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幾年月を重ね
募らせていった愛しさが
時に私に牙を向く


見上げる打ち上げ花火
見逃さないよう目を凝らす横顔と
最後を見届けられない私


ふたり並んで立っていたこの場所の
今日というあの日
心に留めておきたいけれど
足首に触れる草むら
そのくすぐったさに似合わない気がして


このまま
このままでいいから
流れて流されて
川面に浮かんで
沈んで漂って
このままでいいから


暗がりに浮かび上がる
その髪と繋いだ手
吐息の間に潜む眩しさが悟る
ずっとそばにいた君の宇宙
壊せなくて


2人同じものを見て心動かした
今日というあの日
数え切れない思い出の残り火
跡形もなく消えていきますように


見上げる打ち上げ花火
抗わず望まず
この身を預けて
委ねて委ねて
心でそっと
指をほどいてく


永遠が悲しいのは
縁取られただけの約束に
守られ縛られ
閉じ込められる
そんな気がするから


このまま
このままでいいから
注ぐ愛情に色も無く味も無く
ただ溜め息だけが私を語り
そこらじゅうばら蒔いて
散りばめて汚して
そして


少しだけ
それを誇りに思えたならいいと思う
それで全部
救われる気がしてる

読んでいただき、ありがとうございます。 ほとんどの詩の舞台は私が住んでる町、安曇野です。 普段作ってるお菓子と同じく、小さな気持ちを大切にしながら、ちょっとだけ美味しい気持ちになれる、そんな詩が書けたらなと思っています。