見出し画像

Trick or Treat
あの日扉を叩いてくれた君の姿は
今年もないまま
Trick or Treat
三度目の結婚式
私だけこっそり招待してくれた

掴み損ねてばかりの幸せ
たわわに実った果実
ずっと眺めてるだけ
手を伸ばす ただそれだけでいいのに
さっきからせせら笑ってる
ジャコランタンにらみ返して

「もう恨んでなんかないよ」

ひとりぼっちの収穫祭
喜びも悲しみも籠いっぱい抱えるくらい
摘み取って私が腕を奮うから
最高に美味しい料理にしてあげる

Trick or Treat
最初にあげたお菓子は何だったかな?
Trick or Treat
でも君のするイタズラ
見てみたかった気もする

もし君のお嫁さんだったら?
そんなこと何度も考えた事あるよ
本当にそうだったら
喧嘩したらどんな感じかな?
あいつと違って
笑って仲直り出来たかな?

形のない夢に包まれて過ごしてたあの頃
私の背丈なんてすぐに追い越していった

堂々巡りはお互い様
もうたぶん交わらない未来
どんなに素敵なお菓子を
私が持っていたとしても

Trick or Treat
ドアの向こう
子供たちの足音が聞こえる
Happy Halloween
私の果実はたったひとつ
ねえ誰か拾ってくれないかな?

読んでいただき、ありがとうございます。 ほとんどの詩の舞台は私が住んでる町、安曇野です。 普段作ってるお菓子と同じく、小さな気持ちを大切にしながら、ちょっとだけ美味しい気持ちになれる、そんな詩が書けたらなと思っています。