中何をしていたのか』と問い詰めるようなものだった。親子の縁が切れた人たちすらいた。このような市民運動がドイツの歴史認識に関する基礎を作った。

この流れを組んで、1985年ワイゼッカー大統領の演説で次のように述べている。

自らが手を下していない行為について自らの罪を告白することは出来ないが、誰もが過去からの帰結に係わりあっており、過去に対する責任を負わされている。過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となる。

この10年後、ドレスデン爆撃50年の追悼式典でヘルツォーク大統領がしたスピーチが以下の通りである。(ドレスデン爆撃はドイツ国内最大級の無差別攻撃)

ここに参集した誰一人として、告発されることも、後悔や自責の念を求められることはない。また誰一人、この出来事(ドレスデン爆撃)がナチス国家におけるドイツ人の悪行によって相殺されると考える方はいない。命を命で、苦しみを苦しみで、死の恐怖を死の恐怖で、追放を追放で、戦慄を戦慄で、辱めを辱めで相殺することはできないのだ。悲しみは、共感と思慮を学ぶことを通じて、共に克服されるのでなければならない。

参考 http://ictj-report.joho.or.jp/1608-09/sp02.html

私は、これらの発言、ドイツの責任の取り方を通じて次のように考えた。

慰安婦や徴用工の問題は金銭的、国家的には解決しているかもしれないが、人の心のわだかまりはそれでは解決できない。私たちがすべきは、相手の心に寄り添い共感すること。そのために正しい知識を身につけるべきであること。

今、韓国の人たちが怒っているのは一部にプロパガンダ的な意味合いと、時流に流されての意味合いもあるかもしれないが、私たちがきちんと事実を知らず、虚偽の情報に振り回されているから、というのも大いにある。

私たちは、韓国や中国、東南アジアの国々を侵略してきた歴史も詳しく知らない。考えられないくらい愚かである。被害の歴史ばかりを戦争教育として行ってきたことに後悔し、改めねばならない。(ちなみに、悲惨な被害を受けたことを訴え、他の国にも行わないようにしようという意図があったらしい)

『私たちが謝罪し、責任を取るべきことではない。もう子供の世代に謝らせることはしたくない』と、ある政治家が言っていたのを思い出した。私は、謝罪し続けることは必要ないかもしれないが、正しく後の世代に知識を受け継ぐこと、二度と戦争を起こさないように政治を監視し続けることは必要なんじゃないかなと思う。

私がこの日韓関係の冷え込みについて思うのは、お互いに寄り添うことをやめてしまったら、上手くいかなくなるのは当然のこと、このまま戦争にでもなりそうな雰囲気は心底いやだ。ホワイト国の件は兵器にできそうな物資にちゃんと規制をかけたい日本の言い分が正しいと思う。強制徴用工と慰安婦の問題は話し合うべきだ。そして、私たち国民ができるのは正しい知識を持つこと、メディアに振り回されないことだと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?