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92歳の現役保育士が伝えたい親子で幸せになる子育て#読書メモ

日々、母親として、森のようちえんの運営者として、試行錯誤しながら見守る子育てを実践している。この本は、モンテッソーリ教育とアドラー心理学の”いいとこどり”を実践している、92歳の保育士、大川繁子さんの経験をもとに書かれている。

経験をもとに書かれていると言うと、私の場合はこうだったという体験談の域を出ないのではないか?という、ネガティブな側面を思い浮かべがちだ。

けれど大川さんが、60年の保育人生のうち、従来の保育と見守る保育の両方を経験されていること、未だに論文を読んだり研修会に参加したりして学び続けていること、送りだした園児が2,800人以上にものぼることを考えると、エビデンス(証拠)と経験を行ったり来たりできる、稀有な本ではないかと思う。

見守る子育てってどういうもの?
どうしたらいいの?

と聞かれることがあるのだけれど、今度からはこの本を渡そうかな、と思うくらい「見守る」保育の本質が丁寧に書かれている本だった。

見守るといってもコツがいる。ただ見守るのではなくて、成長段階に応じて、自分自身で考える環境を準備することが肝になる。小さい子であれば、どっちがいい?と選ばせることからスタートする。(小俣幼児生活団では、2歳以降の給食はバイキング形式を取り入れている)

じゃあ考える環境って、どんな風に設定すればいいのか、どんな姿勢で見守ったらいいかという詳細は、本を読んでもらいたい。

自由に生きる力を身に付ける

科学技術が発達して、場所や時間に縛られない自由な働き方が可能になってきた。これからきっと、ますます便利になっていくのだろう。一方で、自由に働くにはどうやって仕事を進めるかなど考える力が必要で、理想の働き方ができるかどうかは私たちの考える力次第だとも言える。

小さいころ、子どもたちはとてつもないスピードで成長する。食べる、立つ、話す、オムツがとれるという分かりやすい成長を見てきた私たちは、目に見える成長を確認できると安心する。そして嬉しい。

けれど、可視化できる成長にばかり注目しすぎるのはとても危険だ。成長って、分かりやすい右肩上がりではない。ぐーんと伸びる時期がある。だから、目には見えにくいけれど、成長のベースになる心をしっかり耕すことが大切なのだ。

大人には忍耐と想像力が必要だけれど、考える力の成長を見守るってそういうことだと思う。(だから保育士って、とてもクリエイティブな専門職だと思う)

大人も自由に生きよう

もう1つ、この本が特徴的なのは、親の生き方にも言及しているところだろう。

夫婦仲がいいことに勝る子育て環境はない、と大川先生は言い切る。保育の役割は養護と教育だ。そのうち、養護の役割は「生命の保持」と「情緒の安定」なのだけれど、両方の基盤となる家庭は主に夫婦によって築かれるのだから、夫婦仲はとても重要な要素だと思う。
(ちなみに、先生は、夫婦仲が良くならないようなら別れちゃったらと言われている・・・。歯切れがいい!)

預けるとか預けないとかは、たいした問題ではありません。
大切なのは、親が自分で納得のいく選択をすること。
そうでないと、かわいい子どもと、「いい時間」を過ごすこともできないのではないでしょうか。

この言葉に救われる人もたくさんいるのではないだろうか?現に私はとても勇気をもらった。みんながそうしているからではなく、子どもと自分自身の関係性の中で、預けるか預けないかを決め、自分の人生もしっかり生きたい。

自由は責任とセットだ。自分で考えて、決めて責任をとる。これが自立だ。そして、いつか子どもたちは私たちの元から旅立っていく。

お互いが自立した存在として関わり合えるように、これからも、考える環境を準備しつつ、私自身も考えながら見守っていきたいなあと思ったのでした。

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