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拝啓 甥っ子様

社会人になった君へ、まずはおめでとう。

ついこの間までピカチュウを抱いて寝ていた君が、私にエクセルを教えてくれるんやもん。頼もしくなったもんだ。
会社はどうですか。
「社会の荒波」っていう言葉があるくらいだから、これから始まる人生は楽しいことばかりじゃないかもしれない。だけど、風がやんだら波が引くように、君に降りかかる波も必ず引いていくから。きっと乗り越えられる。
なんて言ってるけど、これからは私が君に助けてもらう番だね。
その前に、君より先にいろんな経験をした私から君に伝えられること二つがあります。

◦失敗を恐れない
◦親孝行とは、自分の足で人生を歩んでいくこと

まず失敗を恐れない、これは言われなくてもできているかな。失敗を恐れず挑戦するって、若いころは割と簡単にできるけど、いくつになっても気合いを入れて飛ばなあかんことってある。
むしろ年をとってからの方がよくあるかもしれない。
そんな時自分を助けてくれるのが、挑戦して培った経験やねん。
生きていたら、取り返しのつかないことをしてしまったり、味方が誰もいなくなったり、病気になったり、事故に巻き込まれたり、裏切ったり裏切られたり、絶望することもある。そんな時、この経験が君を助けてくれるから、面倒臭がらずにやってな。
二つ目。親の望む生き方をすることが親孝行ではなくて、自分の人生を自分で切り拓いて生きることが親孝行やねん。順番で言えば君は親より長生きするよね、人の真価って親が亡くなってから顕われてくるものやと思う。
家業を継がなかったり、自分勝手な生き方をしてる息子は一見親不孝に見えるかもしれない。
「そんなことで食っていけるかっ」ってどやされることもあったりして。
実際、親をほったらかしにしている、と悩むことがあるもしれない。
だけど、君の3人の従弟の母親である私から言わせてもらうと、息子たちが私の望み通りの生き方をしていたら、「私は息子の可能性の芽を摘んでしまったかもしれない」と、死ぬ前に後悔すると思う。息子に対して取り返しのつかない罪を犯してしまったと、悔やみながら死んでいくと思う。
どんな生き方でもいい、自分の足で歩んで欲しい、と私なら思う。
人を傷つけることもあるだろう、裏切ることもあるだろう。だけど、過ちから得た学びが君という人間を作っていく、ということを忘れないで欲しい。
一周回って親の意志を継ぐ、と君が選んだのならそれは君の道になる。
君ならやれる。
社会人になったお祝いに、おもろい顔をしたマトリョーシカを見つけたので贈ります。
胴体をねじって開けると次の人形が出てきて、また胴体をねじって開けると次の人形が出てくる。
この人形のように、君の経験は何重にもなって君の中に存在する。押してもびくともしない、どっしり安定した君が存在する。
人生に迷った時、おもろい人形を見て思い出して欲しい。
両親の外に君を愛しているおばちゃんがいることを。


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